この世の中はいつなんどき、誰がどのようにして犯罪に巻き込まれるかわかりません。
万が一にも犯罪に巻き込まれたら…。ささやかな幸せは崩れ去り、些細なことにも怯え、心は深い闇と絶望に満たされます。
犯罪者に対する報復や復讐。
善意と正義の意味を履き違えた危うい組織の巨大な陰謀に巻き込まれるサスペンス映画【ハングリーラビット】の世界へとご案内いたします。
この記事で分かること
- あらすじ概要・主演キャスト
- 予告動画
- DVDブルーレイ情報
【ハングリー・ラビット】求めることはただひとつ
…晴らせぬ怨みがございます。どうか、どうか…。チャララ〜〜。
…確かに必殺仕事人と共通するところもあるが、全然タチ悪い組織幹部のお話だから。
今作は、法の目をかいくぐってのさばる犯罪者や再犯要注意人物に正義の鉄拳を…という怨み晴らし屋組織のお話。
…ですが、犯罪被害者たちをも巻き込んで《ハングリー・ラビット》なる合い言葉を用い、知らず知らずのうちに追い詰め挑発。
《ハングリー・ラビット》の意味とは、こんなこじつけから生まれた言葉です↓
- human(人間の)→hungry(空腹の)
- reason(理性)→rabbit(ウサギ)
- justice(正義)→jumps(跳ぶ)
頭文字をとって組み合わせた隠語に込められているのは、人間の理性と正義を隠れ蓑にした報復・復讐の正当性。
組織的に仕組まれ、広く世間に浸透してしまった歪んだ正義の危うさを描いた映画が【ハングリー・ラビット】 です。
映画【ハングリー・ラビット】基本情報
ハングリー・ラビット | 2011年 アメリカ映画 |
ジャンル | サスペンス・アクション |
監督 | ロジャー・ドナルドソン |
脚本 | ロバート・タネン |
上映時間 | 105分 |
出演 | ニコラス・ケイジ、ジャニュアリー・ジョーンズ、ガイ・ピアースほか |
動画配信サービス | Amazonプライム(prime対象) |
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【ハングリー・ラビット】ささやかな幸せ・奪われた笑顔
物語の舞台はニューオリンズ。アメリカ・ルイジアナ州にあるこの都市は、全米でも屈指の観光地です。
ニューオリンズ!ジャズ発祥の地だねー。
ナイトクラブに生演奏、リオのカーニバル並みに盛り上がるマルディグラ祭でも有名なとこだな。
アメリカらしい小洒落た感と西部開拓時代くらいのレトロ感、都会過ぎない都会な街並みが特徴的。
そんなニューオリンズに住むひと組の夫婦が今作の主人公です。
- 夫はごく平凡な高校教師のウィル。ただし生徒はもれなくオラつく問題児揃い
- 妻は生演奏オーケストラバンドでチェロを担当している音楽家のローラ
- ときには友人たちとクラブでお酒を酌み交わし、ときには二人でお家でイチャイチャ
- 各々の時間も尊重し、お互いに支え合うラブラブ夫婦
ところがこんな仲良し夫婦のウィルとローラの慎ましくも幸せな日常は、ある晩を境に一変します。
それはあまりにも突然で、あまりにもむごい出来事。
オーケストラの練習に参加し、一人で帰宅する予定だったローラが暴漢に襲われ暴行される事件が起こってしまったんです。
ロォーーーラァァーーーーー!!
…やめなさい。西城秀樹ばりにローラって叫ぶのは。
ニューオリンズは、夜でもほどほどに賑わう活気溢れる街。
…ですが、それでも御多分に漏れず人通りの少ない通りは若干治安がよろしくない土地柄です。
- ローラは車に乗り込んだにもかかわらず、銃を持った男にガラスをぶち破られて襲われた
- 顔はアザだらけ、辱めを受けて身体にもいくつもの傷を負い、重症で病院へ搬送
- その頃ウィルはというと、携帯OFFがマナーの遊技場でチェスに興じていた
一通りチェスを楽しみ、帰路に着こうと携帯をONにしたウィル。
そこには複数回の着信履歴が表示され、急いで病院に駆けつけた彼が見たものは…。
傷だらけになり、鎮静剤で眠っている妻ローラの姿でした。
絶望感に寄り添う不穏なささやき
命こそ奪われはしなかたものの、ローラは身も心も引き裂かれ、ウィルもまた妻がこんな姿になってしまったことに強いショックと憤りを感じておりました。
ローラ…君を…誰が。
ローラ…そんなにしたの…
…まさにそんな心境だっただろうな。
ローラの病室を離れ、待合室で愕然とするウィル。そこへ彼の心情を察するかのように励ましの言葉をかけるひとりの人物が現れます。
サイモンと名乗るその男は囁くようにウィルに話しかけ、さらに耳を疑うようなこんな言葉を投げかけてきたんです。
- 以前私も似たような経験があり、心中お察しします
- 今は法の裁きでは納得出来ない犯罪者に報復する組織に在籍しています
- 代理で犯罪者に報復しましょうか
- 無論、報酬はいりません
- あとで簡単なお願いをお手伝いしてくだされば
これはまた…胡散臭さMAXだねー。
…たしかに。たとえ報復相手が犯罪者でも『抹殺します、しかもタダ』なんて怪しすぎる。
見ず知らずのハゲ…いえ、スキンヘッドのスーツ男サイモンのただならぬ提案に一度は首を横に振って拒絶したウィル。
それでも迷いがなかったわけではなく、妻ローラの状態を思うと理性よりも憤りが優ってしまい、サイモンを引き留めてしまいます。
- もし代理報復を望むのであれば、ガン科病棟の自販機でチョコバーを2本購入するように
- 組織に関わるのであれば、合い言葉を返答すること
- 合い言葉は『hungry rabbit(空腹の兎は…)』『jumps(跳ぶ)』
報復が正しい行為とは思っていないものの、妻ローラを襲った暴漢の正体を掴んでいるというサイモンの提案に乗ってしまったウィル。
ためらいながらも指示通りにチョコバーを2本購入し、合い言葉にも返答してしまいます。
そして数日後、ウィルは犯人と思しき人物への私的な処刑が済んだ証を手にすることに。
これで二度と犯人の影に怯える必要も恨み続ける必要もないことを知りますが、取り戻した安寧の日常はそう長くは続きませんでした。
【ハングリー・ラビット】正義という名の犯罪連鎖
犯罪被害者となったあの日から早半年。
妻ローラは多少の怯えや恐怖を抱くものの少しずつメンタル面も安定し、再びチェロ奏者としてオーケストラに参加するまで回復します。
一方のウィルもローラを支えつつ、高校でヤンチャな不良生徒相手に授業を行う毎日。
しかし再びサイモンが現れ、「あの報復」の見返りにちょっとした頼み事をするようになりました。
簡単な契約に潜む罠
サイモンのおかげであの暴漢事件を乗り越えることが出来たウィルは、恩があるため彼に会うことに。
何を頼まれるのかと訝しむ中、サイモンの頼み事は本当にごくごく簡単なおつかいみたいなものでした。
- 「動物園前のポストから投函して」と封筒を手渡された
- いざ封筒投函の段階で携帯に着信が
- 封筒を開封し、中にある写真の母子を動物園で尾行するように
- もう1枚、別の写真に映る男性が現れたら連絡すること
- 連絡時には合い言葉を忘れずに
封筒投函なんて簡単なお願いだけかと思ったら…オマケでさらにお願いされちゃったね。
これ、心理的な手法「フット・イン・ザ・ドア」を活用してるな。
【フット・イン・ザ・ドアとはなんぞや?】
- まずは簡単で断らなそうな小さなお願いをする
- たいていの人は「これくらいなら…」と善意で快諾
- さらにお願いを繰り返しても、「ついでにやってあげてもいいかな」とまた承諾
- 徐々にお願い事をエスカレートしても、「仕方ないなぁ」と断りづらい心境に陥る
こんな心理テクニックに乗せられて、つい承諾し続けてしまった”はじめてのおつかい”の数々。
いったい何の意味があるのか不思議に思ったウィルは、母子は性犯罪被害者であり、もう1枚の男性は小児愛性犯罪者という話を聞かされます。
おぅ…同じように犯罪被害に遭っただなんて、ウィルにとってはその苦しみが痛いほど理解できちゃうね。
…これも心理に漬け込む罠だ。
犯罪被害に遭った人物が未だその犯人の影に怯えているのか…同じ境遇を味わったことのあるウィルはまんまと心理を手玉に取られ、この母子に同情。
サイモンはそんな人の善意や正義感を巧みに刺激し、組織が真に求める願い事への誘導を開始していきます。
代理報復の代償
サイモンが属する代理報復の組織の真意。
そこには途切れることのない恐ろしい報復の連鎖がありました。
- 組織にはサイモンならびに数名の幹部がいるのみ
- 幹部が手を汚すと足がついて犯罪履歴がついてしまう
- 全く無関係な犯罪被害者同士を組み合わせ、復讐心を突いて一般人を実行犯に
- 犯罪被害者が別の犯罪被害者の報復を代わりに請け負い、その代償としてまた別の犯罪被害者の報復を行う
- 犯罪の数だけ被害者は存在するため、これが正義と正当化することで共鳴する人々が雪だるま式に増加
そっか…頭では分かっていても、どうしても心に宿る犯人への憎しみって生じることがあるもんね。
…そのあたりも計算された心理テクニックだろうな。
サイモンは犯罪被害に遭った直後に現れます。特に理性が保てない状況でそそのかすもんだから、憤りの感情に任せて報復を依頼してしまう…というあくどい手口で接近してきます。
まぁ良く良く考えれば、誰かに私刑を下して抹殺する行為の代償が郵便投函や尾行なんぞの簡単なおつかいで済むはずがありません。
- ウィルもあのとき負の感情に任せて代理報復の契約を遂行してもらっている
- 合い言葉にも返答し、契約は成立してしまっている
- 契約したんだから、あの母子のために犯罪者男性を始末しろ
こんなムチャぶり炸裂の真のお願い事を快諾できるはずもなく、ウィルは今度こそ断固として拒否し続けます。
しかしサイモンは、妻ローラの身の安全を脅かすようなことを暗示。
またもや心理テクニックを駆使し、今度はNOの選択肢を与えずYESだけを選ばせる「ダブルバインド」という手口を活用してくるんです。
…追い詰められてウィルも代理報復しちゃうの?
…あぁ。仕方なくサイモンの指示に従って目的地に向かったよ。
- 報復対象の男性との接触は、高速道路に掛かる歩道橋の上
- 歩行者が少ないこの場所で橋から突き落とし、事故死に見せかけ処刑するように
- 付近の防犯カメラは誤作動するよう仕込んであるから安心しろ
こんなサイモンシナリオに添って行動せざるを得なかったウィル。しかし報復対象の男性から逆に襲われる羽目に。
そうして二人は揉み合いになり、男性は誤って高速道路に落下。
結果的にウィルは代理報復を完遂させた形になってしまいます。
…いくら相手が犯罪者とはいえ、これが組織の望む正義なの?正義という名の犯罪じゃん。
あぁ。しかも転落した男性は本当は犯罪者でも何でもなかったんだ。
実はウィルが代理報復対象として接触した人物は、ウォルザックという名前のジャーナリスト。
サイモンは組織の謎を追う邪魔者だからと犯罪歴をでっち上げ、排除しようとしていたんです。
さらにサイモンは、組織の在り方・己がかざす正義の審判に異を唱えるウィルをも排除対象に。
こうしてウィルはジャーナリストを殺害した第1級殺人罪の容疑者として指名手配されることになってしまいます。
あれは事故だった、とウィルは自身の無実を証明するために、そして組織の黒幕や概要を探るべく単独で調査。
しかし警察からは追われ、私刑を繰り返す組織の中でさらに暴走を始めたサイモンからは命を狙われることになり…というのが大まかなあらすじになりなります。
【ハングリー・ラビット】謎の組織に弄ばれる登場人物たち
罪を憎んで人を憎まず。
犯罪に対し、理性を持ってこの思想を貫くことができるなら、誰も憎悪や負の感情に打ちひしがれることはありません。
頭では分かっていても理性が揺らぎ、さも正当であるかのごとき正義を貫く組織に加担してしまった登場人物をご紹介いたしましょう。
ウィルはニューオリンズの高校で国語を担当するごく地味な教師。理性も知性も溢れ、頭の回転が早くキレのある思考回路の持ち主です。
完全なる頭脳派かというとそうでもなく、たとえ悪の組織に追われても逃げ切る健脚、警察車両を巻いて逃亡するドライビングテクニックも持ち合わせています。
演じたニコラス・ケイジは、実際にスポーツカーを転がすのが好きなアクション俳優でもあるので、その辺りの彼の良さも充分満喫出来るかと。
そういやまだハゲ散らかしてない、今作より10数年前の出演作《ザ・ロック》でも、見事なカーチェイスとアクションを披露しています↓
ローラは夫ウィルが組織と関わるきっかけになった暴漢事件の被害者。
何に対しても怯え、塞ぎ込み、生涯付きまとうような深い心の傷を負ってしまいます。
しかし夫ウィルの指名手配や謎の組織の陰謀など、さらなる危機にさらされながらも強い意思で立ち向かい、徐々にたくましく凛々しい姿をみせてくれる人物です。
サイモンは私刑を執行する際の指示出しが主な業務の上層幹部。
どうやら組織幹部はほんの数人しかいないらしく、その他大勢は報復や復讐でしか晴らせぬ恨みに賛同する人々で構成されているようです。
歪んだ正義をさらにこじらせ、次第に組織の思惑から外れて報復とは無関係な人間をも処刑するメンヘラでもあります。
サイモンを演じたガイ・ピアースはどっかで名前見たなと思ったら、アカデミー賞4部門受賞作品《英国王のスピーチ》にも出演している名俳優。
役どころや大まかなあらすじ、歴史の流れについてはこちらをどうぞ↓
…とこの他にもウィルの親友で同僚教師のジミーやローラのオーケストラ仲間でもあるウィルの妹、組織に加担している警部補なんかも登場。
誰が黒幕とかどうやって組織が成り立っているのかはあえて曖昧にしたまま、復讐劇の連鎖が巧妙に描かれています。
そしてなんといっても今作の見どころは、あの《スパイダーマン》で主演俳優だったトビー・マグワイヤが製作の裏方として参加しているという点。
あの《スパイダーマン》ってどのスパイダーマン?いっぱいシリーズありますが、このスパイダーマンに出演しておりました↓
観ようと思ったキッカケにもなったんですが、いかんせん完全裏方、これっぽっちも俳優として出演していないのは残念無念です(笑)
【ハングリー・ラビット】まとめ
「私刑を下すことこそ真の正義」と信じて疑わない組織の陰謀を描いた映画【ハングリーラビット】
今作の原題《Seeking Justice》には、正義を探し求めるという意味があります。
- ごく平凡な夫婦が、ある日突然犯罪被害者に
- 「報復」を無報酬で引き受けるという謎の男が
- リスクを伴う負の連鎖に巻き込まれ、正義と言う名の私刑を加える組織の陰謀に立ち向かう
犯罪被害者が抱える心の闇には、どんなに理性を働かせても拭えない想いがどこかにあるかと思います。
法で裁かれても裁かれなくても、頭をよぎる「報復・復讐」のふた文字。
歪んだ連鎖の中にある正義は、犯罪被害者にとってはすがりついて正当化したい「探し求めた正義」なのかもしれません。
結末がどこへ向かうのか二転三転する巧妙なストーリー、そこに善意と正義があると思わせる心理テクニックには恐ろしささえ感じました。
映画【ハングリーラビット】は、妄想や映画独特の着想ではなく、現実にあってもおかしくないミステリアスな世界を描いた作品 でした。
映画【ハングリー・ラビット】を観るならこちら
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