映画【告白】イヤ〜なミステリー「イヤミス」全開
主演・松たか子。
見どころ・松たか子。
オチの怖さ・松たか子。
映画【告白】をザックリ言うと、こんな感じです。
…いや、もうほんと、松たか子さん冒頭から怖いから(笑)
そもそも内容も怖いから。
さすがイヤミスの女王と称される湊かなえさんの原作。
え?「湊かなえ」さんて誰?
というと、他にもこんな映画やドラマの原作者さん↓
- 映画《白ゆき姫殺人事件》出演 : 井上真央・綾野剛ほか
- 連ドラマ《Nのために》出演 : 榮倉奈々・窪田正孝ほか
- 連ドラマ《リバース》出演 : 藤原竜也・戸田恵梨香ほか
など、全編通して陰鬱な暗さと重さが胃にくる、イヤ〜な気分になるものばかり。
湊かなえさんのイヤミス作品は、事件が起きてその謎が明らかに…という形ではないミステリーが特徴です。
じゃぁ何が明らかになるミステリー?
それは、心が狂い沼に堕ちる人間の本性の怖さ。
今作【告白】も、描かれているのは事件に関わる人物の心理の怖さです。
ことの発端・復讐の始まり
映画【告白】の軸となるのは、シングルマザー教師・森口先生の娘の死。
何が起き、誰が関与し、どういう形で亡くなったのか。
この謎は冒頭30分、松たか子ひとり語りの「告白」として淡々と明かされていきます。
我が子への想い・犯人の生徒2人への想い・自分の本心・報復について。
表情ひとつ変えることなく切々と語り続けるその姿は、不気味すぎてガクブル必至です(笑)
そもそもなぜ愛美ちゃんの死が事故ではなく事件だと分かったのに、法に委ねないのか。
これは、犯人生徒2人がまだ13歳であることが大きく関わっています。
- 14歳以下なら、たとえ殺人を犯しても少年法で守られる
- なんなら保護観察処分で社会復帰
- 更生しましたという逃げ道アリ
事件を蒸し返しても、ココロの隙間がドーーーン!と埋まることはありません。
だから森口先生は、とんでもない私刑を下すことにしたのです。
…いやいやいや。
だからって、HIV血液入りの牛乳飲ませるって…どないやねん(怖)
でもこれも計算のうち。
空気感染することも、接触感染しにくいことも、実は感染者とイチャコラしても発症率が低いことも承知の上でした。
というか実際は、愛美ちゃんの父親・HIV感染者のパートナーの邪魔が入り実行不能に。
それでもHIVに対する正しい知識を持たない子供相手なら、ハッタリで充分でした。
さらにクラス全員の前で告白すれば、浅はかな教え子たちは勝手にいじめもし始める。
…それで自殺でもしてくれればいいのに。
という、とんでもない大人の知恵で周囲を巻き込み、作戦を続行していったのです。
己の復讐心を満たすというこの狂いっぷり。
森口先生の悪意の沼にはトリハダが立ちます。
ところがどっこい、コイツらも
確信的に死のエキス・HIV血液をぶっ込んだ森口先生。
その発想がクレイジーすぎておったまげです。
…が。
殺人を犯した生徒2人も、たいがいのクレイジーキッズども。
まずどちらの生徒もワルではない、むしろ優等生ってところがクセモノです。
事件を起こした理由がくだらなすぎて、これは復讐したくもなります。
犯人その①少年A
- 学年トップクラスの秀才科学オタク・渡辺修哉(13)
- ボクを置いて出て行った、優秀な科学者のママに注目されたい
- なんかデッカい発明とか話題性あることすれば、ママの耳にも届くはず
- とりあえずスンゴイ発明品作ったから、森口先生の子供で実験しよう
- あれ?死んじゃった?ボク殺人犯って…超有名になれるじゃん
…ボクちゃん、どんだけマザコンなのよ(笑)
そしてどんだけ脳みそクレイジーなのよ。
クラスメイトのことも世の大人のことも蔑んで、もう何様殿様な高飛車少年。
そんな彼の助っ人になり、愛美ちゃんの息の根を止めやがったクソガキ…少年がもうひとり。
犯人その② 少年B
- 過保護なママに守られてる下村直樹(13)
- 家は裕福、だけど友達がいないボッチな坊ちゃん
- 「やれば出来る子」と言い続けるママを信じ、けっこうイキがるタイプ
- 修哉の助っ人になったのは、初めて声をかけてもらったクラスメイトだから
- 修哉に「能なし」呼ばわりされ、カチンときて勢いで殺人達成
…達成すべきはそこじゃない。
実は気絶してただけの愛美ちゃんを、プールに投げ込み溺死させた真の実行犯。
これまた犯行動機が不明確で、なんて浅はかなんでしょう。
幼い命が奪われた事件の事実は、確かに悲しく不条理な出来事です。
しかし今作【告白】は、その不条理がどこから来たのか、どこで狂って沼に堕ちたのか。
被害者の親となった森口先生の復讐の告白だけでなく、犯行に及んだ生徒2人の心理も「告白」という形で進んでいきます。
誰にでも起こりうる傲慢さ。
絶望的なひとりよがり。
事件の事実ではなく、自分語りで明かされる真相が幾重にも連鎖しているところが、この作品の魅力 です。
まとめ
子供がさらに幼い子供を殺めるという重さ。
そんな子供相手に、これでもか!と容赦なく復讐していく親心の重さ。
映画【告白】は、どんでん返しの結末が…というわけではなく、全編どこもかしこもプチどんでん返しだらけです。
だからといって、全編くまなく重い展開なのかというと、そうでもなく。
まだ未熟な中学生。
でも大人への階段も登っている中学生。
難しい思春期の子供達を軽快な音楽で演出し、能天気な後任教師も登場したり。
映像も語り口調も淡々としているのに、なにこの不釣り合いな明るいシーンは。
取り戻せない命や閉ざされた未来があるのに、ウェーい♪って。
お前らなんなの。不真面目なの?
そうイラつきながら、ことの真相・復讐の結末が気になって、ストーリーから離れられなくなります。
また結末がね…。
ずっと無表情で飄々としていた森口先生、松たか子さんが最後には感情を露わにするんです。
少しも悪びれない少年への、とっておきの渾身の一撃。
これにはガツンと脳天殴られた感じがして、結末の怖さはぜひ観てもらいたいと思います。
映画【告白】は、登場人物の誰かに感情移入することはないけれど、不気味さと胸くそ悪さが深く心に刻まれる作品 でした。
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