とある屋敷に棲む女性。
彼女は自分が死んだことに気付かないまま、現世を彷徨う霊魂でした。
虚無に消えゆく魂の行く末を、幽霊目線で描いたホラー映画【私はゴースト】の世界へとご案内いたします。
この記事で分かること
- あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・動画配信サービス
- DVDブルーレイ情報
【私はゴースト】幽霊が主人公の異色ホラー
家に棲みつく霊魂よ、去ね!
…今回は、ただの除霊ホラーじゃないんだよな。
映画【私はゴースト】は、家に取り憑いた霊を除霊するエクソシスト的なホラー作品。
…なんですが、かなり斬新な手法が用いられています。
というのも、幽霊が主人公。
しかも生者から幽霊は見えず、幽霊からも生者は見えない…という妙にリアルな展開が見どころです。
- ほぼ主人公である幽霊の一人芝居
- 彼女を成仏させるための霊媒師は、声だけの出演
- 76分の中で、怖い演出と面白さはラスト20分のみ
- 序盤・中盤は展開が地味すぎて眠くなるかも
誰もいない館でひとり、淡々と同じ日々を繰り返す女性の幽霊。
そんな彼女を成仏させようと、接触をはかってくる霊媒師。
なぜ死んだのか、なぜ彷徨っているのか、その因果を解くことに焦点を当てたお話になっています。
幽霊目線で死と成仏の概念を描いた、独特のミステリーホラー映画 が【私はゴースト】です。
【私はゴースト】基本情報
私はゴースト | 2012年 アメリカ映画 |
ジャンル | ホラー・ミステリー |
監督・脚本 | H・P・メンドーサ |
上映時間 | 76分 |
出演 | アンナ・イシダ、ジーニー・バロガ、リック・バーカード他 |
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【私はゴースト】屋敷に棲む白い女性
物語の舞台は、郊外にある1軒の屋敷。
少し広めのこの家に、エミリーという女性が一人で住んでおりました。
- 彼女の日常は、いつも決まったルーティン
- 朝は卵2つの目玉焼きを作ったり
- 身支度を整えて買い物に出かけたり
- バケツとモップで家中お掃除したり
家のインテリア、あっちもこっちもアンティークだ!
…エミリーの服も、年代物っぽくてお洒落だな。
ワンピースというよりドレスに近い、白い衣装を身に纏ったエミリー。
ルーティンの合間には、写真を眺めたり本を読んだりと、変わることのない日々を送り続けます。
- ただ、ときおり奇妙な出来事も起こる
- 屋根裏から男の声や気配を感じたり
- ナイフを見ると、自分の手に振り下したり
- …そして洗面所で嘔吐したり
- 心細くなって母の寝室に篭ることも
こんな大きな家に一人で住んでたら、そりゃ心細くもなるよね。
…厳密には「棲んでる」なんだがな。
じぶん以外、だぁれも居ないはずの一軒家。
それなのに、誰かがいるような不気味さを感じる…。
そうエミリーが思った矢先、彼女に恐怖が訪れます。
- どこからともなく女性の声が
- その声は、エミリー…と話しかけてくる
- …が、周囲を見渡しても誰もいない
- あなたは誰!?どこにいるの!!と、エミリー絶賛テンパり中
で…出たーーー!おばけ(泣)
…声の主は霊媒師だよ。
姿なき声に怯えるエミリーに対し、声の主はシルヴィアと名乗り、同じ部屋にいると答えます。
そうは言われても、エミリーには誰も何も見えません。
- 狼狽えるエミリーをよそに、シルヴィアがひとこと
- 「私は幽霊だと繰り返し呟きなさい」と命令
- わけもわからないまま、エミリーは「私は幽霊」とリピートアゲイン
- そこでふと、自分は死んでる…?と思い当たった
もしかして…とっくの昔にお亡くなりに?
…あぁ。幽霊になったことに気付いてなかったんだ。
さっきまでの恐怖がスッと引き、落ち着きを取り戻したエミリー。
私は幽霊…私は幽霊……と、死を受け入れた彼女は、シルヴィアの話に耳を傾けることにいたしました。
白塗りマッパ男
死んだことに全く気付かず、ごく当たり前に日常を送り続けていたエミリー。
そんな彼女の気配を気味悪がった現在の住人から、霊を祓うよう雇われたのが霊媒師シルヴィアでした。
- エミリーは、シルヴィアと前にも話した記憶が
- と同時に、自分は誰かに刺し殺されたことを思い出した
- ただ、それが誰か・どこで死んだのかの記憶は曖昧
- そんな彼女にシルヴィアは「今日まで何をしてきたのか」と質問
目玉焼き作って買い物行って、家の掃除して…あっ!
…そう。毎日全く同じことしか繰り返していないんだよ。
来る日も来る日も、何一つ変わらない日常。
それは日々のルーティンではなく、エミリーが生きていた頃、生前の行動を追体験しているに過ぎなかったのです。
- 通常、死を自覚すれば死者は成仏する
- …はずが、エミリーは死を受け入れても成仏せず
- それどころか今の状況が怖くなり、その場から逃げ出した
- さらにこれまでと全く同じ日常を送り続けた
聞く耳持たずで、また地縛霊?
…エミリーが成仏できないのは、何か因果があるらしい。
ベッドから目覚め、目玉焼きを作り、買い物に出かけ、家中を掃除。
ただそれだけを繰り返す日々を送るエミリーですが、再びシルヴィアからのコンタクトが。
- エミリーは、今度は逃げ出さずに話を聞いた
- そんな彼女に、シルヴィアはひとつの指示を出した
- 母の寝室の絨毯の上を歩いてごらん
- するとエミリーの記憶に、とんでもないフラッシュバックが
うっわ…。これがエミリーの死因?
…この絨毯の上で、腹をメッタ刺しにされたようだ。
悪魔のような男が馬乗りになって、私を刺し殺した…。
そんな物騒な記憶が蘇ったエミリーですが、それでも彼女は成仏することができません。
- シルヴィアは他に思い出したことはないか質問
- エミリー曰く、母に悪魔憑きと罵られていた
- 血塗れの姿で妹の首を絞めたことがあるから
- 以来、何かあると屋根裏部屋に閉じ込められた
- さらに父が亡くなり、母は妹を連れて出ていった
捨てられて、ひとりぼっちになっちゃったんだ。
…そこへ悪魔のような男が現れて殺された、ってことか。
生前の記憶をすこし取り戻しエミリーは、霊として彷徨う自分を客観視できるようになります。
霊が霊の行動を見続ける…。
そんな残穢に浸る日々も、ある日を境に一変します。
- 再びシルヴィアが接触してきて、驚愕の事実を明かしてきた
- エミリーが殺された記録が残っていない
- エミリーの言う「悪魔のような男」は実在しない
- エミリーは自殺して亡くなっていた
…え。じゃぁ悪魔のような男は誰。
…エミリーを自殺に追い込んだ、もう一つの人格だそうだ。
実は解離性同一性障害だったエミリー。
彼女にはその自覚がなく、もうひとりの人格が現れたときの記憶も全くありません。
妹の首を絞めた覚えも、自分で自分を殺した覚えもなかったのです。
シルヴィアの話を信じられないエミリーでしたが、ふと屋根裏部屋から聞こえる男の声を思い出します。
その声こそが悪魔のような男、つまりエミリーの中に宿るもう1人の自分。
別人格の魂も一緒に成仏させなければならない…というのが、彷徨い続ける因果でした。
こうして彼女は別人格を探す羽目になり、気配のする屋根裏部屋へ。
しかしそこに姿はなく、同時にシルヴィアの声も聞こえなくなってしまいます。
幽霊だけど、同じく幽霊であろう別人格に怯えるエミリー。
そんな彼女の目の前に、股間をブランブランさせる白塗りマッパ男が現れ… というのが大まかなあらすじになります。
【私はゴースト】ほぼ一人芝居な登場人物たち
主人公以外、だれもいない地味な序盤。
…からの急展開。
監督のヴィジュアル的才能と、秀逸なアイディアを見事に演じた登場人物をご紹介いたしましょう。
エミリーは、郊外の屋敷に棲みついていた幽霊。
霊媒師シルヴィアが接触してきたことで、自分の死を受け入れた女性です。
霊であること・成仏することに抵抗はなく、でも霊的な事象に怯えまくる性格。
実は多重人格…というベタな展開ですが、強烈な別人格が登場して以降、俄然おもしろくなっていきます。
ほぼ一人芝居となるエミリーを演じたのは、アンナ・イシダさん。
どなた様か調べても情報が出てこなかったんですが、おそらく日系の女優さんかと。
元SKE48の石田杏奈さん…でないことは確かです。
シルヴィアは、エミリーに接触してきた霊媒師。
霊的な気配を感じるだけで、姿を見ることはできません。
…が、これまで霊魂を成仏させてきた実績があるようで。
声だけでエミリーの支えとなり、因果を解き、あるべきところに導くキーマンです。
デーモンは、多重人格者エミリーの別人格。
知らぬ間に身体を乗っ取っては、暴力的な凶行を行わせてきた過去があります。
すでにひとり歩きするほど個性が確立。
全裸ブラブラで螺旋階段から降りてきて、恐怖を撒き散らかしやがります。
エミリーを自殺させたのも、「お前を殺せば自由になれると思ったのに」だそうです。
…と、この他に、目立った登場人物はおりません。
たった3人、ワンシチュエーションの中で、霊魂と死の因果・成仏とはどういうことかを説いた作品 となっております。
【私はゴースト】感想まとめ
屋敷内という、限られたスペースで繰り広げられる一人芝居。
除霊を幽霊の立場で描いた手法は、斬新かつ秀逸なアイディアです。
- とある屋敷にひとりで住むエミリーが主人公
- 彼女は毎日、全く同じ日常の繰り返し
- なぜなら成仏出来てない幽霊だから
- そんな彼女に霊媒師がコンタクト
- 成仏を目指したら、ちょっと問題が
死んだ理由・成仏できない因果・記憶の追体験。
…というのが、今作で押さえておきたいポイントです。
何度も繰り返される日常は飽きてきますが、これは死んだ瞬間をも追体験させる布石かと。
霊魂がどう存在しているのか、なぜ彷徨っているのか、どんな最期を迎えたのか。
それらを上手く繋げる流れを生みつつ、さらに勢いをつけて霊魂の行く末・成仏という概念に結びついていきます。
今作における「成仏」とは、この世との関わりを一切絶った、何もない世界へいくこと。
エミリーも別人格の男も負の感情で霊魂となり、しがみついてきた居場所がこの世です。
居場所を奪われ存在をも消されることは、彼らにとって恐怖でしかありません。
なぜなら虚無の世界に還る「成仏」は、人生で1度しか経験しないから。
生きていた頃の苦痛よりも恐ろしいと感じるかもしれないし、魂が救われたと感じるかもしれない。
人は死んだらどうなるか。
…という後世に残ることのない世界観を、ここまでスタイリッシュに描いた監督の手腕は凄すぎです。
見るからに低予算、というか逆に低予算でここまで仕上げてくるとか、ほんとビックリです。
ちなみに今作の脚本・撮影・編集も、監督であるH・P・メンドーサ氏がほとんど一人でやってます。
まぁ…よくあるエクソシスト的なホラーを期待すると、少々肩透かしを喰らうかもしれませんが。
映画【私はゴースト】は、幽霊側の視点から見た成仏、虚無に還る底無しの恐怖を描いた変わり種ホラー作品 でした。
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