100年前の記録映像を観てから、少しずつ蝕まれる精神。
それはこの世を彷徨う亡霊のせいなのか。
それとも雰囲気に飲まれてしまったからなのか。
薄暗く陰鬱で、運河の淀んだ水のようにアンニュイなホラー映画【運河の底】の世界へとご案内いたします。
この記事でわかること
- あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・動画配信サービス・DVD情報
映画【運河の底】憑き物が付き物な薄暗いホラー
川と運河って何が違うの。
ザックリ言うと、天然か人工的かってところかな。
パッと見ただけでは、さして違いが分からない「川」と「運河」
どちらも水路として活用される水流地です。
川は自然地形を利用するため、浅い・狭い・水量が少ないといった場合は水路としては不向き。
それを人工的にいじり、流れや川幅・底の深さに手を加えてあるのが運河です。
あえて水流地のない場所に溝を掘り、作られる場合もあります。
「人や物を載せた運行船が安全に航行すること」
というのが目的なので、水深も深く淀んだ不透明な水辺というのが特徴。
今作は、そんな運河の淀んだ雰囲気の中、Jホラーにも似た薄暗さが漂うミステリアスなお話です。
- 原題は『The Canal』運河という意味
- Amazonプライムビデオでの邦題は【運河の底】
- Netflixでは《ザ・カナル 悪魔の棲む場所》という邦題で配信
- タイトルが2通りあるが、内容は同じ
- アイルランドを舞台に、映画《リング》《仄暗い水の底から》っぽいありがちなホラーストーリー
- 見どころは主演のルパート・エヴァンスの物憂げな演技
ちょっと小洒落てアンニュイといえば聞こえはいいけれど、要は覇気がない・陰気くさい・なんか重い。
…という展開だらけになっています。
なのでグロさも怖さもほとんどありません。
住んだ家の過去の事件に侵食され、精神を病んでしまう男の姿を垣間見る映画 が【運河の底】です。
映画【運河の底】基本情報
運河の底/ザ・カナル 悪魔の棲む場所 | 2014年 アイルランド・イギリス映画 |
ジャンル | ホラー・スリラー・サスペンス |
監督・脚本 | イヴァン・カヴァナー |
上映時間 | 92分 |
出演 | ルパート・エヴァンス、アントニア・キャンベル=ヒューズ、ハンナ・フックストラ他 |
動画配信サービス | Amazonプライムビデオ(prime対象) |
無料お試し期間を活用すれば、実質¥0で視聴可能です。
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映画【運河の底】主な登場人物
デヴィッド (ルパート・エヴァンス)
デヴィッドは、仕事の関係で過去の亡霊・妄想に取り憑かれてしまう主人公。
彼の思考・行動が、今作のホラー要素に全て繋がっていきます。
アリス (ハンナ・フークストラ)
アリスはデヴィッドの妻。
今作の軸となる殺人事件の被害者です。
なぜ殺されたのか・誰が殺したのかは、観ていて早い段階で予想がつくかと。
ビリー (カラム・ヒース)
ビリーはデヴィッド&アリス夫妻の一人息子。
「この子を守るため」という大義名分のもと、デヴィッドが様々な奇行をするように。
今作で、最も衝撃を喰らったラストを迎えるお子さまです。
クレア (アントニア・キャンベル=ヒューズ)
クレアはデヴィッドの同僚。
少し気があるのか、何かと力になりたいと寄り添ってくれる理解者です。
マクナマラ刑事 (スティーブ・オーラム)
マクナマラ刑事はアリスの失踪・殺害事件を担当した刑事。
この手の事件にはだいたい夫が絡む…というベテランらしい観点で、事件の真相に迫る脇役です。
…と、この他には、アリスの同僚男性・アリスの母親・ビリーのベビーシッターなどが登場。
今のところ動画配信のみの映画作品なので、DVD・ブルーレイ情報はありません。
映画【運河の底】古い映像記録と亡霊
物語の始まりは、デヴィッド&アリス夫妻の様子から。
2人は生まれてくる子供のためにも新居購入を検討中。
運河沿いにある築100年超えの古いアパートに、下見に訪れておりました。
- 家を購入する際、デヴィッドがこだわる点はただ一つ
- 愛する妻アリスが気にいるかどうかだけ
- 内見した家をアリスが気に入り、この物件を購入
- …というのが5年前のお話
- 今は5歳になる息子ビリーと3人で、仲睦まじく暮らしてる
こんだけ古いとなんか出そう…。
あぁ、確かに内見のとき人影らしき影や、庭のマンホールが開いてたのは気になるな。
それでも特に何か問題が起こるでもなく、一家は慎ましくも幸せな日々を過ごします。
そうして息子ビリーが学校へ通うようになってから、妻アリスは職場にも復帰。
いつも運河の脇を通ってビリーを学校へお見送りするのは、育メンパパ・デヴィッドの役目でした。
- 仕事も順調・夫婦仲も家族仲も至って良好
- そんなある日、デヴィッドは仕事の関係で記録映像を確認することに
- それは警察から送られてきた1902年の事件映像
- 映っていたのは殺人事件現場や証拠品・犯人逮捕の様子など
デヴィッドの仕事って何。
記録映像局って言って、古いフィルムをおこしたり映像内容を確認するお役人だ。
例えば霊のように映る黒い影を確認したり、発見された古いフィルムの内容を鑑賞して吟味したり。
そんな職務に就くデヴィッドは、同僚クレアに頼まれて事件記録を観ることになったのです。
- 事件記録映像や心霊映像なんかは見慣れてる
- …が、今回観た映像には驚きの画が
- なんと写っていたのは今デヴィッドたちが住んでいる家
- その一室で、一家惨殺があった記録だった
うぉー!ここ、俺ん家じゃね!?
ってことで、デヴィッドもビックリだよ。
家屋が古ければ、過去に死人が出ていてもおかしくはありません。
…が、いわゆる「事故物件」的な殺人事件現場だったとなると、その心境は複雑そのもの。
偶然ながらも100年前の事件、警察の証拠映像という詳細な画を観てしまったデヴィッドは、この日を境に少しずつ精神を病んでしまいます。
それはまるで見えない何かに引き込まれ、操られていくかのように。
次第に蝕まれる精神
デヴィッドが観た記録映像の事件。
それは浮気した妻をメッタ刺しにして運河に捨て、2人の娘も犠牲に…という凄惨なものでした。
- デヴィッドはこの映像の悪夢を見るように
- そんなある晩、妻アリスとパーティへ
- 会場でアリスが同僚男性とひどく親しげな様子に気が気じゃない
- そういやあの事件の動機は「妻の浮気」だったなと良からぬ妄想し始めた
え。だって毎朝いってらっしゃいのチュッチュするほど夫婦仲いいじゃん。
…なんだけど、ちょいちょいアリスの帰りが遅いんだよ。
俺の家で起こった大昔の殺人事件。
その遺体は毎朝ビリーと通る運河の底から発見され、動機は妻の浮気。
あの事件記録映像が頭から離れないデヴィッドは、妻アリスが仕事と称して浮気しているのでは…と疑うようになってしまったのです。
- 彼女の残業デーに尾行を決行
- 運河沿いで、妻アリスと男性の姿を発見
- 一緒にいたのは、パーティで親しげだったワイルドな同僚男性
- 仲良さそうに、一軒の家に入っていった
- 悶々としながらその場に立ち尽くすも、意を決してコッソリ訪問
まさか…。
…生現場を目撃しちまった。
自分との営みとはうって変わって、恍惚な表情でワイルド同僚男性と激しく合体している妻アリス。
デヴィッドは見たくないもの、知りたくなかった妻の別の顔を知ってしまいます。
- 驚きと悲しみで、つい手近にあったハンマーを手に取った
- …が、半ベソかきまくってその場を後に
- ふらふらと家路に向かう途中、運河沿いのトイレで嘔吐
- 頭ん中がパニックになり、トイレで亡霊まで見る羽目に
この亡霊って。
あぁ、記録映像で見た事件の犯人だろう。
これは本当に亡霊が出てしまったのか。
それともデヴィッドの妄想が見せた幻影なのか。
意識が朦朧とする中、彼はこの亡霊男の囁きと、遠くで聞こえる妻アリスの命乞いをする声を耳にします。
その後デヴィッドはトイレで気を失い、ふと意識が戻って帰宅するも妻が帰ってこない事態に。
翌朝になってもアリスは帰らず、捜索願いを出すことになりました。
- 数日後、アリスは帰らぬ人となって運河の底から発見
- 死因は溺死。おそらく誤って転落した事故だろうという検死結果に
- ただし警察は、夫による犯行の事件性を疑っている
- デヴィッドはといえば、あの晩見た亡霊男が妻を殺したと思っている
え。あの晩見た亡霊ってデヴィッドの妄想じゃないの?
彼いわく、亡霊男が妻の首を絞めたのを見たらしい。
不貞の決定的瞬間を目撃してもなお、一途に妻を愛しているデヴィッド。
警察は、よくある不倫の揉め事による殺人事件として彼をマークしているため、「亡霊が妻を殺した」などと軽々しく証言することが出来ません。
そこでデヴィッドはあの亡霊男の正体を掴むべく、独自に調査を開始。
すると彼が住むこの家では、他にも殺人事件が起こっていたことが判明します。
若い母親が放火して赤ん坊を丸焼きにしただの、ジャクソンという男が乳母を暴行死させて運河に沈めただの、事件は物騒なものばかり。
しかも検挙されたいずれの犯人も、『自分が殺したんじゃない。悪霊が殺したんだ』と供述。
これはまるで、今の自分とそっくりな状況だ。
そう思ったデヴィッドは、この家に棲みついた亡霊が幾度となく殺人事件を起こしているに違いないという結論に達します。
そうして次第に亡霊を追うことに執着し始め、奇行にも思える行動を繰り返したデヴィッドが見た妻殺害の真相は… というのが大まかなあらすじになります。
映画【運河の底】まとめ
静かにさざめく淀んだ運河を舞台に、暗く物静かに進むストーリー。
脚本的にはありがちなお話ですが、映像演出の良さが映画の質をアップさせています。
- とある運河沿いの家を購入した夫婦が主人公
- 実はその家で100年前に凄惨な事件が
- …という事件記録映像を見た夫は精神不安定に
- そんな中、過去の事件とよく似た形で妻が犠牲に
- 妻の死は家に憑いた亡霊の仕業に違いない…という思い込みホラー
古い家に凄惨な事件、そこに棲まう亡霊の存在、そしてその家に住んだ者が病んでいく…という設定は、Jホラーによくあるパターンです。
登場する亡霊に至っては、怖い形相でもなくただ古の故人といった姿なだけ。
さらに登場の仕方はデジャブすら感じるJホラーパターンそのものです。
なんだ、じゃぁつまらんのか。
というとそうでもなく、分かりやすい展開とバレバレな結末なのに、最後の最後にお子さまがとんでもないことをしでかします。
結局これは亡霊や怨霊系の映画なのか、それとも壊れた精神系の映画なのか。
そんな煮え切らない疑問を感じますが、映画《シャイニング》にも似た雰囲気が。
どこが?というと、精神を病んで事件を起こすけれど、悪霊に感化された様子もあるところ。
亡霊と幻覚と主人公テヴィッドの記憶の曖昧さが、ごちゃ混ぜながらもいい演出になっていると思います。
映画【運河の底】は、さして真新しいホラー要素はないけれど、どことなく見覚えのある展開と物悲しい映像が美しい作品でした。
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