【嘆きのピエタ】ネタバレなしであらすじ解説。キム・ギドク監督作品

サスペンス

社会の闇や愛憎が浮き彫りになる人間模様。

そんな世界観を生々しくも猟奇的に描くキム・ギドク氏は、韓国映画界の鬼才と呼ばれる監督です。

第69回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した、キム・ギドク監督の陰惨な韓国映画【嘆きのピエタ】のあらすじ・キャストについてお届けします。

 

この記事でわかること

  • あらすじ概要・出演キャスト
  • 予告動画・動画配信サービス・DVD情報

 

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【嘆きのピエタ】無慈悲な青年の物語

たける
たける

小麦粉と卵を絡ませて焼いたピカタって美味しいよねー。

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…君なら絶対そう言うと思ってたよ。

ピカタとピエタ。

響きは良く似ているけれど、今作のタイトルにある『ピエタ』は食べ物ではございません。

  • ピエタ(pieta)とは、「哀れみ」「慈悲」を意味するイタリア語
  • または「十字架から降ろされたイエス・キリストを抱く聖母マリア」を指す言葉
  • ピエタという芸術作品も数多く、サン・ピエトロ大聖堂にあるミケランジェロの彫刻が有名
  • 我が子を深く慈しむという意味合いで使われることが多い

愛を知らない天涯孤独な青年と、我が子を想う母の愛。

無慈悲と慈悲とが交錯し、どんでん返しだらけのヒューマンサスペンス映画が【嘆きのピエタ】 です。

 

映画【嘆きのピエタ】基本情報

 

嘆きのピエタ2012年 韓国映画
ジャンル復讐・スリラー
監督・脚本キム・ギドク
上映時間104分
出演イ・ジョンジン、チョ・ミンス他
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【嘆きのピエタ】あらすじ

物語の舞台は韓国・ソウル。

まるで時代に取り残されたかのような町並みが広がる、清渓川付近の下町の様子から始まります。

  • とある小さな工場で、なにやら思いつめた青年が
  • 足に障害があるのか、車椅子に乗ったまま機械を操作
  • …それも自分の首に鉤針付きの鎖を巻きつけて、スイッチON
たける
たける

…自ら命を絶った?

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…あぁ。闇金からの借金のせいでな。

実はこの辺りには、法外な利子を吹っかける闇金が。

しかも残虐極まりない方法で回収を行うため、とことん追い込まれて自ら命を絶つ債務者もおりました。

  • そもそもこの闇金、利子が元本の10倍
  • 300万ウォン(約27万円)借りたとして、2〜3ヶ月後には3000万ウォン(約270万円)
  • そんなん返せるか!…という債務者さんには、腕なり足なりに障害を負っていただき、その保険料から徴収
たける
たける

ボッタくりもいいとこだ!!…って、え?もしかしてさっきの車椅子…。

REON
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…うん。借金のカタに足をやられて不自由になったんだ。

ちょっと機械に巻き込まれて。ちょっと鉄骨の下敷きになって。

工場ならば、事故で障害を負うこともあり得ます。

それを巧みに利用して、障害保険で全額一気に回収。

そんな外道な取り立てを行っていたのが、ガンドという名の青年です。

  • 債権きっちり回収出来ればそれでヨシ
  • 今日もイキイキ借金回収のお仕事へ
  • 本日の取り立て先は、手に手を取り合ってなんとか頑張ってる若い夫婦
  • 妻が身体で払うと言い出したが、ガンドに仏の心などありはしない
たける
たける

…まさか?

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…あぁ。旦那の腕1本、引きちぎって帰ってった。

無慈悲にもほどがある、鬼畜すぎる取り立て屋ガンド。

「この悪魔!」「地獄に堕ちろ!」と罵られても、心は全く動じません。

なぜなら彼は愛情を知らないから。

ガンドは生まれてすぐに捨てられて、親の顔も名前も知りません。

天涯孤独が彼の心を麻痺させて、こんなにも無慈悲な大人に育ちました。

しかしこのあと、ガンドは変な中年女性につきまとわれて、人の痛みを知ることになるのです。

母親を名乗るナゾのおばちゃん

若い夫婦の旦那の腕1本と引き換えに、今日のお仕事は無事完了。

あとはこの先どうなろうと、人の人生知ったこっちゃないガンドは、丸鶏1羽引っ提げて意気揚々と家路へ。

  • ガンドのお家は、取り立てエリアの下町にある雑居ビル
  • 細い裏路地を抜けた先だが、その裏路地ですってんころりん
  • 実は丸鶏1羽はまだご存命。滑って転んだ拍子にコケッコーと逃げ出した
  • 悪態ついて不貞腐れてたら、見知らぬおばちゃんが鶏を捕まえてくれた
たける
たける

アジュモニ(おばちゃん)というほど老けてないけど。

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オンニ(おねいちゃん)というほど若くもないな。

セレブでもなく貧相でもなく。

こじんまりと身なりの整った中年女性は、ただ黙って鶏をガンドに差し出します

  • ガンドも黙って鶏を受け取った(←ありがとうくらい言え)
  • お家に帰って早速さばき、丸ごと蒸して美味しくお召し上がり
  • …とそこにピンポーんと来客が
  • 開けてびっくり。さっきのおばちゃんが
  • さらにびっくり。勝手に上がりこんで洗い物やら掃除を始めた
たける
たける

いや、おばちゃん何しとん。

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…うん。まぁだからガンドも追い出した。

ところがこのおばちゃんの奇行は、まだまだ続くよどこまでも。

なんと翌日玄関開けたら、まさかのおばちゃん、部屋の前を陣取って居座り中。

  • 何なんだよ!とは思うものの、そこまでガンドも驚いていない
  • あんな鬼畜な取り立てしてるから、変な目に遭うことはよくある
  • とりあえず放ったらかして、今日もみっちり債権回収へ
  • …と思ったら、おばちゃんも付いて来た
たける
たける

何なん。おばちゃん誰やねん。

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…ガンドのオモニ(母ちゃん)らしい。

たける
たける

なーんだ、オモニ(母ちゃん)かぁ。……て、えぇぇーーー!?

そう。ここまでガンドが話しかけても、ひとことも口をきかなかったおばちゃん。

さすがにイラついて、やるぞ、ゴルァ( *`ω´)と言った途端、発した第一声がコレでした↓

おばちゃん『ガンドや〜。あなたを捨ててごめんなさい』

ガンド『…………っ!?』

これにはさすがのガンドも驚きを隠せません。

そもそも韓国語で『名前+や〜』というのは、我が子や可愛い甥っ子・姪っ子に対して使う言い回し。

  • 親しげに名前を呼ばれてガンドお怒り
  • こちとら30年間、天涯孤独なんじゃー!と喚いて置き去りに
  • …めげずに自称オモニ(母ちゃん)のおばちゃんは、取り立てにも付いてきた
たける
たける

今日も新たな犠牲者が…。

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…あぁ。ちなみに今日はビルから突き落として足狙いだ。

ほんと、酷いにも程がある。

血も涙もないろくでなしな取り立てに、本日の債務者も悪魔だ何だとガンドを罵ります。

  • …と、こっそり付いてきた自称オモニ(母ちゃん)は、債務者に近づき折れた足を踏んづけた(←マヂか)
  • しかも「うちの息子を悪く言うな!」と、2度踏んだ(←マヂかPart2)
  • さらに「今日は何食べる?」と自称オモニ(母ちゃん)は嬉しそうにガンドに言いよる始末
  • またもやガンドが追い返すも、翌朝活ウナギ持参でピンポン攻撃
  • しかもウナギには、しっかり名前と連絡先のメモまでついていた
たける
たける

…自称オモニ(母ちゃん)のおばちゃん怖いw

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…押しが強いな(笑)

ニッコリ笑顔で、活きウナギだけ置いて帰っていった自称オモニ(母ちゃん)。

そんな彼女に負けないくらい、ガンドも奇行をしでかすようになっていくのでございます。

愛に飢え、愛を求めて愛に溺れ

自称オモニ(母ちゃん)が置いていった活きウナギのメモによると、どうやら彼女の名前はチャン・ミソン

母親ヅラで近寄ってきて、ムカつくったらありゃしません。

…でも気になって仕方がない。

心が揺れ始めたガンドは、日に日に頭の中がオモニ(母ちゃん)でいっぱいになってしまいます。

  • ミソンメモがついたまま、ウナギを水槽で飼い始めた(←飼うんかい)
  • ちゃっかり連絡先の番号にもコール(←かけちゃうんかい)
  • 子守唄を聞かされて、ちょっとご満悦(←和むんかい)
  • 次にミソンが訪ねて来たときは、普通に家にあげた(←ついに招待かい)
  • 母親なら食えるだろと、自分の腿だかふくらはぎだかの肉をくり抜いて食わせた(←何そのナゾ肉は)
  • ミソンはそれを食ったけれど、それでも納得できずに凌辱しようとした(←押し倒すなや‼)
たける
たける

ガンドが壊れた。

REON
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…まだまだもっと、びっくりな展開が続くぞ?

母親かもしれない女性を押し倒し、泣きじゃくられて興醒めし、ふて寝したガンド。

一方ミソンはそんな目に遭いながらも、出ていくこともせず。

ただ寄り添い、ただ愛おしげな眼差しで見守るだけ。

ミソンの無償の愛に触れたガンドは、わりとあっさり母への愛情を抱くようになっていきます。

  • いつのまにか何も言わず一緒に暮らし始めた
  • ただ微笑んで見送ってくれ、そばにいてくれることが嬉しくなった
  • 取り立てにも変化が現れ、借金のカタにウサギをいただいて帰ることも
  • 生まれてくる子を想って「手を切って」と言い出す債務者にも、情けをかけた
  • さらにミソンにプレゼントを買って帰ったり、添い寝してもらったり
  • ミソンがセーターを編めば、その完成を待ち遠しくおねだり
  • 「今日はあなたの誕生日なのよ」と言われれば、カップルさながらにデート
たける
たける

あれだけ鬼畜な取り立てしまくってたのに…無慈悲さはどこ行った(笑)

REON
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…ツン→デレへのジョブジェンジが甚だしいな。

挙げ句の果てに、ガンドはもうオモニ(母ちゃん)なしでは生きられない…と弱音まで吐きます。

今まで経験したことのない母の愛を知り、慈悲の心に目覚めたガンド。

金の恐ろしさ・これまでの悪行の復讐を恐れるようになってしまうのです。

  • もしもミソンの身に何かあったら…と取り立て屋の仕事を辞めた
  • ところがある日、ミソンが誰かに襲われ行方不明に
  • 闇金の社長の嫌がらせか、はたまた今までの債務者の報復かと探し回った
  • …が実はミソンの自作自演
たける
たける

???…なんで自作自演?

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…ミソンの息子はガンドじゃないんだよ。

たける
たける

…え?……え。どーゆこと?

それは今日に至るまで。というか、もう始めから。

全てはミソンが巧妙に仕込んだ復讐劇 だったのです。

  • ミソンは、ガンドの鬼畜な取り立てで自殺した債務者の母親
  • 本当の息子は、車椅子の障害を負わされ鉤針付きの鎖で首を吊った青年
  • 愛する者を失った悲しみを、同じ想いを味あわせるために近付いた
  • …が、ガンドが天涯孤独だったため、母と偽り、まず愛から教えた
  • 人を慈しみ、愛する心を知ったところで、目の前で死んでやる計画だった
  • しかも自分の悪行が招いた災難に巻き込まれて殺された…という設定付き
たける
たける

…なにこのミソンの無慈悲っぷり。

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REON

…やっぱり自称オモニ(母ちゃん)は、怖いおばちゃんだったんだよ。

無慈悲のガンドが慈悲を知り、我が子を想う慈悲深き母が無慈悲になる…。

なんと禍々しく歪んだ愛情なんでしょう。

しかしミソンも完全に無慈悲にはなりきれず、ガンドを憐れみ母性愛にも目覚めておりました。

そんな想いを本当の息子に詫びながら、それでもミソンの決意は固く。

ガンドの目の前で、誰かに突き落とされたフリをして投身自殺してしまいます。

こうしてガンドは愛する者が傷つけられる心の痛みを知り、さらにミソンの真の姿も知ることに。

己の犯し続けた罪の重さに打ちひしがれ、ガンドはガンドなりの贖罪と救済の答えを見つけ… というのが大まかなあらすじになります。

 

鬼才キム・ギドク監督が描く、人間の心の闇【嘆きのピエタ】

金さえ回収出来ればそれでヨシ。

血も涙もない残酷な取り立てを行う青年イ・ガンドは、天涯孤独に30年間生きてきた無慈悲な男。

そんな彼の目の前に、ある日突然「あなたの母親よ」と名乗るナゾの女性が現れます。

彼女の存在はやがてガンドの心に深く入り込み、人の心の痛みや慈悲深き愛を知ることに。

しかしここには愛と憎しみ、ひどく美しい絶望が待っていました。

救いのない陰鬱な結末が重くのしかかる、狂気と猟奇が混在する予告動画はこちら↓

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【嘆きのピエタ】主な登場人物

人は誰しも、経験しなければ本当の辛さや痛みを理解することは出来ません。

それでも思んばかることは出来るはず。

想いの深さ、想いの変化から目が離せなくなる登場人物をご紹介いたしましょう。

 

イ・ガンド(イ・ジョンジン)

ガンドは、ある闇金業者の債権回収を任されている取り立て屋のお兄ちゃん

膨れ上がった借金をきっちり返してもらうため、死なない程度、されど二度と治らない怪我を負わせて保険料から徴収。

…という方法は、完全オリジナル作戦です。

そんなやり方しろとは言われてないのにやっちまう、残虐極まりなさにヘドが出る人物です。

 

チャン・ミソン(チョ・ミンス)

ミソンは、突如現れたガンドの母親を名乗る女性

あまり多くを語らずそっと見守るけれど、押せ押せな行動をしまくります。

無慈悲なガンドが改心するキッカケになる親子愛…と見せかけて、どんでん返しのびっくり展開をもたらす魅惑のキーマンです。

 

…と、この他に、ガンドの容赦ない取り立てで極限まで追い詰められる債務者たちが登場。

惨虐なシーンはあえて詳細な映像にせず、匂わすような演出に。

セリフに頼らずとも感情の変化が手に取るように分かり、ダメ押しするかのようなエンディングに魂が震える作品となっております。

 

 

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【嘆きのピエタ】まとめ

生まれてすぐに捨てられて、愛を知らずに天涯孤独に生きてきた男。

彼が知った初めての慈愛は、憎しみと愛情の狭間で揺れる人の心の闇でした。

  • 舞台は韓国・ソウルの貧相な下町
  • 古びた工場経営者に暴利の借金を負わせ、鬼畜な取り立てをする男が主人公
  • 母親を名乗る女性の出現で、人の心の痛みや闇を知ることに
  • バイオレンスでユーモラス。かつサスペンデッドな結末に胸が痛くなる復讐劇

お金はしばしば人を狂わせます。

そもそもお金とは一体何なのか。

『全ての始まりであり、全ての終わり』

こんなことを劇中でミソンがガンドに諭しています。

お金があれば心が豊かになることもあるけれど、手に入れるための暴力や怒り、憎悪や嫉妬も芽生えます。

さらに愛と復讐も生み出し、追い詰められれば死に繋がることも。

ピエタの言葉が持つ慈悲深き母の愛だけでなく、お金に対する社会の闇も同時に描かれていて、ストーリーはとても奥深く練り込まれています。

母の愛は海よりも深く

人の憎しみは空よりも広がり

そして自戒は地の果てまで続く

今作の感想をザックリ言うと、こんな詩的な表現に(笑)

映画【嘆きのピエタ】は、陰鬱な中にも軽やかな演出も混じっていて、色々と考えさせられる作品 でした。

 

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