タガが外れた人間の狂気。
理解に苦しむぶっ飛んだ理性ほど怖いものはありません。
…ということで、戦慄しまくるサイコパス映画おすすめ15選をお届けします。
この記事で分かること
- 名作・実話系・コメディタッチの狂気を15本ピックアップ
- あらすじ概要や見どころをざっくりと
- 予告動画
- ブルーレイDVD情報(←ない作品もあります)
サイコ (1960)
サイコ映画といったら、まずはこちら。
文字通りタイトルが【サイコ】のヒッチコック作品は、ぜひネタバレ情報ナシで観てほしい傑作です。
- あえてモノクロ撮影したサイコホラーのパイオニア
- 初めて映画で「トイレで水が流れるシーン」を盛り込んだ検閲泣かせの1作
- 音・BGM・小道具・影など、恐怖を煽る細かな演出はまさに芸術
- 初めはサスペンス・ちょっとスリラー・最後はサイコ
- …というジャンルスイッチムービー仕立て
今観ると、ストーリーはありきたりに見えるかもしれません。
が、計算し尽くされた数々の伏線の妙は圧巻。
性描写・暴力シーン・女装など、当時の映画倫理観をことごとく覆して大騒ぎにもなった名作です。
ヒッチコックの不気味で不穏な作風とは少し異質なタイプの作品。
時計仕掛けのオレンジ (1972)
暴力の楽しさを露骨に描き切り、上映禁止にもなった映画が【時計仕掛けのオレンジ】
独特の世界観と色使いが特徴のスタンリー・キューブリック監督作です。
- 原作は語学学者でもあるイギリスの作家アンソニー・バージェンスの同名小説
- やりたい放題ヤンチャしまくるクレイジー小僧が主人公
- 更生のためにわけわからん強制治療を施され、暴力恐怖症に
- …という洗脳が解けたら、元来の狂人っぷりが倍返しでリバウンドしちゃったお話
- 独特の若者言葉「ナッドサット語録」も見どころ
心の奥底に誰もが持っているであろう凶暴性が弾けたとき、誰もが狂人になりうる恐怖を感じます。
洗練された映像展開で、バイオレンスをとことんエネルギッシュなエンタメに昇華させちゃった作品。
ザ・バニシング-消失- (1988)
サイコパス映画なのに、バイオレンス要素やスプラッター要素が皆無。
恐ろしい描写がないのに恐ろしい…という異色作が【ザ・バニシング-消失-】です。
- カップルの女性がドライブデート中に忽然と失踪
- カレシは3年間ずっと彼女を探し続け、あるとき連れ去ったであろう変質者からコンタクトが
- 彼女失踪の真相は犯人の主観で明かされることに
必ずしも毎回成功しているわけではないという、変質者の連れ去り手口の過程に震撼します。
結局あの彼女はどうなったのか、という肝心の謎を最後まで引っ張る作り込みも秀逸。
鑑賞者の心理を操り、観終わったあと心の中に飄々とした邪悪なものが入り込んでくる作品。
ゴーン・ガール (2014)
ひと組の夫婦を中心に、結婚がもたらす狂気・世間の狂気を描いた映画が【ゴーン・ガール】
ブラックユーモアすら感じさせるサイコサスペンスになっています。
- 原作はギリアン・フリンの大ベストセラー小説
- 仲睦まじいある夫婦に、結婚5周年目で事件が発生
- 突如妻が姿を消し、警察やマスコミを巻き込んで大騒動に
- やがて夫に妻殺害の嫌疑がかけられ、追い詰める側・追い詰められる側の心理がサイケデリック
ストーリーの軸となる夫婦がクレイジーなのは確かですが、勝手な憶測で事件の結論を見出す世間もまたクレイジーです。
夫婦のあり方・見せかけの幸せ・綻びを執拗につつく群衆。
ミステリアスな展開の中で、この世の全てがサイコじゃないかと思わされる作品。
アメリカン・サイコ (2000)
自他共に認める勝ち組エリートの本性を描いた【アメリカン・サイコ】
何不自由なく暮らす青年の身勝手なマウンティング、思うがままに行う快楽殺人にヘドが出ます。
- 原作はブレッド・イーストン・エリスの長編小説
- 顔良し・頭良し・稼ぎも良し。外面はいいけど中身が鬼畜なハイクラスmen’sが主人公
- 自分以外の人間は価値がないから、気に食わない奴は殺して排除
- ついでにストレス発散、面白半分でも殺す
- …という鬼畜をクリスチャン・ベイルが憎たらしく熱演
「人を見下す」行為は、エリートでなくても持ち合わせている深層心理です。
いくらでも他人にいい顔を出来るけど、その裏では何とも思っていないし、むしろどうでもいい。
こんな本音を誰しも持っていますが、その延長線上には本来理性が働きます。
ところが主人公には「何とも思ってないからどう扱ってもいいし、楽しいから殺す♪」という独自理論が。
あるはずの理性が欠けたエリート青年の狂気に胸くそ悪くなる作品。
パフューム ある人殺しの物語 (2007)
【パフューム ある人殺しの物語】は、並外れた才能が人の道を踏み外す狂気に繋がる芸術作。
悪臭漂う18世紀フランスを舞台に、女性の体液で香水を作るという、なんとも気持ち悪いお話です。
- 世界45カ国で1500万部の大ベストセラー、パトリック・ジュースキントの小説が原作
- 驚異的な嗅覚を持った青年は、ある少女の体液がいい匂い過ぎて誤って殺害
- 少女から漂っていた芳しい体臭を再現しようと、調香師に
- 「究極の香水」を追い求め、女性を殺しては体液を収集する連続殺人鬼に成り果てた
ただキモいサイコパスを観続けるわけではなく、臭さと芳しさすら感じる圧倒的な映像美が見どころ。
才能と美学が歪に絡み、青年が歩んだ不器用な人生が描かれています。
青年が追い求めたもの。
それはただ心地良い安らぎを感じる香り。
民衆も彼の香水に結局酔いしれ、香りが人々を惑わす世界観が狂おしくも美しく、切なさも感じる作品。
ハウス・ジャック・ビルド (2018)
狂ってる以外の何者でもない、ショッキングな映像のオンパレード。
【ハウス・ジャック・ビルド】は、152分間ひたすら狂気の瘴気にあてられる衝撃作です。
- 建築家ジャックは、殺人をアートと称して完遂していくシリアルキラー
- 彼の12年間に及ぶ、倫理をガン無視した「アート(殺人)」はどれも血塗れブッシャー
- 吐き気すらもよおす芸術的惨殺が見どころ
気分が悪くなるほどの狂気なのに、サイコ野郎ジャックには魅入ってしまうカリスマ性があります。
ということで、ひとつ注意とお願いが。
※それなりの覚悟を持って、自己責任で鑑賞しておくれやす。
これでもか!と、テンポよく全てさらけ出し過ぎ・センセーショナル過ぎな作品。
Mr.タスク (2015)
人間、いくつになっても夢を追い続けたいもんです。
…が、ちょっと待て。
そう言いたくなる奇人変人老人のクレイジー映画が【Mr.タスク】
- とある老人には、忘れられないセイウチとの思い出が
- どうしても心残りなことがあり。…ならばセイウチを作ってみよう!
- ということで、博士でも医者でもないジジィが人間魔改造を計画
いや、魔改造って何。
っていうかセイウチって何(笑)
切ったり縫ったりを繰り返し、完成した「セイウチ人間」はまさにサイコパスの成せる技。
おったまげな設定・なんじゃこりゃな結末・ツッコミ所が満載だけどシリアスなお話です。
「ムカデ人間」「武器人間」と並んで人間シリーズのひとつにカウントしてもいいだろう作品。
ディケイド 腐敗する者たち (2020)
まるで仮面ライダーシリーズのようなタイトルの【ディケイド 腐敗する者たち】
もちろんライダーとは無関係、ついでに「腐敗する者たち」といいながら、ゾンビも無関係だし腐敗する者はオンリーワン。
ホラーでもサスペンスでもない、奇妙な狂人物語です。
- 未婚で潔癖症の中年男性が主人公
- 殺人を犯すとか、千切ってああしてこうして…な怖さはない
- 中年男性の家に押し入ったコソ泥少女がたまたま事故死
- その遺体を眺めて暮らすだけのお話
- とにかく気色悪い謎展開が見どころ
社会には適応しているけれど、ほんの少し心を病んでる中年オッサン。
心を許せる、本音を言えるのは君だけだよ…
そんな思いで腐りゆく死体を愛しむ姿の異常さが描かれています。
もう少し詳しい考察はこちらでも解説↓
あぁ、もうキモい(笑)
惨殺無双のサイコパスとはひと味もふた味も違う、病み系サイコパス作品。
屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ (2019)
1970年代。
ドイツ・ハンブルクに実在した連続殺人犯の姿を描いたのが【屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ】
安アパートの屋根裏に住む、容姿劣悪・気弱で人畜無害そうに見えるフリッツ・ホンカの日常を垣間見る物語です。
- フリッツ・ホンカは、残忍さを持った殺人鬼ではない
- 不細工なのにナンパを繰り返し、振られてバカにされた回数は星の数ほど
- 妙齢の娼婦を屋根裏にお持ち帰りすることはある
- …が、汚い部屋・汚い容姿を小馬鹿にされ、衝動的に殺害
- 自制が効かず、4件の殺人を犯すことに
ごくありふれた生活の中で、不意に現れるブチ切れた狂気。
実在した殺人鬼がモチーフの、かなりドン引きする生き様が見どころの作品。
コリアタウン殺人事件 (2020)
不気味さMAXなのが【コリアタウン殺人事件】
この映画の存在自体がサイコでマッド、不気味で意味不明…と今SNSなどで話題になりつつあります。
- Amazonプライムビデオのみの配信作
- 監督・脚本・キャスト・制作元など一切不明
- 個人が撮影したハンディカム映像。いわゆるPOV形式
- 2017年、ロスのコリアタウンで起きた殺人事件の謎を追う映像
妻が夫を殺害という、在米韓国人夫婦の殺人事件がストーリーのベースになっています。
すぐ近くで起こったこの事件に興味を持った男性が、「なぜ妻は夫を殺したのか」を徹底追跡。
といっても警察や司法の資料が手に入るわけではなく、完全に独自の調査です。
道路に残された血痕、逮捕された家と遺体発見現場が離れていることなど。
事件の謎に取り憑かれ、何でもかんでも事件と結びつけていく姿がひどく狂人じみています。
憶測で情報を結びつけ、それが真実かのように垂れ流す現代社会の縮図のような作品。
THE 4TH KIND (2009)
信じるか信じないかはあなた次第。
そんな意味深なセリフから始まる映画が【THE 4TH KIND】
記録映像・再現映像の形で進行するモキュメンタリーです。
- 有名ハリウッド女優ミラ・ジョヴォヴィッチ主演
- アラスカ州ノームで、原因不明の不眠症に悩まされた住民が次々と発狂
- 個人の潜在的なサイコパス心理ではなく、集団サイコパス発生の真相に迫るお話
- 実際にあった事件が元。関わった博士も実在し、博士本人の映像も
- …というとんでもないフェイクニュースまで制作し、ユニバーサルが番宣に用いた
実話なの?ノームで起こった事件て何?
…と、ひたすら好奇心と恐怖心を煽り、ハラハラする展開は普通にスリリングなサスペンスです。
え、じゃぁどこがサイコパス映画なの。
それは制作サイドの興行収益狙いの狂気(笑)
なんと。
誰もが知っている大手映画製作会社ユニバーサル・ピクチャーズが、とんでもなく大掛かりなマユツバストーリーをでっち上げました。
実際に起こった事件でもなければ博士も実在せず、記録映像もフェイク。
まんまと乗せられ、実話だと信じそうになる情報操作に1番恐怖と衝撃を喰らう作品。
割礼者 (2018)
作り物のサイコパスではなく、本当の狂人を。
現在Amazonプライムビデオのみで配信中、真のドキュメンタリーが【割礼者】です。
- 監督はドキュメンタリージャーナリストのミカエル・クリント氏
- 実話に基づくどころか、まさに実話
- 女性性器を切り取る「割礼」という儀式を行った狂人に直接インタビュー
- 計21名の女性が被害に遭い、中には死亡した方も
- 狂人は切除した女性性器を冷凍庫に保存。証拠バッチリで逮捕
- 映像は56分間。その後の裁判の様子も収められている
強行に及んだ男性はごく普通、そこら辺の近所のオッサンです。
ただし罪の意識も理性も倫理観も全くありません。
本物のサイコパスとは、いかにも狂人という特徴があるわけではない真実に驚きます。
当たり前の日常に、おかしな狂人が潜んでいるかもしれないおぞましさに身震いする作品。
ハッピーボイス・キラー (2014)
重過ぎ・グロすぎ・病みそうになるサイコパスはもう勘弁。
そんなあなたの気分をハッピーにする(?)
ポップでコミカル、されどやっぱりクレイジーな病み系サイコ映画が【ハッピーボイス・キラー】
- ちょっと精神疾患のある青年が主人公
- バスタブ製造工場勤務、普通に社会生活を満喫
- …してるけど、家に帰れば冷蔵庫の中に元カノの生首が
- さらに飼い猫・飼い犬は人語も話す
- …という幻覚と幻聴が日常茶飯事
- 薬を飲み忘れて症状が悪化。殺人の快楽に目覚めてヒャッハーするお話
精神病み系の闇を、突き抜けてバカバカしくも白々しく大袈裟に描写。
幻覚・幻聴・精神不安定。
吹っ切ったぶっ飛びようですが、見方によってはリアルで深刻な問題に触れている作品。
バーニー・トムソンの殺人日記 (2017)
連続殺人劇をユーモラスに描いたのが【バーニー・トムソンの殺人日記】
殺すつもりはなかったのに、なんやかんやでいくつもつみを重ねちゃうブラックコメディです。
- うだつの上がらない理容師バーニーが主人公
- 勤務先をクビになり、オーナーと言い争ってる拍子にハサミで刺殺
- …という殺人を犯し、テンパってママに相談
- ママの回答「遺体を切ってジップロックしてラベル貼って冷凍庫入れときな」
- さらにバーニーの周囲で事件が発生。また弾みで殺人を
- アンラッキーな殺人を繰り返すも、ラッキーなことに検挙されず
気弱でマザコンで強運の持ち主。
そんなバーニーが犯す殺人、周囲の人間、役立たずすぎる警官たち。
どいつもこいつ人間性に問題アリアリで、同情の余地もないくだらなさ、クズさがブラックすぎる作品。
…ということで、シリルキラーが登場するおすすめサイコパス映画15選をお届けしました。
悪霊・怨霊・悪魔といったオカルトより、よっぽど怖いのが人間の秘めたる狂気。
マッドでクレイジーで胸糞悪くなる作品チョイスのお役に立てれば、恐悦至極にございます。
ビジュアルからしておぞましい、ゾンビに襲われる恐怖もぜひ。
オブザデッド系映画15選もあわせてどうぞ↓
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