突然の拉致監禁。
その様子は全米に生配信され、真実と正義の追求が始まります。
Netflixで初公開、その後カナダの劇場でも公開された映画【判事オリヴァー・ストレート〜全米に裁かれた男】の世界へとご案内いたします。
この記事で分かること
- あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・DVDブルーレイ情報
【判事オリヴァー・ストレート~全米に裁かれた男】司法に携わる者の使命
有罪か無罪か。
…アメリカでは陪審員がそれを決めるよね。
映画【判事オリヴァー・ストレート〜全米に裁かれた男】は、過去の事件を通して正義の是非を問うクライムサスペンス。
今はもう隠居の身である元判事が誘拐され、犯人がその様子をネットで生配信するという現代らしい設定が見どころです。
- 人が人を裁く行為に100%の正解はない
- 捜査機関・陪審員・判事と段階を踏んでも冤罪は無くならない
- もし死刑制度のある国や地域で冤罪による極刑が下されたら
- 最終的に罪と罰を決定する裁判に正義はあるのか
複雑なテーマを扱った作品ですが、登場人物が少ないので比較的分かりやすい構成になっています。
かつて世間の注目を浴びた事件を担当した元判事。
その裁判は正しかったのか、量刑は適切であったのか。
生配信の視聴者1,000万人を巻き込んで、誘拐事件の真実に迫るサスペンス映画 が【判事オリヴァー・ストレート〜全米に裁かれた男】です。
映画【判事オリヴァー・ストレート~全米に裁かれた男】基本情報
判事オリヴァー・ストレート~全米に裁かれた男~ | 2019年 カナダ映画 |
ジャンル | サスペンス・スリラー |
監督・脚本 | ウィルソン・コニーベア |
上映時間 | 100分 |
出演 | ドナルド・サザーランド、ヴィンセント・カーシーザー他 |
動画配信サービス | Amazonプライムビデオ(レンタル作品) |
初回31日間無料/dTV |
無料お試し期間を活用すれば、実質¥0で視聴可能です。
動画配信サービス選びに迷ったら、こちらで人気の5種類を選び方に合わせて解説しています↓
【判事オリヴァー・ストレート~全米に裁かれた男】拉致られた2人の男性
物語の始まりは、窓もないコンクリ壁の部屋の様子から。
ある男が大きな布袋を2つほど引きずって、古びた地下室に持ち込みます。
- 男が袋の口を開けると中から白髪の老人が
- もう一つの袋の中にもヒゲ面の中年男性が
- どちらも手錠で拘束、拉致監禁されたらしい
- しかも中年男性は鎖にも繋がれている
ここは何処?
…何処だと思う?
2人を拉致った男は含み気に、質問を投げかけます。
老人にも中年男性にも答えられないと分かると、何も言わず一旦部屋から退去。
異様な状況下に置かれた老人と中年男性は、現状を把握するための会話をすることに。
- 手錠に鎖…中年男性は映画の話をふってきた
- このシチュエーションそっくりの映画がある、と
- まさかの有名映画がカメオ的に登場。多分「ソウ」のこと
- 映画を見ない老人からすると何のこっちゃな話
- そんなことよりもっと重要な論点を老人は追求
もっと重要な論点?
…男の質問にあった通り、ここがどこなのかってことだよ。
中年男性は状況を理解しておらず、映画の話にすり替えてしまいましたが、老人の方は至って冷静。
拉致されてここに着くまでの時間から、おおよその距離を計算します。
車で拐われたこと、中年男性は自分の後に載せられたこと、移動時間が20〜30分であること。
そうした小さな出来事をヒントに、老人宅から約33km離れた場所だろうという答えを導き出したのです。
- そんな会話をしていると、さっきの男が部屋に戻ってきた
- 老人と中年男性が「目的は何なのか」を聞いても答えず
- 男は黙って証言台や椅子を用意。老人をそこに座らせた
- 文句ばっか言う中年男性に対してはスタンガンでビリビリ電流のお仕置き
くっそー!ただじゃおかないからな!
…痛い目に遭っても学習能力がないのか、ずっと虚勢張り続けてるな。
うるさく騒ぐ中年男性に立場を弁えさせ、老人に対しては侮蔑の眼差しを送る男。
彼は穏やかな口調で語りながらビデオカメラで撮影を始め、自己紹介しろと2人に命じます。
- 老人は素直に従い、妻と暮らす隠居の身であると告白
- 仕事は元法曹関係。オリヴァー・ストレートと名乗った
- 食料の買い出しから帰ったところで誘拐され、荷物が散乱したままのはず
- すぐに誰かが異変に気付くと言い、男の返答をうかがった
- 一方、中年男性は工務店を経営しているロンと名乗った
- たまたま休日に仕事が入り、出先の駐車場で襲われたと告白
この2人に何か共通点でも?
…それを分からせるためなのか、男がヒントを渡してきよ。
ストレート老人にも中年男性ロンにも、それぞれ1部ずつ違った新聞が投げ渡されます。
そこには少女ジータ誘拐殺人事件や、その犯人の死刑執行の話題、企業のリコール隠し、石油漏れなどの記事が。
- 男は自分たちの共通点を各々の新聞から見つけろ、と
- そう言って考える時間を与え、再び部屋から出ていった
- 2人とも何か心当たりのある同じ新聞記事があるはず
- …と考えたストレート老人だが、ロンがテンパって話にならず
- 仕方ないのでもう一度、拐われた状況を見直すことに
- 自分は毎日のルーティン中、連れ去りは計画的
- ただ、ロンのほうは急に仕事が入った休日で突発的
もしかしてロンは偶々?じゃぁ共通点ってなに。
…男の言葉を額面通りに受け取るな、って遠回しに言ったんだろう。
共通点を探せ、と言われたら、共通点があるんだろうと思うのが人の思考。つまり先入観を与えたに過ぎません。
拉致監禁という状況でも臆することのないストレート老人は、男の言動の裏を読む必要があることに気付いたのです。
相手は相当頭のキレる人物と見て間違いない。
そして男の狙いは自分にあり、もう一人はロンでなくとも誰でもよかったのではないか。
そう思いを巡らせ事態を把握している最中にも、ビデオは回り続けています。
男が撮影を続ける理由。
それは記録として残すためではなく、ソーシャルメディアを通じて生配信するため。
その目的は何なのか、拉致された2人はどうなるのかが、少しづつ明かされていくのでございます。
誘拐犯の目的とは
静かにひっそりと始まっていた、監禁の生配信。
著名人や有名インフルエンサーでもない限り、視聴者数がすぐに伸びることはありません。
- そんな地味な生配信についてハッカーの女性の元にメールが
- 「これ、本当かな」と動画が添付されていた
- 気になって調べたところ、配信者にかなりのIT技術があることが判明
- ハッカーの女性は知り合いの警部補に通報、実況生中継を見ろ、と
- 送られてきた動画リンクを見た警部補は、事件性があると判断
ハッカーって言ったら犯罪者だろうに。
…善悪抜きで考えると、単純に彼女は有能なIT技術者なんだろう。
犯罪者からのタレコミとはいえ、異様な生配信が行われているのは事実。
警部補は、ヤラセかネタかと疑うよりもまず、映っている男性たちの身元確認を急いだのです。
- 2人のうちの1人、白髪の老人に見覚えが
- 数多くの裁判に関わった元判事であることに気がついた
- もう1人は身元不明だが、元判事誘拐事件として捜査を開始
- 有能な女性ハッカーにも協力してもらうことに
警察内部にもITチームいるでしょう。
…こう言っちゃ何だが、ほぼ無能だな。
判事の身元に気付いたのも、配信者がITに詳しいという情報も、配信元の特定が困難なことも、全て女性ハッカーの分析のおかげです。
ただ1点問題があるとすれば、この生配信の真偽。
- 警察やハッカーが注目する中、生配信に動きが
- 元判事ではない方の男性が、誘拐犯と思しき男の手で撃ち殺されてしまった
- もちろんその様子も生配信、事件性が確実に
- 数少なかった一般視聴者から口コミが広がり、マスコミも食いついた
SNSが当たり前の時代だから。
…誰かが見ている可能性はあるし、拡散されたらあっという間だな。
殺人や監禁の様子が生配信されてるらしい。
しかも誰でも見られる状態で。
…と世間の注目を集めるよう仕向けたのは、紛れもなくあの男。元判事を監禁している誘拐犯です。
- ストレート老人は、男がロンを連れてきた理由を悟った
- 最初から殺す気満々。本気度を知らしめるための生贄
- 現に警察も世間も、リアルタイムで起こっているヤバい事件と認識
- ここまでは誘拐犯の思惑通り。何もかも順調
一体何がしたいの、男は。
…ここまでは序章、ここからが本番だ。
男はロンを射殺したことが罪であり、罰を受けるべき立場になっと語り始めます。
「多くの視聴者が証人」「有罪なら終わり」「この州ではそうだろ」
そう言ってストレート老人に、先ほど渡した新聞記事を読み上げろと怒鳴ったのです。
- 読まされたのは幼女ジータ誘拐殺人事件の記事
- それはストレート老人が判事を務め、被告人に死刑を下したもの
- 死刑囚となったその被告人は今朝方、死刑執行されてこの世にはいない
- 男曰く「あんたも無実の人の命を奪ったから俺と一緒だ」と
死刑制度に対する逆恨み?
…いや、老人も裁かれる人間だって言いたいんだよ。
生配信中にロンを撃ち殺した男は、紛れもなく殺人犯です。
一方でストレート老人は判事時代、司法に則った裁判の結果として死刑という生命刑に処しただけ。
命を奪ったことは確かですが、その行為は同義ではありません。
- 男の言い分は、タチの悪いキチDQNと同じ
- …かと思ったら、まだ言いたいことがあるようで
- 冤罪で死刑にしたのだから、今から裁いてやるとのこと
- 生配信の視聴者が陪審員であり裁判官。民意を反映するんだから文句なかろう
まるで検事気取りだね。
…そんなところだが、それだけじゃないんだ。
男は監禁部屋を法廷に見立て、ご丁寧に証言台まで用意。
しかしストレート老人は変わらず冷静に、こう訴えかけます。
「君にはあの事件裁判に関わる権利がないから裁くことはできないし、ここは法廷ではない」
それでももし、利益相反があるなら異議を唱えることはできる、そう男に力強く言い放ったのです。
- 反論するとは面白い、と男は生配信の目的を明かし始めた
- 判断を仰げるよう、視聴者が投票するシステムが組まれている
- つまり、どちらに正当性があるのか民意で決めるために生配信していた
- 案の定、見ていた人々の多くが投票。ストレート老人の意見を支持
- 男の異議は却下され、自分は被害者ジータの叔父だと告白
あっさり身バレ?
…視聴者投票の結果が全て、って証なだけだ。
男は自分が不利な状況であっても、あくまで民意を尊重します。
多数決で是非を決める民主主義の観点から、異議却下の結論を受け入れて、公平なシステムであることを自ら立証したということ。
そしてこれは、今の司法制度そのものです。
警察の捜査が杜撰でも、状況証拠や人間性だけで容疑者に仕立てあげても、多くの者が黒といえば黒になってしまう場合があります。
今まさに民意で否定されたのは、自分が誘拐犯という立場だから。
そして元判事は拉致監禁された不運の人物、という個人の感情が反映されて支持されただけ。
つまり先入観や偏見・差別という感情は、人が人を裁く以上、決して無くならない盲点。
男は本当の真実と正義がそこにない、司法のあり方に強い憤りを感じていたのです。
そんな男の発言から、実は叔父ではない関係者だと見抜いたストレート老人。
しかし男の正体を認めれば、自分の過ちを認めて罪を告白することになってしまいます。
…そう、男の正体は、幼女ジータ誘拐殺人事件の真犯人。
そのことに警察も生配信視聴者も気付き始め、ストレート老人の冤罪に対する国民投票が行われ …というのが大まかなあらすじになります。
【判事オリヴァー・ストレート~全米に裁かれた男】登場人物たち
特に大きな見せ場があるわけではなく、展開は地味。
ただ、淡々と繰り広げられる論破の掛け合いは、充分スリリングです。
逼迫した状況下に置かれた登場人物たちをご紹介いたしましょう。
オリヴァー・ストレートは、すでに法曹界を引退した老齢の男性。
死刑制度が制定されている、とある州の元判事です。
彼の関わった事件が冤罪だった、というのがストーリーの要。
ただ、アメリカの司法制度を考えると、責任の所在は複数に及びます。
若干とばっちりにも見えますが、最終決断を下す者の立場の重さを象徴する存在といったところです。
ロンは、ストレート元判事とともに誘拐された男性。
すぐにイキる性格が災いし、呆気なく殺害されてしまうチョイ役です。
誘拐犯の本気度を示すためだけの出番ですが、存在感は充分あります。
犯人は、元判事と男性の2人を拉致監禁した犯人。
理路整然と話を進める賢さがある一方で、事件を起こすだけの残虐性も持ち合わせています。
徐々に明らかになる正体とその目的は、予想を裏切らない展開。生配信という手口も新鮮です。
ロイは、元判事誘拐事件を追う刑事。
生配信の状況をいち早くキャッチ、きちんと捜査を進める柔軟さがあります。
多少やり手に見えますが、存在感は薄いです。
…と、この他に、あまり役に立たない警察官たち、捜査に協力するハッカーが登場。
過去の事件が実は冤罪、その過ちを全て被った元判事は、有罪なのか無罪なのか。
難しい判断を迫られる問題に、深く考えさせられる作品 となっております。
※現在、動画配信のみでDVD・ブルーレイはありません。
【判事オリヴァー・ストレート~全米に裁かれた男】感想まとめ
事件捜査の信用性・陪審裁判の落とし穴・執行された量刑。
最終的に死刑を宣告したのは判事ですが、それはストレート老人だけの責任ではありません。
- 州の元判事と中年男性が誘拐された
- 地下室に拉致監禁され、その様子がSNSに
- 犯人の目的は元判事の冤罪を暴露し裁くこと
- 生配信を通じて視聴者投票。元判事は有罪か無罪か
今作の舞台となるのは、イギリス植民地時代から陪審制が導入されているアメリカです。
選挙人名簿などから無作為に選ばれた一般市民が、陪審員として裁判に参加。
警察の捜査に基づく検事側・弁護士側の言い分を理解し、先入観や差別をすることなく被告人の罪の有無を判断します。
彼らの評決=判決となり、たとえ証拠が揃っていてもお涙頂戴の情状酌量で無罪になったり、逆に心象が悪いと重い有罪になるケースも。
そして有罪となった場合に被告が受ける量刑、懲役刑なのか死刑なのか等を決めるのが判事です。
つまりアメリカの司法制度は、捜査機関・検事・弁護人・証人・陪審員・判事と、被告人の罪に対する責任が複数の者の手に委ねられているということになります。
日本でも2009年から一般市民選出の裁判員裁判が行われていますが、あくまで不特定数の意見も聞いてみるというスタンスです。
判決や量刑は裁判官が決定するので、アメリカの陪審裁判とは大きな違いがあります。
共通しているのは、どちらも判事(裁判官)に量刑の決定権がある点。
被害者や遺族の心情・被告人のその後に大きく関わるため、アメリカでも日本でも判事(裁判官)の責任は重大です。
ただ、最終判断を下す判事も人の子。
検事・弁護人双方の意見を客観的に捉え、公平性を保つプロですが、完璧ではありません。
同じことは捜査関係者にも言えますし、被告人の罪の責任を背負う裁判関係者にも言えます。
たとえ偏見・差別がなくとも、たとえ幾人もの人が罪状を吟味しようとも、人には感情というものが存在するので、誤認逮捕・冤罪が後を絶たないのです。
現にアメリカではDNA鑑定が導入された結果、過去に死刑判決を受けた数多くの死刑囚の冤罪が明らかになりました。
たとえば1973年から2001年まで、アメリカ国内ではDNA鑑定の結果、96名もの死刑囚の無罪が判明し釈放されています。
犯罪を犯せば量刑を喰らうのは当たり前ですが、懲役刑と違って死刑は執行されてしまえば取り返しがつきません。
死刑判決の下った冤罪の多さは全米に大きな衝撃を与え、制度そのものや司法のあり方も見直されました。
それでも未だ完全に無くならない冤罪。もちろん判事だけの責任ではありませんが、死刑がある以上、そこにきちんと正義がなくては困ります。
罪を犯して裁かれるとしても、無実の冤罪を被せられるとしても、そもそも罪を犯さなくても。
そして万が一、被害者遺族になってしまったとしても。
どんな立場にあろうとも、処罰に対する正確性は信用に値するものでなければなりません。
私は法学部出身で刑事訴訟のゼミ生だったので、まぁ法律をかじっただけですが、余計にテーマの深刻さを感じました。
映画【判事オリヴァー・ストレート〜全米に裁かれた男】は、司法の弱点に警鐘を鳴らす、深く複雑なクライムサスペンス作品 でした。
映画【判事オリヴァー・ストレート〜全米に裁かれた男)を観るならこちら
動画配信サービス名 | 配信状況 | 月額料金 |
Amazonプライムビデオ | レンタル | 初回30日間無料 500円/月 |
映画観るなら<U-NEXT> | レンタル | 初回31日間無料 2,189円/月 |
Hulu | ➖ | 初回14日間無料 1,026円/月 |
【TSUTAYA DISCAS】 | レンタル | 初回30日間無料 2,659円/月 |
dTV | 見放題 | 初回無料おためし 550円/月 |
※最新の配信状況は、各サービスで一度ご確認の上ご利用ください。
コメント