【羊たちの沈黙】ハンニバルレクターとクラリスの狂気の心理戦

サスペンス

アメリカ各地で、とある猟奇的連続事件が発生。あまりに常軌を逸した残忍な犯行の行動心理が読み取れないFBIは、かなり強烈な経歴を持つ人物に捜査協力を要請します。

目には目を、歯には歯を。猟奇的連続事件には元猟奇的連続事件犯を。

卓越した犯罪行動心理分析能力を持つ収監者ハンニバル・レクターと、事件究明を急ぐFBI捜査官クラリスの異様な心理戦を描いた【羊たちの沈黙】の世界へとご案内いたします。

 

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【羊たちの沈黙】予想だにしない連続事件の犯人を追え

REON
REON

…このいかにもツッコんでと言わんばかりの【羊たちの沈黙】は何かな。

たける
たける

タイトル通りになってるでしょ♪

たしかに邦題は【羊たちの沈黙】で、原題もそのまま【The silence of the lambs】なので合ってます。だかしかし。こんな呑気に羊さんたちが無言でワサワサ出てくる映画ではありません。

怖いのダメな人には向いていない、けっこうエグい内容のサイコサスペンス作品が1991年に公開された【羊たちの沈黙】です。後味が悪いとかじゃなく、もう観てるそばからかなりガツンと猟奇的な内容が盛りだくさん。

物語の始まりは、そら恐ろしい事件

まず物語は、おどろおどろしい連続殺人事件を解決したい、というお話から始まります。これがまた…猟奇的すぎて目も耳もふさぎたくなる犯罪なんです。

アメリカ・ミズーリ州のカンザスシティやその他の地域で、若い女性が相次いで狙われる事件が続発。被害に遭った女性たちはみな一様に魂が抜けただけでなく、もれなく「かわはぎ状態」で発見されます。

たける
たける

カワハギって酒の肴にピッタリの魚のことだね♪

REON
REON

…間違いなく「かわはぎ」の意味が違ーーう!

皮がペローんと剥がしやすいから「カワハギ」という名がついたこの魚。カワハギはまったく無関係ですが、ペローんと皮が剥がされるところは共通項。魚ではなく被害女性の皮がペローんと剥がされた状態だったんです。

たける
たける

えーー!カワハギじゃなくて「皮剥ぎ」なの!?怖すぎる…。

うん。だから言ったよね。この映画【羊たちの沈黙】はサイコサスペンスだって。羊が出てきてホンワカしたり、カワハギ炙ってちょっと一杯ひっかけられるならいいですけどね。

とにかく【羊たちの沈黙】は、かなり猟奇的な皮ペローん事件を起こしているバッファロー・ビルというあだ名の異常犯罪者を追う、というのが基本のお話になります。そんなエグさなので、この映画はお食事直前やお食事直後に観覧するのはおすすめいたしません。

 

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【羊たちの沈黙】目には目を、狂気には狂気を

さて、【羊たちの沈黙】劇中では、極悪非道なバッファロー・ビルなる猟奇犯罪者の行方を追うためにプロファイリングを行います。最近日本でも、プロファイリングという言葉が浸透してきましたね。

プロファイリングとはなんぞや?

犯罪を犯す者の行動や心理を分析して、行動科学や犯罪心学を用いて犯人を推測する手法。

  • 女性なのか男性なのか
  • 年齢はいくつくらいなのか
  • 職業や収入はどうなのか
  • 家族構成や人付き合いの度合いはどうなのか
  • 性格は温厚なのか攻撃的なのか
  • 生活様式や生活態度は真面目か不真面目かetc.

FBIにはこうしたプロファイリングを専門にする捜査官なんかもいて、あらゆる角度から傾向と対策を練っていきます。しかしバッファロー・ビルは推測が難しい厄介な異常犯罪者。捜査は難航していきます。

そこでFBIはある人物に協力を要請。これがかなりのクセモノなんです。

捜査に協力するのは?

たける
たける

確かかなりの美食家の元精神科医だよね。

REON
REON

その美食が原因で収監中だけどね。

カワハギもとい皮剥ぐの大好き!なバッファロー・ビルだけでも充分ひぇぇぇ〜…な猟奇犯罪者なんですが、捜査の協力を要請した元精神科医の博士はさらに上をいくお方です。

読書が好きで音楽を好み、物腰は穏やか。なかなか高尚なジェントルマンのように聞こえますが、食べるという発想がそもそもおかしい食材を好むせいで厳重な檻の中にお住まいの犯罪者です

たける
たける

食べるって発想がおかしい食材?REONは食べたことある?

REON
REON

…あるはずがなかろう。喰うのは鬼畜の所業だ。

自称美食家の博士の食卓には、知り合いだったり友人だったり、ちょっとお食事に誘った方々なんかが同席します。

ただし。

同席するのは食卓の上。お食事の食材として。

深層心理に入りこむ狂気

こんなお食事嗜好の博士は、常軌を逸している同類の気持ちを察するのが得意です。特技を活かして精神科医になったのかは【羊たちの沈黙】劇中では描かれていませんが、精神分析力はずば抜けています。

バッファロー・ビル事件に行き詰まったFBIは、主任捜査官が何度か接見し、収監中の博士からプロファイリングのアドバイスをもらうことに。

たける
たける

主任捜査官は渋カッコいいナイスミドルだよね。

REON
REON

元精神科医の博士はさらに歳上のオジサマだな。

オッサン主任捜査官とオッサン収監者じゃ会話も盛り上がるはずがありません。それに博士は嗜好も思考もめんどくさいオジサマです。

気まぐれなので、協力してくれそうでしてくれない博士対策に、FBIは新人捜査官を派遣。若くて聡明、やる気に満ちた美人捜査官を送り込みます。

  • 博士は若かろが美人だろうが、気まぐれな協力姿勢は変わらない
  • 新人らしく喰いついてくる捜査官に次第に興味が
  • 自分のことを一つ語るごとに一つヒントを与えよう、というゲームじみたことを始める
  • 猟奇事件解明のため、新人捜査官は過去の自分を語る羽目に

こうして幾度となく接見を繰り返すうちに、新人捜査官と博士は少しずつ仲良くなっていきます。

仲良く、というのは少し語弊がありますが、ある種異様な心理戦が繰り広げられるといったところでしょうか。

身の上話を語ることが条件なので、次第に深層心理を掘り返され、新人捜査官は博士の掌で転がされていきます。が、おかげでバッファロー・ビル事件は真相解明へと着実に進んでいく…といのがおおまかなあらすじになります。

新人捜査官と常軌を逸した犯罪者との会話が最大の見どころ【羊たちの沈黙】

解決の糸口を見失った連続猟奇事件。解決のヒントを探るため、新人見習いFBI捜査官はさらなる狂人と関わることに。

狂気に満ちた犯罪者の心理を知るごとに捜査官の深層心理も弄ばれ、徐々に蝕まれ始めていく…。

ゾワッとくる予告動画はこちら↓

The Silence of the Lambs – Trailer

 

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【羊たちの沈黙】巧妙な心理戦を展開する登場人物たち

【羊たちの沈黙】劇中では、最重要な立ち位置にいる登場人物は多くありません。バッファロー・ビルを追うために、バッファロー・ビル以上に異常な精神をお持ちの博士と新人捜査官との心理変化が最大の見どころ。

サイコでホラーな描写におののきながら、印象に残った数名の主要登場人物をご紹介します。

 

クラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)

クラリスバッファロー・ビルの事件解決のために頑張るFBIの実習生。新人さんはもれなくバージニア州クアンティコにあるFBIアカデミーで研修などの訓練をクリアして、初めていっちょ前の捜査官として認めてもらえます。

クラリスは実習生の中でも優秀だったのか、バッファロー・ビル事件の主任捜査官からのご指名で捜査に加わることに。

犯人像が掴めない凶悪犯の心理を知るために、さらなる凶悪な精神の持ち主であるレクター博士にヒントをもらうために何度も収監先を訪れます。

クラリスと聞くとどうしてもルパンのカリオストロの城を思い出してしまうんですが、レクター博士を「オジサマ」と呼ぶことはありません。若干残念です(笑)

 

ハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)

ハンニバル・レクター犯罪心理学を専門とする元精神科医。普通に振舞っていれば優しいお医者さま…に見えるような見えないような、異様なオーラが漂ってます。

食生活に大問題があるため、現在は機密性が高く頑丈で警備も厳重な異常犯罪者収容施設・ボルティモア州立精神病院にお住まいです。

最初はFBIのプロファイリングに協力するのをイヤイヤしてましたが、接見に訪れるクラリスのことがお気に入りに。事あるごとに「クラリス、クラリース」を連呼し、ちょっとクラリス捜査官を弄ぶ一面も。

クラリスに「オジサマ」とは呼ばれることはありませんが、カリオストロと共通する部分がひとつだけあります。

それは「クラリスの心」を盗んでいったこと。

レクター博士は強烈な存在感をクラリスの心に残し、その後ストーカーのようにクラリスにじんわり付きまといます。

 

ジャック・クロフォード主任捜査官(スコット・グレン)

ジャック・クロフォード主任捜査官FBIアカデミーの行動科学課の指導員でもあるベテラン捜査官。バッファロー・ビル事件の捜査主任でもあり、凶悪犯罪者の心理分析を行なっています。

レクター博士にも犯罪心理分析の協力を依頼しますが、博士の非協力的なツンデレに捜査は難航。FBIアカデミーで優秀な見習いであるクラリスを、レクター博士の元に派遣したのはクロフォード主任捜査官です。

 

バッファロー・ビル

バッファロー・ビルは次々とありえない非道な事件を繰り返す異常凶悪犯。どんな人物なのかも本名も不明なので、付いたニックネームがバッファロー・ビルです。

もともとバッファロー・ビルというネーミングはアメリカ西部開拓時代に野生動物をハントする職業に就いていたウィリアム・フレデリック・コディーのニックネーム。

野生動物ならぬ若い女性をハンティングして殺害することから、名無しの凶悪犯の呼び名に活用されました。本家バッファロー・ビルのあだ名を持つウィリアム・フレデリック・コディーは西部開拓に貢献した立派な人物なので、後世に猟奇犯罪者が同じニックネームで呼ばれてたとは、いい迷惑に違いありません。

 

…と、この他にもバッファロー・ビルによって無残な姿になる女性たちや新たな獲物になってしまいそうなお嬢さん、レクター博士がご滞在の精神病院の院長なども登場します。

クラリスとレクター博士の会話シーンが【羊たちの沈黙】のキモですが、二人のやりとり以外に目を覆いたくなる描写もいくつかあります。

口すっぱく言いますが、この作品は「エグい・グロい・オソロシい」三拍子揃った映画なので、そこは覚悟してご覧ください。

 

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【羊たちの沈黙】レクター博士の狂気の世界

さて、【羊たちの沈黙】では最もサイコな犯罪者はバッファロー・ビルでしたが、レクター博士は怖い映画好きにはたまらない異様なオーラを放つ存在感ありまくりの人物です。

実は【羊たちの沈黙】はもともとトマス・ハリスの小説が原作で、レクター博士が登場するシリーズものの第1弾なんです。

共喰いがお好きなサイコでサイケデリックなレクター博士をクローズアップした続編小説は、その後もいくつか映像化されました。

ということで「REONさんのレクター博士の魅力に迫る黙示録」をお届けします。

【羊たちの沈黙】のその後を描いた続編《ハンニバル》

【羊たちの沈黙】から10年の時を経て、再びレクター博士とクラリスが深く関わっていくことになる作品が、2001年に公開された《ハンニバル》です。

あの頃のクラリスはまだ見習いのFBI捜査官でしたが、レクター博士の協力もあって一人前の捜査官に無事に成長。

凶悪犯と戦う日々を送っていましたが、10年ぶりにレクター博士がクラリスの日常を脅かす、というレクター博士シリーズ第2弾になります。

「クラリス…クラリス…」を連呼しまくるレクター博士が主演【ハンニバル】

映画「ハンニバル」日本版劇場予告
たける
たける

10年経ってもクラリスのこと忘れてないんだ。

REON
REON

もはや立派なストーカーだな。

【羊たちの沈黙】劇中では協力者として接触していたレクター博士とクラリスですが、今度は関係性が一変。クラリスはレクター博士の美味しいお食事の食材ターゲットにロックオンされます。

レクター博士は引き続きアンソニー・ホプキンスの怪演が光りまくってゾワっときます。ただ、クラリス役はキャストが変更。ジョディ・フォスターではなくジュリアン・ムーアが演じています。

レクター博士の狂気が存分に描かれた《レッド・ドラゴン》

こちらは2002年に公開されたハンニバル・レクターシリーズ第3弾。【羊たちの沈黙】《ハンニバル》のさらにその後、という作品ではありません。

ちょっと【羊たちの沈黙】から時間軸を巻き戻し、レクター博士の狂気が明らかになって収監された頃のお話を描いたのが《レッド・ドラゴン》です。

 

レクター博士の人物像がこれでもかと描かれた《ハンニバル》

レッド・ドラゴン – 予告編 (日本語吹替版)

レクター博士は以前からFBI御用達の犯罪心理分析の権威でした。だから【羊たちの沈黙】でも犯罪心理のアドバイザーとして協力要請がされたんです。

《レッド・ドラゴン》でも別のFBI捜査官が博士と交流していきますが、関わったせいでFBI捜査官は精神がズタボロに。

さらにこの作品ではレクター博士の異質で歪んだ愛情表現や食材のハンティング法、グロッキーなお食事風景なんかもてんこ盛りに描かれていて、完全にホラー映画になってます。

たける
たける

ここまで開けっぴろげにレクター博士を描いちゃうんだ。

REON
REON

観るには相当覚悟した方がいいね。

ショッキングなシーンが多いので、【羊たちの沈黙】ファンからはちょっぴり酷評もあるようです。

レクター博士の生い立ちに焦点をあてた《ハンニバル・ライジング》

レクターシリーズ第4弾は、新たに原作者トマス・ハリスが書き下ろした新作を映像化。原作者自ら映像脚本にも携わった本気の一作です。というか毎回本気すぎ、怖すぎなんですけどね。

ハンニバル・ライジング》は、幼少期から青年期までの若かりしハンニバル・レクターが描かれてます。ということでキャストはもちろん若返ってます。

レクター役はアンソニー・ホプキンス氏ではなく、主演をつとめたのはギャスパー・ウリエル氏。

狂人レクターはなぜ生まれたのか。彼の生い立ちを紐解く《ハンニバル・ライジング》

Hannibal Rising – Official® Trailer [HD]

ハンニバル少年はリトアニアの名門貴族出身というお坊っちゃまでした。1944年戦禍に見舞われ両親を亡くし、残された妹と山小屋で過ごしている時の経験が、その後の彼の人生に大きな影響を与えます。

たける
たける

イケメンなレクターについ魅入っちゃうね。

REON
REON

狂人と優等生。レクターの両面が垣間見れる作品だな。

ハンニバル・レクターを演じるのはアンソニー・ホプキンスじゃなきゃ…という方には向いてませんが、ギャスパー・ウリエルも妖しいハンニバル感満載の怪演っぷりです。

続編はおろか【羊たちの沈黙】すら観れないあなた

一作一作続編が作られるごとにおぞましい演出が増えていってる気がするレクター博士シリーズ。全作網羅したい場合は、時系列ごとに観るのもいいかもしれません。

  • 幼少期・青年期を描いた《ハンニバル・ライジング》2007年公開
  • 精神科医から収監者へ《レッド・ドラゴン》2002年公開
  • 収監中に捜査に協力した《羊たちの沈黙》1991年公開
  • 10年ぶりに接触してきた《ハンニバル》2001年公開

いやいや、どれも気にはなるけど怖くて観れん!そんなあなたにオススメなのが、こちらのパラパラ紙芝居風の手書き解説動画

 

これなら安心・紙芝居で【羊たちの沈黙】を楽しもう

【すぐにわかる】羊たちの沈黙 あらすじを手書き紙芝居 The Silence of the Lambs Picture-story show

残念ながら【羊たちの沈黙】の分しかありません。まぁレクター博士シリーズ4作品の中で最もストーリーに深みもあり、グロさが際立たずに楽しめるのが【羊たちの沈黙】ですからね。

怖いの観たいけど無理な方は、怖くなくてあらすじ把握出来るので是非どうぞ。

 

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まとめ

衝撃的な猟奇事件解明のため、新人FBI捜査官はさらなる狂人と対峙して犯人像を掴んでいきます。

  • アメリカで、若い女性を狙った連続カワハギ事件が発生
  • 連続猟奇事件を起こすバッファロー・ビルという犯人像をプロファイリングで分析
  • 解決の糸口が掴めないFBIは、最高にサイコな収監者に協力を依頼
  • 新人捜査官と収監者との心理戦が見どころ

【羊たちの沈黙】は、他のサスペンスやサイコホラーとは一線を画した秀逸さがあります。それは、出てくる狂人がただ狂ってるだけではない、というところにあるんじゃないかなと思いました。

レクター博士は間違いなく鬼畜です。

が、人を惹きつけ、傾倒させ、深層心理を巧みに操る魔力めいたその魅力は、圧倒的な存在感があります。

一度観たらしばらくはガッツリ心が侵食される。【羊たちの沈黙】は、そんなサスペンス作品でした。

 

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