500年以上も続いた李氏朝鮮王朝。
27人もの国王が君臨したこの王朝の歴史の中で、ある国王だけ史実に空白の期間があります。
15年間の在位期間中、記録されなかった15日間。
史実とフィクションを融合させ、李氏朝鮮王朝第15代国王・光海君とその影武者の姿を描いた韓国映画【王になった男】の世界へとご案内いたします。
この記事でわかること
- あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・動画配信サービス・DVD情報
【王になった男】李氏朝鮮・光海君の時代
光海君!それはみんなに親しまれやすいよう、君付けで呼ばれた国王!
…という理由で君付けされてるわけではない。
長く続いた朝鮮王朝の歴代国王には、〇〇祖とか〇〇宗という廟号があります。
ただ、27名中2名だけは、〇〇君という呼び名&暴君というありがたくない不名誉な歴史が。
第10代国王・燕山君(ヨンサングン)
- 妓生(キーセン)と遊び呆け、苦言を呈した側近をバンバン粛清したチャラ王
第15代国王・光海君(クォンへグン)
- 世子(セジャ)と呼ばれる次期国王の兄を差し置いて、王に祀られた次男坊
- 存命だった世子(セジャ)と、のちに生まれた王位継承権を持つ弟を亡き者に
- さらに調子に乗った側近のせいもあり、暴君呼ばわりされた
この2名の国王だけは最終的にクーデターで廃位に追い込まれ、王としてではなく逆賊としてこの世を去ったので廟号がありません。
それでも廟号あるなし関係なく、歴代国王の在位期間の記録はきちんと史料に残されています。
…が、光海君(クォンへグン)だけ一部の記録がポッカリと抜け落ちているんです。
その間一体何が起こっていたのか。
15日間分の空白があるという史実から、実は影武者が執政していたのでは…という想像の世界が広がるフィクション映画が【王になった男】 です。
映画【王になった男】基本情報
王になった男 | 2012年 韓国映画 |
ジャンル | 歴史フィクション |
監督 | チュ・チャンミン |
脚本 | ファン・ジョユン |
上映時間 | 131分 |
出演 | イ・ビョンホン、リュ・スンリョン他 |
動画配信サービス | Amazonプライムビデオ(prime対象) |
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【王になった男】宮廷内の不穏な動き
時は1616年、舞台は李氏朝鮮王朝の宮廷内。
第15代国王である光海君(クォンへグン)はここ数年、いっときも心休まることのない日々を過ごしておりました。
- もともと光海君(クォンへグン)は王位継承第二位だった
- いろいろ諸事情が絡み、1608年に第15代国王として即位
- その後、取り巻き高官が調子に乗り始め、反発する勢力が出現
- 宮廷内で不穏な動き、謀反の兆しが見え隠れ
- 王妃の兄は謀反の濡れ衣を着せられ、大罪人に
- 「大罪人を処罰しないならば王の資格なし」という大義名分で追い込まれ始めた
- 仮に処罰したとしても、親族が大罪人とあらば王妃は廃妃が必然
- さらに光海君(クォンへグン)の食事に毒を盛られた形跡も
うぉー。暗殺されちゃうピー〜ンチ!!
食事も安心して食えんし、いつ寝込み襲われるかも分からん悪夢にうなされて、毎日地獄だな。
欲望と陰謀の矢面に立たされ、次第に横暴さが増して暴君と化していった光海君(クォンへグン)。
そんなある日、自身の身に確実に暗殺の手が伸びている証拠を目の当たりにしてしまいます。
- 王の食事は、目の前で毎回まず毒味役の女官が確認してから献上
- ところがスープをすくった途端、銀の匙が変色
- 銀食器は毒に触れると変色する特性があるため、ただならぬ事態
へぇー。銀食器って高価だから身分の高い人アイテムなのかと思ってた。
毒盛られても判別出来るから、王の匙や箸は銀製になってるらしい。
光海君(クォンへグン)は荒々しく食事をぶちまけ、食事を用意した女官たちに激怒。
どんな毒なのか、いつ食事に混入したのか。そして毒を盛るよう裏で操る黒幕は一体誰なのか。
暗殺に怯えた王は、数少ない信頼できる側近であるホ・ギュン都承旨(トスンジ)を呼び、直ちに毒の分析と混入経路などを調べさせることに。
- 実は銀食器は毒以外でも変色する性質が
- 鉄に長時間触れたり、空気中の硫黄成分や汗、温泉成分でも変色する
- 此度の一件は、毒ではなく竹塩が原因と判明
…え。塩で変色するの?っていうか竹塩って何。
…竹の節に天然塩を詰めて鉄釜で焼いた塩だ。
朝鮮半島には醤油に似た魚醤なる黒い液体調味料もありますが、基本的に味付けは塩がメイン。
そして塩の良さ・旨み・ミネラルをパワーアップさせるため、竹筒に詰めて黄土で蓋をし、鉄釜で9回も焼きまくって作ったものが竹塩です。
参照日本竹塩協会
なんだー。じゃぁ特に毒盛られて変色したわけじゃなかったんだ。
…それでも暗殺の疑念は晴れんがな。
今回は竹塩が原因で銀の匙が変色したにとどまりましたが、これがもしヒ素だったなら…ほぼ即死も免れない深刻さ。
身も心も休まらない王は、都承旨(トスンジ)に対してもう一つ急ぎの王命を下します。
それは万が一の備えとして、自分と良く似た人物を探し出し、影武者に置くこと。
そして王命を受けた都承旨(トスンジ)は、まさに王のお顔と瓜二つの賎民を探し当てたのです。
その男、瓜二つ
たびたび市井に出向いては、王と似た者が居ないか探し歩いたホ・ギュン都承旨(トスンジ)。
ある晩、宴会で大盛り上がりしている御一行に目を付けます。
- 場所は綺麗どころのオネーちゃんたちがいる妓生(キーセン)宿
- 目を付けたのは、呑みにきた客…ではなく、宴会の余興を演出する道化師
- ハソンと言う名の即興劇役者が、よく見ると王に似てる気が
これまた即興劇の内容が(笑)
…光海君(クォンへグン)や宮廷内をイタく風刺する内容だな。
演劇内容はさておいて、都承旨(トスンジ)は翌朝ハソンの家に上がり込み、睨みを利かせて顔をじっくりと確認します。
一方ハソンは、もしや演劇内容がマズかったから、なにやらエラいお役人様が咎めに来たのかと大慌て。
そんなハソンに対して都承旨(トスンジ)は、多くを語らず要点だけを伝えます。
都承旨『これから国王殿下に会いにいく。
返事は「はい、殿下」、受け答えは「恐れ多くも…」と返すこと』
ハソンは何がどうしてどうなってるのか分からぬまま、麻袋を被せられて宮廷内に連行されることに。
そうして行った先で王の執務服・龍袍(ヨンポ)を着せられ、光海君(クォンへグン)の御前へ。
賎民のハソンのままじゃそんな似てなかったのに、龍袍(ヨンポ)着ると瓜二つ!
…確かに。馬子にも衣装って感じだな。
面をあげい、とハソンの顔付きを確認した光海君(クォンへグン)。
自身の言葉を繰り返させ、影武者に相応しいかの吟味を行いました。
- オロオロしつつ、ハソンは持ち前の役者魂ですっかり光海君(クォンへグン)を演じて見せた
- 表情こそトゲがないものの、立ち振る舞い・声のトーン・口調を完璧にリピートアゲイン
- 光海君(クォンへグン)のお気に召し、3日ごとに宮廷内に呼ばれることに
おぅ♪これで即興劇のお咎めはナシだ♪
…うん、まぁそれはそれで別のお役人から尻叩きの罰を受けたがな。
こうしてハソンはたびたび光海君(クォンへグン)が休みたいときの代役を務めることに。
しかし事態は突如急変してしまいます。
お食事には入念に注意して召し上がっていたのに、光海君(クォンへグン)が毒に侵され生死をさまよう病に伏せてしまったのです。
王として夢を抱いた影武者
光海君(クォンへグン)が病に伏せたことを知る者は、今のところ3人のみ。
常にお側にお仕えするチョ内官(ネグァン)と、治療にあたる医官(イグァン)、そしてチョ内官(ネグァン)から知らせを受けた都承旨(トスンジ)だけです。
- 王が倒れたとあらば、未だ正体が掴めぬ謀略勢力の思うツボ
- お風邪を召したことにして、3日ほど全ての政務を延期
- 誰にも口外せず、あの影武者にしばらく王を演じたままにさせておこう
たまにならまだしも、連日ハソンが代役ってムリくない?
…事態が事態だしな。仕方がないから宮廷内のしきたりや政務を3日で叩き込んだよ。
これまでは夜のみ、王のお部屋にいればいいだけだったハソン。
これからは朝も昼も王として振る舞い、大勢の女官や内官の目にさらされることに。
それだけにとどまらず、謀反を企てる者が混じっている高官どもともやり取りし、政務を執ることまで求められてしまいます。
- 王の日常に関してはチョ内官(ネグァン)が完全サポート
- 政務に関しては、光海君(クォンへグン)の右腕である都承旨(トスンジ)の言うがまま執行
- その他警護は、影武者とは知らずに御身をお守りするト部将(ブジャン)が付きっきり
…って完全サポート体制整えても、バレそうな気がするんだけど。
それな。でも宮廷内で誰一人、王が影武者だなんて気付かないんだよ。
日に日に暴君化していた荒々しい王から一転、よく食べよく話しよく笑う王(影武者)。
すぐにバレそうなものですが、むしろ宮廷内での評価は上々です。
- 日常の失態は優しくチョ内官(ネグァン)がフォロー
- ハソンもやらかした失態を反省し、分からないこと・王であるために必要なことを学習
- 女官たちをねぎらったり、影武者がバレないよう王妃を避けたりと奮闘
政務も都承旨(トスンジ)の指示通りに行えばいいし、案外セーフ?
…あぁ。うまいこと演じきってるな。
あくまでニセモノ、あくまで影武者。
まるで傀儡のように王を演じる日々を過ごすハソンですが、宮廷生活に慣れるにつれ、政治の在り方・政務の執り方に疑問を抱くように。
- 美味しいあずき粥を作ってくれた、まだ15歳の女官サウォルがお気に入りに
- なぜその若さで女官になったのか、家庭事情を知り庶民の苦しみに悲嘆
- 欲望まみれの高官どもが私腹を肥やしていることに憤慨
でもハソンは本物の王じゃないから、難しい問題はどうにもできないよね?
…これがまた、光海君(クォンへグン)の執政の良いところを活かして、国も民も良くなるよう仕切り始めるんだ。
政治とは、一つを与えて一つを得ること。
バランスを取るのが難しいがゆえに、駆け引きのようで駆け引きだけではうまく回らない難しさが。
だからこそ、長らく王を支えてきた都承旨(トスンジ)がハソンに政務の執り方をいちいち指示していました。
しかしハソンは見て見ぬ振りもまた必要悪、という宮廷内の腐敗に納得がいきません。
それだけでなく、庶民を想って光海君(クォンへグン)が打ち出した政策が滞っていることにも、王妃の兄が大罪人扱いされていることにも。
こうしてハソンは影武者でありながら王として振る舞ううちに、真の王になりたいと願うように。
そうして『王』であるからこそ変えられる世の中を変えようと していきます。
そんなハソンの想いに同調する者、慕う者、反発勢力もまた動き始め…というのが大まかなあらすじになります。
【王になった男】謀反に抗う登場人物たち
ドロドロとした権力争いの渦中に放り込まれ、影武者として【王になった男】の生き様を描いたこの作品。
変わりゆく姿に魅了される登場人物たちをご紹介いたしましょう。
光海君(クォンへグン)は、先代王の後継問題や醜い権力争いの末、第15代李氏朝鮮王になった実在人物。
暗殺ターゲットになるだけの経歴もあり、多くのしがらみを抱えています。
影武者を立てたものの、毒ではなく過剰摂取で毒にもなる薬によって瀕死の状態に。
懸命の治療の甲斐あって命を取り止め、生死を彷徨った期間が15日間だったのでは…という設定です。
ハソンは即興劇役者の賎民。光海君(クォンへグン)にソックリということで、影武者役になった架空の人物です。
朝鮮時代の身分制度では、モノ扱いの奴婢のひとつ上にあたる卑しい下級民が賎民。そして役者はこの賎民に分類される職業です。
ゆえに今でも韓国では役者や芸能人は身分が卑しいと捉える風潮が根強く残っています。
とはいえ、今作で1人2役を演じ分けたイ・ビョンホン氏の演技力は見事。
同じ龍袍(ヨンポ)姿、同じ仕草、同じ口調にも細かな演じ分けがあり、光海君(クォンへグン)なのかハソンなのかの違いがはっきりしています。
ホ・ギュンは王から最も信頼を得ている家臣・都承旨(トスンジ)の役職についている人物。
都承旨(トスンジ)とは、王と高官の間に立つ政治の最高責任者です。
ハソンはあくまで光海君(クォンへグン)の身代わりに過ぎないため、何かやらかすと叱責しまくってます。
…が、勝手な判断で動き出したハソンの決断力と行動力に「理想の王」の姿を見出すようになっていきます。
チョ内官(ネグァン)は常に王のお側に使えるお世話係。
内官とは中国史でいう宦官で、生殖器をチョン切って生涯を王のためだけに生きる役職です。
そんな役職のチョ内官は、物静かで聡明ながらも影武者ハソンの素直さや無邪気さに同調するノリの良さも。
誰よりも1番にハソンを『王』と認め、なにかと良くしてくれるオジサマです。
ト部将(ブジャン)は、王を護衛する近衛兵のトップ。
真面目で堅物、職務に忠実で、即興劇で王を風刺していたハソンを捕らえて尻叩きの刑に処したのはト部将です。
その身に代えても王の御命と威厳を守るために日々奔走し、のちにハソンが影武者であったと知ります。
…が、『王』ハソンを我が王と言わんばかりに御守り通す姿は号泣モンです。
王妃は中殿媽媽(チュンジョンママ)と呼ばれる光海君(クォンへグン)の正室。
劇中お名前は登場しませんが、史実からみると柳氏(ユシ)にあたる人物かと。
大罪人として捕らえられた兄の一件もあり、ハソンと接する機会は最小限。ゆえに影武者であることに最初は気付きませんでした。
…が、さすがに夫婦ゆえ、最後まで気付かないはずもなく。
途中から『王』ハソンの行動や『影武者』ハソンの行く末を案じ、さりげなくサポートしてくれます。
…と、この他には腹黒そうな顔つきばかりの高官どもや、日常ハソンと交流する機会が多い女官たち、中でも健気で『王』ハソンを慕う女官サウォルなどが登場。
たった15日間の間だけれど、宮廷内に光を差し込んだ影武者ハソンの魅力に加え、笑いも涙も感動も溢れた作品になっています。
【王になった男】まとめ
なぜか在位中の15日間分だけ、歴史的記録が残されていない李氏朝鮮王朝第15代国王・光海君(クォンへグン)
その間、実は影武者の存在があったのでは?
そんな想像の世界が描かれた作品が【王になった男】です。
- 李氏朝鮮第15代国王・光海君と瓜二つの顔を持つ影武者の物語
- 影武者として召し抱えられた賎民が、王として国を・民を・宮廷内を想う15日間
- 光海君の史実に確かに空白の15日間があるが、影武者を立てた記録はない
歴史は過去の偉人に想いを馳せ、想像する楽しさや壮大なロマンが秘められていますよね。
今作は史実ではなくあくまでフィクションです。
しかも特に真新しいストーリーでもなく、いわゆる《王子と乞食》のような展開。
それでも弱きを助け強きをくじき、いつの間にか周囲の人望を集めていった影武者ハソンに魅せられっぱなしでした。
記録が残されなかった歴史の裏に、こんな世界があったのかもと妄想すると、なんだかより一層歴史に興味が湧いてきます。
韓国映画【王になった男】は、歴史の空白・15日間だけ『王になった』影武者の過ごした日々に胸が熱くなる作品 でした。
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