あぁでもないこうでもない…と妄想膨らむ歴史ロマン。
日本の大河ドラマで歴史上の人物や史実を据えたフィクションがあるように、韓国映画にもフィクションで語られる歴史モノがあります。
…ということで、実在した人物や実際の歴史から構想した韓国映画おすすめ10選をお届けします。
王になった男(2012)
【王になった男】は、暴君として名を残した国王とその影武者の物語。
500年続いた李氏朝鮮王朝時代、唯一空白の歴史を持つ光海君の身に何が?というフィクションです。
- 李師朝鮮・第15代国王の光海君が主人公
- 暗殺の矢面に立たされ、身代わりの影武者を置くことに
- 光海君とウリ二つの賎民が、宮廷内で生活することに
- 本物以上の王となり、宮廷内も国も政治も動かした15日間
もう少し詳しいあらすじはこちらもどうぞ↓
ハードボイルドでワイルドなイメージが強いイ・ビョンホン氏が、初めて時代劇に出演。
光海君と影武者、一人二役を見事に演じ分けました。
こんなに演技派俳優さんだったのか…と思わず魅入ってしまう演技力には驚かされます。
ちょいちょいコメディも挟み、歴史に詳しくなくてもグイグイ引き込まれる作品 です。
尚衣院 サンイウォン(2014)
【尚衣院 –サンイウォン–】は、王妃の衣装を巡る新旧デザイナー対決の物語。
宮廷内のドロドロもスキャンダルも入り混じり、権力争いや愛憎劇が繰り広げられます。
- 李氏朝鮮時代、実際に置かれていた宮廷衣装専門の部署「尚衣院」が舞台
- 王族の衣装には、伝統と格式に則った細かなしきたりが
- ちょっとしたキッカケから、市井で人気の新進気鋭の裁縫師が尚衣院へ
- 王と王妃の衣装を手掛けた2人の裁縫師が、権力争いに巻き込まれた
もっと詳しいあらすじについては、こちらもどうぞ↓
鮮やかで煌びやかで艶やか。
韓国の伝統衣装「韓服」の中でも、特に美しく華やかな王妃の衣装。
ただ身にまとうだけではなく、国の権力をも左右する象徴でもあります。
たったひとつの衣装が人と人との関係を壊し、切なくも悲しい運命に繋がってしまう作品 です。
観相師 ーかんそうしー(2013)
【観相師 –かんそうし–】は、類稀なる人相占い師が国家を揺るがす謀反に巻き込まれてしまう物語。
李氏朝鮮第6代国王・瑞宗と、第7代首陽大君との政権抗争の史実から構想したフィクションです。
- 顔を見ただけで、人生を丸っとお見通しの人相占い師が主人公
- 性格は元より、過去も未来も寿命さえも当てて都で大人気に
- 宮廷内でも話題になり、要職に大抜擢
- 貴族どもの覇権争い・王位継承争いの謀反に巻き込まれた
偉くなりたい・高貴な役人になりたいという欲などなかったのに、その才能が国を揺るがし己を破滅へと導いてしまいます。
コミカルからのシリアスな展開、喜怒哀楽の果てにある結末にやるせなくなる作品 です。
王の男(2005)
【王の男】は、好き勝手し放題の国王・燕山君に気に入られたことで、不運に見舞われる旅芸人一座の物語。
タイトルからは「王」もしくは「側近」が主人公かと思ってしまいますが、庶民が暴君の犠牲に…という内容です。
- 大道芸や寸劇といった見世物でドサ回りしている役者2人が主人公
- 時の国王・燕山君と愛妾を風刺した寸劇が咎められ、取っ捕まった
- 王を楽しませることができたら恩赦…という課題が出され、見事クリア
- 燕山君のお抱え芸人となるも、愛妾の嫉妬や陰謀の標的に
旅芸人は、ただただ好きな芸事で庶民を楽しませたかっただけ。
そんな一座の女形を演じたイ・ジュンギ氏の流し眼は、びっくりするほどの麗しさ。
これなら燕山君が、愛妾を放ったらかして虜になるのも無理ありません。
暴君と恐れられた燕山君に対する反感のとばっちりを喰らい、不幸を背負ってしまう作品 です。
王の運命 歴史を変えた八日間(2015)
【王の運命 歴史を変えた八日間】は、李氏朝鮮時代の歴史の中で、最大の悲劇と言われる「米びつ事件」を元にした物語。
第21代国王・英祖が、実の息子・思悼世子を処刑する骨肉の争いが描かれています。
- 熾烈な派閥争いで、英祖の次男・思悼世子を擁立する謀反の陰が
- 思悼世子はただ父王・英祖の役に立ちたかっただけ
- 陰謀によって親子関係が悪化し、父王自ら思悼世子を亡き者に
李氏朝鮮王朝500年の歴史の長さを考えると、たった八日間の出来事。
血の繋がり・親子の絆を重んじる文化が枷となり、周囲に拐かされて憎しみ合ってしまいます。
そうしてようやく親子の心が通じ合ったのは、もう後戻りできない最後の最期の瞬間だけ。
王族ゆえの苦悩から生まれた残酷な歴史を描いた作品 です。
安市城 グレート・バトル(2018)
【安市城グレート・バトル】は、唐からの侵略戦争に抗った安市城主と民の物語。
孤立無援の中、激しい戦を展開する壮大な歴史アクションです。
- 645年。唐の軍神・太宗が高句麗に侵攻
- その軍勢20万。安市城という場所で熾烈な戦いが
- 安市城の城主は、20万相手に5000の兵で応戦
- 国と民を守るため、決して退かず唐軍を追いやった
雨のように矢が降り注ぎ、長槍の騎馬隊が押し寄せ、城壁際では音を立てた刃の交わりが。
迫力の戦闘シーンが見どころですが、城主を信じ慕う民との交流にもウルっときます。
ただ一つ。
安市城の城主・楊萬春を演じたチョ・インソム氏が、ヒゲ面の山田孝之さんにしか見えません(笑)
3期に渡る唐の高句麗出兵の史実に基づき、徹底抗戦を貫いた歴史バトルアクション作品 です。
雲を抜けた月のように(2010)
【雲を抜けた月のように】は、端的に言うと韓国版「座頭市」のような物語。
秀吉の朝鮮出兵で混乱した朝鮮王朝内で、国王と民がぶつかり合った内戦が描かれています。
- 16世紀、倭軍の来襲に打って出ない朝廷への不満が頂点に
- 倭軍侵略を阻止するため、剣客たちが「大同契」なる義勇軍を発足
- 大同契の勢力が拡大し、王からは反乱軍として認定
- 大同契内部でも、対倭軍の大義派VS殺し合いをしたいだけの派閥に分裂
1592年に始まった文禄の役。
秀吉の朝鮮出兵が元で半島内は混乱し、剣を振るう意義がバラバラに。
大義派の盲目の剣客・反派閥・王命軍のそれぞれが、それぞれの思想を掲げ、一死騒乱の戦いに発展してしまう作品 です。
バトル・オーシャン 海上決戦(2014)
【バトル・オーシャン 海上決戦】は、二度目の秀吉の朝鮮出兵・慶長の役での海戦の物語。
半島の本営側からみた、圧倒的不利な水軍バトルの模様が描かれています。
- 日本水軍VS朝鮮水軍。数的有利な日本軍圧勝…とはならず
- 330隻の日本船隻に対し、残ったわずか12隻で戦況をひっくり返した
- 朝鮮軍の名将・李舜臣の采配を見せつけられる海上での死闘
戦さを描いた歴史バトル映画は数あれど、船舶戦を描いたものは稀かと。
わりとマイナーな日本軍指揮官も登場し、日本水軍の皆さんも韓国の俳優さんが熱演。
ちなみにこの頃、韓国を拠点に活躍していた大谷亮平さんも出演しています。
ドラマ「逃げ恥」「奪い愛、冬」に出ていたイケメンさんです。
どこに出ていたのかを探しつつ、荒波のなか船隻をぶつけ合う戦さの行方をお楽しみ下さい。
陸上での騎馬戦とは全く違う壮大さがある作品 です。
天命の城(2017)
【天命の城】は、清の朝鮮侵攻を避けるため、王と朝廷が南漢山に逃げ込んだ47日間の物語。
坂本龍一さんが初めて韓国映画音楽を手掛けた作品でもあります。
- 1636年の丙子の役を題材にした、キム・フン氏の同名小説が原作
- 12万の清の進軍から逃れ、1万3千の朝廷人が南漢山に籠城
- 清と和睦すべきか戦うべきか。朝廷トップの政略とは?
現場で戦さを…ではなく、あくまで会議室で戦さをどうにかしたい連中の姿が描かれています。
なのでアクションはほぼありません。
イ・ビョンホン氏を始め、豪華俳優陣が静かな闘志と信念を丁寧に演じています。
国家の存亡と民の命を天秤にかけ、国を司る者たちの心の在り方が重厚に展開する作品 です。
ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女(2016)
【ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女】は、日韓併合の時代に数奇な運命を辿った皇女の物語。
実在した人物が主人公ですが、映画の冒頭でフィクション作品であることがきちんと明示されています。
- 大韓帝国初の皇帝となった高宗の娘・徳恵翁主が主人公
- 留学の名目で、13歳の頃から日本での生活を余儀なくされた
- 祖国に帰りたくとも帰れず、帰れたとしても入国も認められず
- 祖国から幼なじみが彼女を救いに来日
- 徳恵翁主は、民族解放・祖国独立のシンボル的皇族となっていった
日本統治下の世に生まれ、時代の荒波に飲まれたお姫さま。
せずに済んだ苦労を重ね、壮絶な人生を歩まざるを得なかった…というお話です。
わりと日本人が極悪人っぽいキャラになっていますが、日本が大韓帝国を統治していた歴史は事実。
日本悪人像に目くじら立てず、波乱万丈の人生を垣間見る作品 です。
…ということで、韓国映画の中から歴史モノ10選をお届けしました。
時代劇というよりも、「王に」とか「王の」とかの宮廷内絵巻が多いですね。
熾烈な権力争いや国取り合戦の舞台になったりと、朝鮮半島の歴史にはいろんなドロドロが。
どの作品もフィクションですが、歴史ロマン溢れる作品選びの参考になれば、恐悦至極にございます。
その他にも、勝手にジャンル分けして韓国映画特集をご紹介しております↓
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