高齢化社会が進む中で、今なお問題が山積みな老人介護問題。
人手不足はなかなか解消されず、介護の在り方には複雑な難しさも。
長年、国の大きな課題となっている社会福祉・介護をテーマに、大友克洋&江口寿史のタッグで贈るアニメ映画【老人Z】の世界へとご案内いたします。
この記事でわかること
- あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・動画配信サービス・DVD情報
映画【老人Z】面白いに決まってる!?
長寿大国・日本!
毎年、平均寿命伸びてるよね。
日本人の平均寿命は、2018年の統計データによるとこんな感じ↓
- 男性 : 81.25歳
- 女性 : 87.32歳
参照日本経済新聞 (2019年7月発表)
世界各国と比較しても、男女ともトップ3に入ってます。
そのかわり…と言っちゃ何ですが、少子高齢化が進んで介護問題が深刻に。
今作はそんなナイーブな社会問題を約30年前から懸念し、時代を先取りしてアニメにしちゃった作品です。
- 脚本・原案・メカデザインは《AKIRA》でお馴染みの大友克洋氏
- キャラクターデザインは、女の子の可愛さ抜群の漫画家・江口寿史氏
- …ということで、面白くないはずがない
- Filmarksでは5点中3.7・Yahooでも5点中3.8といずれも高評価
- 1991年の日本を舞台に、高齢化社会の介護問題を描いた近未来SFアニメ
1991年といえば、バブル崩壊が始まった年。
そして人工知能AIが、ある程度のデータを与えれば問題解決策を判断出来るまで進化した時代。
まるでバブル期とは無縁だった下町で、バブル崩壊とは無縁の最先端AI介護ロボットが暴走する様を描いたアニメ映画 が【老人Z】です。
大友克洋氏といえばこちら。映画《AKIRA》のあらすじ考察もあわせてどうぞ
映画【老人Z】基本情報
老人Z (Roujin Z ) | 1991年 日本アニメ映画 |
ジャンル | SF・長編アニメ |
監督 | 北久保弘之 |
原案・脚本 | 大友克洋 |
キャラデザイン | 大友克洋・江口寿史 |
上映時間 | 80分 |
声の出演 | 横山智佐・松村彦次郎・小川慎司・松本梨香ほか |
動画配信サービス | Amazonプライムビデオ(レンタル作品) |
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映画【老人Z】独居老人と晴子さん
物語の舞台は、ボロアパートが軒を連ねる日本の下町。
とあるおじいちゃんと、介護ボランティアの女子大生の様子から始まります。
- おじいちゃんの名は高沢喜十郎。伴侶に先立たれ、ひとりで寝たきり生活
- 高沢おじいちゃんのお世話をするのは、看護学院2年・19歳の晴子さん
- おじいちゃんからの緊急呼び出しで駆けつけるも、おおごとではなかった
ひとりで寝たきりなのに、どうやって緊急呼び出しするの。
…要介護老人には『お助け呼び出しアラームぺンダント』が支給されてるんだよ。
寝たきりといっても、少しなら話すことも腕を動かすことも出来る高沢のおじいちゃん。
オシメが濡れちゃった〜晴子さぁーーん…
と、瀕死の緊急でなくとも、すぐにポチっとペンダントを押してしまう常習犯です。
- おかげで晴子さんはバイトを抜け出す羽目に
- 夜中にポチって、かかりつけの先生を慌てさせた前科も
- …と若干やらかす高沢のおじいちゃんのところへ、今日は救急車まで来ちゃった
ありゃ。そっちにも緊急通報いっちゃった?
…いや、これはおじいちゃんのポチりのせいではない。
緊急車両が通るのも苦労するほど狭い路地。
チャリをどけ、何度も切り返しながら「高沢喜十郎さん」目当ての救急車が到着してしまいます。
- 晴子さんは、おじいちゃんが緊急アラーム鳴らしちゃったからだと思った
- …が、救急隊員のほかに、厚生省のお役人・寺田さんまで登場
- なんと高沢のおじいちゃんが、新開発介護ベッドの被験モニターに
被験モニターってなに。
…要は実験台だな。
実は厚生省が、迫り来る高齢化社会対策として介護福祉の新計画を考案。
通称「Z計画」なる完全無人看護策を打ち出します。
その新計画の目玉となるのが、ありとあらゆる介護機能を備えたベッド・Z-001号機。
これで寝たきり独居老人も無問題、さぁどうですか国民の皆さん!
…とアピールするための見本として、高沢のおじいちゃんが大病院に連れ去られてしまったのです。
介護ベッドZ-001・暴走
被験モニターに選ばれた高沢のおじいちゃん。
そもそも完全無人介護ベッドって何なのさ…というと、こんなスグレモノ。
- 身体を優しくすっぽり包み込む大型ベッド
- そのまま適温湯はり・超音波洗浄で入浴自動OK
- もちろんパジャマのお着替えも機械がサポート
- お漏らし・飛び散り・ニオイの心配なし。下のお世話もオートで察知
- 本人の好みに合わせて食事も自動調整・補食も
- 寝たきりでナマる身体も、擬似運動でひと安心
- 退屈だってヘッチャラちゃら。TV・ラジオ・ゲームの娯楽も完備
- コンピューターを通じて、友人4人まで同時会話も可能
- 症状に合わせて投薬・応急処置・即病院へデータ送信。もちろん体調管理も万全
何だこのカンペキなマシーンは。
…ちなみにコレ、動力源は超小型原子力だそうだ。
おぅ…それって放射能漏れとかダイジョビなの?
というと、もしもの時の安全策も施されています。
介護する側の苦労要らず・介護される側の屈辱知らず。
まさに夢のような介護ベッドです。
- ただし、オール機械化の無機質さが虚しい
- しかも要介護者の身体とベッドが、いろんな配線で繋がれるという苦痛が
- 晴子さんからしたら、おじいちゃんが可哀想でならない
- …と、ある日、晴子さんの大学のパソコンにナゾの通信が
「HARUKO・HARUKO・HARUKO」…やべぇ超怖いんですけど(泣)
…おじいちゃんからのSOSだよ、これ。
話すことが出来ると言っても、苦痛をうまく訴えることが出来ない高沢のおじいちゃん。
繋がれたコンピューター越しに「HARUKO…HARUKO…」と晴子さんに助けを求めてきたのです。
- 晴子さんは、親友らとおじいちゃん奪還のために病院へ侵入
- ところが厚生省の寺田さん・ベッド開発者の長谷川さんに見つかって追い出された
- 諦め悪い晴子さんは、研修先の病院で知り合った老人に協力してもらうことに
- 自称天才ハッカーを名乗る老人にハッキングしてもらい、コンタクトに成功
やった!これでおじいちゃんが今どうして欲しいのか分かるね♪
…と思いきや、うまく通信出来なかった。
ハッキングには成功するものの、こちらからの呼びかけには一切反応しないおじいちゃん。
そこで晴子さんは、ハッカー老人にあることを頼みます。
- おじいちゃんの大切な伴侶・亡くなったハルおばあちゃんの声をプログラミング
- おじいちゃんが反応し、痛い助けて…と悲痛な叫びが
- 再び晴子さんや友人がおじいちゃん奪還へ
- なんとか病院を抜け出すも、警察に包囲された
- …と思ったら、ベッドが変形して街中を大暴走
…え?え⁇…なんでベッドが勝手に暴走するん。
…搭載コンピューターが第6世代っていわれるAIなんだよ。
実はこの介護ベッド・Z-001号機のコアは、これまでにない自己学習機能付きの最新型コンピューター。
いわゆる人工知能AIが「ハルおばあちゃん」のデータを学習し、自我に目覚めて大暴走してしまった…というわけです。
しかし問題はそれだけではありません。
この介護ベッド、表向きは老人介護・福祉目的のシロモノ。
ところがどっこい、その実態は…。
第6世代コンピューター・AIを軍事転用するための実験機体でもあったのです。
こうして「ハルおばあちゃん」と化したベッドは、あらゆる機械を取り込んで巨大なマシーンに。
おじいちゃんを乗せたまま町を破壊し、大きな騒ぎになってしまいます。
晴子さんにとって、高沢のおじいちゃんは特別なおじいちゃん。
初めて介護ボランティアを任され、初めてお世話をした高齢者です。
なんとしても助けたい、望みがあるなら叶えてあげたい。
そう思った晴子さんは、無茶な行動に出まくることに。
はたして「ハルおばあちゃん」の声で喋る介護ベッドの暴走を止め、搭乗中(?)のおじいちゃんを救い出すことができるのか… というのが大まかなあらすじになります。
映画【老人Z】人間味溢れる登場人物たち
三橋晴子(声:横山智佐)
看護学院2回生の女子大生。
ボランティアとして高沢のおじぃちゃんの介護を担当しており、大騒動でてんやわんやする主人公。
高沢喜十郎(声:松村彦次郎)
晴子がボランティアとして在宅介護を担当している独居老人。
次世代介護ベッドZ-001号機の被験者に選ばれ、あんな目やこんな目に。
寺田卓(声:小川慎司)
厚生省(現・厚生労働省)の役人。
高齢者問題に真剣に取り組むあまり、行動がちょい直情的。
利害で動いているのかと思いきや、根は真面目で誠実な良い人でもある。
長谷川良彦(声:近石真介)
第6世代コンピューター搭載・Z-001号機を提供した西橋商事の社員。
表向きは介護ベッド、その実態は…という裏の機能テストを実行する悪役。
その他キャスト
大江信子(声:佐藤智恵)
晴子の親友。
同じ看護学院2回生で、しっかり者の姉御肌。
佐藤知枝(声:松本梨香)
晴子の親友。
同じ看護学院2回生で、ナイスバディな元気女子。
前田満(声:辻谷耕史)
晴子に惚れてる看護学院2回生。
むっちゃ頼りないが、晴子のためならたとえ火の中水の中というお調子者。
映画【老人Z】感想まとめ
今でこそ少し耳慣れた人工知能AI。
自我に目覚めて大暴走…という、1991年当時としてはかなり斬新なストーリーは、さすが大友克洋氏といったところ。
なんせ漫画《AKIRA》で、東京オリンピック中止を予言するかのような描写をしていたお方ですから。
- 高齢者介護対策として、厚生省が新型ベッドを考案
- 被験モニターに選ばれたおじいちゃんと、その介護を任された女子大生が主人公
- 完全無人介護機能は画期的だが、苦痛らしい
- …ということで助けようと思ったら、まさかのベッドが大暴走
今作は、老人介護問題の暗部に深く切り込んだ作品です。
Z-001号機のような完全無人介護ベッドは、画期的で便利という現実論。
でも機械で全て行うなんて、対話も触れ合いもない介護なんて可哀想という理想論。
高齢者介護問題の難しさは、この現実論と理想論があるからだ…と訴えかけているお話になっています。
誰もが必ず歳を取ります。
ということは、介護問題は決して他人事ではないということ。
テーマは複雑で難しい問題ですが、エンディングではクスリと笑う面白いオチも。
映画【老人Z】は、老人だろうが寝たきりだろうが、最期まで笑って幸せな時間を過ごしたいという本音が漏れてる作品 でした。
映画【老人Z】を観るならこちら
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