嘘か真かマユツバもの。
巷には、都市伝説なる怖いお話がたくさんあります。
たとえば口裂け女やテケテケなど、トラウマ級のそら恐ろしいお話が。
そんな都市伝説の一つを、40分ほどのフルCGで描いた映画【都市伝説物語 ひきこ】の世界へとご案内いたします。
この記事でわかること
- あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・動画配信サービス・DVD情報
映画【都市伝説物語 ひきこ】引きずっているのは遠い過去
あ”あ”ぁ”ー……あ”ーー!
…地獄の猛者みたいな声を出さんでくれ。
ホラー映画の恐ろしい発声って、観終わったあとまで耳に残りませんか?
特にJホラーと言われる日本のホラーは、設定が身近な分だけ余計に怖い…ひーーーっ(泣)
- 今作は、都市伝説《ひきこさん》関連のお話
- 《ひきこさん》とは、子供を取っ捕まえて肉塊になるまで引きずり歩く怖い女性
- 《ひきこさん》の見た目は、黒髪ロン毛でほぼ貞子
- さらに顔は口裂け女・お話はテケテケっぽいという都市伝説の融合体
なんだかとっても怖そうな雰囲気がダダ漏れです。
子供を引きずり回すって…何なのよ(怖)
そんな《ひきこさん》のアナザーストーリーを、実写ではなくCGで演出。
これがまた…ひと昔前のプレステゲームっぽい雑さが余計に怖さを引き立てています。
…が、今作は《ひきこさん》の出番は数カットしかありません。
ひきこさんの犠牲になりまくるお話ではなく、イジメや虐待に焦点をあてたホラーアニメ映画が【都市伝説物語・ひきこ】 です。
そもそも《ひきこさん》の都市伝説って何?怖くもあり悲しくもあるお話はこちら↓
映画【都市伝説物語 ひきこ】基本情報
都市伝説物語 ひきこ | 2008年 日本映画 |
ジャンル | 3Dアニメーション・ホラー |
監督 | 奇志戒聖 |
原作・脚本 | 奇志戒聖 |
上映時間 | 40分 |
声の出演 | 藤田秀和、東城未来、飯島恵美ほか |
動画配信サービス | Amazonプライムビデオ(prime対象) |
無料お試し期間を活用すれば、実質¥0で視聴可能です。
動画配信サービス選びに迷ったら、こちらで人気の5種類を選び方に合わせて解説しています↓
映画【都市伝説物語 ひきこ】あらすじ
物語の舞台は日本のどこか。
寂れているわけでも栄えているわけでもない、ごく普通の街並みの様子から始まります。
- 昔この街に住んでいた青年サトシが主人公
- 小学校の同窓会に出席するため、15年ぶりに訪れた
- かつて住んでいた団地に足を運び、昔を思い出す
なに♪初恋の思い出とか?
…そんな甘酸っぱいもんじゃない。
サトシがふと思い出した15年前の出来事。
それは雨が降ると思い出す、怖くて不思議な体験でした。
- あれは小学3年生の時の雨の日だった…と回想が始まる
- 黄色いカサを差して帰宅中の小学生サトシは、鼻歌交じりで歩道橋を歩いていた
- …と、歩道橋の下の川っぺりを歩く、むちゃくちゃ怪しげな女性を発見
- 女性は顔が見えないほどの黒髪ロン毛
- しかも右手で何かを引きずり中
…?? 引きずってるのは人形?
いや。サトシくらいの子供だな。
周囲に人影はなく、動くものが自然と視界に入ってしまったサトシ。
歩道橋の真ん中にたちどまり、怪しげな女性&あらぬ方向に首も足も折れ曲がった「子供のようなもの」を目撃してしまいます。
- その女性は、背後から送られてくるサトシの視線に気付いて振り返った
- 長い髪の隙間からひんむいた眼差しでサトシを見つめ、指差した
- さらにこの世のものとは思えないうめき声をあげ始めた
あ”あ”ぁ”ー……あ”ーー‼︎‼︎(←本日2回目)
…いや、だからやめてその声…マジで怖い…。
絶対ヤバい!俺ピンチ!と思ったサトシは、走って歩道橋を降りることに。
ところがその黒髪ロン毛女は、ちょっと笑っちゃうくらい音速マッハなカニ走りでサトシを追いかけてきたんです。
- 間一髪で逃げ切り、さらに走って自宅のある団地へ
- 黒髪ロン毛女も団地まで追っかけてきた
- サトシの家はこの団地の4階。急いでエレベーターに乗りこんだ
古い団地と窓付きエレベーター!
…あぁ、Jホラーでよくある演出だな。
走って逃げる途中も間一髪、エレベーターの扉が閉まるのも間一髪。
エレベーターのガラス越しに干からびた両手バーーん!に怯えつつ、なんとかサトシは自宅に逃げ込むことに成功します。
しかしこれでひと安心…というわけではありませんでした。
記憶に残る忌まわしさ
お家に着いてしっかり鍵もかけ、ゼェゼェ言いながら腰を抜かしたサトシ。
それでもあの黒髪ロン毛女が気になり、玄関ののぞき穴から外の様子を確認することに。
そんな好奇心がアダとなり、見たくないものを見る羽目になってしまいます。
- よく見たら、あの女が4階まで追ってきていた
- サトシの家の前で立ち止まり、ドアノブをガチャガチャし始めた
- ついでにうめき声のオマケ付き
うぉー。完全に取り憑かれた!?
…いや、エレベーターが4階で開いた音がして、黒髪ロン毛女は退散していった。
団地の他の住人なのか、誰かがカツカツ歩く音が。
しかしホッとしたのも束の間。
お次はピンポン攻撃を喰らい、サトシはまたもやビクっと驚かされることになります。
- ピンポンしてきたのは、見覚えのないロングヘアの女性
- お隣に引っ越してきたから、子供と一緒にご挨拶にきたらしい
- 子供はサトシと同じ年くらいの女の子
- ただ…女の子はうつむいて挨拶すらしない
- ご挨拶もそこそこに、翌日転校生として再会することに
ちょっと陰鬱な子だね。
うん。そのせいなのか、あっという間にイジメられるようになっちまった。
サトシの団地のお隣さん。そしてサトシのクラスメイトになった女の子。
彼女の名前は「妃さと子」
昨日はあまりよく見えなかったその姿は、手足が異様に細く、しかもあちこちアザだらけ。
そんな姿に加えていつも無口、いつも下を向いてばかりが気味悪がられ、さと子は転校早々クラスのイジメの対象になってしまうのです。
- 男子からも女子からもイジメを受けた
- 上履きをトイレに捨てられ、異臭漂うびしょ濡れ状態
- さと子の机には、ご愁傷様の意味の花が飾られた
- さらに机に「キモい」「クサい」など罵詈雑言も刻まれた
- ランドセルにも悪口が書き込まれた
- イジメの様子を担任教師は見て見ぬ振り
- …だけじゃなく、教師も出席簿を飛ばしてさと子の存在を無視
…もしかしてサトシもイジメっ子?
…いや。イジメに加担するわけでも、助けるでもなく過ごしてた。
どんどんイジメがエスカレートし、いつしかさと子は学校にも来なくなってしまいます。
そんなある日、サトシはさと子にプリントを届けるよう担任教師から頼まれることに。
それは単に「家がお隣だから」という理由。
しかしこれがきっかけで、サトシはさと子と仲良くなっていくことになりました。
守りたいもの・守れなかったもの
イジメこそしていないものの、関わることもしてこなかったサトシ。
職員室でさと子用のプリントをもらって退室した後、耳を疑いたくなる悲しい現実を知ることになります。
担任教師『イジメなんて良くあることだし、イジメる側だけじゃなく、イジメられる側にも問題あるでしょ。
正直、妃さと子は気味悪い…あぁ生徒の前では言いませんけどね。あははー』
むきーーーっ!担任クズすぎる!
イジメがなかなか無くならないのは、こういう考え方が無くならないからだろうな。
まだ小学3年生のサトシには、告発する勇気もさと子を庇う勇気もありません。
言ったところで担任はクズだし、庇ったところで自分もイジメの対象になるのは嫌。
それでもさと子の意外な一面を見て、彼女を守りたいと思うようになります。
- 実はさと子は団地の陰でこっそり子猫の世話をしていた
- 子猫をあやす優しい笑顔に、ちょっと惚れた(←多分)
- 一緒に餌をやったり雨を避けたり、よく一緒に過ごすように
ヒューヒュー♪やっぱ初恋の甘酸っぱい思い出あるじゃん♪
…が、とんでもない事件が起こるんだ。
さと子が子猫の世話をしている姿を、たまたま発見したクラスメイト男子。
サトシとは仲の良い2人組が、子猫を取り上げ執拗にイジメ始めたのです。
- さと子に渡さないよう、子猫を放り投げては受け取るという鬼畜っぷり
- サトシにも子猫をパス投げし、ヘイヘイ♪こっち投げろyo♪と遊び始めた
- これまた偶然通りかかった担任に見つかり、子猫を奪ってイジメ男子は退散
- …しただけでなく、子猫に針金巻きつけて、担任教師の車の後ろにくくり付けた
…え。この小僧ども、何やらかしてんの!
…小さな命も軽んじて、胸くそ悪いったらありゃしないな。
子猫のピンチを発見したさと子は、走り始めた担任教師の車に引きずられながらも、何とか無事に助け出します。
しかしこの様子をいつのまにか見ていた黒髪ロン毛女が、その執拗なイジメの報復に出ることに。
- ことごとくイジメを黙認していた教師が襲われ、亡き者に
- さらにイジメっ子小僧2人組も行方不明に
- それと同時にさと子の家もひっそり引っ越していなくなってしまった
- サトシは一緒に子猫の世話をすることで、さと子を守った気になっていた
- さと子が急にいなくなり、守りきれなかったという後悔が
こうしてこの一件が、サトシにとっては一生忘れられない思い出となりました。
しかしサトシの思い出には別の真相が隠されており、黒髪ロン毛女が本当は何者だったのか・なぜ報復していたのかが明らかになり… というのが大まかなあらすじになります。
映画【都市伝説物語 ひきこ】主な登場人物
今作は3DCGですが、画質はけっこう粗めです。
その分かえって不気味さも強調され、まばたきしない表情からもホラーらしさが滲み出ています。
怖さを通り越して笑ってしまうシーンもある登場人物たちをご紹介いたしましょう。
サトシは今作の主人公。
気が弱いわけでも、勇気があるわけでもない少年です。
ただ、彼には誰かを、何かを守れる人間になりたいという優しい夢がありました。
そんなサトシの回顧録には、どんでん返しの結末が。最後まで見逃せない展開になっています。
さと子は学期の途中に転校してきたクラスメイトの女の子。
陰険なイジメに合い、事件と深く関わっている黒髪ロン毛女とも繋がりが?…という人物です。
ひきこさんは、今作では特に名無しで登場する黒髪ロン毛女。
不気味な容姿・ありえない発声。
イジメっ子に狙いを定め、取っ捕まえて死ぬまで引きずり歩く怖い怖い存在です。
…と、メインキャラはこの3人。ほかに、イジメを率先して行ったことで行方不明になる同級生・イジメを深刻に受け止めない教師・体罰しまくる母親などが登場。
今作は《ひきこさん》が主役ではなく、《ひきこさんの家族》が主役という形でお話が進みます。
物語の軸となるのは、今なお大きな社会問題となっている児童虐待やイジメ です。
なので、ひきこさんにやられまくってグチャグチャに…という怖さは弱め。
もっとグッチャリ、血まみれなひきこさん映画もゴッソリあるので、その他作品はこちらからご確認ください↓
B級オカルトホラーの決定版!ひきこさんが登場する10作品をご紹介
映画【都市伝説物語 ひきこ】感想まとめ
噂が噂を呼び、まことしやかに囁かれる都市伝説。
ただ怖いだけじゃなく、人としてのあり方も提起した作品が【都市伝説物語 ひきこ】です。
- ある青年の15年前の回顧録
- 雨の日になると思い出す、黒髪の怖い女性と転校生の女子との遠い記憶
- イジメや虐待と関わりの深い《ひきこさん》がモチーフの物語
私が子供の頃は、都市伝説といえば口裂け女でした。
見たこともなく、実際に見たという友達もおらず、それでも噂話として何度も話題に。
そうしていつのまにか忘れ去られていきましたが、未だ赤いコートでマスク姿の女性を見ると『…く、口裂け女…』と思い出してしまいます。
怖さというのは何年経っても深く心に残るもの。
そしてひきこさんの都市伝説の発端となったイジメや虐待は、時には記憶が改ざんされるほど深く傷つく哀しい思い出です。
3DCGアニメ映画【都市伝説物語 ひきこ】は、もちろん充分トラウマ級の怖さがありますが、その根底にある社会問題に焦点をあてた、なかなかの秀作 でした。
映画【都市伝説物語 ひきこ】はこちらで配信中
コメント