映画【羊たちの沈黙】で注目されるようになった狂人ハンニバル・レクター。
元々は1981年に刊行されたトマス・ハリスの小説《レッド・ドラゴン》の脇役的な存在として登場し、初映像化作品とハンニバルシリーズ4作品の計5作品があります。
とんでもないお食事嗜好のレクター博士にどっぷり浸かりたいあなたに捧ぐ、ハンニバル・レクター黙示録をお届けします。
刑事グラハム/凍りついた欲望(1986)
まずはこちらから。
のちのハンニバル・レクターシリーズ4作品に乗っ取られ、登場してたことを忘れ去られている映画が【刑事グラハム/凍りついた欲望】
トマス・ハリスの小説《レッド・ドラゴン》が原作です。
- 殺人鬼の心理とシンクロするというイタコなFBI捜査官が主人公
- レクター博士からは過去にトラウマ級の精神負担を受けた過去が
- 心身ともに疲れてFBI捜査官を隠居
- …するも、満月の夜に起こる一家惨殺事件の捜査に協力要請が
- 猟奇殺人犯の心理を知るべく、収監中のレクター博士の元へ
ちょっと《羊たちの沈黙》のクラリスっぽい?
あぁ、でもあくまでレクター博士はチョイ役だな。
あまり記憶に残らないほど、チョロっとしか登場しないハンニバル・レクター。
この作品は、犯人とシンクロする捜査官と連続猟奇殺人犯との攻防ががっつりメインです。
…ということで、『人肉好む鬼畜なハンニバル像』を期待して観ると、完全に肩透かしにあう作品。
アンソニー・ホプキンス演じるハンニバル・レクターシリーズの映画【レッド・ドラゴン】として再映像化もされてますが、同じ原作小説とは思えないほど視点に相違があります。
別角度でトマス・ハリスの描く原作の良さが活かされているので、ハンニバルの映画ではなくサスペンスミステリーとして鑑賞するとよく作り込まれたお話かと。
ハンニバルレクター初登場はこの作品。映画【刑事グラハム/凍りついた欲望】
監督:マイケル・マン
キャスト:ウィリアム・L・ピーターセン、ブライアン・コックス他
※現在動画配信サービスでの取り扱いがありません。
羊たちの沈黙(1991)
ハンニバル・レクターが注目されるキッカケになった映画が【羊たちの沈黙】
おぞましさもサスペンススリルも存分に味わえることから、怖い映画の名作の一つに君臨してますね。
- 若い女性を狙った連続殺人事件が
- しかも遺体はどれも皮ぺろーん…な惨殺っぷり
- この事件の犯人を特定すべく、FBI新人捜査官が奔走
- 猟奇事件を起こす人物の行動パターンを知るために、狂人レクター博士にご教授頂くことに
- 次第にFBI新人捜査官に心理が、レクター博士に蝕まれていく
これ、初めて観たときホント怖かった…。
観たあと、フルフルした余韻が残るよな。
私はここからトマス・ハリスの小説にどっぷりハマり、海外作家さんのサスペンスミステリーが好きになりました。
狂人らしからぬ紳士で真摯なレクター博士。
彼の魅力に飲み込まれ、異常な世界の虜になります。
もう少し詳しいあらすじ・キャストについてはこちらもどうぞ↓
ハンニバル(2001)
映画【羊たちの沈黙】から10年後を描いた続編。
再びレクター博士とクラリスが、深く関わっていくことになる作品です。
- あの頃のクラリスはまだ見習いのFBI捜査官
- レクター博士の協力もあって一人前の捜査官に無事に成長
- 凶悪犯と戦う日々を送るも、10年ぶりにレクター博士がクラリスの日常を脅かすことに
10年経ってもクラリスのこと忘れてないんだ。
もはや立派なストーカーだな。
【羊たちの沈黙】劇中では、協力者として接触していたレクター博士とクラリス。
今度は関係性が一変し、クラリスはレクター博士の美味しいお食事の食材ターゲットにロックオンされます。
レクター博士は引き続きアンソニー・ホプキンスの怪演が光るものの、クラリス役はキャストが変更。ジョディ・フォスターではなくジュリアン・ムーアが演じています。
「クラリス…クラリス…」を連呼しまくるレクター博士が主役の映画【ハンニバル】
監督:リドリー・スコット
キャスト:アンソニー・ホプキンス、ジュリアン・ムーア、ゲイリー・オールドマン他
レッド・ドラゴン(2002)
こちらは2002年に公開されたハンニバル・レクターシリーズ第3弾。
【羊たちの沈黙】《ハンニバル》のさらにその後、という展開にはなっていません。
ちょっと【羊たちの沈黙】から時間軸を巻き戻し、レクター博士の狂気が明らかになって収監された頃のお話が描かれています。
- レクター博士は以前からFBI御用達の犯罪心理分析の権威
- 犯罪心理のアドバイザーとして協力していた
- レクター博士と捜査でも個人的にも関わるようになったFBI捜査官の精神がズタボロに
さらにこの作品では、レクター博士の異質で歪んだ愛情表現や食材のハンティング法、グロッキーなお食事風景なんかもてんこ盛り。
ここまで開けっぴろげにレクター博士を描いちゃうんだ。
観るには相当覚悟した方がいいね。
脳裏に焼きつきそうなショッキングなシーンのオンパレード。
映画【刑事グラハム/凍りついた欲望】と同じ原作とは思えないほど、グチョグチョした怖さを思う存分堪能出来る作品です。
ハンニバル・ライジング(2007)
レクターシリーズ第4弾は、新たに原作者トマス・ハリスが書き下ろした新作を映像化。
原作者自ら映像脚本にも携わった本気の一作です。というか毎回本気すぎ、怖すぎなんですけどね。
- レクター博士の生い立ちに焦点をあてた作品
- ハンニバル少年はリトアニアの名門貴族出身
- 1944年戦禍に見舞われ両親を亡くし、残された妹と山小屋で過ごすことに
- その時の経験が、その後の彼の人生に大きな影響を与えた
- 医学を学びつつ、狂気の片鱗が見え隠れ
幼少期から青年期までの若かりしハンニバル・レクターのお話、ということでキャストはもちろん若返ってます。
レクター役はアンソニー・ホプキンス氏ではなく、主演をつとめたのはギャスパー・ウリエル氏。
イケメンなレクターについ魅入っちゃうね。
狂人と優等生。レクターの両面が垣間見れる作品だな。
ハンニバル・レクターを演じるのはアンソニー・ホプキンスじゃなきゃ…という方でも、ギャスパー・ウリエルの妖しいハンニバルに魅了されるかと思います。
ハンニバルシリーズ4作品を観るならどの順番?
引用amazon
初の映画作品【刑事グラハム/凍りついた欲望】…はちょっと置いといて。
続編が作られるごとにおぞましい演出が増えていってる気がするレクター博士シリーズ。
全作網羅したい場合どの順番がいい?というと、4作品を時系列ごとに観るのもいいかもしれません。
- 幼少期・青年期を描いた《ハンニバル・ライジング》2007年公開
- 精神科医から収監者へ《レッド・ドラゴン》2002年公開
- 収監中に捜査に協力した《羊たちの沈黙》1991年公開
- 10年ぶりに接触してきた《ハンニバル》2001年公開
観たいけど…怖くて観れん!
あぁ、分かる…どれもグロいからな。
そんなあなたにはこちら。パラパラ紙芝居風の手書き解説動画を。
レクター博士シリーズ4作品の中で、最もストーリーに深みがある映画【羊たちの沈黙】の分だけですが、グロさが際立たずに楽しめるかと思います。
これなら安心・紙芝居で【羊たちの沈黙】の世界をどうぞ↓
…ということで、ホラースリラーの名作、アンソニー・ホプキンスの代表作の一つでもあるハンニバル・レクターシリーズをお届けしました。
演出で生々しくもグログロしいシーンが多いからか、なかなか地上波ではオンエアされないような作品揃い。
鑑賞する際、お食事前やお食事後にはくれぐれもご注意を。
有名どころでグロッキーな映画作品チョイスのお役に立てれば、恐悦至極にございます。
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