映画【ディケイド 腐敗する者たち】あらすじ考察レビュー/中年男の病んだ世界

洋画

ひとことで言うと、薄気味悪いサイコストーリー。

ホラーともサスペンスとも言い難い、奇妙な狂人の姿を描いた映画【ディケイド 腐敗する者たち】の考察レビューをお届けします。

 

 

この記事で分かること

  • あらすじ概要・予告動画
  • 演出に込められた意味を解説

※ネタバレ気味で考察しております。

未鑑賞の場合はご注意ください。

 

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【ディケイド 腐敗する者たち】あらすじ概要

中年男ジョナサンは、毎日決まった時間に出勤・帰宅する遊園地の清掃員。

潔癖症で心配性、家の鍵なんていくつ付いてるんだ!というほど防犯意識も高い変わり者です。

ある日のこと。

ここの住人、多分アレだからクスリやってるに違いない…

と、近所の少女2人がジョナサンの家の窓をぶち破って侵入。

玄関の無数の鍵の意味もなく、少女らは葉っぱを探して家内をウロつきます。

そこへいつものようにジョナサンが帰宅し、物音に気付いて地下室へ。

物色中の少女の1人は突然声をかけられ驚いて転倒し、打ち所が悪く亡くなってしまいます。

連れの少女はそれを見て「ひっ!殺される」とダッシュで逃走。

これまた運悪く、たまたま通りかかった車に跳ねられて即死。

一切悪くないジョナサンですが、なぜか家の中で転倒死した少女の死体を隠蔽することに。

バスルームで氷漬けにし、防腐処置も施し、なんとそのまま同棲を始めます。

ときに車椅子に縛りつけて食卓を囲み、ときにキレイキレイに拭いてやり。

ところが死体は日に日に腐り、潔癖症のジョナサンは耐えがたい苦痛に襲われ精神を病むことに。

人を殺めるサイコパスではなく、ただただ死体と暮らして病んでいく…という、気色悪い狂人物語。

 

映画【ディケイド 腐敗する者たち】

Decay – Trailer

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映画【ディケイド 腐敗する者たち】基本情報

ディケイド 腐敗する者たち2015年 アメリカ映画
ジャンルサイコ・ホラー・サスペンス
監督・脚本ジョセフ・ワートナーチェイニー
上映時間98分
出演ロブ・ザブレツキー、リサ・ハワード他
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【ディケイド 腐敗する者たち】作り込まれた演出を考察

引用:Amazonプライムビデオ

ジャケからはいかにもなホラー感、キャッチコピーからはサスペンスオーラも漂う映画【ディケイド 腐敗する者たち】

要はちょっと病んでるオッサンが、何を思ったか死体と同棲を始め、さらに病んでいくお話です。

実際観てみると、どこがホラー?どこがサスペンス?という謎展開だらけになっています。

おまけに地味だし薄暗いし、けっこうあちこち意味不明…

なんですが、実は計算し尽くされた驚きの演出 がチラホラと。

…ということで、ここからはネタバレありきの演出考察と参ります。

未見の方はくれぐれもご注意ください。

 

タイトルが意味するもの

まずは映画の顔とも言えるタイトルから。

今作の原題は【DECAY】です。

邦題は過去形の【ディケイド】が用いられ、まるで仮面ライダーシリーズみたいなタイトルになっちゃってます。

おかげで検索しても、ほぼ仮面ライダーディケイドがヒットしちゃうという、ありがた迷惑な状態に。

しかも副題は【腐敗する者たち】と、腐りゆく死体は1体なのに「たち」がついちゃってます。

…「たち」って誰と誰やねん。

というと、原題と内容をちゃんと反映した形の邦題なんです。

 

  • 原題のDECAYは、「(動植物が)腐っていく」「(人の心が)腐っていく」という意味の英語
  • 肉体的に腐る少女の死体・病んで心が腐りゆく主人公、両方にぴったり当てはまるタイトル
  • 死体少女と病み主人公、2人のDECAY=腐敗する者が登場するので、「たち」になってる

 

そもそもDECAYなんて単語、馴染み薄い英語ですよね。

それをわざわざ邦題で過去形ディケイドにしたのは…

仮面ライダーシリーズっぽくて、馴染みありげな単語になるから?(←知らんがな)

これは、結末まで引っくるめたら過去形のほうがしっくりきたんだと思います。

ひと通り観終わると分かりますが、主人公の病みは今に始まったことではありません。

死体と暮らし始めたから病んでいったように見せかけて、主人公はすでに過去の段階で病んでいた…

そんなオチなので、ディケイドと過去形にしたことでネタバレしちゃってることになります。

イケズな邦題ですね(笑)

 

異常なまでの鍵へのこだわり

主人公ジョナサンには、2つの趣味があります。

そのひとつが「鍵集め」

 

  • 落とし物とはいえ、ひと様の家の鍵をコレクターするキショさを表現
  • あとはジョナサンの憧れを形として表現

 

鍵をコレクションする行為自体は、そこまでおかしな趣味ではありません。

変わった形・アンティークな形の鍵って、なんだか魅力的ですし。

ただジョナサンの場合は、「ひと様のお家の鍵」であるところがポイントです。

のちにジョナサンは、なぜ鍵を集めているの?という同僚からの質問にこう答えています↓

『その鍵の扉の向こうには、その家のどんな生活があるのか想像するのが楽しいんだ』

……キショいことに変わりませんが(笑)

何重にも施錠されたジョナサンの家では、戸締りが最重要項目です。

忘れたらお仕置き、いつも怖いママの言いなり。

あれもダメこれもダメという躾の中で、ジョナサンに残された楽しみは空想することだけでした。

抑圧され続けた自分の家とは違う、ひと様の暮らしぶりはもはや憧れ。

なんだか切ない趣味ですね。

 

地下で栽培する花

ジョナサンの趣味・その②

彼は地下室でお花を栽培しています。

何の花?というと、胡蝶蘭

なぜ胡蝶蘭?というのにも、演出の理由があります。

 

  • 胡蝶蘭は虫に弱く、穢れに弱いデリケートな花
  • ジョナサンも潔癖症でデリケート。胡蝶蘭と通づるものがある
  • 室内栽培向きなので、地下室で栽培という設定もアリ

 

子供の頃、ジョナサンは窓の外で鳴く子犬を飼いたがっているシーンがあります。

が、「外は穢れてる」「生き物は人間も含めて穢れてる」というママ理論から却下。

大人になっても生き物を育てたい願望があり、穢れなき家の中で栽培できる胡蝶蘭なら願いが叶うアイテムだったんでしょう。

さらに胡蝶蘭にはこんな特徴も。

 

  • 胡蝶蘭は50年生きる長寿花
  • 花が落ちても、お手入れ次第で何度でも茎が伸び花を咲かせる
  • 胡蝶蘭という名前は蝶に似ていることが由来だが、蝶ではない

 

ジョナサンは普通のオッサンに見えますが、普通のオッサンではありません。

死体と暮らし、心が堕ちでも、結局は死体と決別して人生を再び咲かせんと立ち直ります。

そしておそらくジョナサンはアラフフォーもしくはアラフィフのお年頃。

なんだか胡蝶蘭に似てません?

花の種類が胡蝶蘭なのは、花の特徴とジョナサンの人物像をリンクさせるためのアイテムでもあります。

 

死体を愛しむ理由

そもそもなんで死体と暮らすのさ。

それはジョナサンが病んだ人格だから。

確かにそうですが、それを言ったら元も子もありません(笑)

 

  • 生き物を飼いたい衝動が爆発
  • 他人を家に入れたい、関わり合いたい欲望もあった
  • 生きてないから関わり合いもへったくれもないが、むしろ死体のほうが好都合

 

さしずめこんな理由から、死体と同棲しちゃったように思います。

なぜ死体なら好都合だったのかは、ジョナサンの家の壁にあった剥製がヒントかと。

これは子供の頃、ママと暮らしていた頃にはありませんでした。

生き物に対する執着心があるけれど、生きたままでは穢れてる。

剥製なら生き物の姿も拝めるし、穢れもない。

つまりジョナサンにとっては「生きた誰か」ではなく「死んだ誰か」なら、穢れもなく願望も叶えられるうってつけのブツだったのです。

だから大事に扱い、剥製のように防腐処置し、まるで恋人のように暮らし。

願いが叶って掴んだ束の間の幸せ、初カノが死体だったなんて、やっぱり病んでますけどね。

 

ロマンチックな浴室でのキャンドル

どんなに大事に扱おうが、氷漬けにしようが防腐処置しようが、ミイラにでもしない限り人間死んだら腐ります。

案の定、地下室の少女の死体もウジがわき、肉が溶け始め、見るも無残な姿に

 

  • ところがほんわかロマンチックな入浴シーンが
  • 腐った部分が綺麗に剥けて、生きた彼女の姿が登場
  • おまけにいくつものキャンドルでムード満載

 

一瞬ホラーな展開かと思いきや、ただの妄想サービスシーンがぶっ込まれています。

このシーン、要る?

という気になりますが、なにぶんジョナサンには空想癖があります。

それを表現しつつ、ムード要素のキャンドルだけは現実。

腐敗臭を消すために灯したアロマキャンドル…ってオチかと。

日に日に臭いはずですから。

そういった含みも込めてのキャンドルムードシーンかなと思います。

 

日々の生活の歪み

どんなに妄想で補っても、死体の腐敗は止められません。

理想と現実のギャップに苦しむジョナサンの姿は、日々の生活の歪みから察することができます。

 

  • いつものように朝起きて、いつものように薬も飲む
  • そんな習慣も、ある日を境に変化が
  • 薬を包丁で砕いて水に溶かすのがジョナサン流
  • …のはずが、錠剤のまま飲み始めた

 

ジョナサンの日常が淡々と繰り返され、ここも要る?という、むっちゃ地味で飽きるシーン。

これはあえて繰り返し繰り返し映すことで、とうとうジョナサンが壊れてきた!と1発で分かる親切設計になっています。

平常心を保とうと、必死に耐えてきたけれどもうムリぽ…

そんな心情がダイレクトに伝わってきます。

ちょっと気持ち悪すぎて共感はできませんが(苦笑)

 

ママの寝室の壺

家の外は悪意と穢れに満ちている、おー神よ!

…と、狂信的で潔癖で、異様なまでに子供を支配していたジョナサンママ。

寝室入り口の壁には十字架も掛かっているのに、室内にはチャイナな壺が置かれています。

あれほど信仰心が強いのに、なぜ壺だけアジアンテイスト?

まぁインテリアだから…と思えばそれまでですが、あんな壺1つにもちゃんと意味があります。

 

  • ママの部屋の壺は、シノワズリという陶磁器
  • ルネッサンス〜18世紀頃に西欧デザイナーがこぞって取り入れた中国風の芸術品
  • 東洋美術ブームが巻き起こるも、ごく一部のシノワズリしか流行らず
  • 結局デザイン丸パクリし、独自性もアレンジ性もないまま浸透
  • そこから「シノワズリ」は忠実に再現する型にはまった状態を揶揄する隠語に

 

ジョナサンは子供の頃から今に至るまで、ママの言いなり・言いつけを守っています。

さらに生活態度はきっちり決まったルーティーン。

そしてママは、その決まった型を強いてきた人物です。

寝室にあった壺は、まさしく型にはまった暮らしぶりのジョナサンとそれを強いてきたママの象徴。

2人のことを、シノワズリの隠語にもかけて用いられたインテリアになっています。

 

死体を遺棄する決断

ジョナサンは泣きながら少女の死体を分解し、最後には黒いゴミ袋に入れてどこかに遺棄します。

そう決断するまでどんな想いがあったのか。

 

  • 「外から来た穢れ(死体)」を家の中に置き、ママの教えに反した背徳感がある
  • 家に死体を保管し続け、弔われることのない少女に対する罪悪感も
  • 死体はどんどん腐ってウジがわき、臭いも発生。潔癖症には耐えがたい苦痛
  • 後ろめたさと精神的苦痛が悪夢の原因に

 

このままでは家も自分も穢れていく…。

それでも心の奥底では死体と一緒にいたい。

そんな本音があるけれど、結局ジョナサンは自分の願望も罪悪感すらも捨てるため、死体を遺棄する決断を下します。

そうすることでママの教えを守り、家も守り、自分の壊れそうな心も守れるから。

本当は心を守っているのではなく、本心を殺して余計壊しているだけなんですけどね。

そう気付かず行動する姿が、ひどく痛々しく感じます。

 

ジョナサンの本当の姿

死体を処分し、おばさんの前で泣きじゃくり、またいつもの日常に戻っていったジョナサン。

ところが観ていくと、「いつもの日常」が実はおかしかったという種明かしが。

 

  • ジョナサンはいつものように出勤するも、同僚の姿がない
  • 勤務先の遊園地にいつも客がいないのは、実は閉園した廃墟だったから

 

つまり、毎日決まって出勤というのは、ジョナサンの妄想に過ぎません。

仕事はおろか、同僚なんていないんです。

自分で金網を開けて中に入っていく様子は、ジョナサンの心がもう何年も前から壊れていた証。

「死体と暮らす」なんて奇行も、秘めたる狂気が発動したのではなく、すでに壊れた心の延長線上での出来事だったというわけです。

じゃぁ、いつもお世話してくれるおばさんは?

あの人も遊園地の同僚みたいにジョナサンの妄想の人物?

…かというと、おばさんは存在する人物かつジョナサンの成人後見人かと思います。

 

  • 少女失踪の重要参考人として、警察はジョナサンをマーク
  • …するも、おばさんが警察に話をつけてジョナサンは重要参考人から除外
  • おかげで死体遺棄も楽々やってのけ、さらにいつもの日常にも戻れた

 

警察も随分あっさり引き下がるな。

…という疑問は、おばさんの立場を考えるとスッキリするかと。

おばさんがただの世話焼きな近所のおばさんなら、そんな簡単に話は終わりません。

あの子はそんな子じゃありません!

なんて言われて、オメオメ引き下がるはずがありません。

おばさんは、自分の身元もジョナサンの身元もきっちり証明できる立場の人間、精神を病んだ人の財産や人生を守る成人後見人だったと解釈すると、いろいろ辻褄が合います。

 

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【ディケイド 腐敗する者たち】感想まとめ

主人公ジョナサンは、自分の心がすでに壊れているという自覚がありません。

中年になってもママの教えを守り、ちょっとだけ他人よりは敬虔で真面目で綺麗好きなだけだと思ってます。

確かに側から見たら生活態度も真面目で温和、ひと様に迷惑もかけていないオッサンです。

…が、どう見てもサイコパスです。

ただ、サイコパスとは、なにも猟奇的な殺人を犯したり、凶悪な犯罪を犯す者の心理だけを指しているわけではありません。

自分の心を殺すこと

これがジョナサンが犯した大きな罪であり、ジョナサンのサイコパスの正体です。

ジョナサンの場合、心を殺して生きていくことは息を吸うのと同じくらい当たり前の日常でした。

そこに成り行きで転がり込んできた死体は、ジョナサンにとっては光であり夢の形だったんだと思います。

本当は「外の世界の誰か」と繋がりたいと願っていたから。

それでも長いこと心を殺して生きてきたジョナサンには、新たな出会いが苦痛になり、悪夢になり、また心を殺して生きていく道しか選択できませんでした。

映画【ディケイド 腐敗する者たち】は、「訳分からん意味不明な狂人映画」と思いきや、恐ろしく精密に計算して作られたヒューマンドラマ なんじゃないかな、と思いました。

どこまでが現実で、どこら辺が妄想なのか。

その境界線が見事に曖昧すぎて、掴みにくい気色悪い作品であることに変わりませんが(笑)

あくまで独自解釈なので、こんな見方もあるのね程度に思っていただけたら、恐悦至極にございます。

 

サイコパスといっても十人十色。

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