どっからどう見てもあの作品をパクったとしか思えないタイトルの映画【メン・イン・キャット】は、2016年に制作されたフランス・中国合作映画。
あぁ…と納得して観ないなんて、ちょっと待った!
MIBならぬMICの擬似タイトルはあくまで邦題、《メン・イン・ブラック》のソネンフェルド監督が手掛けたからこそつけられたタイトルです。
ストーリーはなんだかあっちの映画のパクりっぽい…とも言われるけれど、可愛いいニャンコにきっと癒されるコメディ映画【メン・イン・キャット】の世界へとご案内いたします。
この記事でわかること
- あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・動画配信サービス・DVD情報
【メン・イン・キャット】MIBの監督が描くネコ嫌い人物像
ねぇ【メン・イン・キャット】って、あの映画のネコ版?
いや、宇宙人とかは出て来ん。
ひと目であの映画=《メン・イン・ブラック》と分かってしまうタイトルの今作。
パロディ的にネコが宇宙人をやっつけるお話?というとそうではなく、文字通り「ネコの中の人」のお話です。
- とある事故がキッカケで、ネコとオッサンが入れ替わっちゃうストーリー
- 入れ替わり系といったら最近有名なのが「君の名は」
- 設定パクってる!とも噂されるが、そもそも公開年は同じ2016年
たしかに「君のニャは」というパロディ予告動画もあったりするので、ストーリー設定はありきたり。斬新さはありません。
が、ネコ好きにはたまらないモフモフニャンコの可愛さと、それとは正反対の猫嫌いな傲慢社長とのギャップに笑って感動も出来るドタバタコメディ映画が【メン・イン・キャット】 です。
本家本元、黒ずくめの男たちの活躍を描いた映画【メン・イン・ブラック】の大まかなあらすじについてはこちらをどうぞ↓
【メン・イン・ブラック】大人気のSFシリーズ映画1作目のあらすじは?
映画【メン・イン・キャット】基本情報
メン・イン・キャット | 2016年 フランス・中国合作映画 |
ジャンル | コメディ |
監督 | バリー・ソネンフェルド |
上映時間 | 87分 |
出演 | ケヴィン・スペイシー、ジェニファー・ガーナー、クリストファー・ウォーケン他 |
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【メン・イン・キャット】あらすじ
物語の舞台はニューヨーク・マンハッタン。
この街で、というか北半球で一番高い高層ビル建設に情熱を捧げる傲慢社長トムが今作の主人公です。
- トムは航空会社・小売チェーン・電話会社など手広く事業展開している大企業ファイヤーブランド社のCEO
- 自分の思い描いた構想通りの結果を出せない社員は即刻クビ
- 自分の名声を高めることしか頭にない
…ぅわ。なにこの傲慢社長。
…しかも家族のことはほぼ放ったらかし、仕事一筋28年だ。
あまりにオレ様・あまりに仕事漬けなので、最初の結婚はあえなく玉砕。傲慢さについていけなくなった元妻は、さっさと離婚して第二の人生を謳歌しています。
が、元妻との間に生まれた長男デヴィッドは、こんなオレ様社長トムを尊敬し、父の役に立ちたくてファイヤーブランド社に勤務。
重役たちはというと、多大な利益を生み出す手腕と審美眼を持つトムへの信頼は厚く、彼の傲慢さには慣れっこです。
- とはいえ、北半球一の高層ビル建設事業は企業資産を突っ込みすぎなので若干不満
- 重役のひとり、アダムは資産回収のためにも株式公開を、と提案
- 株式公開は他人に所有権を分け与えることになり「オレ様のビル」ではなくなるから却下
- そもそも新高層ビルはテナントも6割契約済、北半球一という価値も付くから資産回収は問題ない
- 資産回収・収益化よりも、新高層ビルの落成式を派手に行い名を轟かせることのほうが重要
…と、とにかく自分の構想を一切曲げないトム。
しかし株式公開を提案したアダムは、この高層ビルプロジェクトの責任者でもあります。自分のプロジェクトでより多くの収益を上げ、ゆくゆくはその実績でファイヤーブランド社を乗っ取ろうという悪巧みを謀っておりました。
オレ様社長とネコ
アダムは謀反を企んでいますが、周りの社員たちは傲慢社長トムに案外従順です。
こんなオレ様でよくまぁ社員もついてきて、しかも家族仲も上手くいってるなんて謎すぎる…と思ったら、そこにはトムのこんな一面が。
- 再婚妻のララからの着信は完全オールスルーするが、帰宅したら一応フォロー
- 11歳になる娘レベッカの誕生日パーティーは毎年不参加だが、毎年ちゃんとプレゼントは用意する
- 議題が娘へのプレゼント案という重役会議を開くことも
うぷぷっ。みんなまじめにプレゼント案を議論しあってるし(笑)。
これも結局はトムの自分本位な身勝手さのなせる技だが、こんな会議はちょっと和むよな。
重役会議ではみな真剣に、トムの娘レベッカへのプレゼント案を出し合います。
- 女の子だから宝石は?最新のiPhone試作機は?好きなバンドのライブとか?と、いろんな意見が出るものの、どの案もパッとしない
- アダムからは「欲しいものを聞くのが基本かと」と痛いところを突かれる
- 娘レベッカが欲しがっているのは猫
- トムは猫嫌いなので飼いたくない
…じゃぁいっそのことネコのぬいぐるみ!
…っていう案も出たが、それはトムとしては違うらしい。
むぅ…。傲慢な上にわがままだなー。
そこである重役は、ネットで調べ始めて日本の宮城県仙台港沖の田代島(=別名ネコ島)への旅行、という面白い案を絞り出します。
これにはトムも「それ、面白いな」と興味を示しますが、そこでまた痛い指摘を受けることに。
- 会議には、レベッカの腹違いの兄でもあるデヴィッドも出席している
- レベッカが毎年決まって猫を欲しがっていることを知っている
- 議題にするほど考えるのなら、その想いは欲しいものを送って形で示すべき
これはさすがのトムも、ぐうの音も出ない意見出されちゃったねー。
あぁ。もう仕方ないから、今年は諦めてペットショップへ向かったよ。
こうしてトムは致し方なく、普段ほとんど構ってあげずにほったらかしてる娘レベッカのために「ネコは嫌い・ネコは飼わない」という自分の信念を押し曲げてネコを飼うことに。
しかしせっかく折れる形で決意したものの、すんなりネコを連れ帰ることは出来ませんでした。
上から目線が下から目線に
ネコを飼うと決めたらとっととやる。
さすが一代でファイヤーブランド社を大企業にしただけあるトムは、さっそく携帯ナビで最寄りのペットショップを検索。
ルート案内通りに車をかっ飛ばし、レベッカの誕生日パーティーに間に合うようにお出かけしていきました。
が、ここでちょっとした誤作動が。
- 運転中にアダムから着信
- アダムは却下したにも関わらず、未だ株式公開案を持ち出してくる
- ウザいので電話には出ず、携帯を助手席に放り投げた
- そのせいでスマホが誤作動、検索ルートが変わってしまった
- 怪しげな裏路地のペットショップにたどり着くことに
イラつく存在・アダムからの着信をスルーしたトムが着いたその先は、猫しか扱っていないパーキンス・ペットショップ。
店内は見渡す限りどこもかしこも怪しげで、胡散臭さMAXです。
トムはここでも傲慢で横柄な態度なんだねー。
店主に向かって「ネコが欲しい、選ばせろ」だもんな。
しかしこのパーキンス・ペットショップはネコが飼い主を選ぶというシステム。
なんだそりゃ、なシステムですが、なんせトムは猫嫌いです。猫なら何でもいいのでそこは全く気にならない模様。
- モッフモフの青い瞳の成猫がトムにまとわりついてきた
- すでに名前がついていて、その名もMr.モコモコパンツ
- じゃぁこの子をさっさと包んでくれ…と完全に上から目線でこの子に決定
これで早くもプレゼントの準備は万端です。ゲージに猫砂に猫缶にお食事皿。
しかしトムはこの店で、とんでもない事実を知ることになってしまいます。
打たれて落ちて、ニャンて日だ…
なに、とんでもないことって?
あぁ。トムを飼い主と認めたMr.モコモコパンツがな…。
何をしたかと言うと、店内のTVをポチっとな。
最初はネコ合唱映像が流れるんですが、猫嫌いなトムが勝手にチャンネル変えたらこんなニュースを見る羽目に。
- ファイヤーブランド社の新高層ビルは北半球2位の高さという報道が
- もともとシカゴのパラゴンタワーに対抗して18m高くなるよう設計
- 実はパラゴンタワーはまだ未完成で、アダムが高さ計測を見誤った
- トムの息子デヴィッドは計測ミスに気付き、アダムに進言
- デヴィッドはアダムより社内地位が低いので、社長には言うなと圧力をかけられていた
- さっきの電話は新高層ビルの高さ改善案に関する連絡だった
トムにとって新高層ビルは、北半球一の高さを誇ることに意味があります。
アダムが株式公開なんぞにうつつを抜かしているからこんなことに…と現在絶賛お怒り中。
そんなこんなでお持ち帰り準備が整って、店主は「このあと電話に出ちゃいけませんよ」という謎のアドバイスをしながらMr.モコモコパンツを送り出します。
なんかMr.モコモコパンツのゲージひったくるように出てっちゃったんだけど。
それはあれだ。お怒りの源、アダムから呼び出されたから。
急に雨が降りだす中、トムは新高層ビルの屋上でアダムと落ち合うことになりました。
しかしアダムは、コイツほんとは無能なんじゃないの?という高さ改善案を言い出すんです。
- パラゴンタワーとの高低差は14m。屋上アンテナを増築すれば北半球で1位
- 受信感度を最高にしてどうするんじゃ!とトムのお怒りが上昇
- 苛立つ中、妻ララから着信が
- …とそこへアンテナに落雷。さらにトムの通話中スマホに放電
- アダムは壁際に、トムは手すりの外へ吹っ飛ばされた
と、トムが高層ビルから落ちたーーーー!!
…とっさに掴んだMr.モコモコパンツのゲージと一緒にな。
さて、ここは何階建てだかわからないほどの超高層ビルの屋上です。
…が、外壁にはいくつもの設計デザイン的な引っかかりポイントがあり、Mr.モコモコパンツのゲージのおかげで途中階の窓ガラスを割って命拾いするという奇跡が起こります。
しかし命拾いして目を覚ましたのは、トムではなく肉球を見つめるMr.モコモコパンツだけでした。
傲慢社長のニャンともいえない新生活
ニャンでオレ様と同じ服装の人間が担架で運ばれてる…
そう思ってじっと手を見るトムの目に映ったのは、猫好きなら絶対に悶絶するモフモフ&肉球コラボ。
そう、ここでトムは自分がMr.モコモコパンツと入れ替わってしまったことに気付きます。
私たち(オレたち)、入れ替わってるーーーー!?
…うん、まぁ、それだ。
- 妻ララと娘レベッカが病院に急行するも、トム本体は脳浮腫で意識不明の重体
- 一応手術は成功したが、トムが目を覚ますかは不明
- 一方のMr.モコモコパンツはというと全くの無傷
こうして落雷と落下のショックでネコの中の人になってしまったトム。中身がトムという異変に気付く者は1人を除いて誰もおりません。
え、Mr.モコモコパンツの中身がトムだって、誰が気付いてるの?
…あの胡散臭いペットショップのオーナーだ。
だから電話に出ちゃダメですよって言ったのに。
そう言って突然病院に訪れた店主に向かい、下から目線(ネコ目線)で上から目線の文句を言いはじめるトム。
トム『どうやったら元に戻れる!教えろ!』
店主『どうやったら戻れる、じゃなくてなぜネコの中の人になったかを聞くべきですよ』
トム『じゃぁ、なんでオレ様入れ替わった!』
店主『なぜそうなったか考えなさい。答えが見つからなければ一生そのままですよ』
ネコになっても相変わらず傲慢で身勝手なトム。
ネコの身体になっちゃった意味を考えないと元には戻れない身体になってしまうんです。
そしてそんなこととはつゆ知らずの妻ララと娘レベッカは、パパがプレゼントしようと飼ってくれたMr.モコモコパンツを家に連れて帰ることにいたしました。
中身はトムのまま飼い猫状態?
…ネコになろうがトムはトムだがな。
- 猫に見えるがオレ様はトムだー!(…とメモ帳にグリグリのイタズラ書き)
- やっれらんねぇ。酒だ酒ー!(…と年代ものの酒を灰皿に注いでピチャピチャ舐める)
- 猫缶なんか喰えるかー!(…と戸棚のシリアルを箱喰い)
- 猫砂?知るかー!(…と気に入らないラグマットで用を足す)
こんな感じでネコになったらなったでやりたい放題、家中引っ掻き回して大暴れ。
せっかくの綺麗な青い瞳のモッフモフな可愛いニャンコなのに、ただのオッサンっぽい行動をしたり粗相したりと、本当に身勝手です。
しかしそんなトムも飼い猫として家族と接していくうちに、家族の想い、これまでの自分の行い、身勝手だったことを思い知っていきます。
やがて少しずつ改心し、何が1番大切なのかに気付いていき…というのが序盤のあらすじになります。
【メン・イン・キャット】主ニャ登場人物
タイトルのパクり加減とニャンコ主役!というところが大きなポイントの映画【メン・イン・キャット】は、フランス・中国合作映画なのに監督も俳優陣もハリウッドメンバーです。
さらにソネンフェルド監督は猫アレルギーだからこの猫種になった…という登場人物たちをご紹介いたしましょう。
トムはファイヤー・ブランド社のCEO。
パワハラ・モラハラ当たり前、上司にしたくないキャラNO.1。
加えて家族そっちのけなのでパパにしたくないキャラNO.1でもあります。
Mr.モコモコパンツという猫の姿になってしまったことで、傲慢で自分本位の思考から徐々に家族や周囲を受け止めるようになっていきます。
Mr.モコモコパンツは、オレ様社長トムの精神が入っちゃう成猫。
サイベリアン・フォーレスト・キャットというシベリア産のニャンコ様です。
毛足が長いのが特徴で、賢くって人懐っこく、甘えん坊だけれどストレスに強いたくましい性格の猫種。
似た猫種には、アメリカ・メイン州産のメインクーン・北ヨーロッパ産のノルウェージャンフォレストキャットがいます。
今作では監督が猫アレルギーなので、症状が出にくいサイベリアンが出演することになったそうな。
劇中ではMr.モコモコパンツを演じるサイベリアンは全部で5匹、しっかりエンドクレジットで名前も流れるという立派なキャストの一員です。
- ジーン(JEAN)
- フィルモン(PHILMON)
- コネリー(CONNERY)
- ロキシー(ROXIE)
- ユーリ(YURI)
この子たちの可愛さとCG描写がストーリーを盛り上げる要になっています。
微妙に顔周りのモフモフ加減や毛色が違うので、ぜひガン見して比べてください(笑)
ララはトムの若き後妻。
わりとなんでもブラックユーモアに変換するおおらかさと、強かさもある女性です。
トムへの愛情・家族の絆を守りたいと願うようになる良き妻・良き母でもあります。
レベッカは、トムとララの11歳になる一人娘。
とにかく笑顔がキュートすぎて、猫に負けず劣らず可愛さを振りまき続けてくれています。
レベッカのパパ想いの気持ちが、トムの傲慢すぎる考えを悔い改めるきっかけになっていきます。
フェリックスはマンハッタンの裏路地にある「パーキンス・ペットショップ」のオーナー。
猫しかいない、ものっすごく怪しげな店内以上に怪しげな人物ですが、怪しいだけで悪人ではありません。
飄々としたオーラが漂う演技派俳優クリストファー・ウォーケン氏の怪演が、今作の入れ替わり設定を無理のないものに仕立て上げる要素になっています。
イアンはトムの会社の重役のひとり。トムが猫と入れ替わっちゃうきっかけを作った人物です。
野心が強く手腕も備わっているので、いずれ会社経営を乗っ取ろうとあれこれ悪巧みしている今作の悪役でもあります。
デヴィットは、トムと前妻との間に授かった長男。現在はトムの会社でそこそこのポジションに就いている28歳の青年です。
トムほど有能でないことを自覚しており、いつか認めてもらいたいと常に努力し続けています。
尊敬する父の背中を追い、父のためにアダムの乗っ取りから会社を守ろうと奔走する頑張り屋さんでもあります。
…と、この他に傲慢社長トムの前妻やその娘、トムの会社の重役連中などが登場。
自由気ままな猫とトムの身勝手さが案外マッチしていて、なかなか憎めない人物であることも上手く描いてあるように思います。
まとめ
あの全世界大ヒット映画MIBと紛らわしいタイトルの映画【メン・イン・キャット】の原題は《Nine Lives》
これは「A cat has nine lives.」猫には9つの命がある=なかなか死なない・強運の持ち主、という意味のアメリカのことわざがモチーフです。
- 舞台はアメリカ・ニューヨークのマンハッタン地区
- 北半球でNO.1の高さの高層ビル建設に情熱を注ぐワンマン傲慢オレ様社長が主人公
- 家族ほったらかしのオレ様社長がひょんなことから猫と入れ替わり
- 飼い猫目線で改心していく笑いとちょっと感動のヒューマンコメディ
猫が主役の映画作品って少ないんですが、それはおそらくツンとおすまし、自由奔放なところがあるからかと。
だから演技っぽく見せるためにも、どうしても表情や動きに手を加えてCG合成が不可欠です。
とはいえ、けっこうやりすぎなCG合成ニャンコシーンも多く、鑑賞した方々からは「そんな動きはしないでしょ」と痛烈なダメ出しが出ることも。
ストーリー的にも、「なぜ猫?っていうか入れ替わったんならトムの中身は猫?」とか、「怪しいペットショップオーナーはなんであんな予言めいたこととか分かるの?」とか、気になり出したら止まらない作り込みの雑さもあったりします。
…が、そこはあくまでコメディ作品。ファンタジーと現実っぽさが融合しているのが今作の良いところです。
映画【メン・イン・キャット】は、大げさな人間っぽい動きの猫CGもストーリーのツメの甘さも引っくるめて、猫のかわいさや家族愛に笑って感動出来る癒しムービー でした。
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