映画【英国王のスピーチ】は、先代国王ジョージ6世の激動の半生を描いた実話に基づく歴史映画。
実際に、いくつかのジョージ6世のお姿と肉声が収められた映像が残されています。
ということで「REONさんのドキュメンタリー映像館」をお届けします。
ジョージ6世が苦悩し、克服しようとした理由
ジョージ6世が、なぜ懸命に吃音症と向き合わなければならなかったのか。
自身がコンプレックスを抱いていたから克服したかった、というものあります。
それに加えて父王の崩御、兄王の退位、第二次世界大戦勃発。
ジョージ6世の周囲を取り巻く環境の変化は、さらに他にもありました。
それはラジオや映像といった放送技術の進歩。
これまでは式典会場に来た者に対してスピーチをすれば済みましたが、ラジオを通して一層国民へのお声掛けを放送しなくてはならなくなったのです。
吃音症の症状と思しき言葉の詰まり、克服なさった様子が分かる肉声をどうぞ。
実際に残るジョージ6世の肉声
1930年
ジョージ6世は、ヨーク公アルバート王子の時代に言語療法士ライオネル・ローグと出会いました。
これは出会って治療を始めてから4年ほど経った頃、ヨーク公アルバート殿下としてスピーチを行った際の映像です。
若干、言葉に詰まったり無言の場合があります。
…が、【英国王のスピーチ】劇中で見られるほどのひどい吃音には聞こえません。
治療の成果が出始めた頃ではないでしょうか。
1934年
父王ジョージ5世が崩御される2年ほど前、こちらもヨーク公アルバート殿下としてスピーチを行った際の公務の様子です。
1930年の映像と比べると、穏やかな抑揚で聞き取りやすい語り口になっっている気がします。
1938年
ジョージ6世は1936年から国王として在位。
この映像は「国王ジョージ6世」としてのスピーチの模様になります。
拝聴していて、とても滑らかな口調に思いました。
聴き進めていくと、後半で言葉が出にくい様子も伺えたので、まだ吃音症の不安が残っていることがわかります。
1944年
こちらは第二次世界大戦時にラジオで放送された、ジョージ6世国王の肉声になります。
歴史上最大規模となった「D-DAY」と呼ばれるノルマンディー上陸作戦の布告に関する内容です。
連合国軍はアメリカ・イギリスを筆頭に、ドイツ占領下フランスのコタンタン半島ノルマンディーに大規模な侵略作戦を展開しました。
落下傘部隊の降下・空襲・艦砲射撃・舟艇での上陸。
ドイツ軍の必死の抵抗により、制圧までおよそ2ヶ月を要した緊迫の戦略に関するスピーチでは、吃音症を患っていたとは感じさせない口調です。
1945年
1945年。第二次世界大戦は連合国側の勝利で幕を下ろしました。
その際の終戦のスピーチの模様です。
約10分弱と、長い映像になっていますが、最初から最後まで堂々と威厳ある言葉でスピーチを行っています。
言語療法士ライオネル・ローグと出会った頃は、あまりにバカバカしい治療法や特訓に辟易したことも。
それでも懸命に治療に臨み、胡散臭い民間療法を行うローグのおかげで吃音症も克服されたようです。
映画と実話とは少し異なる点も
こうして実際のジョージ6世のスピーチ映像を見ると、劇中で見るほど吃音の酷さを感じませんでした。
映画【英国王のスピーチ】は史実をもとにしているものの、やはりいくつか脚色された部分もあるようです。
- コリン・ファース演じるジョージ6世の吃音は、少々誇大表現にしてある
- 劇中ではライオネル・ローグとの出会いは1934年になっているが、史実では1926年
- 兄エドワード公とアルバート公は少々敵対関係にあるように描かれているが、実際は仲の良い兄弟だった
- エドワード8世の退位に関して、劇中ではアルバート公を支えていた時の首相ウィンストン・チャーチル。本当はエドワード擁護派だった
よりストーリーを際立たせるために、この辺りが映画独特の描写に。
たしかにこうした演出のおかげで、印象深い映画作品に仕上がっています。
実は、ドキュメンタリーバージョンでジョージ6世の半生を描いた作品 も。
こちらは貴重な映像や当時の関係者エピソードがふんだんに盛り込まれ、よりジョージ6世のお人柄がよく分かる映像作品になっています。
…ということで、実際のジョージ6世国王の肉声ラジオのお声を集めてお届けしました。
皇族、しかも国王という重圧。
自身も辟易する言語障害のコンプレックス。
とてつもない時代の荒波さえも乗り越えたお姿から、勇気をもらうきっかけになれば恐悦至極にございます。
映画のあらすじ・キャスト・時代背景については、こちら↓
コメント