凶悪犯の命か、10億円か。
日本中が狂気に包まれ、なんと警視庁SPが男の移送警護に専従。
大沢たかお氏・藤原竜也氏・松嶋菜々子さん主演のアクションスリラー映画【藁の楯】の世界へとご案内いたします。
この記事で分かること
- 映画【藁の楯】あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・DVDブルーレイ情報
【藁の楯】法と心情の葛藤物語
SPってカッコいいよね!
…実践警護のエキスパートだからな。
映画【藁の楯】は、罪と罰と欲望が入り混じるアクションスリラー作品。
漫画『BE-BOP-HIGHSCHOOL』の作者きうちがずひろ氏が、本名の木内一裕名義で執筆した小説が原作です。
タイトル「藁の楯」には、意味を成さないもの・役に立たないものという意味があります。
さらに今作で登場する藁クズ以下の凶悪犯、そいつの楯となって護衛するSPをも表現した言い回し。
かなりバイオレンス色が強いお話で、スケールのデッカい設定と出演俳優陣の熱演が見どころです。
- 監督は、バイオレンスの巨匠と謳われる三池崇史氏
- 日本テレビ放送網開局60周年記念作品
- …ということで日テレに加えワーナーBrosも製作に参加
- 第66回カンヌ国際映画祭コンベンション部門正式出品作
- ↑エンタメ作品がカンヌで正式出品されるのは稀
- 主題歌も氷室京介氏の『North of EDEN』と超豪華
主演の大沢たかお氏・松嶋菜々子さん・藤原竜也氏の演技がとにかくすごい!
そのほか脇を固める俳優陣も演技派揃いで、見応えはバッチリです。
…まぁ少々どころか結構なツッコミどころも多いですが、おおむね高評価となっております。
- Amazon prime video 3.8/5
- Filmarks 3.5/5
- Yahoo!3.9/5
キャストの演技とストーリーに加え、演出がまた秀逸です。
実際に存在し得る人物たちによる、実際には起こり得ないであろう出来事。
でももし実際に起こったら、どうなってしまうのか。
…という妄想と期待と恐怖を、見事に映像で表現しきっています。
幼女ばかりを狙った連続殺人犯の男と、彼に10億円もの懸賞金を懸ける人物。
そして命をかけて任務にあたる警視庁の凄腕SP。
法と私刑の狭間で揺れる事件の行く末を、緊張感たっぷりに描いた日本映画 が【藁の楯】です。
映画【藁の楯】基本情報
藁の楯 わらのたて | 2013年 日本映画 |
ジャンル | アクション・スリラー |
監督 | 三池崇史 |
原作 | 木内一裕 『』『藁の楯』 |
上映時間 | 125分 |
出演 | 大沢たかお、松嶋菜々子、藤原竜也、永山絢斗、岸谷五朗ほか |
動画配信サービス | Amazonプライムビデオ(レンタル作品) |
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【藁の楯】凶悪犯の命=10億円
物語の始まりは、東京都世田谷区で発生した事件の様子から。
まだ7歳の少女・蜷川知香ちゃんが殺害され、無残な姿となって発見されます。
- 知香ちゃんの遺体には、犯人のものと思われるDNAが
- DNA鑑定の結果、清丸国秀(29)のものと判明
- 都内で起きた重大事件のため、警視庁に特別捜査本部が設置された
- 実は清丸は8年前にも幼女殺害事件を起こしてる
- しかも服役して3か月前に出所したばかり
- 現在、清丸はどこかに潜伏・逃走中
服役して罪を償ったのかと思ったら。
…また同じ事件を起こすなんて、異常さを感じるよな。
罪を犯して有罪となり、懲役を終えての出所。
前科があっても改心して社会復帰する元犯罪者がいる一方で、過ちを繰り返してしまう犯罪者も存在します。
残念なことに清丸は、同様の事件を繰り返す後者の人間。つまりは再犯者。
さらに他にも余罪があると噂される、小児性愛者の連続殺人犯でした。
- 子を奪われた両親の心痛は計り知れず
- 警察の捜査が続くも、清丸の足取りは未だ掴めていない
- そんな折、新聞各紙にとんでもない広告が
- 清丸の顔写真とともに「この男を殺して下さい」
- それだけでなく「殺した御礼に10億円お支払いします」と
なんだ、この物騒な広告は!
…普通ならあり得ない広告だな。
不特定多数の目に触れる新聞各紙の掲載内容は、何度かの確認と校正を経てゲラ刷り(印刷)されるのが一般的。
広告欄も例外ではなく、そもそも犯罪を唆すような表現は事前に弾くよう徹底管理されています。
ではなぜ大々的に、金で清丸殺害を依頼する内容が掲載されたのか。
そこには経済界の超大物による、あってはならない裏工作がありました。
- 殺された知香ちゃんの祖父は、経団連の元会長・蜷川隆興
- 総資産1,000億円を超えると言われる財力と権力の持ち主
- 可愛い孫娘が無残な殺され方をしたことで、私的な制裁を下すことに
- 広告に携わる新聞社員を多額の報奨金で買収
- おかげで広告の載った新聞は無事発行
- …と同時に、65名の者が一斉に辞表を提出
え。65名も買収したの!?
…これはまだ、ほんの序の口だ。
老い先短い我が人生。
有り余る資産を無駄に残すより、孫娘の仇討ちに投じたほうが価値がある。
そう考えた蜷川氏は、現代的手法でも清丸殺しを斡旋します。
- インターネットを用いて「清丸サイト」を開設
- 自ら生配信を行い、新聞広告について補足
- まず本気である証、懸賞金10億円の実物を用意
- さらに受け取り条件を口頭で説明
- 一.清丸に対する殺人罪、もしくは傷害致死で有罪判決を受けた者。複数可
- 二.国家の許可を持って清丸国秀を殺害した者
- どちらかの条件を満たした者に、10億円ゲットの権利が
生配信で殺人教唆…。警視庁のサイバー犯罪対策課の出番だ!
…「清丸サイト」の配信元、強制閉鎖できない海外の裏サーバーなんだよ。
すでに刊行済みの新聞広告。
そして閉鎖不可能、ハッキングもできない清丸サイト。
取り消せない2パターンの殺人教唆広告宣伝は、世間に多大なる影響を与え始めてしまいます。
- 東京で事件を起こした清丸は今、福岡に潜伏中
- 刑務所で知り合った元犯罪者・田中が匿っていた
- …が、蜷川氏の懸賞金広告を知った田中が清丸を襲撃
- 命からがら逃げた清丸は、血塗れ姿で福岡南署に出頭
おぉ。意外な形で迅速に犯人逮捕。
…問題は、ここからだ。
懸賞金の10億円欲しさに、ガチで清丸を殺しにいった前科者の田中。
あえなく御用と相成りますが、蜷川氏はこうした事態も予測していたようで。
未遂に終わった田中に対し、殺しにいった行動力の対価として1億円…プラス蜷川グループの社員ポストまで与えます。
葬れば10億円。未遂でも1億円。
どちらにしても、大企業の社員登用のオマケ付き。
蜷川隆興が仕掛けた大盤振る舞いの復讐劇は、更なる過酷な事態へと発展 するのでございます。
前代未聞の移送劇
幼女殺害の前科があり、またしても同様の事件を起こした清丸国秀。
彼の犯した犯罪は、世間を騒がせ混乱を招くような「社会的反響の大きな重要事件」です。
このような凶悪事件の捜査は、管轄の警察署または警視庁に設置した特別捜査本部が行います。
そして犯人逮捕に至った場合、この特別捜査本部へ身柄を移送するのが慣例。
つまり福岡南署で逮捕・拘留中の清丸は、特別捜査本部のある東京・警視庁に身柄を移す必要がありました。
- 移送は逮捕から48時間以内という制限がある
- もし遠方で逮捕された場合も48時間以内
- 通常ならスムーズな慣例だが、清丸に対する蜷川氏の高額懸賞金がネックに
- 田中に続け!と、清丸の命を狙う者が続出する可能性が
福岡ー東京間って、1,200kmもあるじゃない!
…だから警視庁は、清丸の護衛にSPをつけることにしたんだ。
セキュリティポリス、通称SP。
それは内閣総理大臣などの公人を、身を呈してお護りする警護専門のエリート警察官。
立法・行政・司法で重要ポジションにいる高官や外国要人など、SPには専従する警護対象者が決まっています。
- 唯一1977年〜2010年の間だけ、経団連の会長にSPがついた実際の事例がある
- …が、現在は政府高官のみが警護対象
- つまりSPが民間人を警護することは無い
- まして凶悪犯の移送に従事など前例もない
前代未聞の緊急事態?
…それも問題が山積みの、な。
今回清丸の移送を行うのは、警視庁捜査一課の奥村武と神箸正樹、そして福岡で合流する県警刑事が1名。
警護にあたるSPは、外国要人・機動警備担当の第3係から銘苅一基、東京都知事担当の第4係から白岩篤子の2名です。
実はSPは男性ばかりではなく、女性SPも実在します。
そうしたリアルを反映しつつ、凶悪犯・清丸の長距離移送が幕を開けます。
- まずは身柄受渡のため、奥村・神箸・銘苅・白岩の4名が福岡へ
- 清丸は福岡南署で拘留中のため、殺される心配はない
- …と思いきや、留置係の警官が刃物で清丸を切りつけた
- 銘苅たちは救急搬送された病院で清丸と対面
- そんな中、今度は病院看護師が清丸殺害未遂を起こした
警察や病院にいれば安全かと思ったら。
…事態は刻々と、悪い方向に向かってる。
短期間で何度も殺されそうになり、泣き叫んで文句を言う清丸。
人の命を奪ったくせに、自分の命の危機には過剰に反応するとは。コイツは真のクズですね。
- そんなクズい清丸でも、SPの2人は護らなければならない
- 早くも先行き不安だが、さらに移送手段でトラブル発生
- 清丸&移送チーム搭乗予定の飛行機に、整備員が墜落するよう細工
- 空路が使えなくなり、ダミーを交えた大規模な護送車集団に変更
- …したが、清丸の乗った護送車両情報が「清丸サイト」に筒抜け
めっちゃ一般人が集まってる( ̄д ̄;)
…野次馬よりも厄介なのは、護送車集団のほうだぞ。
厳重警備態勢の中、わざわざ一般人が清丸を襲撃するとは考えにくい状況です。
むしろ危険なのは訓練を積み、銃器を携帯している大勢の機動隊員のほう。
拘留中に警官が清丸を襲った経緯もあり、この不安は的中してしまいます。
- 清丸の位置情報が漏れているため、護送車移送は一時中断
- …とそこへ、可燃物を積んだ大型トラックが突っ込み爆発・炎上
- 現場は混乱、さらに伝令と称して機動隊員が清丸を銃撃してきた
- SPの銘苅は清丸を護るため、自らの身体で銃弾を阻止
- 防弾チョッキのおかげで銘苅は無事。もちろん清丸も無傷で無事
たとえ相手が凶悪犯でも。
…警護対象者を護り抜くのが、SPの職務なんだな。
銘苅だけでなく白岩も、同行する捜査一課の刑事すら清丸に近づけない徹底した警護ぶり。
しかし肝心の清丸は、彼らの横で薄ら笑いを浮かべて高みの見物ときたもんです。
- 清丸の態度は胸糞悪いったらありゃしない
- …が、位置情報が漏れていることのほうが大問題
- 内密で鉄道移送に切り替えたが、やっぱり位置情報が漏れている
- おかげで列車内にチャカを持った893が現れ、捜査一課の神箸が蜂の巣に
とうとう移送中に犠牲者が。
…それでも蜷川はまだ、懸賞金をばら撒き続けるんだよ。
ただ10億円が欲しいだけの者、事情があって金が必要な者、清丸本人に恨みを持つ者など。
もはや善人悪人問わず、日本国民1億2千万人が蜷川の放った刺客同然となってしまいます。
金とは、かくも人を狂わせるものなのか。
それとも相手が凶悪な殺人犯だから、殺しても良いと思えるのか。
そもそもこんなクズ男、命をかけて護る価値があるのだろうか。
こうした様々な思惑が渦巻く中、それでも清丸を護り続ける銘苅と白岩の両SP。
しかし移送には更なる困難が待ち受け、些細な隙をついた清丸が「おばさん臭い」という理由で白岩を射殺する事態に。
法を冒す者と守る者、その周りでうごめく憎悪と欲望。
前代未聞の凶悪犯移送劇は、観る者の倫理観をも問う結末に… というのが大まかなあらすじになります。
【藁の楯】日本中が敵となる登場人物たち
今作の醍醐味は、話のスケールがぶっ飛んでいるところ。
…と、出演俳優陣の熱い演技。
それぞれの心情にガツンと衝撃を喰らう、登場人物たちをご紹介いたしましょう。
銘苅一基は、警視庁警備部警護課警護第3係所属のSP。
階級は警部補、清丸の警護にあたる人物です。
妊娠中の妻がいましたが、交通刑務所で服役歴のある飲酒運転の無免許ドライバーによって、轢き殺された過去があります。
この犯人はいわゆる再犯者。そして今回、警護対象者となった清丸も再犯者。
複雑な想いを抱きながらも、最後まで任務に徹するその姿は、SPとしても人としてもエキスパートだと思います。
白岩篤子は、警視庁警備部警護課警護第4係所属のSP。
階級は巡査部長、銘苅と共に清丸の警護にあたる人物です。
逮捕術・射撃術はトップクラス、剣道5段と超優秀な女性。
小学5年の息子がいるシングルマザーで、出世は難しいと言われながらも人一倍出世欲が強いです。
…が、今回一瞬の隙を突かれて銃弾に倒れ、殉職。
白岩役の松嶋菜々子さんを「おばさん臭い」と言い放った、清丸役の藤原竜也氏が憎たらしい(笑)
清丸国秀は、幼女連続殺人犯の青年。
経団連の元会長の孫娘を殺めたことで、10億円の賞金首となってしまいます。
言動には明らかな異常性が見て取れ、微塵も同情の余地のないKING OF クズです。
あなたはこの男、殺されても当然と感じますか?
最後の最後まで清々しいほどの胸糞男、イラっとしながらも是非ご注目を。
奥村武は、警視庁刑事部捜査一課のベテラン刑事。
階級は警部補、清丸移送の任務に就く人物です。
同行するSP2名をあまり信用しておらず、特に銘苅の過去に執拗に絡むいやらしさがあります。
職務に忠実である反面、何を考えているか掴めない性格が少々不気味です。
神箸正樹は、警視庁刑事部捜査一課の若手刑事。
階級は巡査部長、奥村の部下で清丸移送の任務に就く人物です。
知香ちゃん殺害現場に立ち会っており、清丸は殺されても良い、何なら殺してしまいたい激情を剥き出しにしています。
奥村同様SP2名に不信感アリアリですが、銘苅の過去と今の姿を見て職務をまっとう。
高速鉄道車両内で、命を落としてしまいます。
蜷川隆興は、財界の超大物。
総資産1,000億円を持つらしい、経団連の元会長です。
7歳の孫娘・知香ちゃんの人生を奪った清丸に対し、財力と権力で私刑を敢行。
杖をついて歩くのもやっとのおじいちゃんですが、瞳の奥の悲しみと憎しみが鋭くこちらに突き刺さります。
10億円の懸賞金と清丸移送の行く末に、大きく関わる重要人物です。
…と、この他に、清丸事件と一連の騒動を追う警視庁の面々、清丸を襲撃する一般市民などが登場。
「命の重さは平等」という当たり前の概念が覆されかねない、恐ろしい作品 となっております。
【藁の楯】感想まとめ
あるひとつの事件が日本中を巻き込み、大騒動へと発展。
ありえないと言い切るには、あまりにリアルな描写にゾワっとします。
- 幼女連続殺人犯の男が、財界の超大物の孫娘を殺害
- 少女の祖父は10億円の懸賞金を懸け、男の殺害実行犯を募集
- 男は命を狙われ、逃亡先の福岡で警察に出頭
- 警視庁への身柄移送が決定され、SPが男の護衛任務に
- 懸賞金目当てで男を襲う人々が続出し、移送は困難を極めた
今作の面白いところは、情報の恐ろしさ。
まず、凶悪犯・清丸による犯行当時の描写がありません。
にも関わらず、ストーリーの流れ的に、清丸が幼女連続殺人犯であることが分かります。
これは警察の動き、蜷川元会長が仕掛けた広告、マスコミやネットの情報という形で描かれているから。
よくよく考えると憶測からの判断で、確かな証拠を突きつけられなくても清丸凶悪犯像が成り立ってしまってます。
何が正しくて何がガセなのか。
今や情報の信憑性は、誰かが教えてくれるのではなく自分で判断している時代です。
清丸が凶悪犯であることを伝える描写は、憶測を交えて正誤を導き出す現代社会の縮図のよう。
少しの情報で、全てを正しく把握してると思うなよ!
…という、三池崇史監督からの警鐘のように感じました。
さらに面白く恐ろしいのは、命や法に対する心理と倫理観の描き方。
清丸を演じた藤原竜也氏が、本当にクソでクズすぎて(笑)
こんな悪はこの世から抹殺した方が良い。
10億円も貰えるなら犯罪ドンと来い!
…と、倫理観が歪んでしまう人が実在するんじゃないかと思ってしまい、心底ガクブルしました。
でも大切な人を亡くして、自分の持てる全てを懸けて復讐したい蜷川元会長の気持ちも分かる気がしたり。
その一方で、過去にワケアリであっても、頑なに法を遵守するSPの人間性に希望を感じて安堵したり。
映画【藁の楯】は、誰か一人に共感するのではなく、作品の随所で自分の心理と倫理が試されるような傑作 でした。
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