【ドラキュラZERO】映画のあらすじを解説。新たな吸血鬼像が降臨

ファンタジー

悪魔に魂を売り、闇に堕ちたトランシルバニアの君主。

ドラキュラ(竜の子)・ツェペシュ(串刺しにする者)という異名を持つその男は、悪の力を手に入れた英雄でもあります。

ドラキュラといえばヴァンパイア、ヴァンパイアといえば吸血鬼という従来の生き血を貪る魔物の姿を、新たな視点で描いたダークファンタジー映画【ドラキュラZERO】の世界へとご案内いたします。

 

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【ドラキュラZERO】残虐な串刺し公の名を持つ男

REON
REON

だ、誰か私にA型の血を………パタッ。

たける
たける

あー。REON貧血持ちだもんねー。

日光を浴びすぎると貧血で倒れ、夜になると目が冴える私にとって、ドラキュラは親近感ありまくりのキャラクター。

1897年に刊行されたブラム・ストーカーの怪異小説「吸血鬼ドラキュラ」によって広く知れ渡るようになったその特徴は、ホラーが苦手な方にも浸透してるんじゃないでしょうか。

【ドラキュラの特徴】

  • つねに血に対する枯渇にあえぎ、若いおなごの生き血を啜る
  • 永劫の時空を生きる不老不死の存在
  • 吸血鬼やヴァンパイアの代名詞、いわゆるニックネームがドラキュラ
  • 朝日を浴びると塵になるので、完全夜行性
  • ニンニク嫌い・十字架嫌い・シルバーアクセサリーなんてもってのほか
  • 木の杭を心臓に打ち込まれると、あの世逝き

いつの世も人間が追い求める不老不死の象徴であり、畏怖とともに畏敬の念をも抱く存在・吸血鬼ドラキュラ。

小説や漫画やアニメ、ゲームのキャラクターやコスプレの対象にもなったりしますが、今作はありふれた吸血鬼物語ではございません。

人間でありながら魔物に堕ちたひとりの君主。

ドラキュラ公とも呼ばれるルーマニアに実在した王をモデルに、彼の切ない生き様を描いた映画が【ドラキュラZERO】 です。

オスマン帝国が台頭し始めた時代

時代は15世紀。

地中海一帯を統一し、絶大な支配権を握っていたローマ帝国が次第に衰退し始めたころ、東側の隣国には勢力を拡大していたもうひとつの多民族国家・オスマン帝国がありました。

たける
たける

今回の映画はオスマン帝国のお話?

REON
REON

…まぁ、オスマン帝国とその支配下にあった、ある公国のお話だな。

ローマ帝国は属国民にもローマ市民権を与るなど、わりと温和に勢力を広げて一大国家になったのに対し、オスマン帝国は侵略戦争を繰り返し、恐怖政治で帝国にのし上がった国家です。

巧みな戦術と冴え渡る戦略。

覇権を広げるためには、これでもかというくらい兵士が必要なため、オスマン帝国はこんな秘策でいくつもの国と地域を侵略していきました。

  • 親元から引き離し、属国から男児を徴集
  • 躊躇いもなく戦場で戦えるよう、子供の頃から剣を握らせ殺戮兵士に育て上げていた
たける
たける

え。子供を兵士に!?

REON
REON

親に限らず妻や子供、愛する者が側にいると戦場で迷いが生じるからだそうだ。

大人になると多くのことを思慮するようになり、「敵といえど愛する者がいるかも知れない…」と情けをかけて見逃す可能性が。

敵にかけた情けはやがて憎悪に変わり、反旗を翻し、逆襲のチャンスを与えてしまいかねません。

オスマン帝国は多くの子供をあちこちから集め、殺らなければ殺られてしまう恐怖を植え付けて、情け容赦ない殺戮兵士を量産していたんです。

串刺し公の異名を持つワラキア君主

そんな激動の時代、オスマン帝国支配下に置かれたいくつもの国の中に、ワラキアという公国がありました。現在のルーマニア南部にあたる地域です。

オスマン帝国は、属国の民の子供だけでなく君主の子供も人質として徴集。後継ぎがオスマン帝国皇帝の懐下にあれば、属国もそうそう反乱を起こすまいという策でもあります。

そして人質として徴集された君主の子息もまた、殺戮兵士の教育を施されました。

たける
たける

そのワラキアって国の君主のご子息も?

REON
REON

あぁ。10歳かそこらの子供だったのに、残忍な殺戮マシーンに成長したよ。

数年間、しごきにしごかれたワラキア公国の皇子は、戦場でその名を知らぬ者は居ないと言われるほど残虐性を秘めた戦士に変貌します。

  • 鬼神のごとく戦場を駆け巡り、敵には一切の情け容赦なし
  • 息も絶え絶えの敵兵士さえも長槍で串刺しに
  • さらに大地に敵兵士の串刺しを突き立て、その光景を見た者すべてに恐怖を与えた

これまでオスマン帝国のために戦いに身を投じたワラキア皇子は、『串刺し公』 の異名とともにその功績が認められ、先代である父・ワラキア君主亡き後に祖国への帰郷が許されます。

数千もの命を奪った見返りに人質の任を解かれ、ワラキア君主となった串刺し公・その名はヴラド

彼が今作【ドラキュラZERO】の主人公です。

 

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【ドラキュラZERO】平和を求め闇と交わした契約

ヴラドは故郷ワラキアに帰り、君主になってからもその残虐極まりない鬼神無双で公国を統治したわけではありません。

敵を串刺しにして大地に晒す、という所業を繰り返してはきたものの、敬虔なクリスチャンでもあったヴラドは己の行いを恥じ、誰よりも平和を求めるようになりました。

たける
たける

オスマン帝国や周辺諸国からの侵略戦争とかなかったの?

REON
REON

オスマン帝国とは貢ぎ物を欠かさないって和平案で協定を結んだし、周辺諸国はヴラドを畏れたからね。

幸か不幸か、ヴラドが恥ずべき残虐性は、ある意味国を守る最高の防壁になりました。

わざわざ『串刺し公』の串に刺さりに来るような侵略国家は現れなかったんです。

……ただ一国を除いては。

帝国の謀略

ワラキアは、領土も民もけっして多くはありませんが、それでも立派なひとつの国です。

ヴラドが君主になってから戦は減り、公国は徐々に潤い初めて10年以上平和な時代が続きました。

たける
たける

一番の強国オスマン帝国とも友好和平を結んでるし、ワラキアは安泰だね。

REON
REON

…そうでもない事態になってくるんだよ。

  • ワラキア公国の君主は『あの串刺し公』ヴラド
  • 現オスマン帝国の皇帝は、若かりし頃ヴラドとともに戦場を駆け回ったメフメト2世
  • メフメト2世はヴラドの残虐性と高い殺戮能力を熟知
  • いずれ反旗を翻さぬとも限らないので、和平の裏で侵略を企て中

オスマン帝国皇帝メフメト2世はたびたびワラキア領土に斥候兵、つまりは戦を仕掛けるタイミングを見計らうための偵察団を密かに派遣。

ヴラドはある日、その策略が確実に遂行されつつあることを知ります。

  • 公国領内を視察していたヴラドとワラキア護衛兵は、川辺で斥候兵の兜を発見
  • オスマンの斥候兵は単独行動はしない
  • どこかに複数の斥候兵が潜んでるはず
  • 偵察の次は征服しにやって来るに違いない

公国の危機を感じたヴラドは、オスマン帝国との境にある牙の山に残存斥候兵が潜んでいる可能性を見出し、数名の兵士とともに山の洞窟へと足を踏み入れます。

しかしその洞窟で目にしたのはオスマン帝国の斥候兵ではなく、暗闇を自在に動き回り人を喰らう恐ろしい魔物でした。

ヴラドの苦悩

ともに洞窟内に視察に行った部下の数人を魔物に喰われ、ヴラドの苦悩は増すばかり。

ただでさえオスマン帝国が立ちはだかろうとしている上に、領土内の牙の山には得体の知れぬ恐ろしい魔物。

じわじわと追い詰められたヴラドには、さらなる苦悩が待ち構えておりました。

  • 公国を挙げて民とともにイースターを祝う祝賀会の最中に、オスマン帝国からの密使が
  • 皇帝は貢ぎ物の他に1000人の子供をご所望
たける
たける

…もしかして殺戮兵士にするため?

REON
REON

そう。ハンガリーやウィーンにまで勢力圏を広げようと、帝国は他国との戦の準備もしてたんだ。

ワラキアとは和平を結んではいるものの、オスマン帝国にしてみれば絶対服従させやすい属国のうちのひとつ。

いずれ大人になれば帝国に刃向かう兵士になり得る子供を徴集すれば、これから攻め落とす他国もワラキアも、一挙両得で陥落という知略を打ち立てたんです。

さらにオスマン帝国皇帝メフメト2世は、かつてヴラドがそうであったように、彼の子息も人質として要求しました。

求めたのは…

ヴラドは、若かりし頃には戦友でもあったメフメト2世との会談に臨みます。しかし皇帝のお望みは金貨より名声より戦力。

『串刺し公』の名を恥じたヴラドと違ってメフメト2世は殺戮を好み続け、戦はまるでゲーム、そして兵士はコマとして扱い続けておりました。

たける
たける

相手がこんな巨大国家のオスマン帝国じゃ…。

REON
REON

逆らうにはワラキアはあまりに小さすぎる国だな。

我が子を昔の自分のように人質にしたくない。公国の民の子供たちを殺戮兵士にさせたくない。

愛する国を、民を、家族を守るため、ヴラドはある決心をします。

オスマン帝国の兵士は剣は恐れぬ

されど魔物は畏るるに足る

ならばあの牙の山で出会った得体の知れぬ魔物の力を手に入れようぞ

たった一人で千の兵士も万の兵士も退けられる力を欲し、洞窟に潜む魔物と悪魔の契約をすることにいたしました。

闇と光の諸刃の剣

引用wikipedia

『串刺し公』の名を馳せて殺戮の限りを尽くしていた頃のヴラドは、何も感じず懺悔の心すら持たずにひたすら戦場で他の者の心に恐怖を植え付けておりました。

闇よりも深く、悪魔よりも外道な魂で残虐な殺戮をくりかえしていたんです。

しかし今度は愛する者たちを守るため、オスマン帝国にけっして屈しないという強い願いと希望をもっています。

たける
たける

ど、洞窟にいる魔物はなんだったの?

REON
REON

…元々はローマ皇帝だった人間だ。

普通の人間とはひと味もふた味も違う洞窟の住人。

獣のように夜目が利き、血の匂いに敏感で、辺りはこの魔物の犠牲になったと思われる人骨で埋め尽くされていました。

  • 洞窟の住人は皺がれた声と容姿を持つ人間の姿の魔物
  • 出逢った者は皆恐怖に慄き、生きて帰った者はそういない
  • 今は洞窟内に閉じ込められている

牙の山の洞窟に潜む魔物の正体はヴァンパイア

ヴァンパイアといえば夜には自由に出歩いて、生き血を求めて彷徨い歩くという概念ですが、今作【ドラキュラZERO】のヴァンパイアには自由がありません。

たける
たける

なんで閉じ込められてるの?

REON
REON

力を欲し、死の向こう側に希望を持った者に力を分け与えないと自由が訪れないんだそうだ。

洞窟内でこのヴァンパイアに出逢った者は皆、ただただ恐怖して死を恐れる者ばかりでした。

人間誰しもが恐れる死を畏れず、その力を受け入れるだけの器がある者。

その者がヴァンパイアの力を得て、さらに生き血を啜り、闇の世界に堕ちなければヴァンパイアに自由は訪れません。

畏れよりも魔物の力を強く欲し、その先に希望があると信じてるヴラドに対し、ヴァンパイアは興味を抱きます。この者ならば、血を分け闇に堕ち、己に自由が訪れる可能性を感じたんです。

我の力を分け与えよう。

百人の男の力と流星のごとき速さ。

そして闇の目を持ち、獣を操り、彼らの目と耳の力も授かるであろう。

その代償は人間の血を渇望し、ひとたび生き血を啜れば地獄絵図が待ってるがな。

たける
たける

ヴラドはこのままヴァンパイアになってオスマン帝国と戦うの?

REON
REON

あぁ。だけどもし3日間、人間の血を激しく欲する渇望に耐えられれば人間に戻れる。

  • もしも3日間生き血を啜らずオスマン帝国とに戦いを制すれば、闇の力はヴラドの思い通りの希望に変わる
  • もしも血の渇望に耐えきれず生き血を啜り闇に堕ちれば、洞窟のヴァンパイアには自由が訪れる

こうして一種のゲームのような契約を交わしたヴラドに宿った闇の力は、全てを守る光になるのか、それとも全てを守れず災いをもたらし、愛する者を破滅へと追いやる運命を辿るのか…というのが序盤のあらすじになります。

 

たったひとりで立ち向かうため魔物になった王の物語【ドラキュラZERO】

己を犠牲にし、手に入れたのは魔物の力。

自らの意志で破滅に向かった悪の英雄は、果たして愛する家族を、愛する国を、愛する民を守り抜くことが出来るのか。

かつてのルーマニア南部・ワラキア公国に実在した君主ヴラドの苦悩を描いた予告動画はこちら↓

映画『ドラキュラZERO』本予告

 

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【ドラキュラZERO】悪の概念が覆る登場人物たち

今作【ドラキュラZERO】は、戦乱の時代に流されて殺戮を悪とは思わず突き進んだ者の苦悩を描いた作品です。

闇の力も本来ならば悪だけれど、そこにあるのは愛ある希望と永劫に続く深い悲しみ。

誰もが知っているドラキュラですが、誰もが知らない吸血鬼に堕ちるまでの姿を演じた登場人物たちをご紹介いたします。

 

ヴラド・ドラキュラ(ルーク・エヴァンス)

ヴラドはかつて『串刺し公』とも呼ばれ、吸血鬼に成り果てたワラキア公国の君主

幾多もの戦場経験から、人の心は恐怖で支配出来るということを知っています。

だからこそオスマン帝国に屈しないためには、オスマン帝国に恐怖を与える魔物の力を欲しました。

本当は平和を求め、良き夫・良き父・良き君主でありたいと願う心があり、光と闇の両方を望んだ欲多きヴラドの葛藤を、ルーク・エヴァンスが様々な表情で演じ分けています。

 

ミレナ(サラ・ガトン)

ミレナヴラドの妻。夫を愛し、子を愛し、誰よりもヴラドを支える良き理解者でもあります。

ヴラドが魔物の力を手に入れ、平和を求めようとする姿さえも慈しむ強さを持った女性像を、サラ・ガトンが充分な存在感を放ちながら演じています。

 

インゲラス(アート・パーキンソン)

インゲラスヴラドとミレナの息子。ワラキア公国を継ぐ立場にいる嫡男です。

子供ながらに父の苦悩を、母の想いを汲み取り、オスマン帝国が自分を人質に要求してきた際には自己犠牲をも辞さない器の持ち主でもあります。

可愛らしさの中にも勇敢な君主の資質を持ち合わせた複雑な役所を、アート・パーキンソンがしっかり表現しています。

 

メフメト2世(ドミニク・クーパー)

メフメト2世現オスマン帝国皇帝。先帝の頃、人質としてやってきたヴラドと共に舞うように敵を蹴散らし惨殺することを楽しんでいた人物です。

その残虐性は大人になっても変わらず、さらにオスマン帝国皇帝という立場になってからは絶大な権力も手に入れたことから、人の命は自分のために散らすものだという悪の権化。

富も権力も名声も戦力も、全てを持った傲慢な皇帝像をドミニク・クーパーが極悪人面で演じています。

 

マスターヴァンパイア(チャールズ・ダンス)

マスターヴァンパイア牙の山の洞窟に閉じ込められていた魔物。力を欲し、欲にまみれて闇に囚われた元ローマ皇帝です。

陽の光と銀が弱点の吸血鬼そのものですが、この力を得た際に欺かれ、次なるヴァンパイア後継者を求めて数百年もの間、洞窟に閉じ込められる運命を背負わされました。

力を持ちながら自由を失い、憎悪が膨らんだ邪悪なヴァンパイアをチャールズ・ダンスが妖しさ満載な恐ろしい形相で演じています。

 

…と特に心に残る登場人物はこんな感じです。

他にもヴラドの身辺や民を守るべく奮闘する護衛長や、ワラキア公国を共に支える相談役の官僚、闇に堕ちたヴラドを信奉するジプシーなんかも登場。

悪に魅了され、翻弄される者たちが辿る切ない運命は、最後まで目が離せない展開になっています。

 

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まとめ

強大な力を欲し、魔物の力を手に入れたことで堕ちたヴラドの人生。その代償はあまりにも大きいものでした。

  • かつて『串刺し公』と呼ばれた実在の人物ヴラド・ツェペシュが主人公
  • 残虐性とは裏腹に、求めたのは愛と平和
  • 過去の行いの贖罪なのか、望みは絶望の闇に堕ちた

愛する者を守るため、ヴァンパイアという魔物として生きていく決断をした彼には、永劫に続く闇の呪縛が待っていました。

映画【ドラキュラZERO】は、これまでの吸血鬼物語とは一線を画し、愛ゆえに異形に成り果てるまでを描いたひとりの男の物語。

地位や名誉や不老不死という己の欲望を追い求めたわけではなく、己を犠牲に他を慈しむ欲望を持った優しくも切ないヴァンパイアの姿を堪能できる作品でした。

 

 

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