【英国王のスピーチ】吃音症のジョージ6世と言語療法士ローグの実話

歴史

2011年の第83回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞を受賞し、その他いくつもの部門でもノミネートされ、話題となったイギリス映画があります。

舞台は伝統と格式を重んじる英国王室。現エリザベス王女陛下の父君で、前国王のジョージ6世は吃音症という症状に長年苦しめられてきました。

激動の半生を歩み、欠点である吃音症を克服すべくジョージ6世が出会ったのはひとりの言語療法士。2人の奮闘と育んだ友情を描いた史実に基づく物語【英国王のスピーチ】の世界へとご案内いたします。

 

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【英国王のスピーチ】吃音症を患った国王ジョージ6世

たける
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凛々しく気品溢れるこの御仁はどなた様?

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現イギリス国王・エリザベス女王陛下の父君にあらせられる。

由緒正しきイギリス王室で、1895年12月にジョージ5世国王の次男として誕生したアルバート・フレデリック・サー・ジョージ、のちのジョージ6世国王が今作の主人公。2010年に公開された【英国王のスピーチ】は、先代国王の半生を描いた伝記作品 です。

大英帝国のイケメン王子

アルバート王子は現在のイギリスが大英帝国だった時代にジョージ6世として在位していたお方です。大英帝国とは、イギリスだけでなく南アフリカ・インド・オーストラリア・ニュージーランド・カナダと、世界の1/4近くを統治していた強大な国家。

大英帝国の始まりは16世紀から、もしくは17世紀からとも言われており、多くの植民地を持った史上最大の領土と人口を誇る大帝国でした。

引用wikipedia

たける
たける

すごいね。地図上のほとんどの地域にユニオンジャックがはためいてたんだ。

こんな巨大帝国の王室に御生れになったアルバート王子、現代では端正なお顔立ちがイケメンすぎる王族としても有名です。

父王ジョージ5世とよく似た雰囲気もあり、まっすぐ力強い眼差しと優しそうな口元が印象的。兄エドワード王子も気品溢れる英国紳士です。

引用wikipedia commons

しかし「イケメン♪」なんて呑気にもてはやされるのは現代ならではじゃないかなと思います。当時の世論の注目は、端正なお顔立ちではなく次期国王になるお方なのか、さらに国王としての資質があるお方なのかという点です。

どちらかというと大人しく引っ込み思案で病弱だったこともあり、アルバート王子は幼い頃から王太子である兄エドワード王子の陰に隠れてあまり目立たない存在でした。

「吃音症」という症状

周囲の期待はいずれ王位を継承する兄エドワード王太子に集まります。が、アルバート王子もなにかと式典なんかには顔を出さねばならない王室の公務があります。

人前で恥をかかぬよう躾は厳しく、幼少の頃から多くの努力をしてきました。

  • 左利きだった利き手は右利きに
  • 脚がX脚だったので、ガッチガチの痛々しい器具で真っ直ぐに矯正
  • 乳母たちは王太子である兄エドワード王子の方を特に大事に扱い、アルバート王子はちょっぴり意地悪されて育った

こんな幼少期がトラウマになったのか、大人しく内気なアルバート王子は「吃音症」という言語障害を患うことになってしまいます。

たける
たける

吃音症?

 

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話すときに、言葉が上手く出てこなくてつっかえたり、無言になっちゃったりする症状だ。

大勢の人の前で緊張して、言葉が出てこなくなる場合がありますよね。症状は似ていますが「吃音症」はそれとは違って言語障害疾患のひとつです。

【吃音症(きつおんしょう)とは?】

  • 「ど、ど、ど、ど、どうしよう」と最初の単語を繰り返したり、「………」と最初の一語が出て来ず口をパクパクさせてしまったりする症状
  • 現代でも吃音症の原因は定かではない
  • 一説では遺伝的要素があるとも、脳神経回路に関係があるとも言われている
  • 発症しやすいのは2歳〜4歳までが多く、ほとんどの吃音症患者は7歳までに発症している
  • 発症率は5%ほど。その半数は大人になるにつれて自然治癒、もしくは簡単な治療法で治る

参照臨床福祉専門学校

アルバート王子も発症しやすいと言われる幼少時、5歳の頃から言葉がつっかえる吃音症になったようです。

正確な時期は明らかではありませんが、おそらくはその頃の躾の厳しさなどが心因性の原因になったのではないか、と【英国王のスピーチ】劇中では語られています。

 

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【英国王のスピーチ】言語療法士ローグとの出会いと特訓

引用wikipedia

アルバート王子は長らく吃音症に悩まされてきました。独り言なら大丈夫なのに、それ以外の場面では度々言葉が上手く出せなかったんです。

父王ジョージ5世に対しても、兄エドワード王子に対しても、また妃であるエリザベス妃や2人の娘・王女エリザベス2世や王女マーガレットに対しても、です。

たける
たける

家族との会話でも?もどかしいよね。でも治療はしてたんでしょ?

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あぁ。何人か専門の医師が往診して、あの手この手で回復を試みたんだが、どの方法もこれといった成果が出なかったんだよね。

口一杯にビー玉突っ込んで無理やり喋ったり、喉に良くて深呼吸とリラックス効果もあるからとデタラメな効果を謳って煙草を勧める医者もいたり。効果ありそうに全くみえない施術も受け、日々吃音症克服のために努力しておりました。

言語療法士・ローグとの出会い

あらゆる治療法を試すものの、アルバート王子の吃音症はちっとも善くなりません。

1925年には父王ジョージ5世の代理として、大英帝国博覧会の閉会式のスピーチを仰せつかりましたが、何度もつっかえ、時には無言、とスピーチは散々な結果に。

父王ジョージ5世のようにスムーズに堂々とスピーチがしたい。いや、普通の人と同じように言葉を語りたい

父王ジョージ5世からは恐れずにスピーチをしろと厳しく指導され、アルバート王子の苛立ちは募るばかりです。

たける
たける

誰よりも本人が吃音症を克服したかっただろうに。

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そんなアルバート王子の心中に寄り添って、一緒になんとか治療をしていきたいと願ったのがエリザベス妃だ。

エリザベス妃は、王室側が充てがう医師では一向に回復の兆しが見えないため、独自に言語療法士を見つけ出しました。それもごく一般の平民、しかも英国人ではなく大英帝国統治下に置かれたオーストラリア出身の人物です。

偽名を使って予約を入れ、エリザベス妃はまず自ら市井に赴いて言語療法士に会いに行きます。

  • 言語療法士はライオネル・ローグという初老の紳士
  • 言語障害を持つ患者の回復に数多く貢献してきた実績がある
  • 治療法はちょっと変わっている。というか医学的根拠のない完全なる民間療法
たける
たける

え。医学的根拠ない治療法なの!?大丈夫なの?

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巷では評判も良かったらしくてね。エリザベス妃は王室に出向いて治療して欲しいと依頼するんだ。

ところがこのライオネル・ローグなる言語療法士、相手が王族であっても自身の治療方針を曲げません。往診はせず、なんとアルバート王子が出向いてくれれば必ずや治すと豪語します。

たける
たける

…またデカく出たね。

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結局、アルバート王子はどうしても吃音症を克服したいという思いからローグの元を訪ねるんだ。

さらにローグはこんな不躾な注文も出すんです。

吃音症の治療には、信頼関係が最も大事。だから友達のように名前で呼び合いましょう

いきなり平民から馴れ馴れしく接せられたアルバート王子。さらに根掘り葉掘り生い立ちを聞き出そうとしたり、大音量の音楽をヘッドホンで聞かされる中でシェークスピアを朗読しろと、かなりの無茶ぶり炸裂な驚きの治療が始まります。

たける
たける

こんなアホくさいこと、やってられん!

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…うん、まぁそうなるよね。

王族に対する敬意も払わず、なんの役に立つんだということをやらされたアルバート王子は「私には向いていない」と怒りを露わにしながらその場を立ち去ることに。

内気で大人しく控えめな英国紳士と称されるアルバート王子ですが、実は案外短気で怒りっぽく、感情豊かなお方です。

そんなアルバート王子にローグは「記念に」と、先ほど朗読したシェークスピアを録音したレコードを手渡します。

2人の繋がりもここまでか…と思いきや、アルバート王子にはいくつかの試練が待ち構えていました。

兄・エドワード王太子には大きな問題が

父王ジョージ5世は老齢であることや病を患っていたことから、次第に国王としての公務を離れてお休みになる機会が増えていきました。

その間、次期国王として育てられた王太子・兄エドワードが代わって公務を務めますが、王太子エドワードには、大英帝国国王になるには重大すぎる大きな問題が。

  • 実はエドワード王子、離婚歴もあり二度目の結婚もして夫を持つ身であるアメリカ人女性ウォリス・シンプソンと長らく不倫関係に
  • イギリスでは国王は国教会首長も兼任。そして国教会では離婚が禁じられている
  • 次期国王になるはずのエドワード王子は、禁忌を犯してまでもウォリスとの結婚を切望
たける
たける

ちょっと色々マズいんじゃ…。

REON
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うん。そのことを兄エドワード王子にあれこれイチャモンつけたら、逆に吃音症をバカにされてアルバート王子はご立腹だ。

どんなに努力しても善くならない自分の吃音症に比べたら、兄エドワード王子の女性問題は諦めれば済むだけの話。それなのにエドワード王子の想いは変わらず、さらに周囲は次第にアルバート王子が王位を継承すべきだと期待し始めます。

なにもかもに苛立ちを感じたアルバート王子。ふと言語療法士ローグから渡された録音レコードを取り出し聴いてみると、そこにはなんとも流暢にシェークスピアを朗読する自分の声が。

たける
たける

あの胡散臭い民間療法、効果あったんだ。

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でもさすがに音楽聴きながらスピーチに立つことは出来ないからね。他の治療もしてもらおうとローグのところに通うことにしたんだ。

下手すりゃ王太子エドワードではなく、自分が次期国王にならなければなりません。

そんなことはこれっぽっちも望んでいなかったアルバート王子。自身のコンプレックスを克服するためにも再びローグのもとを訪れ、治療を続けることにいたしました。

そうこうしてるうちに、病に伏せていた父王ジョージ5世が1936年に崩御されます。兄エドワード王子が未婚のまま国王エドワード8世として即位することになりますが、相変わらずウォリスを愛してやみません。

引用wikipedia

エドワード8世は国王になってからも公然とウォリスを同伴させるようになりました。ついには王冠を捨ててウォリスと結婚すると言い出す始末。国王のままではウォリスを妻に娶れないのであれば、王位を退くと、地位よりも愛を選択したのです。

そうしてエドワード8世の治世はほんの1年ほどで終わりを告げ、アルバート王子は「ジョージ6世」として大英帝国国王の座を押し付けられる羽目になりました。

ジョージ6世として国王に

王位を継いだがために、アルバート王子には大きな試練が襲いかかります。それは「ジョージ6世戴冠記念観艦式」です。

これまでは、先代国王が崩御されて初めて次期王位継承者が戴冠式を迎えていました。しかし今回は先代エドワード8世はご存命。しかも健康。

退位の理由に至っては、国よりも国民よりも王冠よりも離婚歴のある愛する女性との婚姻のため、と王室始まって以来の前代未聞の醜聞の王位継承劇です。

世界の1/4をも占める大英帝国の威信にかけ、新たな国王ジョージ6世の戴冠式は、世界各国の要人をも招いた盛大な艦上式典となりました。

引用wikipedia

そこでアルバート王子は「ジョージ6世」としてスピーチも行わなければなりません。

言語療法士ローグに教わった吃音症改善の発生練習は毎日欠かさず行っていましたが、王室内のゴタゴタのせいでその他の治療は受けられずにおりました。

たける
たける

でもちゃんと毎日自分でも努力してたんだから、大丈夫でしょ。

REON
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案外手強いのか、やっぱり言葉があまりスムーズに出てこなくて、不安が残る戴冠式典のスピーチだったんだ。

長年悩み続けた吃音症。そう簡単には完治しないようです。確実に少しづつは改善しているものの、ジョージ6世のスピーチにはまだまだ課題が山積みでした。

時代は第二次世界大戦時

その後ジョージ6世はさらなる試練、とてつもなく大きな世界の変化を乗り越えなければならなくなります。

それは1939年から1945年にかけ、全世界的規模で勃発した大きな戦争「第二次世界大戦」です。

スピーチだけで民衆も軍隊も、さらには国ひとつまとめ上げ、国内だけにとどまらず他国民の心までも鷲掴みにしたあのヒトラー率いるドイツと敵国関係に陥りました。

参照wikipedia

世界中が戦場と化し、各国国民は単に戦争に反対という立場では許されず、お国のために身を尽くすことが求められた時代の到来です。

たける
たける

国民の抱える不安は計り知れないね。

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国の最高指揮官であるジョージ6世の重責も、計り知れないほど大きなものになっていくんだ。

第二次世界大戦勃発という大いなる世界の混沌が渦巻く中、国民が求めるのは国の最高指揮官である国王からのお言葉。

人類史上最も過酷で巨大な時代の変化に対する大きな不安を拭うためにも、最高指揮官の立派なスピーチで国民の不安を拭う必要がありました。

しかしジョージ6世のスピーチは未だたどたどしさが残ります。ときには言葉が詰まり、ときには言葉がすんなり出てこないことも。

国王の言葉に耳を傾ける聴衆に「自信のない頼りなさ」すら感じさせしまう吃音症を、是が非でも克服しなければ。

こうしてジョージ6世は、民間療法で吃音症の治療を行うライオネル・ローグのもとで本格的にスピーチの特訓をしていくことに、というのが大まかなあらすじになります。

 

史実をもとに大英帝国ジョージ6世と言語療法士ライオネル・ローグの姿を描いた【英国王のスピーチ】

国王ジョージ5世の次男として生まれたヨーク公アルバート(ジョージ6世)は、周囲を取り巻く時代の流れも相まって、自身の欠点でもある吃音症を克服する必要が。

平民出身で容赦ない言語療法士ライオネル・ローグとともに歩んだ半生を描いた予告動画はこちら↓

映画『英国王のスピーチ』予告編

 

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【英国王のスピーチ】真摯に取り組んだ登場人物たち

さて映画【英国王のスピーチ】は、伝統と格式を重んじるイギリス王室の国王陛下の伝記です。しかも取り上げられている内容は、国王陛下が患った障害のお話。

実は現エリザベス女王陛下は父王ジョージ6世の言語障害に焦点をあてたこの作品を最初は良く思っていなかったそうです。

しかし完成した作品の素晴らしい出来に安堵したというお話もあります。

娘であるエリザベス女王陛下にもご満足いただけた、真摯に丁寧に王族の方々を演じた登場人物をご紹介します。

 

ジョージ6世(コリン・ファース)

ジョージ6世は、曽祖母にあたるヴィクトリア女王陛下の在位中に王位継承第4位として生まれました。

誕生した日がヴィクトリア女王陛下の王配アルバートの命日だったこともあり、実はあまり誕生を喜んでもらえなかったという逸話も。

父ジョージ5世は少しでもヴィクトリア女王の心が穏やかに、そして曽孫を愛おしく思ってもらえるように「アルバート」と命名したそうです。

アルバート王子は国王に即位するまでは海軍・空軍の士官として従軍。第一次世界大戦では王子として公務をこなし、第二次世界大戦では国王として苦難を乗り越えました。

芯が強く、心優しい家族を愛する父親でもあり、心の葛藤や激しい気性が現れる一面をイギリス俳優コリン・ファースが見事に演じています。

 

ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)

ライオネル・ローグ自称言語療法士。もともとは舞台俳優であり、演劇に役立ちそうな言葉の抑揚やリズムを用いた演説方法・雄弁術に興味を持って学んでいました。

第一次世界大戦後には、その雄弁術を用いて兵士の心的外傷性からくる言語障害をいくつも回復に導いた実績があります。ただ、実績はありますが正式な医師ではありません。

かなり独自の発声練習や腹式呼吸法などを取り入れ、幾度となく治療にサジを投げそうになるジョージ6世の吃音症克服に尽力。時には相当無礼な態度もとる罰当たりな部分もありますが、徐々に信頼関係を結んでいきます。

 

エリザベス妃(ヘレナ・ボナム=カーター)

エリザベス妃は、ジョージ6世のお妃です。第14代ストラスモア・キングホーン伯クロード・ボーズ=ライアンという貴族の末娘にあたります。

二度もプロポーズをお断りしたにもかかわらず、熱心に想いを寄せてくれるアルバート王子(ジョージ6世)と3度目のプロポーズで婚姻を承諾。どうやら王族に嫁ぐとなにかと制約が多くなるのが嫌だったようです。

吃音に悩むジョージ6世の治療に根気よく寄り添い、胡散臭いけど実績のある言語療法士ライオネル・ローグとジョージ6世が出会えたのはエリザベス妃のおかげです。

 

エドワード8世(ガイ・ピアーズ)

エドワード8世ジョージ6世の兄であり、イギリス王室に強烈な歴史を残した王太子。在位期間はたったの1年で、国よりも国民よりも王冠よりも愛するウォリス・シンプソンを選んだ逸話は「王冠を賭けた恋」とも呼ばれ、語り継がれています。

実はお相手のウォリスには、離婚歴があって夫もいる身であっただけでなく、エドワード王子以外にも他国の重鎮と愛人関係にあったとも言われる恋多き女性。

最終的にはエドワード王子はウォリスを娶り、ウィンザー公夫妻として添い遂げました。

…とこの他にも時の首相や国教会のお偉いさん、幼き頃のエリザベス王女やマーガレット王女も登場します。みな史実に登場する実在の人物ばかりです。

 

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【英国王のスピーチ】ジョージ6世国王の貴重な肉声

ジョージ6世がなぜここまで懸命に吃音症と向き合わなければならなかったのか。自身がコンプレックスを抱いていたから克服したかった、というものあります。

それに加えて父王の崩御、兄王の退位、第二次世界大戦勃発。ジョージ6世の周囲を取り巻く環境の変化は、さらに他にもありました。

それはラジオや映像といった放送技術の進歩です。これまでは式典会場に来た者に対してスピーチをすれば済みましたが、ラジオを通して一層国民へのお声掛けを放送しなくてはならなくなりました。

実際にいくつかのジョージ6世のお姿と肉声が収められた映像が残されています。

ということで「REONさんのドキュメンタリー映像館」をお届けします。

実際に残るジョージ6世の肉声

1930年

ジョージ6世はヨーク公アルバート王子の時代に言語療法士ライオネル・ローグと出会いました。これは出会って治療を始めてから4年ほど経った頃、ヨーク公アルバート殿下としてスピーチを行った際の映像です。

若干、言葉に詰まったり無言の場合がありますが、【英国王のスピーチ】劇中で見られるほどのひどい吃音には聞こえません。

治療の成果が出始めた頃ではないでしょうか。

HRH Duke of York Opens King's Playing Field at Hampton Wick

 

1934年

父王ジョージ5世が崩御される2年ほど前、こちらもヨーク公アルバート殿下としてスピーチを行った際の公務の様子です。

1930年の映像と比べると、穏やかな抑揚で聞き取りやすい語り口になっっている気がします。

H.R.H. The Duke Of York's Appeal (1934)

 

1938年

ジョージ6世は1936年から国王として在位していたので、この映像は「国王ジョージ6世」としてのスピーチの模様になります。

拝聴していて、とても滑らかな口調に思いました。が、後半で言葉が出にくい様子も伺えたので、まだ吃音症の不安が残っていることがわかります。

The Real King's Speech: King George VI's Stutter (1938) | British Pathé

 

1939年

こちらは第二次世界大戦の宣戦布告時に放送されたジョージ6世国王の肉声ラジオ。【英国王のスピーチ】でも特に重要視され、重大な責務を担うことになったスピーチです。

淀みなくゆっくりと丁寧に語るジョージ6世の世紀のスピーチに、多くの国民が耳を傾けました。吃音症を患っていたと感じさせない素晴らしい語りだと思います。

The Real Kings Speech King George VI September 3rd 1939

 

1945年

1945年。第二次世界大戦は連合国側の勝利で幕を下ろしました。その際の終戦のスピーチの模様です。約10分弱と、長い映像になっていますが、最初から最後まで堂々と威厳ある言葉でスピーチを行っています。

言語療法士ライオネル・ローグと出会った頃は、あまりにバカバカしい治療法や特訓に辟易したこともあったようですが、胡散臭い民間療法を行うローグのおかげで吃音症も克服されたようです。

King George VI's Victory Speech: World War II (1945) | British Pathé

 

実話とは少し異なる点も

こうして実際のジョージ6世のスピーチ映像を見ると、劇中で見るほど吃音の酷さを感じませんでした。映画【英国王のスピーチ】は史実をもとにしているものの、やはりいくつか脚色された部分もあるようです。

  • コリン・ファース演じるジョージ6世の吃音は、少々誇大表現にしてある
  • 劇中ではライオネル・ローグとの出会いは1934年になっているが、史実では1926年
  • 兄エドワード公とアルバート公は少々敵対関係にあるように描かれているが、実際は仲の良い兄弟だった
  • エドワード8世の退位に関して、劇中ではアルバート公を支えていた時の首相ウィンストン・チャーチル。本当はエドワード擁護派だった

よりストーリーを際立たせるために、この辺りが映画独特の描写になっています。たしかにこうした演出のおかげで印象深い映画作品に仕上がっていますが、ドキュメンタリーバージョンでジョージ6世の半生を描いた作品も。

貴重な映像や、当時の関係者のエピソードがふんだんに盛り込まれ、映画【英国王のスピーチ】では描ききれなかったジョージ6世のお人柄がよく分かる映像作品になっています。

今作を観たことがきっかけになり、とても興味が湧いたので、真実のジョージ国王の素顔にも迫ってみたいなと思いました。

 

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まとめ

現在のイギリス国王・エリザベス女王陛下の父君であるジョージ6世。国民を愛し、家族を愛し、自身の弱さや欠点をしっかりと見据えて行動する素敵な英国紳士です。

  • 大英帝国ジョージ5世の次男・ヨーク公アルバートは、言葉が上手く紡げない吃音に悩まされていた
  • 兄である王太子エドワードが退位したため、ジョージ6世として大英帝国の国王に
  • 民間療法を行う言語療法士ライオネル・ローグと出会い、吃音症を克服

物語の舞台は英国王室である上に、主人公は現エリザベス王女陛下の父君。となると、さぞやお堅い雰囲氣の映画なんだろうな、と思っていました。

しかしそんな堅っ苦しさはなく会話は軽快、とても英国紳士が発するセリフじゃないよねという面白さも。

なにより大きな時代の変化の中で、自身も大きく変化しようと前向きにたゆまぬ努力をするジョージ6世の姿が印象的でした。

そして印象的だったのは言語療法士のライオネル・ローグも同様です。周囲に信頼できる、安心して身を任せられる親友がいれば、欠点やコンプレックスも乗り越えることが出来ると教えてくれたような気がします。

映画【英国王のスピーチ】は、心が前向きになれる清々しい作品でした。

 

 

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