世界各地には、いにしえの神々がこの世界や生命を創造したという沢山の神話があります。
中でも不毛の大地・砂漠が広がるエジプトに伝わる創造神話には、太陽神ラーや冥界の神アヌビスなど、一度は耳にしたことがある神々が勢揃い。
そんな古代エジプト神話で最も有名な物語をモチーフにしたアドベンチャー映画【キング・オブ・エジプト】の世界へとご案内いたします。
この記事でわかること
- あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・動画配信サービス・DVD情報
【キング・オブ・エジプト】古代エジプトのゴールドクロス
オレの小宇宙(コスモ)よーーーーー!!!。
…それとは全く無関係だから。
神話って、よく神々のヒーロー戦隊モノみたいな感じにアレンジして、漫画や映画なんかのベースに使われることが多いですよね。
特にギリシャ神話をモチーフにした漫画『聖闘士星矢』は、ブロンズだったりゴールドだったりの独特のコスチュームを身にまとっているのが特徴的。
…ですが、今作はギリシャ神話ではなく古代エジプト神話のお話です。
でも神さまたち、ゴールドクロスに変身するよね?
…まぁそこは確かに『聖闘士星矢』ぽいっちゃ、ぽいな。
ギリシャ神話のゼウスやアテネといったオリンポスの神々と違って、古代エジプト神話では動物になぞらえた容姿を持った神々が登場します。
時には人間の姿で、時には動物の姿で偉大な力を発揮する神々が、まさかのゴールドクロス、超合金のお姿に変身してバトルを展開。
最も有名な古代エジプト神話・セト神とホルス神との王座争奪戦と、それに巻き込まれたひとりの盗っ人小僧の冒険を描いた映画が【キング・オブ・エジプト】 です。
映画【キング・オブ・エジプト】基本情報
キング・オブ・エジプト | 2016年 アメリカ映画 |
ジャンル | 歴史・ファンタジー |
監督 | アレックス・プロヤス |
脚本 | マット・サザマ、パーク・シャープレス |
上映時間 | 127分 |
出演 | ニコライ・コスター=ワルドー、ブレントン・スウェイツ、コートニー・イートン他 |
動画配信サービス | Amazonプライムビデオ(prime対象) |
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【キング・オブ・エジプト】あらすじ
物語の舞台は古代エジプト。
肥沃なナイル川を中心に、神々と人々が共に暮らす都市の様子から始まります。
- 劇中では古代エジプト神話に倣って様々な力を持った複数の神々が存在
- 人々は神々を崇め、その恩恵に感謝しながら豊かな生活を送っていた
- 中には働かず、神々を崇めないコソ泥も
なんか罰当たりな小僧がドレス盗んでるんだけど。女装好き?
…女装好き(笑) 彼女へのプレゼントだよ。
綺麗な装飾のセクシードレスを店先から頂戴し、人混みに紛れてホイホイお家に持ち帰った小僧の名はベック。
家はあるけど仕事はしない、神頼みより実力行使で盗っ人稼業に精を出している不届き者が今作の主人公のひとりです。
- 盗品と知っていながらベックがくれたドレスに喜んで袖を通す彼女の名はザヤ
- ザヤは数多くいる神々の中でも特に天空の神ホルスの大ファン
- 明日、そのホルス神が新たな全エジプト王になる戴冠式典が
- ベックがお持ち帰りしたドレスは、式典を楽しみにしているザヤのため
戴冠式?神々って世代交代するんだ。
人間よりは遥かに長生きだが、歳は取るし死者の国に行った後が不老不死という考え方だからな。
古代エジプト史の中に「死者の書」というのがあります。
冥界の神アヌビスに誘われて死者の国にたどり着いた生命は、神の定めた試練いかんで死んだ後の安寧が決められるという死生観。
例えば善き行いをすれば極楽浄土、悪しき行いをすれば煉獄へ、という考え方です。
- 死生観は神にも人間にも共通
- 神と人の世・死者の国の安泰を維持するために、都市の王として選ばれた神がトップに君臨し統治
- 現在は生命の神であるオシリスが都市統治王
都市の王って、そもそも誰が選んだのさ。
あぁ、それはこの世界と複数の神々を創り出した太陽神ラーだ。
古代エジプト神話で最も名の知れた神・太陽神ラーは沢山の神々を創造し、役割分担させている長老みたいな存在です。
- 全ての神々の親とも言うべき太陽神ラーには子供が4人、うち2人が跡取り息子
- 1人は現王の生命の神オシリス、もう1人は不毛の大地を任された砂漠の神セト
- 今回、新たな都市王となるホルス神はオシリスの息子でラーの孫
なんで弟のセト神じゃなくて息子のホルス神が世襲するの?
単純に、ホルス神が人間からも他の神からも慕われてるからだろうな。
現都市王オシリスは、息子ホルス神の人気がうなぎ登りになってきたこと、お歳を召したこともあって王座を明け渡すことに。
しかしこれに気を良くしなかったのは、次期都市王になるのは自分だと思っていたオシリス神の弟・セト神でした。
黄金の鎧と力の源
神々と人々が共存する世界だけあって、新たな都市王誕生の戴冠式には神も人も多数参加。式典は厳かに盛大に行われます。
- ザヤもベックも戴冠式典に参列
- 他の神々からも人々からも、お祝いの贈り物が多数届けられた
- …と、そこへ少し遅れて砂漠の神セトもお祝いに駆けつけた
- 甥っ子の晴れ舞台だからと、高らかに鳴り響くホラ貝をプレゼント
…あれ?セト神も和やかムードで兄オシリス神や甥っ子ホルス神を祝福してるじゃん。
…とんだ喰わせ者だがな。
神々の長老でもある太陽神ラーは、孫の晴れ姿といえどちょっと手が離せないので戴冠式には欠席中。
そんなラーにも勇姿が届くようにホラ貝を拭いてみろよ、とにこやかに祝ってくれるセト神に促されて、ホルス神はありがたく「ブゥォーー」とひと吹きしてみせます。
- 贈り物がホラ貝だけに、セト神はホラを吹いていた
- 「ブゥォーー」は、セト神率いる砂漠の兵士軍団進撃の合図だった
- 兵士軍団で式典会場を制圧し、さたらにセト神は兄オシリス神を刺殺
- 王冠を奪い、セト神は勝手に新たな都市王に就任
- 父を目の前で討たれたホルス神が激昂し、セト神と一騎打ち
- ここで両者ゴールドクロスな出で立ちに変身して式典会場はメチャクチャに
きたーーーー!ゴールドセイント!
…ちょっと黄金騎士「牙狼」っぽくもあるな。
いろいろとパクってる要素が見受けられるものの、一応ちゃんと古代エジプト神話は尊重してあります。
- 神に流れる血は黄金
- セト神はツチブタの頭に人間の身体の神であり、破壊王の異名を持つほど戦闘能力も高い
- ホルス神は隼の頭に人間の身体の神であり、先を見通す「神の眼」が武器であり弱点
ホルス神も勇敢で頼もしいたくましさがありますが、セト神の強さには敵いません。
それぞれ動物を模した超合金形態で激しく一騎打ちするものの、力でねじ伏せられてしまったホルス神。
力の源・神としての能力を持つ両目を奪われ、あえなく惨敗してしまいます。
あぅ…ホルス神ピンチ!
…それを救ったのが、愛と美の女神ハトホルだ。
- 愛と美の女神ハトホルは、ホルス神と恋人関係にある女神
- 古代エジプト神話においても「ハト=家」「ホル=ホルス」つまりホルス神の拠り所と解釈されている
- セト神には守護の女神ネフティスという妻がいる
- …が、セト神は女神ハトホルにも気がある
- 「あなたの妻になるのでホルスは助けて」という女神ハトホルの願いを受け、ホルス神を見逃すことに
ちなみにオシリス神とセト神は兄弟、さらにセト神&ネフティス女神の夫婦は兄妹同士。
ついでにハトホル女神もセト神の妹という太陽神ラーのお子様方。
王座争いのみならず男女関係ももつれていき、共存していた人間も巻き込まれ、セト神の暴挙の犠牲になっていくのでございます。
神の傲慢・神の復讐・愛の行方
セト神が勝手に王座に就いたあの日からおよそ1年。
刃向かう神々はことごとく惨殺され、ベックやザヤのような人間どもはもれなく奴隷として扱われる世界に変貌しておりました。
- セト神は、全エジプトのみならず死者の国のしきたりまで改悪
- 死者の国での安息は、行いの善し悪しではなく金の有無で天国か地獄に振り分けられることに
- 人々は奴隷化されているので、お金なんぞ貯まるはずがない
- こんな世界ではザヤもベックもやってらんねーと、2人して時々密談
密談って…なんか秘策でもあるの?
こういう時こそ神頼み、だろ。
ザヤの推し神ホルスは、一時は新たな都市王になる予定だったほどの逸材です。
セト神のように厳しい砂漠を生き抜く鍛錬をしていなかったから惨敗したものの、秘めた神の能力は無限大。
- そもそもセト神に挑むような猛者どもはほぼ討たれてしまっている
- ホルス神の「神の眼」を取り戻せたら、きっとセト神をやっつけてくれる
- ザヤはセト神に仕える神官秘書の奴隷であり、「神の眼」が保管された宝物庫に詳しい
- ベックの特技は盗っ人だから「神の眼」を盗むのに最適
おぉ♪なんて出来過ぎなシチュエーション(笑)
…ただ、そう簡単には上手くいかないようにもなってるがな。
- 宝物庫には幾重もの罠が仕掛けられている
- とはいえザヤの情報のおかげでベックはわりとあっさりクリア
- しかし宝物庫には「ホルスの片目」しか保管されてなかった
- とりあえず強奪に成功するも、バレてザヤが命を落としてしまう
愛するザヤを死者の国送りにしたくないベックは、初めて自分の意思で神頼みすることに。
息絶えたザヤと「ホルスの片目」を持参して、ホルス神が引きこもってる神殿へと向かったんです。
弱き人間と力失いし神の共闘
ベックは元々神を信仰していません。どの神にどんな能力があって、何を叶えてくれるかも知らないほど。
ただ…愛するザヤがずっと信仰し、崇めていたホルス神ならなんとかしてくれる。
そんな思いで逢いにいくものの、両目を奪われたホルス神は単なるやさぐれた引きこもりでした。
- 自分の目が近くにあると感づいたホルス神は、目隠し状態でベックと対峙
- 神VS盗っ人小僧なのに、神の眼(ホルスの目)を失っているためベックにすら苦戦
- ベックは「神の眼」と引き換えにザヤの命を救ってくれと交渉
- 「神の眼」を渡してくれたらなんとかする、と交渉成立
さすが神様!「神の眼」があれば不可能なことはない!
…いや、不可能だから。
そう。天空の神であるホルス神には、「神の眼」が戻ったところでザヤを蘇らせることなど出来ません。
…え?でもホルス神の父上は「生命の神オシリス」じゃん。血を引いてないの?
そもそもオシリス神は動植物の繁殖に長けた神だ。人間の創造には関与してないんだよ。
ホルス神は戴冠式典のあの日から、ずっとセト神への復讐心を募らせておりました。
うまい具合に信仰心が薄いベックのおかげでまんまと片目を取り戻せた今、ちょっと悪巧みを考えます。
- 蘇りは不成功。片目では能力に限界があると言い訳した
- すでに冥界の神アヌビスのお迎えが来ているし、死者の国に送ることが彼女のため
- …ただ「両方の神の眼」があれば…とベックをそそのかす
ホルス神は己の力、もう片方の「神の眼」をセト神から奪い返すために、片方の強奪に成功しているベックを利用しようと謀ったんです。
一方のベックはザヤが信仰していたホルス神を信じ、ザヤ蘇生のためにはもう片方の「神の眼」を盗まなくちゃ…という使命感を抱きます。
こうしてホルス神とベックはタッグを組み、お互いの望みを叶えるべく冒険の旅へ。
- まずは神の長老・お爺様でもある太陽神ラーにちょっとお願い事をしに訪問
- 実は太陽神ラーは宇宙に浮かぶ船でせっせと悪魔神アポピス退治に専念してた
- セト神の能力を弱めるために必要なアイテム「神の水」をお爺様の元からゲット
- 「神の水」を武器に、ヤツの本拠地ピラミッドに乗り込む計画
- ただし道中には刺客やスフィンクスの謎解きの罠が
- ホルス神とベックだけではちょっと無理なので、愛と美の女神ハトホルや知恵の神トトが協力
ところでセト神は刺客送る以外に何やってるの?
あぁ、ホルス神が片目を取り返して反撃してくると見越して、超合金強化中だ。
- 全ての国を治めることが出来る生命の神オシリス神の心の臓を
- 危害を加えんとする者から守る守護の神ネフティスの七色の翼を
- いにしえの知識を得るために知恵の神トトの脳を
- 敵の策を見抜く天空の神ホルスの残された片方の神の眼を
セト神はこうした神の力が宿る部分を搾取して、突貫工事的に己の変身姿に溶接。
完全なる神になるべく、文字通り溶鉱炉でゴールドな変身姿を真っ赤に燃やし、トンカンくっ付けてるという展開です。
そんなセト神に対抗すべく、復讐に燃えるホルス神と愛に燃えるベックは、次第に妙な信頼関係を築きながら冒険を続け、共闘していくことに。
そう簡単には倒せないセト神とホルス神との王座争奪お家騒動や、ベックが守りたいザヤの運命は…というのが大まかなあらすじになります。
【キング・オブ・エジプト】主な登場人物
神話はいわば、神々の武勇伝。
どこがどういう繋がりになっているかが若干ややこしい神々、その周りでちょこまかする人間ら登場人物たちをご紹介いたしましょう。
ホルスは天空を司る神。太陽神ラーの息子・生命の神オシリスの息子であり、今作の主人公のひとりです。
嘘をついてベックを巻き込み、セト神への復讐にのみ固執した自己中な一面があります。
が、ベックとの冒険を通じて神であること、神が存在する意義、自分に課せられた使命が何なのかを悟るように。
人々と神々が共存する世界のあり方を見つめ直し、正していく良き神となっていきます。
ベックは今作のもう1人の主人公でもある盗っ人小僧。わりとなんでも当たって砕けろの運任せで生きてきた若者です。
誰よりも神よりも彼女であるザヤのために盗みを繰り返し、神からも盗みを働くというツワモノ。
セト神に奪われた「ホルスの目」を盗み出したことがきっかけで、壮大な叔父と甥っ子の超合金神バトルに巻き込まれていきます。
演じたブレントン・スウェイツは、ディズニー実写映画《マレフィセント》でオーロラ姫を救うかも⁇という白馬の王子様を演じていた若手俳優です。
《マレフィセント》ではアンジェリーナ・ジョリーにばかり目を奪われて、ちっとも同一俳優とは気づきませんでした(笑)
セトは砂漠を司る神。太陽ラーの息子で、生命の神オシリスの弟です。
実際の古代エジプト神話でも、悪役の位置付けをされることが多い神ですが、太陽神ラーを唯一守れる守護神的な存在として描かれることも。
今作では自ら炉に入って他の神から奪った能力を溶接して超合金化を強化するという、ツッコミどころのある暴君でもあります。
ハトホルは愛と美を司る女神。かつては「西方の女神」とも呼ばれ、死者に対しても愛を持って冥界へ導くという役割も持っていました。
古代エジプト神話の特徴として、女神はたいがい気の強い性格です。
ハトホルもご多聞に漏れず勝ち気ですが、情愛と思い遣り、自己犠牲を厭わない麗しの女神像になっています。
ザヤは盗っ人小僧ベックの恋人。駆け落ちして一緒になったベックを愛し、神への信仰心も厚いヒロインです。
暴政を強いるセト神に対抗できるのはホルス神しかいない…と、ベックをそそのかして「ホルスの目」を盗み出す計画を考案したのはザヤ。
厚い信仰心と深い愛情が神々のお家騒動を収束させるカギとなっていきます。
…と、この他に神々の頂点に君臨する太陽神ラー、全エジプト都市王だった生命の神オシリス、ホルト神とベックの冒険に協力してくれる知恵の神トト、死者の国を守る冥界の神アヌビスなど多くの神々が登場。
人間は主にエキストラなので、目立った登場人物は多くありません。
動物の姿を模して語り継がれる古代エジプト神話の神々を、まさかの超合金仕立てで変身させる斬新な作品になっております。
【キング・オブ・エジプト】まとめ
古代エジプト神話の中で、最も有名な神々の争い。
セト神VSホルス神の神話を、ファンタジックに描いた映画が【キング・オブ・エジプト】です。
- 舞台は神々と人間が共存する遥か遠い昔々
- オシリスの弟・セトと、オシリスの息子・ホルスの王位争奪戦の神話がモチーフ
- セトは全エジプト王オシリスを亡き者にし、甥っ子であるホルスの「神の目」を奪って君臨
- セトの暴君に反発し、愛する恋人を守りたい青年とホルスが結託
- 神々も人々も救うために不可欠な「神の眼」を奪還する冒険ファンタジー
最初は古代エジプト神話の神々をわりと忠実に描き、その世界に生きる人間との交流をアドベンチャーとして描いているのかと思っていました。
…が、始まって数分でまさかの神の変形。
しかも全身ゴールド、さらに超合金チックという意外な展開に目が点に(笑)
ストーリー的には神話に基づいてしっかりセト神VSホルス神の対立があるものの、その表現の仕方がひどく斬新。
おかげで飽きずに一気に最後まで鑑賞してしまいました。
映画【キング・オブ・エジプト】は、王道ファンタジーと見せかけて、ちょっと驚きの演出も楽しめるイリュージョンな冒険劇 でした。
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