ヒッチハイカーの男を拾ったことで、未曾有の体験をすることになった一人の青年。
無垢な心は引き裂かれ、理不尽な恐怖がどこまでも彼を追随します。
1986年公開、2021年にニューリマスター版で甦ったサイコスリラーの傑作映画【ヒッチャー】の世界へとご案内致します。
この記事で分かること
- 映画【ヒッチャー】あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・DVDブルーレイ情報
- 感想と考察をチョロっと
映画【ヒッチャー】ニューリマスターで蘇った大傑作
ヒッチハイクってさー。
…乗った車がヤバかったり、乗せた人がヤバかったら詰むよな。
映画【ヒッチャー】は、親切心がアダとなり、死の恐怖が次から次へと襲ってくるサイコスリラーの傑作。
たまたま拾ったヒッチハイカーが、とんでもないシリアルキラーだった…という身も心も凍るお話です。
- 監督は、今作が初長編映画となるロバート・ハーモン氏
- 連続殺人鬼がTVや映画の題材になることが少なかった、1980年代の意欲作
- 緊迫感と臨場感がスリルと恐怖を最大限に演出
- メインキャストの演技が素晴らしく、目が離せない展開だらけ
1986年と作品自体は古いものの、ストーリーの濃さ・展開の上手さ・一切無駄のないシーンの数々が本当にスタイリッシュです。
カーチェイスシーンはCGなしのガチスタント、殺人鬼ヒッチハイカーを演じたルドガー・ハウアー氏の不気味な存在感が、今作の最大の見どころとなっています。
ハウアー氏は《ブレードランナー》レプリカントのリーダー役で人気を不動のものにした、渋カッコいい演技派俳優さん。
とにかく目力がすごい、佇まいが威圧的、微笑みが不敵すぎ。
実は漫画《北斗の拳》のラオウは、ハウアー氏をモデルにしたと作画の原哲夫先生が仰っていた小ネタなんかもあります。
ラオウのモデルになったのは? という質問。
原「ルトガー・ハウアーですかね。『ブレードランナー』の」 pic.twitter.com/8dYNiswPck
— hidaka (@hidaka3) July 27, 2019
今作は、始まって10分で早くも殺人鬼の正体が明かされるんですが、その後の展開が驚くほど怖い(笑)
目的も意図も謎のまま、連続殺人を犯すヒッチハイカーと、彼を乗せてしまった無垢な青年。
2人の戦いを最後まで見届けなければ、いや、見届けたい。
そう思わせる魅力に溢れ、一部でカルト的な人気があるロードスリラー映画 が【ヒッチャー】です。
映画【ヒッチャー】基本情報
ヒッチャー | 1986年 アメリカ映画 |
ジャンル | サイコ・サスペンス・スリラー |
監督 | ロバート・ハーモン |
上映時間 | 97分 |
出演 | C・トーマス・ハウエル、ルドガー・ハウアー、ジェニファー・ジェイソン・リー他 |
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映画【ヒッチャー】荒野で拾った1人の男
物語の舞台は、シカゴからサンディエゴへと続く砂漠地帯のフリーウェイ。
車の長距離陸送のバイトをしている青年ジム・ハルジーは、赤い高級車・キャデラックセヴィルで荒野の1本道を進んでおりました。
- 時刻はまだ辺りが暗い明け方近く
- 長距離運転で睡魔に襲われつつ、ジムは順調に走行
- ところが突然の雷雨に見舞われ、視界不良に
- 速度を落として走っていると、悪天候の中で親指立てて佇む人影が
- ジムは路肩に車を停め、ヒッチハイカーの男を乗せてあげた
だだっ広い荒野でヒッチハイクて。
…日本じゃ怪しい人確定かもだが、アメリカでヒッチハイクは良くあることだ。
ずぶ濡れの男を助けたい親切心と、眠気覚ましの話し相手にでも…という軽い気持ちで男を拾ったジム。
男は「ジョン・ライダー」と名乗り、にこやかに握手を交わすも会話は全く続きません。
- どこまで行くの?と聞いても行き先を告げず
- どこから来たの?の質問もスルー
- 質問には答えずタバコある?と話を逸らしてきた
- しかも何故かジムを見つめて薄っすら笑ってる
オジサン不気味なんですけどー!
…その不気味さの意味は、すぐに分かるよ。
名前以外、多くを語らないジョン・ライダー。
ジムは薄気味悪さを感じながらも車を走らせ、前方の路肩に停車する1台のワーゲンビートルを発見します。
- 故障かな?と車を停めようとしたら、ジョンが阻止
- そのままワーゲンの横を通過させる彼に、ジムは不信感募りまくり
- しばらくして「降りてくれ」と停車したが、ジョンはタバコをポイ捨てしたのみ
- 結局乗り込んで来たから、ジムは仕方なく走行を再開
- …と、ジョンがナイフを取り出し「さっきの車の主を殺した」と
やっぱりヤバい人((;゚Д゚))))
…それも連続殺人鬼って最悪のヤバさだ。
切先鋭いナイフを目元に向けられ、死の恐怖に怯えまくるジム。
そんな彼の様子を楽しそうに眺めるジョンは、「俺を止めてくれ」と笑顔で語りかけてきます。
涙で顔をグチャグチャにしていたジムは、「止める前にお前が刺すだろ」と震える声で反論。
するとジョンは恍惚の表情で、「どうせ死ぬなら止めてみろ」と、なおもジムを脅してきたのです。
- 運転中のジムがナイフを奪って反撃…は勝機なさすぎ
- でもジムはここでジョンに殺されたくはない
- …と危機的状況の中、ジムは助手席側が半ドアであることに気が付いた
- 一瞬の隙をついてジョンを蹴り落とし、危機回避に成功
- 不気味な殺人鬼を追い払ったことで、一気に安堵して大喜び
半ドアだったなんて、ラッキー!
…ジョンがわざとやったようにも思えるが。
いつの間にか雨も止み、辺りがすっかり明るくなった頃。
恐怖に打ち勝ちヤッホーしていたジムの車を、ボートを牽引した親子の車が追い抜いて行きました。
その後部座席からは小さな女の子がジムに向かってぬいぐるみを振り、ジムもまた彼女に応えるかのように笑顔を見せて楽しげに走行。
しかしそんな和やかなひとときも、あっという間に凍てつく事態へと変貌します。
- なんと女の子のぬいぐるみの陰からジョン・ライダーが
- ヤツはジムに蹴落とされた後、この親子の車にヒッチハイク
- 慌てたジムが親子に危機を伝えるも声は届かず
- …とそこへ対向車線の大型バスが正面に接近
- ジムの車は大型バスに軽く接触。親子の車を見失ってしまった
もしや女の子までジョンの餌食に!?
…あぁ。しばらく走った先に、あの親子の車が停車してた。
砂漠が広がる1本道のフリーウェイの傍らに、不自然な形で止まっていたボートと車。
ジムはその後方にキャデラックを停車させ、様子を見に行くとすぐに戻り、激しく嘔吐してしまいます。
…そう。彼が見たものは、真っ赤に染まった車内に転がる親子3人の無残な姿。
ーーこのまま放っておいたら、アイツはまた人を殺すーー
そう即座に判断したジムは、ひと呼吸して再び車を走らせます。
ガソリンスタンドに行けば電話があり、警察に通報できるから。
しかしジムの思いとは裏腹に、事態はさらなる悲劇へと加速してしまう のです。
先の見えない理不尽な絶望
ヒッチハイカーを乗せたことで、死の恐怖と死に直面してしまったジム。
殺されずに済んだのだから、このまま関わらず逃げてしまうことも出来たはずです。
しかし彼は事態の深刻さを重く受け止め、解決に向かって動き出します。
- ところがあのジョンが、黒いSUVに乗ってジムを追撃
- 後方から何度も追突し、なぜか道を外れて荒野へと消えた
- 命拾いしたジムは一番近いガソリンスタンドへ
- 無事たどり着いたものの、そこは営業していない廃墟だった
- …とそこへ再びジョンが現れ、車で給油機を薙ぎ倒し
廃墟なのにガソリン残ってるんだ。
…おかげでジムはガソリンまみれにさせられたよ。
またしてもジョンに遭遇し、命の危機を感じたジム。
悪い予感は的中し、なんとジョンがマッチに火をつけ地面に広がるガソリンへと投げ落とします。
- ジムは間一髪でガソリン炎上を逃れ、車でその先のダイナーへ
- 開店準備中だった若い女子ナッシュに頼み込み、電話を借りて警察へTEL
- さらにトイレを借りて上半身だけ洗い、服を着替えた
- 事情を察した女子ナッシュはハンバーガーとポテトを差し入れ
- 彼女の優しさが沁みたジムだが、ポテトをつまむ手が止まった
いぃぃぃやぁぁーー!ポテトが指!
…いつのまにか、ジョン・ライダーが仕込んだんだろうな。
食事にありつき、ナッシュとの会話でほっとしたのも束の間。
まさかの指ポテトに驚き店外で吐いていると、ちょうど2台のパトカーが到着します。
- ただし保安官はジムに銃を向け、臨戦体制
- パトカーのボンネットにジムを組み伏せ、身体検査
- するとポケットから血のついた折り畳みナイフが
- 実は保安官はジムの通報ではなく、別の通報でやってきた
- なんとジムは凶悪犯罪者として指名手配。逮捕・拘束される羽目に
またアイツかっ!ジョンが仕込んだんかっ!
…だろうな。神出鬼没で頭脳犯、厄介な相手に気に入られちまったな。
殺されそうになったり尾けられたり。
あげく殺人の濡れ衣を着せられたり逮捕されたり。
なにかと関わってくるジョン・ライダーのせいで、ジムは身も心もボロボロになってしまいます。
それでも勾留室に押し込まれたことで、しばしの眠りにつくことに。
- 眠っても見るのは、ジョン・ライダーの悪夢のみ
- うなされて目が覚めると、なぜか署内で人の気配がしない
- しかも勾留室の格子扉のカギまで開いてる
- 署内を徘徊したジムは、保安官全員の死体を発見
- そこへ別の署から数台のパトカーが
まさかとは思うけど。
…保安官殺しの罪も被せられたよ。
なぜ自分がこんな目に。
なぜあの男に付き纏われて、弄ばれているのか。
考えても答えの見えない理不尽な出来事は、さらにジムを追い詰めます。
- とりあえず亡くなった保安官から銃を一丁拝借
- 署内を抜け出し、歩き続けてダイナーのあるガソリンスタンドへ
- コーヒーを頼みうなだれていると、ジョンが現れ同席
- ジムはテーブル下で銃を向けるも、ジョン曰く「中身はカラだ」と
- もう精神的に参ったジムは「なぜ自分を追い回すのか」質問
- ジョンは「自分で考えろ」と言い残し、6発の弾を置いて去った
ほんとジョンは何がしたいの。
…それが全く分からないから、より一層恐ろしいんだ。
おそらく初めは、ヒッチハイク殺しに快感を覚えていたであろうジョン・ライダー。
ジムとの出会いで殺しの方向性が変わり、今はジムの周りに死体を積み重ねることを楽しんでいる様子です。
その間ジムは、保安官殺しを含む凶悪な連続殺人犯として警察に追われ、唯一の理解者となってくれた女子ナッシュを巻き込んで逃亡。
自主して真実を打ち明けたくても、警察はすでに彼を射殺対象とみなし、捜索にヘリまで導入してきてしまいます。
無実の罪で処刑されかねない恐怖。
執拗に追っては殺さず生かしてくる殺人鬼。
先の見えない絶望は、ジムの価値観をも大きく揺さぶる結果となり… というのが大まかなあらすじになります。
映画【ヒッチャー】登場人物たち
殺人鬼に追い回される青年と、青年を追い回す殺人鬼。
構図はひどく単純ですが、底知れぬ恐怖が画面いっぱいに広がります。
リアリティに溢れすぎている、数少ない登場人物をご紹介いたしましょう。
ジム・ハルジーは、車の陸送バイト中の青年。
命の危機に何度も瀕し、不条理に立ち向かい乗り越える主人公です。
演じたC・トーマス・ハウエル氏は、10代のときに映画《E.T.》に助演、映画《アウトサイダー》で主演の経歴もある俳優さん。
日本劇場未公開作品や米TV映画への出演が多く、現在では映画監督業もこなすなど、多方面で活躍中。
ジョン・ライダーは、青年ジムを追い詰める連続殺人鬼のヒッチハイカー。
今作で最も印象的なキャラクターで、彼の存在無くしては傑作になり得なかったであろう重要人物です。
とにもかくにも、演じたルドガー・ハウアー氏の演技が圧巻。
ジム役のC・トーマス・ハウエル氏はハウアー氏の演技があまりにも真に迫っていたため、カメラが回っていなくても彼を怖がって傍に近づこうとはしなかったそう。
そんなハウアー氏は、映画《ブレードランナー》の他に《レディホーク》でも、素晴らしい演技で強烈な存在感を放っています。
ナッシュは、家族経営のダイナーで働く若い女性。
都会に憧れる田舎娘な一面がありますが、ミーハーなわけではなく正義感の強い真っ直ぐな性格をしています。
演じたジェニファー・ジェイソン・リーさんは、父が俳優のヴィック・モロー氏、母が女優で脚本家のバーバラ・ターナーさんと、芸能一家出身の女優さん。
クエンティン・タランティーノ監督作《ヘイトフル・エイト》で連行される罪人役を演じ、アカデミー助演女優賞にノミネートされた実力派でもあります。
エストリッジ警部は、今回の事件の指揮を取る人物。
警察官・保安官がみなジムを犯人扱いする中、ジョン・ライダーの危険性に気付いて動いた優秀な警部です。
演じたジェフリー・デマン氏は、ホラー系に多く出演するベテラン俳優。
フランク・ダラボン監督作の常連でもあり、《ショーシャンクの空に》《グリーンマイル》《ミスト》といった映画の他に、ドラマ《ウォーキングデッド season1&2》のメインキャストとしても活躍しています。
…と、この他に、たくさんの保安官たち、ダイナーのマスター、ジョンの犠牲者などが登場。
舞台は砂漠地帯とカラっとしているのに、殺人鬼のストーカーまがいのネットリ感がまとわりつく、究極のサイコスリラー作品 となっております。
映画【ヒッチャー】まとめと考察と感想と
乗せたが最期、行き着く先は死。
同じ目に遭うとは思えませんが、同じような思いをすることは充分にあり得ます。
- 長距離陸送のバイト青年ジムが主人公
- 道中、ヒッチハイカーを乗せたら殺人鬼だった
- 命拾いしたものの、その後も男が執拗に追ってきた
- あげく殺人犯に仕立て上げられ、絶望のどん底へ
青年ジムが請け負った陸送は、シカゴーサンディエゴ間の約3,340km。
車での移動はノンストップで30時間もかかる、長い長い道のりです。
しかも周りは何もない砂漠地帯。
そんな中で誰かが助けを求めてヒッチハイクしていたら、ジムでなくとも手を差し伸べるのが人情でしょう。
その親切心に漬け込んで、乗っては殺し…を繰り返したジョン・ライダーは、紛れもないサイコキラーです。
理由があって殺すのではなく、殺したいから殺すという異常性は、映画開始すぐに伝わってくるかと思います。
そんなサイコキラーがなぜ、ジムにこだわり続けたのか。
おそらくジョン・ライダーは、ヒッチハイクするたびに何らかのタイミングで助手席をロックせず、半ドアに。
助かるチャンスを用意して、冷静にやり過ごすかどうかを試していたのではないか、と。
そうしてチャンスに気付き、恐怖から生還したジムに興味を抱いたジョンは、その後ストーキングすることでジムの性格をも把握。
逃げりゃいいものを、これから犠牲になる見ず知らずの他人のために行動する姿を見て、素直で無垢な弱さを突っついてみることに。
案の定ジムは、銃社会アメリカにいながら銃の扱いさえ知らない、壊し甲斐のある若者。
人を殺すなんて到底出来なそうなジムを追い詰めれば、自分を止めるために初めての殺しに手を染めるかもしれない。
ただそれが見たい、そしてあわよくばジムの初殺人の相手が自分であれば、サイコキラーの自分をも止められる。
そんな風に考えて、遊びと願望を同時に手に入れるため、執拗にジムにこだわったのではないかと感じました。
幾度となく襲いくるジョンの追撃は、ジムの理性をも弾き飛ばして絶望へと突き落とします。
怯えた瞳からは恐怖が消え、怒りに満たされていく表情は見ていて本当に辛かったです。
狂った人間によって人生が狂わされる理由は、ジムには一切なかったのですから。
「なぜこんなことに」「どうして私が」
その答えはいつも曖昧で、むしろ答えなんて存在しないから、理不尽な不条理は苦しいだけなのかも知れません。
理由もなく、目的もなく、ただそこに佇んで獲物を待っていたジョン・ライダー。
映画【ヒッチャー】は、どうにもならないことは誰にでも起こり得る、立ち向かうほか道はないというメッセージを強く感じた作品 でした。
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