急激な気候変動が起こり、突然地球が氷河期に覆われる…
テクノロジーの進化が地球を蝕み、大都市は急転直下の大災害に見舞われます。
自然の脅威から逃れる術もなく、果たして人類は生きて窮地を乗り越えられるのか。
昨今特に全世界で危惧されている地球温暖化をテーマに、2004年世界を席巻したSFパニック映画【デイ・アフター・トゥモロー】の世界へとご案内いたします。
【デイ・アフター・トゥモロー】南極大陸の異変
少しずつ起こりつつある地球温暖化の悪影響。このまま温暖化が進むとさらに事態は悪化する、という懸念を描いた のが映画【デイ・アフター・トゥモロー】です。
まず、ことの発端は南極大陸の氷の崩壊。古代気象学者による南極大陸調査中に、棚氷が崩落する事態が起こるということから物語は始まります。
- 映画冒頭の南極大陸の崩落シーンは実際の映像
- 2002年に南極大陸のラーセンB棚氷という場所で大規模な亀裂が見つかった
- 棚氷の崩落範囲はだいたい日本の滋賀県くらいの大きさ
劇中での出来事かと思いきや、実際に南極大陸で起こった記録映像を活用してるんだとか。
ゴッソリ氷が崩れ落ちて、ラーセンB棚氷と呼ばれる部分が欠けました。
南極の氷が崩壊しても、流氷になるだけなんじゃないの?
範囲が狭ければ、ちょっと趣ある流氷程度で済むんだろうけどね。今回のはバカデカいサイズが崩落したから。
バカデカい棚氷が崩落するとどうなるのか。棚氷は真水です。そして海は海水です。
ちょっとやそっとじゃ海水濃度は薄まらないと思ってたんですが、バカデカい氷が溶けるとさすがに周辺海流の海水濃度は薄まるようです。
- 棚氷が溶ける=海水面も上昇。標高の低い大陸は海水下に
- 海水面の割合が増え、水蒸気も多くなり気圧に影響
- さらに海水濃度変化は寒流・暖流にも影響が出て、海洋生物の生態系も崩れる
ちょっと氷が溶けだたけでは済まない事態に発展するんですね。こりゃ一大事、と危機感を募らせ警鐘を鳴らす古代気象学者が今作の主人公。
多くのものは耳を貸さない
そもそも南極の氷が欠けたって言われても、ピンとこないよね。
まぁね。実際危機感を持つのは自然災害に直面した場合だろうし。
伝聞と体験では危機感にも大きな違いがあると思いませんか。
例えば遠い異国で自然災害があったというニュースを耳にしても、「大変!」「大丈夫かしら?」「もし身近に起こったら…」と不安に思いこそすれ、命の危険を感じることは少ない気がします。
劇中では南極大陸の棚氷がゴッソリ崩落したけれど、甚大な被害が出たかと言うと特に出ていません。だからなのか、ますます危機感がありません。
- 古代気象学者は、松岡修造ばりの熱血さで熱く自信たっぷりに「大氷河期が来るぞー」と警鐘
- 理由は欠けたラーセンB棚の氷が溶けて、海流や気圧が異常に変化し、大氷河期が訪れるから
- ほかの専門家や政府要人は「またまた〜。話盛ってるよね〜」と真剣に取りあわない
大氷河期なんてこの現代で起こるはずがない。なんの対策もせぬまま、鼻で笑って悠長に構えていたら、事態は一気に急変いたしました。
【デイ・アフター・トゥモロー】異常気象の始まり
いつ襲ってくるかわからない異常気象。ごくごく一部の専門家を除き、誰も関心を寄せなかった古代気象学者の懸念は現実のものとなっていきます。
ある日突如として、巨大ないくつもの竜巻がロサンゼルスを襲ったんです。
なに。竜巻ってこんな一気にいくつも発生するもんなの?
気象条件が揃えば、3つでも4つでも、8個発生したなんて話もあるよ。
日本ではそこまで竜巻の発生件数が多くはありませんが、一応年に何回かは発生しています。
ただ、アメリカの竜巻の威力はケタ違いです。どんなに凄いのか想像つかないんですが、破壊力は相当なもの。
次々とビルを粉々にし、車は舞い上がり、吹き飛んだ瓦礫で人的被害も。ロサンゼルスの街はパニックに陥ります。
しかしこの竜巻群は、異常気象のほんの始まりでしかありませんでした。
ニューヨークでは津波級の高波が
一つの異変がさらなる災害を引き起こし、数珠繋ぎで事態は悪化。
古代気象学者はこうした事態になりうることを訴えかけていたんですが、なんの対策もとらなかった政府のおかげで被害は拡大してしまいます。
高層ビルの隙間をぬって大量の水がなだれ込み、ニューヨークの街はあっという間に水没。人口も観光客も多い大都市だけに、甚大な大打撃を喰らいます。
そしてこれだけの被害が出たニューヨークに、実は古代気象学者の高校生の一人息子が飛行機で降り立っていました。
ニューヨークへ行きたいかーー!
…ちょっと違うが。まぁ、そんな感じだろうな。
古代気象学者ジュニアは、高校生が参加するスピーチコンテストに参加するため、3人ひと組の男女混合友人トリオでいざニューヨークへ。異常気象のパニックに巻き込まれていくことになりました。
押し寄せた大量の水は生死に関わる氷河の街へ
水浸しの次は猛烈な寒波で一気にフリーズ?札幌雪祭りの氷像みたい♪
あぁ。それならキレイ…なわけあるかい!建物ごと凍るってどれだけの大寒波なんだ。
よく冬のロシアで眉毛も睫毛も寒さで白くなってる…って映像を見たことあります。が、そんな生易しい状況ではありません。
これが古代気象学者が言っていた大氷河期。激しい寒波はアメリカ大陸だけにとどまらず、世界の国や地域にも広がりを見せ始めます。
- イギリス・ロンドンではヘリの燃料がまさかの凍結
- 日本でもゴルフボール大の雹がゴロゴロ降り、警察官の頭頂に直撃
そういやニューヨークに飛んだ古代気象学者の息子&友人御一行様は!?
この危機をどうやり過ごすのがベストなのか、冷静に行動してたよ。
今世界に何が起こっているのか、どこまでが危険地帯でどこからが安全地帯なのかもわからない状況下です。
古代気象学者ジュニアは、生きるか死ぬかのこのサバイバル状況をどう耐え抜けばいいのか思案して、友人らと共に図書館に避難しました。
先の見えない不安はさらに広がり、大寒波は北半球を覆い尽くす勢いにまで発展。
しかしこのまま地球規模で生命絶滅の大氷河期に突入か、というとそういうわけでも無いようです。
気圧配置の関係なのか、メキシコに逃げ込めば辛うじて生き延びられるかも知れない…という希望が見え始めます。
別の脅威も
少なからずの希望はあるものの、新たな脅威もお出ましになります。なんと凍りついたニューヨークに、野生化猛々しいオオカミまでご登場。
ニューヨークなのにオオカミ??どっから湧いて出てくるの。
どうも動物園に搬送途中のオオカミがいたらしい。野生だからけっこう凶暴だ。
こうして大氷河期に見舞われたロサンゼルスやニューヨークを中心に、人類は自然の猛威に抗う術もなく大パニック。
アメリカ政府はようやく重い腰を上げ、国民はメキシコへの避難を開始します。
一方で、いち早く危険を唱えていた古代気象学者はと言うと、ニューヨークにいる息子を救うべく、凍りついた大陸を横断して救出に向かい…というのがおおまかなあらすじになります。
大都市を襲った自然の猛威を描いた映画【デイ・アフター・トゥモロー】
続発する異常気象はほんの前触れに過ぎなかった。最悪の条件が揃ったとき、現代に氷河期が訪れる…
矢継ぎ早に押し寄せる自然の脅威から、人類は逃れることが出来るのか。予告動画はこちら↓
映画【デイ・アフター・トゥモロー】が公開された2004年は、実際日本でも地球温暖化の影響か?と言われる大気の不安定な状態が続き、例年よりも多く台風が上陸した年。
劇中で描かれているような海水温の変動も観測され、大気循環の変動も関わって気圧配置が変わったのではないかという気象学の分析がありました。
この変動が人為的、いわゆる地球温暖化の影響なのか、それともごく自然に起こりうる範囲内での変動なのかははっきりとは解明されていませんけどね。
ただ、映画【デイ・アフター・トゥモロー】のような異常気象は世界各地で起こっているのは事実です。
え、これガチなの!?という、異常気象ニュースをいくつかピックアップしたREONさんの雑学トリビアはこちら。
【デイ・アフター・トゥモロー】気象パニックに直面した登場人物たち
さて、「テレレテッ テッテテー」と効果音が聞こえてきそうなくらいレベルアップしていく異常気象で、アメリカは大パニックです。
こんなに一気に異常気象が発生するのかは知りませんが、大自然がもたらす破壊力は絶大。
最悪の状況に抗う登場人物たちをピックアップしてご紹介いたします。
ジャックは古代気象学のエキスパート。南極大陸の棚氷の崩落・海水の塩分濃度の変化・海流変動にも着目し、いずれは地球に再び大規模な氷河期が訪れるという研究持論を持っています。
いずれではなく、今でしょ!と現代に訪れてしまった氷河期を生き延びる術として、大統領にメキシコへの非難を勧告。
災害対策の知識も持ち合わせているため、どうにか助かる道を模索していく重要な主人公です。
テリー・ラプソン教授はスコットランドの海洋学者。ジャックの唱える海流と海温の変動による氷河期到来説に賛同し、自身の持つ海洋データ分析からも短期間で危機が訪れることを解明しました。
スコットランドから海洋分析データや情報といった形でジャックの助太刀をする、聡明なおじいちゃんです。
ジャネットはNASAに所属するハリケーン専門の研究者。誰もがジャックの提唱する気象の異変に真実味を感じない中、いち早く耳を傾けて真剣に今後起こりうる異常気象を検証します。
専門家として逐一ハリケーンの動きを追い、何かとジャックのサポートをする優秀な研究者です。
ルーシーはジャックの妻であり、サムの良き母。
優秀な医師でもあり、異常気象で街が瞬く間に惨劇に見舞われても、歩けず逃げることもままならない子供の患者を守るため病院に残る、という責任感の強い女性です。
サムはジャックの息子であり、今作の第2の主役といってもいい重要な登場人物です。高校生スピーチコンテストに参加するため、友人ら数名と向かったニューヨークで異常気象に巻き込まれます。
そもそもサムがコンテストに参加したのは、好きな女子・ローラがいるから、という若者っぽい理由もあったりします。
行った先のニューヨークでは率先して生き残る術を模索。父親ジャック譲りの無鉄砲さと、愛するものを守りたい、愛する家族を信じてるといった真っ直ぐな心の持ち主です。
ローラはサムが想いを寄せる同級生。可愛らしい上に賢くて真面目。状況が刻一刻と悪化していく中、その他大勢が無謀にも外に逃げ出して行くのに対し、サムの提案を信じて図書館に避難します。
その道中で怪我をし、敗血病になるなど生死をさまようヒロインでもあります。
J・Dはニューヨーク在住の高校生。スピーチコンテストに参加予定であったサム達と知り合って、この異常気象をともに生き延びるため行動を共にします。
資産家の息子であるけれど、決して高飛車ではありません。
ちょっとローラに一目惚れしますが、サムが想いを寄せていると知ると潔く身を引いて応援してくれる好青年です。
ブライアンはサムやローラの同級生。機械に詳しい自称オタク。なにが起きているかわからない状況の中、避難先の図書館で壊れたラジオを直して、北半球が氷河期に見舞われているという情報をゲットします。
この異常気象を乗り切るためには外に出ない方が賢明だという判断は、ブライアンがラジオを直したおかげといってもいいかと。
この他にもジャックの気象学者仲間や上司、NASA職員やアメリカ合衆国大統領、副大統領などいろんな面々が登場。
それぞれが危機的状況を打破すべく力を合わせて自然災害に立ち向かい、友情や絆といったヒューマン要素も描かれています。
単なるパニック映画ではなく、ストーリーにも重きを置いているので見応えのある作品に仕上がっています。
まとめ
地球温暖化。それは近年特に注目され、全人類が真剣に取り組んで阻止しなければならない深刻な地球のカウントダウン。
- 現実に起こった南極大陸の棚氷の崩落もモチーフになっている
- 地球温暖化の影響で起こるかもしれない数々の自然災害
- 竜巻・洪水・氷河期の描写は実にリアルなVFX映像
- 太刀打ち出来そうもない自然の猛威から生還を試みる人間模様
映画【デイ・アフター・トゥモロー】で描かれる地球温暖化の悪影響は、あくまでも映画の脚本内での出来事です。
しかし近年いくつもの異常気象は観測され、温暖化は間違いなく地球の命、生命の未来になんらかの影響を及ぼすと懸念されています。
ただじっと。
自然の怒りが鎮まるのを黙って静かに待たなければならないパニックは、他でもない私たち人類が自分たちの手で引き起こしたから。
そんな警鐘を投げかける映画【デイ・アフター・トゥモロー】は、美麗なCGがあまりにリアルで、絶対に起こり得ない想像世界とも言い切れない気がいたしました。
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