邦画の任侠とも、ハリウッドのド派手さとも違うカッコよさ。
韓国映画には、ちょっと独特な男くささ漂うアクション映画も目白押しです。
…ということで、韓国映画でおすすめのアクション作品10選をお届けします。
ハイヒールの男(2014)
【ハイヒールの男】は、屈強で強靭で犯罪組織からも畏れられるほど有能な刑事が、実はトランスジェンダーだったという物語。
脅威的な身体能力と凶暴性の陰で息を潜めた本来の姿に、痛々しさも美しさも感じます。
- 刑事としても完璧。加えて容姿端麗で魅力的なひとりの男が主人公
- 実は性同一性障害という秘密があり、本当の自分を偽り生きてきた
- ある事件をきっかけに、退職して性転換手術を受けることを決意
- …が、そんな彼の一大決心を嘲笑い、妨げる出来事が
不条理さと暴力のノワール、つい笑ってしまうコメディさも融合。
一見ミスマッチな世界を妖艶に、たくましくも切なく描いた作品 です。
アジョシ(2010)
【アジョシ】は、『おじさん』の意味の韓国語。
隣に住む少女から『アジョシ(おじさん)』と懐かれ、少女を守り抜くために争いの世界に舞い戻った男の物語です。
- かつては腕利きの特殊工作員。今はしがない質屋のおっちゃんが主人公
- 昔、妻とお腹の子を事故で亡くした悲しい過去が
- 孤独にひっそりと暮らす中、仲良くなった隣の少女とその母親が麻薬密売に巻き込まれた
- 母親は臓器密売の犠牲になり、拐われた少女を救うためにおっちゃんが大活躍
おっちゃん(アジョシ)と呼ぶにはイケメンすぎ。
韓国のキムタクことウォンビン氏が主演なので、それだけでもう目の保養になります。
「きさま何奴!?」「ただの隣の家のおっちゃんだ」
こんな笑える会話を真顔で言い放ち、悪人をフルボッコする姿はカッコ良すぎます。
救いのない暴力と悪の世界。そして少女の笑顔という光。
バイオレンスアクションの中にも、ほんのり癒しと希望が残されている作品 です。
監視者たち(2013)
【監視者たち】は、警察でマークしている要注意人物をひたすら監視・追跡する刑事物語。
サイコな武装犯罪グループBOSSを追い詰める知能戦が展開します。
- 監視班は刑事であっても逮捕は出来ず、凶悪犯の動向を把握するのが仕事
- そこに配属された新人には、人より優れた記憶力・洞察力が
- 監視班はお互いを動物のコードネームで呼び合い、ちょっとアットホーム
- 警察の監視を潜り抜ける犯罪グループBOSSと監視班との手に汗握る追いかけっこ
メンバーの死、「オレが責任取る」的な班長の独断Goサイン。
チームワークで犯人に挑む刑事モノにありがちなお約束展開もありつつ、先が読めないスリリングさも。
監視班側のもどかしさ、犯罪グループBOSSの狡猾さにハラハラどきどきしまくるサスペンスアクション作品 です。
新しき世界(2013)
【新しき世界】は、警察の汚職とヤクザの義兄弟の絆の間で揺れ動く抗争劇。
映画《インファナルアフェア》やドラマ《ダブルフェイス》が好きな方なら、きっと大好物であろう世界観の物語です。
- 韓国最大の犯罪組織に、潜入捜査官として派遣された警察官が主人公
- 8年間もヤクザの世界に身を置く中で、裏切りと信頼に翻弄される
- 組織トップの突然の訃報により、警察とヤクザどちらの立場でいるべきか
- 葛藤の末、彼が選んだ新たな人生の行方は?
非業な生と死。国家権力と組織の後継者争い。
狂気をはらんだ笑顔を魅せる俳優陣の演技力はトリハダものです。
怖さとカッコ良さが混在していて、最後まで目が離せなくなります。
緊張感のある仁義なき戦いと、警察組織のダメっぷりに心がザワつく作品です。
映画は映画だ(2008)
【映画は映画だ】は、血の気の多いアクションスターと俳優に憧れてるヤクザの物語。
原案・製作に鬼才キム・ギドク監督が携わり、韓国屈指の演技派俳優がW主演。期待が高まる1本です。
- 俳優は、毎回傷害沙汰ギリギリの演技をしてしまう問題児
- 彼の大ファンで、今でも俳優業に憧れるヤクザ
- 俳優が大物スターに大怪我を負わせ、共演NGばかりで相手役がいなくなった
- 偶然出会った俳優志望のヤクザと、ガチンコのアクション映画撮影をすることに
ヤクザ役は、陰のある役を演じさせたらNo.1のソ・ジソブ氏。
血の気が多いヤンチャな俳優役は、コメディもシリアスもなんでもござれのカン・ジファン氏。
現役ヤクザが映画に出ちゃうというストーリーの面白さ、俳優陣の光る好演で見応えは抜群です。
個人的にカン・ジファン氏のファンなので、イチ推しアクション映画でもあります。
虚構と現実が入り混じり、魂が本気でぶつかり合う清々しくさえある作品 。
アシュラ(2016)
【アシュラ】は、不正の片棒を担ぎ続けた汚職刑事の物語。
生き様に言い訳を見出し、悪と正義の板挟みに苦しむ姿が描かれています。
- 末期ガンの妻を支える金が欲しくて、市長の悪事の尻拭いをする刑事が主人公
- 権力をタテに私服を肥やす市長は、人の命をも軽んじる鬼畜
- 市長の不正と犯罪容疑の証拠を掴むため、検察は汚職刑事を追い詰めることに
- 己の利益のために修羅となる、権力者たちの三つ巴の攻防戦
金のためなら何でもアリ。
倫理観がぶっ飛んだ、気持ちいいくらい救いのない奴らの生き残り合戦に、人間の本性の怖さが見えてきます。
一触即発の緊張感、そして澱みきった権力と犯罪の癒着の汚さが、ギュっと濃縮された作品 です。
監獄の首領(2017)
【監獄の首領】は、刑務所内から外の世界を牛耳っていく、変わり種の脱獄系アクション。
犯罪組織のボスが刑務所内でもボスとなり、囚人になった元警官も悪事に染まっていく面白いストーリーです。
- 検挙率100%、正義の味方・犯罪者からは死神と呼ばれる警官がひき逃げで有罪に
- 収監先の刑務所で何度も囚人とゴタゴタを起こすも、古株のオッチャンに擁護され仲良しに
- 実は古株のおっちゃんは囚人らを支配する大物
- 収監中という完全なるアリバイを盾に、夜な夜な脱獄しては犯罪を繰り返していた
よくある刑務所&脱獄というお話ではありません。
お散歩感覚で脱獄し、殺人を請け負ってはまた刑務所に何食わぬ顔で帰ってきます。
証拠も痕跡も残さず、容疑者になることもなく、常に完全犯罪。
そんな刑務所生活を送ることになった元警察官の、ムショ内での成り上がりと悪人との一進一退が新鮮な作品 です。
悪女 AKUJO(2017)
【悪女 AKUJO】は、暗殺者として育てられたひとりの女性の愛と復讐の物語。
メロドラマ要素も盛り込み、日本刀も斧も振り回し、バイクで爆走…という怒濤のアクションは見ものです。
- マフィアに拾われ、暗殺の極意を仕込まれた女性が主人公
- マフィアの若と恋に落ち、結婚するも若が敵対組織の餌食に
- 愛する者の復讐を遂げた後、国家に捕まり政府直属の暗殺者として生きることに
- ところが彼女の暗殺者人生には、いくつもの計算し尽くされた罠が
数奇な運命を回想シーンで織り交ぜながら、ヒロインの哀しみと美しさが魅力的に描かれています。
誰のために生き抜くのか。
そんな人間真理の上で成り立っている、エンタメ度の高いアクション作品 です。
サスペクト 哀しき容疑者(2013)
【サスペクト 哀しき容疑者】は、北朝鮮の元工作員だった男が脱北し、韓国でドンパチを繰り広げる物語。
カーアクションがかなり本格的で、主演コン・ユ氏のアクションに至ってはノースタントです。
コン・ユ氏は優男のイメージがあるので、観ていていちいち「スゲー!」と感動する極上の1本。
- 祖国を追われた北朝鮮特殊部隊のエリート工作員が主人公
- 妻子も殺害され、愛する者を奪った犯人を探しに韓国へ
- ところが韓国で対北情報局室長に目の敵にされ、殺人の濡れ衣を着せられた
- 妻子の仇を追うはずが、いわれなき罪で追われる身に
国と国、個人と個人の因縁が絡み合い、深いドラマ性もあります。
韓国と北朝鮮という際どい国家間問題を下敷きに、人間模様も本格アクションも堪能できる作品 です。
名もなき野良犬の輪舞(2016)
【名もなき野良犬の輪舞】は、固い信頼の絆で結ばれたはずの男2人が、互いに秘めた本心をむき出しにし、関係が崩壊していく物語。
- イキがる若造と、兄貴と慕うことになるおっさん2人が主人公
- 刑務所内で知り合い、出所後ともに犯罪組織を乗っ取ることに
- 実は片や潜入捜査官、片や本物のワルという立場の違いが
- 少しずつ信頼に陰りが出始め、騙し合いに次ぐ騙し合いが勃発
ありがちな設定とも取れるストーリーですが、少しも飽きずに最後まで魅せきるセンスは、さすが韓国ノワールといったところ。
『人を信じるな。状況を信じろ』
こんな名言も飛び出し、信頼と裏切りが紙一重な展開の結末にはグッとくるものがあります。
鋭く尖った容赦ないバイオレンスがスタイリッシュな作品 です。
…ということで、韓国映画の中からアクション映画10選をお届けしました。
サスペンスとバイオレンスが合体した、韓国ノワール色の濃いアクション作品選びの参考になれば、恐悦至極にございます。
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