天まで伸びる巨大な蔓。
ぐんぐん登ったら、どんな世界があるんだろう…って、空想が広がるお話が童話「ジャックと豆の木」ですね。
でも、ジャックが豆の木を斧で切り倒すくらいしか記憶にございません。
それに、「豆の木」ってほんとにあったりするの?というのも気になるところ。
ということで「REONさんのジャックの素顔・リアル豆の木」をお届けします。
童話のジャックはけっこう極悪人
童話「ジャックと豆の木」は、1890年にジョセフ・ジェイコブズというユダヤ民話学者が編纂した《English Fairy Tales(フェアリーテイル)》 に載ってるのが一番有名なバージョンです。
ユダヤ民族学者?
あぁ。「ジャックと豆の木」はイングランドの童話だが、元々はユダヤの民話から作られたお話なんだよ。
ジョセフ・ジェイコブズはオーストラリア出身で、特にユダヤの民話を集めていたお方。
民話集のタイトル《Fairy Tales/フェアリーテイル》とは、妖精のお話・おとぎ話という意味があります。
そして彼のこの民話集には43篇のおとぎ話が収められていて、その中のひとつが「ジャックと豆の木」
…ですが、実は結構な極悪人ジャックの生き様が描かれているんです。
童話「ジャックと豆の木」はこんなお話
昔々あるところに、おっちょこちょいだけどかなりポジティブ、ジャックと言う名の夢見る少年がおりました。
幼い頃、ジャックのお父さんは人喰い鬼の犠牲となり、今はお母さんと二人暮らし。一家の大黒柱がいないので、細々と牛の乳を売って生計を立てていました。
しかしこんなギリギリの生活も、とうとう終わりが近づきます。
- 牛が高齢化して、もう売るほどの乳が出なくなった
- 仕方ないので牛を売ることに
- 牛売りのお使い頼まれたのに、ジャックは変な豆と交換してご帰宅
なんで豆なんかと牛を交換しちゃったんだろ。
見知らぬオッサンに、「これは魔法の豆なんだ。どうだい、その牛と取り替えっこしよう」ってそそのかされたんだ。
ジャックは夢見る少年です。「魔法の豆」なんてマジックワードに喰いついて、大喜びで牛と豆を交換。それもたったの数粒です。
最後の財産、最後の生活費がたった数粒の豆だなんて。
お母さんはジャックを叱り、豆は窓の外に投げ捨ててしまいました。
豆の木成長・お屋敷発見
お母さんに叱られたけど、わりと落ち込んでいないジャック。
いつも通り翌朝目が覚め、お外を見たらなんとも大きな大きな豆の木が。
夢見る少年ジャックは、さっそく豆の木登りに夢中です。
どこまでも上を目指し、雲を抜けるとそこには大きなお屋敷がありました。
もしかして人喰い鬼のお屋敷?
そう。で、人喰い鬼の奥方がジャックを見つけて匿ってくれるんだ。
奥方は人を喰わないのか、旦那に見つかればきっと喰われてしまう。そう思ってかまどにジャックを隠します。
人喰い鬼『おい。なんだか人間のニオイがするぞ』
鬼の奥方『おまえさん、ボケたのかい。この前食ったばかりじゃないか』
こうして適当に話題をはぐらかし、納得した人喰い鬼は銭勘定を始めます。
いくつもの袋に入った大量の金貨。数え疲れた人喰い鬼は、いつしかウトウト寝落ちしました。
こうしてジャックは初めての盗みに手を染めて、コッソリひと袋の金貨を持ち帰りました 。
もはや立派な常習
ジャックが金貨を持ち帰り、お母さんは大喜び。これで当分生活に困りません。
しかし大金入って散財するのが世の常 です。
次第に金貨も底を尽き、働くという選択肢がないジャックは再び豆の木を登ることに。
もう完全に盗っ人根性丸出しのジャック。
今度は人喰い鬼のお屋敷で見つけた、「産め」の合図で金の卵を産むニワトリを頂戴 して帰ります。
ニワトリだなんて…見つからなかったの?
上手い具合に持ち逃げ大成功したみたい。
またまたお金持ちになったジャックとお母さん。
再び貧乏に戻るのもイヤなので、ジャックはさらにお宝求めて豆の木を登り、人喰い鬼のお屋敷に侵入します。
今度はどんなお宝発見?
「歌え」と言えば綺麗な音楽を奏でる不思議なハープだ。
ハープもコッソリ頂戴 したジャックですが、ここに思わぬ落とし穴が。
実はこのハープ、喋れるんです。
ハープ『旦那さま、旦那さま。泥棒ですーー』
人喰い鬼『なん…だと!?』
再三私物を盗まれた人喰い鬼は、ジャックを見つけて追いかけてきました。
ジャックは慌ててハープを握ったまま豆の木を降り始め、我が家が見えてきたところでこう叫びます。
地面にたどり着き、お母さんから斧を受け取ったジャックは豆の木を切り倒します。
まだ降りてる途中の人喰い鬼は、豆の木が切り倒されて地面に真っ逆さま。あえなくお陀仏になりました。
こうして金の卵を産むニワトリ・不思議なハープという人様のお宝ゲットして、ジャックとお母さんは末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたし♪めでたし♪
よくよく見るとただの強奪犯でしかない気がする…。
いろいろ時代背景が反映されている
夢のある冒険物語がまさかの強奪物語。
なぜこんなひねくれた深読み?というと、民話や伝承には時代背景の皮肉も込められているから。
童話「ジャックと豆の木」の舞台は9世紀のイングランドです。英国海軍王とも称されるアルフレッド大王が国を治めていた時代。
- 戦が多く、成人男性は戦争に駆り出された
- 戦争のせいで物資も乏しく、物を奪い合うことが多かった
戦地に赴く父親もたくさんいて、人喰い鬼とは敵国の兵士を揶揄した表現。
そしてジャックのように母と子が残された家族も続出し、貧しい生活を余儀なくされました。
モノを盗む、人を蹴落とす。そんなことでもしないと生きていけない時代だった、という世情も反映されてます。
深読みすると、夢も希望もへったくれもなくなっちゃいますが、童話の設定にはちょっぴり闇が隠されてるんです。
日本らしさ満載の「豆の木」物語
童話「ジャックと豆の木」は、暗い時代背景を反映している部分もありますが、本来はちょっとした教訓を子供に伝えるお話です。
- 大事なウシと豆を交換という大失敗をおかす
- 豆の木という新世界を冒険することでピンチをチャンスに変える
- 人喰い鬼って怖い存在がいても、物怖じせずに前進
- 何度も豆の木を登るのは、何度でもチャレンジすることが大事という意味
- 好奇心とチャレンジ精神とめげない心が、幸せ(お宝)を掴むコツ
こんな教えを込めて童話として語り継がれています。
そして根本的な部分は同じですが、ほんの少しだけ解釈を変えながら「ジャックと豆の木」はたくさんの絵本になってます。
文章や絵柄が変わると、絵本の印象もけっこう違いますよね。
すっごい気になる絵本見つけたよー。
…これは印象違いすぎだろ!!
ほんの少しどころか新境地。ジャックはどこ行った(笑)
ウルトラマンゼロと豆の木がコラボし、お約束のナンチャラ星人が登場します。
ザラブ星人なる行商人から魔法の豆を買ったゼロ。ワクワクしながら豆を植えたら1日で天まで届く大きな木に成長します。
雲の上まで豆の木を登ると、そこには魔王ベリアルのお城がありました。
お城には王女ユリアン姫が捕らわれており、ゼロは姫救出のために大活躍!!
…もはや別物だけど。なんだ、この胸が高鳴る高揚感は。
ねー。面白そうでしょ♪童話に興味ない人にピッタリだよー。
これだとお子さんも食いついて楽しくお話に夢中になる、というスグレモノ。
気に入って自分で音読するお子さんもいるようで、文字を覚えるのにも向いてるらしいです。
童話はちょっとした教訓を学ぶ内容になってるものが多いので、ウルトラマンゼロの豆の木物語からは何を学び取れるか興味深いですね。
本当に「ジャックと豆の木」がある!?
そういえば、「ジャックと豆の木」の豆の木って何豆?
豆を何回も言うとややこしいな。あれはおとぎ話用の豆だ。
あくまでおとぎ話なので、「魔法の豆」のようにあそこまで大きく成長するマメ科植物はありません。
が、モデルとなったのはこれかな?と言われているものはあります。
こうした豆のどれかをモデルにした、というより、マメ科の植物はどれも成長が早くグングン蔓を伸ばします。
その特徴から「豆の木」が生まれたと言った方が正しいかと思います。
『ジャックの豆』の別名を持つオーストラリアビーンズ
じゃあやっぱり豆の木は空想かぁー。
でも、ちょっと面白いもの見つけたよ。
あんなデカく成長はしませんが、「ジャックの豆の木」という別名を持つマメ科植物があるんです。
一般的にはオーストラリアビーンズの名前で流通しているので、「ジャックの豆の木」という別名はあまり浸透しておりません。
が、「ジャックと豆の木ってあるの?」と言われると「ある 」 と言うのが答えです。
なんでこれが「ジャックの豆の木」って言われるの?普通の観葉植物にしか見えないんだけど。
マメ科の中でもわりと大きめの木みたいに成長するし、他にもちょっとおとぎ話みたいな特徴があるんだ。
「ジャックの豆の木」と呼ばれるオーストラリアビーンズ。その特徴はこんな感じ↓
引用amazon
まず種。豆といえば小粒っこなんですが、オーストラリアビーンズの種はデカいんです。
- 手の平にちょこん、ではなく、ドン!と主張する大きさ
- アボガドの種より少し大きいくらい
- 中国では「緑宝石」と呼ばれ、開運の木として人気
緑宝石?種が?
色が変わる上に、芽の出方も変わってるんだ。
引用amazon
わ♪なにこれー可愛いい!
だろ。パッカーんと運が開ける感じしない?
ちなみにオーストラリアビーンズの花言葉は「思わぬ出会い・再会」といった前向きなもの。
童話「ジャックと豆の木」で、思わぬ出会いは人喰い鬼です。
…が、そこから前向きに幸せを掴んでいくという教訓に通ずる感じや、一風変わった芽の出方がまるでおとぎ話のようだと思いませんか。
こんな理由でオーストラリアビーンズ=ジャックの豆の木と呼ばれるようになりました。
これ、お家で栽培出来たりするの?
一応6〜7月頃になると種や苗が出回るらしいよ。
ただ、種は流通量が少ない上に、上手くパッカーんするまで3週間ほどかかります。
苗木なら手に入る確率も高く、環境にもよりますが40cmくらいの高さの観葉植物として楽しむことが可能だそうです。
ちょっとパキラに似てますね。私はひとつパキラの鉢を飾ってるので、隣に並べようかなと思ってます。
…ということで、童話「ジャックと豆の木」に込められた教訓や、夢がパッかん開きそうな観葉植物についてお届けしました。
童話の世界を参考に、新たなジャックの冒険物語を描いた映画【ジャックと天空の巨人】もどうぞ↓
【ジャックと天空の巨人】あらすじキャストは?吹替えはあの芸人
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