17世紀オランダを代表する画家ヨハネス・フェルメール。
彼の作品は、全部で30数点とあまり多く残されていません。
同じ時代に活躍した他の画家に比べても、圧倒的に数が少ない彼の作品の中に【真珠の耳飾りの少女】という名画があります。
芸術への探求心の中に芽生えた愛を描いた映画【真珠の耳飾りの少女】の世界へとご案内いたします。
この記事でわかること
- あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・動画配信サービス・DVD情報
【真珠の耳飾りの少女】モデルとなった少女の審美眼
この絵、見たことある!たしか『青いターバンの少女』だよね?
そう。『真珠の耳飾りの少女』とも呼ばれてるな。
美術の教科書なんかにも載るほど有名なので、あまり絵画に興味がなくても見たことある方もいるんじゃないでしょうか。
17世紀オランダの画家ヤン・ファン・デル・メール・ファン・デフルト、通称フェルメール。
彼の最も有名な代表作がこの「青いターバンの少女」「真珠の耳飾りの少女」と呼ばれる名画です。
- フェルメールは1632年生まれ、ネーデルラント連邦共和国(現在オランダ)のデフルト出身の画家
- 主に庶民の生活を描写した風俗画が得意
- 風景画も2点ほど描いているが、作品のほとんどは女性像
- 遠近法と光と影によって写実的に描いてあるのが特徴
- とりわけ有名な『真珠の耳飾りの少女』は「北のモナリザ」とも称される
絵画には、1枚の絵の中にいろいろな想いが込められています。
モデルになった少女の意味深な表情、そしてそれを描き上げたフェルメールの想い。
今作は実話ではなくフィクションとなっております。
原案は、1枚の名画から構想を得たアメリカ出身の作家トレイシー・シュヴァリエの小説。
フェルメールとモデルになった少女との関係を描いた映画が【真珠の耳飾りの少女】 です。
映画【真珠の耳飾りの少女)、基本情報
真珠の耳飾りの少女 | 2003年 イギリス・ルクセンブルク合作映画 |
ジャンル | ヒューマンドラマ・ロマンス |
監督 | ピーター・ウェーバー |
脚本 | オリヴィア・ヘトリード |
原作 | トレイシー・シュヴァリエ 小説「真珠の耳飾りの少女」 |
上映時間 | 100分 |
出演 | スカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース他 |
動画配信サービス | Amazonプライムビデオ(prime対象) |
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【真珠の耳飾りの少女】秘めたる才能を持った少女
物語はひとりのうら若き少女の様子から始まります。
少女の名はグリート。
両親とともに、オランダのデフルトという街で慎ましやかに暮らしていたごく普通の娘です。
父親はタイル絵師という職人でしたが、視力を失い仕事を失い、家族の生活は苦しくなるばかり。
タイル絵師?
あぁ。デフルト焼っていうタイルや陶器があるんだよ。
- 16世紀初頭、イタリアからマヨルカ焼という陶器の製法が伝わった
- マヨルカ焼とは、白地の陶器にマンガン・銅・鉛・コバルト・酸化鉄といった鉱物系で色彩豊かな絵を施した陶器
- さらに17世紀にオランダに輸入された中国の磁器や日本の伊万里焼の影響を受け、独自のデフルト焼に発展
- デフルト焼は主に白地に青で絵を施し、色彩の色は「デフルトブルー」と呼ばれてる
今でも日本で「デフルト焼」と呼ばれ、食器や置物など人気があります。
当時のオランダでは、壁の劣化防止にデフルト焼のタイルが活用されていました。
ほうきで床を掃いたり、雑巾掛けで境目は痛みやすいという理由から。
壁をオシャレにするためかと思った。
まぁ、実用性と芸術性を兼ね備えたものってところだな。
父がそんなデフルト焼のタイル絵師だったからか、グリートは幼い頃から絵や色調に対する感覚が研ぎ澄まされておりました。
家の手伝いで食事の下ごしらえをするにしても、色とりどりの野菜を切り分け、もっとも自分が綺麗と思うバランスで並べるほど。
え。「お家の手伝いする家族思いの娘さん」ってアピールじゃないの?
まぁそれもあるけど、映画の冒頭からグリートの美的センスの片鱗をのぞかせる演出になってるんだよ。
そんな家族思いで芸術の才能も秘めてそうな少女グリートは、稼ぎに出ることに。
目の見えなくなった父に代わって家族を支えるために、画家の邸宅の使用人として働くことになったんです。
使用人としてフェルメール邸に
運河沿いにある少し裕福な邸宅。グリートの就職先は画家フェルメールの義母の家です。
この家にはフェルメール、妻、4人の子供、そして義母という大家族が住んでおり、さらに夫人は現在第5子をご懐妊中。
タネケという中年女性の使用人が、ひとりで邸宅内をきりもりしていました。
お子様方のお世話から掃除・洗濯・買い出し・料理に後片付け。やること満載だねー。
到底ひとりじゃ無理だから、新人使用人としてグリートが雇われたんだ。
雇ったものの、役立たずならば意味がありません。
先輩使用人のタネケはグリートに仕事を教えつつ、コッソリ採用試験を行います。
- 馴染みの肉屋の旦那とともに、グリートにちょっとした試練を与える
- 肉を頼んで、わざと新鮮ではないものをグリートに手渡す
- 中身を確認したグリートは「これでは奥様がお気に召さない」と肉が新鮮ではないことを見抜く
腐った肉を出したわけではないんですが、色と匂いから判断して肉屋にクレームつけたグリート。
見事採用試験に合格です。
買い物の目利きも充分、その他の家事もそつなくこなし、邸宅の使用人としてたくさんの仕事に追われる日々を送ることになりました。
グリートの感性
毎日大量の洗濯物と格闘し、真面目に働くグリート。
ある日、夫人から新たなお役目を任されます。
夫人に連れられて向かった先は邸宅の奥の部屋、そこはフェルメールの仕事場です。
アトリエ?
うん。夫人はちょっとトラウマがあってアトリエが苦手でね。この部屋の掃除をグリートに任せた。
実は夫人はかなりのやきもち焼き。
わがままで傲慢なわけではありませんが、フェルメールが絵に込める想いに嫉妬して、カンヴァスを切り裂いたことがあるんです。
フェルメールの才能を潰しかねない自身の行動を悔やみ、以来アトリエへの立ち入りを自粛。
- 主人が絵を描いているときは邪魔をしないこと
- 置いてあるものを決して動かさず、アトリエの掃除をするように
アトリエの掃除という新たな仕事を任されたグリートは、初めてフェルメールの絵画を目にします。
柔らかな黄色の服に身を包み、真珠のネックレスを手にした貴婦人の風俗画。
これは劇中にも登場する「真珠のネックレスの女」というタイトルの作品です。
すっかりフェルメールの絵画が気に入ってしまったグリートは、アトリエの掃除もせっせとこなし、あるとき夫人とこんな会話を交わします。
グリート「アトリエの窓を拭いてもよろしいですか?」
夫人「いちいちそんなことを聞かなくても」
グリート「光が変わってしまいますが…」
窓から差し込む光に重点を置き、カンヴァスの中で色と影のバランスが絶妙なフェルメールの作風を理解し、その良さに影響が出ないか危惧 したんです。
たしかに窓を拭いたら差し込む光の加減が変わって、絵を描くのに影響するかも。気付くなんてすごい。
ちょうど一緒にいたお義母様もびっくりしてたよ。
色や構図のバランス、絵画に対する感性が鋭いグリートは、このあとお義母様だけでなく画家であるフェルメールをも驚かせ、作品に多大な影響を与えることとなっていきます。
【真珠の耳飾りの少女】フェルメールと少女
引用amazon
フェルメールは、ときおり自分の絵画やアトリエ内の物を熱心に見つめるグリートの感性の高さに徐々に気付き始めます。
- フェルメール自身が納得しながら筆を運んでいる様子を、グリートは満足気に眺めてた
- まだ下塗りの作品には、いぶかしげな眼差しで色に対する不満を口にしてきた
- 奥行きを出すための配色を説明する際、少し質問したら自分と同じ色の見方をする色感を持っていた
グリートが使用人として雇われる数年前、フェルメールは風景画を仕上げたことがあります。
それが『デフルトの眺望』という作品です。
このとき描いた雲の色。フェルメールは黄色・ブルー・灰色をメインに、いくつもの色を重ね合わせて奥行きと立体感をもたせています。
劇中にこの絵画は登場しませんが、グリートの感性の高さにフェルメールが気付いたのは「デフルトの眺望」から来ているかと。
私がそう思ったのは、こんな会話を交わしていたから。
フェルメール「雲の色は何色か」
グリート「白。…いいえ、黄色、ブルー、灰色。いろんな色が混じってます」
おぉー。雲の色の捉え方がフェルメールと同じだ。グリートって画家並みの感性の持ち主なんだね。
他にも、フェルメールに影響を与えるほどグリートの感性が優れていることががわかるシーンもあるよ。
これはフェルメールの「水差しを持つ女」という作品。
劇中でグリートが色バランスの悪さに苦言を呈した作画途中の絵画として登場します。
本当は、手前に椅子も描かれていたんです。
…が、構図が悪いと感じたグリートが「アトリエ内の物を決して動かさない」という言い付けを破って椅子を撤去。
フェルメール自身も椅子がない方が良いと気付き、グリートの感性に影響されて構図を変更した設定になっています。
さらにこの絵は、こんなことも示唆するためにも劇中に登場しました。
- 水差しの水は清んだ心や純真さの表れであり、グリートを表現
- テーブルの上に描かれた宝石箱は心奪われ惹かれていくものの存在、つまりフェルメールを表している
窓から水差しの水を捨てるかのような構図は、純朴なグリートが使用人として外の世界に飛び出し、アトリエという宝石箱に閉じこもるフェルメールという宝石に惹かれていく様子 を表現。
他のフェルメール作品を巧みに登場させながら、多くは語らず深い意味合いを込めた映像で物語は進んでいきます。
互いの心に芽生えたもの
グリートに強い興味と信頼を寄せ始めたフェルメールは、弟子に手ほどきするかのようにグリートにさまざまなことを教えるようになりました。
特に色に対する感覚が同じであるため、絵の具の調合を任せます。
手取り足取り手ほどきを受けるグリートは、至近距離で指導してくれるフェルメールに淡い感情が芽生え始めました。
【グリートの心の変化】
- 至近距離で語るフェルメールにドキッ
- 画材を手渡され、触れた指先にドキドキ
- 絵の具の調合のコツを教わった時、手を覆われてドギマギ
少しづつフェルメールを意識し始めてしまったグリート。
一方のフェルメールにもある種の感情が芽生え始めます。
【フェルメールの心の変化】
- 若い女性に興味があるわけではない
- 芸術に関する価値観が同じだからグリートに興味を持った
- 自分の創作意欲をくすぐる貴重な存在
- 熱いまなざしを送るも、どちらかというと子弟を見つめる眼差し
- 女性だからではなくひとりの人物として惚れたが、異性としても意識するように
お互いを意識し始めた二人ですが、決して色恋沙汰にはなりません。
主人と使用人だから、という理由もありますが、少し宗教の教えも関係してくるんです。
中世のオランダはキリスト教が主流だったっけ?
うん。でもカトリックとプロテスタントで教えが若干異なるらしい。
日本は無宗教だったり仏教・神道が主流なので、キリスト教の教えはよく分かりませんね。
キリスト教にも仏教のように宗派があって、しきたりが少し異なります。
- カトリックは比較的浮気や不倫に寛大(離婚や避妊、堕胎は禁忌)
- プロテスタントは厳格に浮気・不倫を完全否定
グリートは、厳格なプロテスタントの両親の元で育ちました。
そしてフェルメールは、妻がカトリックなので改宗しましたが、元々はプロテスタント信者です。
互いに惹かれ合うのは芸術的感性だけでなく、同じプロテスタント思想を持っていることも関係しているんです。
プロテスタントの教えでは浮気や不倫は決して許されないこと。
こんな理由もあって、フェルメールとグリートは想いを秘めたままプラトニックな愛にも似た感情を育んでいきます。
秘めた感情が露わに
次第にほのかな淡い愛が芽生えはじめたフェルメールとグリート。
二人の関係はプラトニックですが、周囲を取り巻く人物たちがさらに物語を複雑にしていきます。
だいたいグリートを見つめるフェルメールの眼差しに、奥さんがやきもち妬かないはずないよね。
でも、グリートの存在がフェルメールの創造力を刺激する起爆剤になってるから、お義母様が娘の嫉妬心を抑え込んでたよ。
17世紀の画家は、パトロンを抱えて希望の構図で絵を描く受注製作スタイル。
そしてお義母様はその仲介人のような立場におりました。
いい絵が描けるなら、ちょっとくらいの浮ついた気持ちもとやかく言わない、言わせないスタンスです。
じゃぁパトロンのリクエストや、お義母様の差し金でグリートを描き始めたの?
まぁそうなんだけど、パトロンが女好きでね。そこら辺も「真珠の耳飾りの少女」の名画誕生の秘密にもなってる。
フェルメールのパトロンであるライフェン氏は、かつてフェルメール家の若い使用人と一緒にくつろぐ構図の絵画をリクエストしたことがあります。
その完成絵画がこの「ワイングラスを持つ娘」です。
フェルメールが1枚の絵画を仕上げるまでは早くて3ヶ月、少なくとも半年かかります。
この間にライフェン氏は使用人の女性を手篭めにして孕ませた、というのは巷ではもっぱらの評判でした。
- ライフェン氏は、家族や使用人を侍らせた肖像画をリクエスト
- 集団肖像画のモデルに若く可愛らしいグリートをご所望
- ライフェン氏に気に入られた女性はほぼ間違いなく手篭めにされる
おぅ…純朴なグリートの貞操の危機。
だからフェルメールは大事に想うグリートを守るために、リクエストとは別に単独モデルとして描くことにしたんだ。
受注製作とは別に、グリートの作画を始めたフェルメール。
しかし光と影のバランスが絶妙な作風の彼にとって、構図上どうしても欠かせないものがありました。
それが「真珠の耳飾り」 です。
- 頭部から肩、背中にかけての影の割合が重すぎる
- 光を受けて白く輝く真珠の耳飾りを描くことで、フェルメールらしい作風になる
- 夫人の真珠のピアスをつけるようグリートに進言
グリートは宗教上の理由もあってか、自分の身体に傷をつけるピアス穴を開けていません。
しかし作画中の自身の肖像画を見て、そこに真珠の耳飾りが不可欠であることを感じ取ります。
フェルメールと同じかそれ以上の芸術的感性を持つグリートは、ピアスが絵に必要であることを誰よりも深く理解してしまったんです。
絵画完成のため、想いを寄せるフェルメールのため。
グリードは、ピアス穴を開けることに。
こうしてどこまでも感性が似た二人の想いが【真珠の耳飾りの少女】の絵画の中に閉じ込められ…というのが大まかなあらすじになります。
フェルメールと少女との間に芽生えた感情を描いた映画【真珠の耳飾りの少女】
17世紀オランダの画家ヨハネス・フェルメール。
当時のヨーロッパは、受注によって物語や教訓性を持たせた絵画を製作する時代でした。
にもかかわらず製作意図が不明な私的絵画として後世に残り、今なお不思議な魅力を放つフェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」
この絵に込められた想いをフィクションとして官能的に描いた予告動画はこちら↓
【真珠の耳飾りの少女】なんとも色気のある登場人物たち
今も昔も、画家の芽が花開くのは後世になってからが多いんじゃないかと思います。
のちにフェルメールの絵画の中で最も有名になり、最も謎多き「真珠の耳飾りの少女」
その誕生秘話をしっとりと演じきった登場人物たちをご紹介いたしましょう。
フェルメールは、作品自体の魅力で広く親しまれるようになったバロック絵画の画家のひとり。
バロック絵画の画家は他にオランダのレンブラントや、フランドルのルーベンス、スペインのベラスケスなどがいます。
特にレンブラントは画家として活躍した時期がかぶっており、フェルメールに絵画を発注するか、それともレンブラントに頼もうか、といったライバルでもありました。
そんなことは御構い無しに自身の作画を貫き、グリートに出会ってさらに磨きがかかったフェルメールをイギリスの演技派俳優コリン・ファースが色気たっぷりに演じています。
グリートはフェルメール家の使用人であり、絵のモデルになった少女。といっても実在はしません。
あくまで名画「真珠の耳飾りの少女」からインスピレーションを受けた登場人物で、実際にモデルがいたのかどうか不明です。
あどけなく純朴で恋に恋するお年頃の少女グリートを、まだ10代だったスカーレット・ヨハンソンが見事なビジュアルで好演。
彼女の素朴さとシンプルなパールのピアスが本当に印象的でした。
ライフェン氏はフェルメールのパトロン。絵画はお金持ちの趣味の一つなので、ライフェン氏はかなり裕福な好色爺です。
なかなか遅筆なフェルメールの絵の完成をじっくり待てるほど、その作画に惚れ込んでいます。
フェルメールの絵画の良さを理解している芸術肌の良い人と、グリートを手篭めにしようと無理やり襲う悪い人。
二面性のあるライフェン氏をトム・ウィルキンソンが演じ分けています。
フェルメール夫人はカタリナという名前のフェルメールの妻。
グリートが使用人として雇われたときには第5子をご懐妊中でしたが、出産後まもなくすぐに第6子を授かりました。
実際にフェルメールとその妻は実に15人もの子をもうけ、愛情あふれる大家族。
この時代はたくさんの子孫を残す女性が理想像であり、カタリナは時代背景を象徴した存在になっています。
少々出産疲れをのぞかせながらも一心にフェルメールを愛する妻を、エッシー・デイヴィスが中世ヨーロッパの女性っぽい見た目で演じています。
…とこの他にも先輩使用人タネケや、フェルメールとグリートの想いに気付きながらも黙認するお義母様、ちょっと意地の悪いフェルメールの娘、グリートと同年代で恋心を抱き合う肉屋の息子ピーターなんかも登場。
【真珠の耳飾りの少女】はセリフの少ない映画なんですが、まるで絵画を切り取ったかのような映像演出がとても美しく、名画誕生秘話に酔いしれる作品 になっています。
まとめ
ほかのフェルメール絵画とは趣向が異なり、モデルの少女がいたのかさえ未だに謎とされる1枚の名画。
そこから構想を得て、魅惑的に仕上がっている映画が【真珠の耳飾りの少女】です。
- 舞台は17世紀オランダ。運河が流れるデフルトの街
- フェルメールの名画【真珠の耳飾りの少女】の誕生秘話を描いたフィクション作品
中世ヨーロッパでは、女性が第一線で活躍する機会はごく稀でした。
だから、優れた芸術的センスの持ち主だったグリートがもし男性だったら…
きっとフェルメールの弟子として、後世に名を残すほどの名画を描いたんじゃないかなと思います。
表立って発揮することのなかった彼女の才能は、代わりにフェルメールの手によって絵画の中に込められました。
今作は実話ではありませんが、ところどころ時代背景を如実に組み込み、とても興味深いストーリーになっています。
「青いターバンの少女」という別名も活かせるよう「フェルメール・ブルー」と呼ばれるターバンの青い色にちなんで、グリートの父がデフルト・ブルーで絵付けをするタイル絵師だったという演出も、映画制作サイドのこだわりを感じました。
映画【真珠の耳飾りの少女】は、絵画のように美しく流れる映像もさることながら、細かく作り込まれたストーリーに夢中になり、心が豊かに満たされる作品 でした。
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