映画《死霊館 エンフィールド事件》の題材となった、オカルティックな超常現象。
「エンフィールド事件」は、世界中にポルターガイストという現象が知れ渡ることになった実話です。
数多くの目撃証言・音声や映像の記録。
実際にイギリスで起きた怪奇、エンフィールド事件についてお届けします。
この記事で分かること
- エンフィールド事件の内容
- 実際の写真・ドキュメンタリー映像など
エンフィールド事件の舞台はイギリス
引用 : Google Map
エンフィールド事件の「エンフィールド」とは、怪奇が起こった地名です。
場所はイギリス・ロンドンから少し離れた郊外、ミドルセックス州エンフィールド。
この町に住む母親と子供4人が、前代未聞のポルターガイスト現象に遭遇します。
ポルターガイスト現象とは?
- 物理的にも科学的にも説明のつかない心霊現象のひとつ
- 特定の場所で奇妙な出来事が起こること
- 例えば人や動物など、生物が触れていないのにモノが動く
- 物をたたく音・ラップ音・発光・発火なども発生
ポルターガイストという言葉は、poltern(騒々しい音をたてる)とgeist(霊)を合成したドイツ語です。
つまり、「Poltergeist=騒がしい霊」という意味。
日本の幽霊のように黙ってゆらゆら姿を見せるのとは違い、目に見える明らかな怪異をもたらします。
そんな恐ろしい怪異が1度や2度ではなく、なんと2年2ヶ月も継続。
長期にわたるポルターガイストは、「エンフィールド事件」として詳しく調査されることになりました。
渦中の人物・ホジソン家
In 21 days, discover what really happened to the Hodgson family… #TheConjuring2 #June10
*This is a real photo.* pic.twitter.com/eaG0QizHbM
— The Conjuring Universe (@ConjuringFilms) May 20, 2016
まずはこちら↑
ポルターガイスト現象に悩まされた、一家のお子さまたちのお写真です。
- 近所の皆さんからは「ハーパーさん」と呼ばれている
- 本名はホジソンさん。離婚したシングルマザー、ペギーが大黒柱
- お子さまは、2男2女の四人
- 長女マーガレット(12)・次女ジャネット(11)・長男ジョニー(10)・次男ビリー(7)
- 家族5人、2戸で1棟の町営住宅にお住まい
決して裕福ではありませんが、家族仲は良かったホジソン家。
しかし一家の生活は、ある日を境に激変します。
それは長い長い恐怖の幕開け、1977年8月31日の奇妙な出来事が始まりでした。
最初の怪異と目撃者
Even the police couldn't help the Hodgson family. They were on their own with a poltergeist. #ConjureTheTruth pic.twitter.com/1hxpNeTm9b
— The Conjuring (@TheConjuring) September 7, 2016
ホジソン家を襲った最初の怪異は、霊現象というにはあまりにも些細、されど説明のつかない出来事。
家族だけでなく、警察官もその場に居合わせています。
- 家中、どこからともなくノックの音が
- さらに家具を動かす音も。ただし実際には動いていない
- 母ペギーは「泥棒が家の周りをウロついてる」と思い警察に通報
捜査のため駆けつけた警察官2名は、壁の奥から叩いているようなノック音を耳にします。
音は一ヶ所からだけではなく、どうやら移動する模様。
- キッチンの椅子を拝借して壁上部まで調査
- 音は何度か響きわたり、急にピタリと止んだ
- 壁の内側、もしくは天井裏に誰かが潜んでいるのかも
- …という話をしていたら、お借りした椅子が勝手に動いた
- その移動距離は3〜4フィート、およそ1m前後
不審者ではなく、別の「何か」の力。
怪異を目の当たりにした警察官ですが、「動いた原因を特定できない」「警察の手には負えない事象」として、捜査は終了してしまいます。
しかしこれは、まだまだほんの序の口。
ホジソン家はこのあと、更なる怪現象に悩まされることになるのです。
エンフィールド事件の現象と実際の写真
引用 : allthatsinteresting
初めは音や椅子が動くだけだった、ホジソン家の怪現象。
原因も分からず警察の介入もなく過ごす中、異変はどんどんエスカレートしてしまいます。
- 母ペギーの目の前で、重いタンスが滑り動いた
- ビー玉やレゴが家の中を飛び交い、そのおもちゃを触るとじんわり熱い
- ベッドからシーツが剥がされ、枕や服も飛び交った
- 白髪の老女・幼い子供の姿をした幽霊も目撃
- 次女ジャネットから老人のような声が発せられた
- さらに次女ジャネットは空中に投げ出され浮遊することも
次第に実害を伴うようになった、ホジソン家の怪現象。
事態は深刻な心霊現象・ポルターガイストとして、超能力者・心霊研究家・ジャーナリストなどが調査に乗り出します。
ジャネットの老人声は録音され、浮遊した瞬間は写真に収められ、調査中にも様々な現象が発生。
第3者の介入により、録音テープ・写真・動画・目撃証言など、1500以上の証拠が記録されることとなります。
調査の中心は英国心霊協会
ホジソン家で起こる怪現象の調査は、英国心霊協会が中心となって行われました。
調査員は、モリス・グロス氏とガイ・ライアン・プレイフェア氏。
お二人は実際に、ポルターガイスト現象を体感しています。
- 大きな家具がひっくり返る様子を目撃
- 火のないところで自然発火も発生
- 壁に文字が浮かび上がり、電子合成のような声を録音
- クッション入りの段ボールが床から浮いた
- …と思ったら、8フィート(約2.5m)移動、モリス氏の額に直撃
- さらにジャネットの奇妙な口笛と吠え声も聞いた
この他にも、近所住民やジャーナリストからの目撃証言が集まり、2人は「本物のポルターガイスト現象」という調査結果を報告します。
しかしこれが世間で激しい論争となり、懐疑的な解釈・調査に対する批判が相次いでしまったのです。
エンフィールド事件の信憑性
The most documented haunting ever began 39 years ago today. Join us as we #ConjureTheTruth and share the real story. pic.twitter.com/TN58WUKWN1
— The Conjuring (@TheConjuring) August 30, 2016
ホジソン家で起こった怪現象は、本当に超常現象なのか。
「エンフィールドのポルターガイスト」と名付けられたこの事件は、デイリーミラーでも報じられるようになります。
しかしあまりにも不可解で、ありえない出来事ばかり。
そこで多数の専門家を招き、多角的な検証が行われました。
- とある論者は「子供の悪ふざけに過ぎん」と一刀両断
- 精神研究者はポルターガイストの声について疑念を提議
- マジシャンは怪現象トリック説を唱え、タネがあると検証
- 腹話術師はジャネットの老人声を、腹話術によるものと判断
- 写真家は、ジャネット空中浮遊は思いっきり飛んだ瞬間の写真と断言
…と、まぁ、これまで記録された証拠の数々は、いろいろと難癖つけられて信憑性ゼロに。
さらに綿密な調査を行ったグロス氏も、ポルターガイスト現象の中心にいた次女ジャネットの「嘘」を見つけてしまいます。
- 隣の部屋のビデオカメラに、無理矢理スプーンを曲げるジャネットの姿が
- 音が記録されないようテープレコーダーを隠し、天井をホウキの柄で叩いていた
- ジャネットの老人声「ビル」は、普段からやっている変声だった
実は数多くの証拠のうち、いくつかは自作自演。
ジャネットがそうしたのには、こんな理由がありました↓
本当の現象と偽物の現象、その違いが区別出来るのか試したの。
誰を信用していいのか、誰が頼りになるのか、見極めるためにわざと自作自演していたのです。
ホジソン家の怪異は超常現象だと確信していたグロス氏とプレイフェア氏は、この自白のせいで他の研究者に嘲笑されることに。
とはいえ記録された証拠の数々は、全てがでっち上げなどありえないほどの多さです。
ポルターガイストが起こったという説得力は充分ありましたが、その信憑性は決して高くはありませんでした。
ウォーレン夫妻による研究と見解
引用 : allthatsinteresting
ポルターガイスト現象の一部は偽造だったらしい。
…という事実が公になり、専門家だけでなく一般人も、事件を疑うようになってしまいます。
- グロス氏は、自作自演以外は本物の怪異と信じてる
- なんだかんだで未だに怪奇現象が起きている
- 世界中から注目され、調査・研究・検証は続行
- アメリカで有名な超常現象研究家ウォーレン夫妻も調査に参加
- 1978年に渡英し、ホジソン家のお宅訪問
- この家のポルターガイストは、本物の超自然的怪異と確信
ウォーレン夫妻には、これまで1万件以上の心霊現象・超常現象を見てきた経験があります。
夫のエド氏は、カトリック教会が唯一認めた聖職者以外の悪魔研究家。
妻のロレインさんは、透視や霊視能力を持つ霊媒師。
お二人が経験則と特異能力から導いた見解は、「エンフィールドのポルターガイストは本物」
そう判断したのは、こんな理由から↓
「超自然的な日々を扱っている人々は、現象がそこにあることを知っています。
それについては、疑いの余地がありません」
説明不能な出来事が起こったことは事実です。
そこに何らかの超自然的要素が関与しているのは必然。
…というウォーレン夫妻の見解に、納得する者が増えていきます。
なぜならホジソン家だけでなく、ご近所さん・調査員・報道関係者が、実際にポルターガイスト現象を観測しているから。
デマだ捏造だという意見が完全に消えたわけではありませんが、エンフィールド事件は最も信憑性の高い心霊事件 と言われるようになりました。
エンフィールド事件の結末とその後
引用 : 地球探検の旅
世間の話題をかっさらい、嘘か誠かの議論にまで発展したエンフィールド事件。
その終焉はあっけなく、ある日を境にすっぱり消えてしまったそう。
- 1977年8月31日から、延々2年2ヶ月でピリオド
- ホジソン家族は現象を止めるための策を講じてない
- ウォーレン夫妻がどうにかしたわけでもない
- ただ、ポルターガイスト現象が1980年にちょこっと再発
- …したが、これまでのような恐怖は訪れず
- 現在は、完全に怪奇現象がストップしている
一体何がしたかったのか、なぜホジソン家で起こったのか。
ポルターガイストの原因は、結局わからず仕舞いで幕を下ろしました。
ただひとつ言えるのは、一家に忘れ難い恐怖を植え付けて去って行ったということ。
あのとき宙に何度も浮いて、怖い思いをした次女ジャネットさんが現在の心境を語っています。
事件のあらましを知った上で見ると、感慨深いものがあるかと思います。
ジャネットが語るあの恐怖↓
イギリス・チャンネル4のドキュメンタリー↓
映画《死霊館 エンフィールド事件》との違い
さて、本当にあったポルターガイスト現象。
ウォーレン夫妻が関わったということで、2016年《死霊館 エンフィールド事件》として映画化されています。
…が、映画はノンフィクションではありません。
- 悪魔ヴァラクとへそ曲がり男の登場は事実ではない
- ロレインさんが「ヴァラク!」と叫んで撃退もしてない
かなり事件の詳細が反映されてるので、映画と史実の違いといっても、この2つくらいでしょうか。
ポルターガイストで何が起こるのかは、作品内でたっぷり堪能できるので是非。
映画【死霊館 エンフィールド事件】
監督 : ジェームズ・ワン
出演 : ベラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン他
上映時間 : 134分
まとめ
引用 : pikabu.ru
イギリスのエンフィールドで起こったポルターガイスト。
ホジソン家の子供たちは「幽霊屋敷の変人」と忌み嫌われ、通りすがりの人に唾を吐かれたこともあります。
また、長女マーガレットと次女ジャネットは、ロンドンの精神病院でしばらく過ごしたことも。
エンフィールド事件は誇大妄想・子供のいたずらだと、検査を余儀なくされた日々もあったのです。
頭に電極を編み込まれ、脳波を検査するも結果は全て正常。
超常現象だのポルターガイストだのに懐疑的な意見は多く、それは当時も今も変わらないかもしれません。
ただ、身も心も休まることのない恐怖を体験したのは、ホジソン家の皆さんです。
事件を信じるか信じないか、その判断は個々に委ねられます。
果たしてこれは、本当に起こったことなのか。
実話として語り継がれているエンフィールド事件について、少しでも知っていただけたら恐悦至極にございます。
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