ゾンビといえば生きる屍、歩く死体。
主にお食事は生きた人々で、ちょっとでも感染しようもんなら治療法なんぞもありゃしない、残念な方々です。
そんなゾンビがまさかのお食事対象・人間女子に恋をした!?
前代未聞の屍視点からゾンビの生態を描き、スプラッターな展開ほぼナシの恋愛ホラー映画【ウォーム・ボディーズ】の世界へとご案内いたします。
この記事でわかること
- あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・動画配信サービス・DVD情報
【ウォーム・ボディーズ】イケメンゾンビの憂鬱な日々
ひと目会ったその日から、恋の花咲くこともある♪
…なにその昭和感丸出しのフレーズは。
ゾンビ ミーツ ガーーール!!
会話にならん……。
っていうかゾンビ ミーツ ガール??
そもそもゾンビって、意思疎通も出来なければ思考も理性もないよね…というのが定石ですが、既成概念を覆す新たなゾンビ映画を発見しました。
実は心の中であんなことやこんなこと、ひいては恋愛感情だって持ってたりするというなんとも変わったストーリー。
生きる屍イケメンゾンビと、生き残りをかけて戦う人間女子との恋愛模様を描いた映画が【ウォーム・ボディーズ】 です。
映画【ウォーム・ボディーズ】基本情報
ウォーム・ボディーズ | 2013年 アメリカ映画 |
ジャンル | ゾンビホラー・恋愛ロマンス |
監督 | ジョナサン・レヴィン |
脚本 | ジョナサン・レヴィン |
上映時間 | 97分 |
出演 | ニコラス・ホルト、テリーサ・パーマー、ジョン・マルコヴィッチ他 |
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【ウォーム・ボディーズ】彷徨える自虐イケメン
物語の舞台はウィルスだか化学兵器だか、はたまた放射性物質だかで人類のほとんどがゾンビ化してしまった終末世界。
誰も彼もがみすぼらしい衣服を身にまとい、もれなく顔色の悪い人々が集う薄暗い空港のシーンから始まります。
- ボロいTシャツ・薄汚れた赤いパーカー姿ながらも、ひときわ目立つイケメンゾンビくんが主人公
- 足取り重いし顔色悪いし、こう猫背だと人格も疑われる…とちょっと反省中
- なんでこんなに体調悪いんだ、あぁそういや死んだっけと早速自虐ネタ
- 自分の名前も職業も思い出せず、まぁこんなラフな格好だからニートかも…とさらに自虐
もう出だしからひとりノリツッコミで笑っちゃうよねー。
挙げ句自分もゾンビなのに、他のゾンビをマウンティングしてるしな。
このイケメンゾンビくんも、あてもなく彷徨い歩くのが日課のゾンビ集団の立派な一員です。
…が、いつもこんな現状には不満タラタラ。
- ゾンビ化した人間は、心理的な絶望で理性を失うと自分で自分の顔をむしることも
- 「やめろグロい顔をちぎるな」と心の中でツッコミ入れるも、いずれ自分もああなるのかと凹み中
- ゾンビの最終形態は完全に野獣、脈あるものはなんでも喰い散らかすガイコツに
グチグチと、不満も交えてこの世の惨状を解説してくれるイケメンくん。
もっと人と繋がりたいし、みんなこの状況から抜け出したくないのかな…オレだけか?とちょっぴり孤独を感じることも。
ゾンビじゃない♪ゾンビじゃないのぉ〜♪
…ゲス極をパクって替え歌にしても、残念だがどうあがいてもバッチリしっかりゾンビだから。
自分もみんなもゾンビ化し、ああはなりたくないと思っていてもゾンビにつける特効薬なんぞありません。
それになぜかゾンビは空港を根城にし、集団生活しています。
イケメンゾンビくんもここで生活してますが、生きていた頃に来たことがあるわけではありません。
ただでさえだだっ広くて迷いそうなのに、ゾンビになって彷徨ってほんとに迷子になったりと、屍ゆえの性に抗うことも出来ない日々を送っておりました。
コミュ力ないけど、お食事はみんなで
屍ゆえの性。それはただあてもなく彷徨い、たとえ人にぶつかっても謝ることすら出来ないコミュ力の低さ。
何考えてるのかも不明、呻きこそすれ会話することもない存在がゾンビですが、実はイケメンゾンビくんにはコミュニケーションを取り合う仲間がいます。
- 「う”ー」とか「あ”ーー」でやりとりしたり、見つめ合う(…というか睨み合う)親友Mが
- ときおり単語を発して会話が成立
- 「腹へった…」と言えば、「…街」と会話のキャッチボールも
お腹空いたら街?
あぁ、生き残った人間がいるからな。
きちんとコミュニケーションを取り合えるゾンビはイケメンくんと親友Mくらいしかおりません。
…が、お食事の好みはゾンビ共通・生きた人間です。
- 街には高い壁を築き、ゾンビから身を守るように暮らしている生き残り人間が
- ときどき生き残り人間が物資調達のために壁の外、ゾンビエリアに出没
- 人間の反撃を喰らうこともあるので、ゾンビであっても本能的に自衛のために集団行動
- 勝手に集結した9人ゾンビ御一行様は、お食事ツアーにお出かけすることに
遅い(笑)こんなノロいと街まで遠いねー。
いつ着くんだ…って、イケメンゾンビくんがまた愚痴ってるな。
ゾンビの食欲は尋常じゃないくらい過剰で過激という話。
こんなノロさもなんのその、早く食事にありつきたい一心でゾロゾロとチンタラとお食事目指して街へ繰り出していきました。
屍だって一目惚れ
捕食対象を発見すれば音速マッハで喰いちぎりに来るくせに、普段はいかにも体調悪いのをアピールする構ってちゃん。
まぁそこは屍なので、仕方ないんですけどね(笑)
- 歩みは遅いが匂いを頼りに生きた人間を捜索
- ちょうど物資調達に派遣された8人の若者チームを発見
- 「う”ガーーッ!」と襲いかかるも、銃やナイフで反撃される
- …とその中に、勇ましくショットガンをぶっ放して反撃するジュリーという名のかわいこちゃんが
- イケメンゾンビくん、恋に落ちる
すっごいガン見してるし(笑)
…もう完全に一目惚れだな。
こうしてたまたまお腹が空いて彷徨い歩き、たまたま発見した捕食対象のひとりに恋してしまったイケメンゾンビくん。
かわいこちゃんをガン見し過ぎて、一緒に物資調達に来ていたジュリーの彼氏の攻撃を食らってしまいます。
しかしそこはゾンビだけあるのか、あっさりと返り討ち。そしてちゃっかり彼氏を貪り喰いながらも、視線はジュリーに釘付けです。
- ゾンビに襲われた人間は、感染して新たなゾンビになることも
- ただし脳を喰われると完全に死して屍、拾う者なし
- ゾンビにとって脳は記憶を追体験できる高級食材
- イケメンゾンビくんは彼氏の脳まで美味しくいただき、彼女の名前がジュリーであることを知る
なかなかグロい設定ですが、捕食シーンはほとんどありません。
そんなことより注目すべきは止まった心臓をときめかせ、カタコトの単語「じゅ、ジュリー…」と言いながらいきなり告白するイケメンゾンビくん。
自分のニオイをジュリーになすり付け、「安全…守る…。来て」と他のゾンビに喰われない対策をしてお持ち帰りすることにいたしました。
【ウォーム・ボディーズ】伝染し始めた感情と理性
彼氏をはじめ、一緒に物資調達に赴いた仲間のほとんどが喰われてしまったジュリー。まさかゾンビに拉致られるとは。
優しい男子のエスコートならまだしも、顔色悪いゾンビにお持ち帰りされる日が来るだなんて思いもよらない事態です。
なぜかゾンビ集団の帰宅に付き合わされて空港行きなんて、たまったもんじゃないねー。
イケメンゾンビくんは「何やってんだ、オレ」とか呟きながら、嬉しそうに家に連れ込んでるけどな。
家…といってもここは空港。イケメンゾンビくんのお家は勝手に住み着いた滑走路上の飛行機内です。
ただしインテリアコーディネートは完璧。日課の彷徨い中に集めた小物やレコードで機内を飾り、コロナビールまでも完備しています。
- とりあえず自己紹介を…と思ったけれど、イケメンゾンビくんは頭文字がRだということしか覚えてない
- 好きな子を前に上手く話せないとか恥ずい…死にたい気分。死んでるけどね、と心の中でノリツッコミ
- 言葉を話すゾンビが珍しいジュリーは次第に会話するようになり、彼をRと呼ぶことに
早くも打ち解けムード?
いや、ジュリーは帰りたがって、逃亡を計るんだよね。
ちょっとは意思疎通なことが分かったジュリーは空腹を訴えてRを外出させ、飛行機内から逃げ出すことに。
しかし彷徨う他のゾンビと遭遇してしまい、ピンチが訪れます。
- 生きた人間のニオイを嗅ぎつけ、ゾンビが集結
- 滑走路なので、逃げも隠れもできそうにない
- …とそこへヒーローのごとくR参上
- またしても自分のニオイを擦りつけ、ゾンビっぽく歩くように指示
- ジュリーは言われた通りにゾンビの真似をするも、「やりすぎ…」とRにツッコまれる
ヤだ、もうRってばカッコいいーー♪
おかげでジュリーもちょっとは反省して、Rの意見に耳を傾けるようになったな。
それでもとにかく帰りたいジュリー。
「連れて来れたんだから連れて帰れるよね?」とちょっと強気な意見を言い出します。
しかしRにしてみれば「え、来たばっかりなのにもう帰っちゃうの!?」というのが本音です。
そんなRの心の声が、もうダダ漏れ。
- (とりあえず外は危険、ここにいれば安全だと言って引止めろ)
- 「2〜3日もすれば…みな…忘れる。ここ…安全。君、守る」(よっしゃ!言えた!)
- (かわいいなぁ…あ。あんまり見るな、キモいぞオレ)
ゾンビが実はこんな葛藤してるとか笑えるー。
おそらくRが特異なんだろうけど。
ジュリーと関わり、どんどんゾンビらしくなくなっていくR。
しかしこの変化はRが特異だからで済む話ではなくなってくるんです。
共通の敵はゾンビの成れの果て
2〜3日なら…と思い切ってこの状況を楽しむことにしたジュリーは、Rの家でくつろいだり滑走路をドライブしたりと弾け始めます。
そんな状況を楽しんでるのはRも同じ。それでもやはりRはゾンビです。
- Rの言葉は以前より単語が熟語になり、熟語が文章らしくなった
- とはいえ、まだ思ったことを上手く伝えられるわけではない
- Rのコレクターアイテムでもあるレコードの歌詞に乗せ、想いを伝えることも
イケメンで優しくてロマンチスト……むぅ。
…ちょっとゾンビであることを忘れて惚れそうになるよな。
しかしここはゾンビエリア。
いつまでもここにいるつもりもないジュリーは、2〜3日が経過したところで街に帰ろうと、ひとりで出て行ってしまいます。
- Rの話と違い、まんまとニオイを嗅ぎつけたゾンビに囲まれた
- ジュリーが居ないことに気付いたRは、再び彼女を守るべくゾンビ仲間を滅多打ち
- その場に居合わせたRの親友Mは「喰え!そいつを喰え!」と、ちょっとお怒り
- …とそこへハイエナの如くガイコツがご登場
そう、美味しそうな生きた人間・ジュリーのニオイを嗅ぎつけたのは、ゾンビだけではありません。
実はゾンビよりも身体能力が高く、もう人間味のカケラも残っていないものすごく厄介なガイコツにも狙われることに。
これにはさすがのRでも、ジュリーを守りきれるかどうかという瀬戸際な展開になってしまいます。
Rピーーンチ!ジュリーもピーーーンチ!!
…が、ここで親友Mが助太刀してくれるんだ。
親友Mは、Rに共感したわけでもジュリーを守る行動を理解したわけでもありません。
ただなんとなく。
でもそのおかげでガイコツからはひとまず逃げることに成功し、Rはジュリーを守りきるため車に乗って人間エリアに逃げることに。
- 乗る予定の車には、すでに別のゾンビ集団が待ち伏せしてた
- さっきとは別のガイコツ集団の追手も
- それでも「君を守る」と言い放つRに縋るように、ジュリーは手を握った
- 手と手を繋いだRとジュリーを見たゾンビ集団に、ある変化が
…ゾンビたちが道を開けてる?
あぁ。親友Mのように、だたなんとなくそうするべきと思ったみたいだ。
理性も感情も残っていたゾンビ男子Rが人間女子ジュリーに恋をして、交流し始めたことで人間味のカケラを取り戻し始めたゾンビたち。
こうしてジュリーは無事に人間エリアへと帰っていくことになりますが、これで安全になったわけではありません。
2人の関係がもたらした変化は、ゾンビ・人間・ガイコツの際どい均衡を崩すことにも繋がってしまい、三つ巴の闘いに発展。
しかしジュリーと別れゾンビエリアに戻ったRは、ガイコツの狙いが自分たち2人であること、そして自分たちの存在がゾンビの救世主になれるかもしれないことを悟ります。
ゾンビたちはRとジュリーを守るためにガイコツを敵視。そして人間側は、見境なく襲ってくるからという理由でガイコツを敵視。
不安と恐怖を感じながらも共通の敵・ガイコツに立ち向かうことになり、2人の恋と人間&ゾンビの行く末やいかに…というのが大まかなあらすじになります。
【ウォーム・ボディーズ】それぞれ立場が明確な登場人物たち
発する言葉は呻き声が主ですが、実はこんなこと考えてるんだという心の声でストーリーが成り立っている映画【ウォーム・ボディーズ】
セリフの少なさは気にならず、動きや視線、心情に魅入ってしまう登場人物たちをご紹介いたしましょう。
Rは本名こそ忘れたものの、感情や思考・理性を残している異質のゾンビ。イケメンは、生きていようがゾンビだろうがイケメンであることに変わりないようです。
呻くか単語を呟くかだけのゾンビ語と、ダダ漏れな心の声を見事に演じ分けたニコラス・ホルトは、作品によってだいぶイメージが変わる気がします。
今作と同じ2013年に公開された映画《ジャックと天空の巨人》では、いたって普通の夢見る青年ジャックを演じていました。どんなあらすじかはこちらをどうぞ。↓
ジュリーは生き残りをかけて戦う人類側主導者の娘であり、ゾンビRに惚れられてしまう勇ましい女子。
彼氏を喰われたにも関わらず、ゾンビらしからぬ優しさを持ったRに惹かれて人類とゾンビとの救世主的存在になっていきます。
強気に戦う眼差しと優しく可憐な笑顔、表情豊かなジュリーを演じたテリーサ・パーマーは、映画《きみがくれた物語》でも主演のギャビー役で抜群の瞳の演技力を魅せてくれています。
MはゾンビRの親友のおっちゃん。
まだ多少なりの感情と理性を残しており、時折Rと交わす会話らしき呻きあいは和める上に笑いがこみ上げるかと。
どの個体よりもいち早く体の変化に気付き、ジュリーの存在も色々思案して良きに計らってくれる良いゾンビでもあります。
中盤あたりからはそれまで彷徨うだけだったゾンビたちを牽引し、いわばゾンビ集団の主導者的立場にもなる人物です。
グリジオ大佐は生き残り人類を統率し、容赦なくゾンビ殲滅を行う主導者。
最愛の妻がゾンビ化してしまった際に、情けをかけずに葬らなければならなかった過去があるようです。
おかげでカタコトながらも言葉を話すゾンビRへの憎悪もあらわにします。が、娘ジュリーとRがもたらした世界の変化も、ガンコながらに受け入れようとしてくれる親父でもあります。
…とこの他にRに喰いつくされてしまうジュリーの彼氏や、ゾンビに物怖じせず希望を持ってRの味方をしてくれるジュリーの親友、心臓が動いていればなんでも喰らう強敵ガイコツ軍団の皆さんなどが登場。
今作は、さらに挿入曲も登場人物のひとつといって良いかと。
会話したくても呻くだけのゾンビの心情や情景描写など、ストーリー演出に欠かせない楽曲についてはこちらをどうぞ↓
本来ならば、グロテスクな描写が多いゾンビ映画。
挿入曲のセンスの良さで怖さもなく、もはやチンタラ歩く姿も顔色の悪ささえも可愛く見えてきます。
ゾンビ最悪!超ニガテ!という方でも鑑賞出来る…かもしれません。
まとめ
ちゃんと従来のゾンビっぽさを醸し出しているにも関わらず怖くない、むしろちょっと愛着さえ湧いてしまう…。
それどころかゾンビを応援したくなるという、変わり種の恋愛ホラーが【ウォーム・ボディーズ】です。
- 人類の多くが謎の感染症でゾンビ化してしまった終末世界が舞台
- 呻き彷徨うゾンビの中に、思考も理性も恋愛感情まで残した個体が
- 心の声がダダ漏れなゾンビ男子が、敵対する生きた人間に一目惚れ
- ロミオとジュリエットさながらのカップル誕生でゾンビの世界に異変が
- 愛は確かに世界を救う
いつもいつでも決め台詞のように囁くRの「君を守る」にはもうしびれまくりました。
それに、まさかゾンビに共感するとは(笑)
それもこれも物語の裏側に、現代人への痛烈な皮肉が混じってるように感じたからかもしれません。
現代人も今作のゾンビさながらに無感情で無表情、怠慢で精神的な向上心もなく投げやりで、生きてるか死んでるかわからないゾンビのような生き方に似ている気がしませんか。
『他人と接し、感情が露わになれば多くのことを感じて人間味が戻ってくる』
映画【ウォーム・ボディーズ】は、そんなメッセージも込められた、ちょっとユニークなゾンビホラー作品 でした。
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