1939年9月、人類史上最大にして最悪の第二次世界大戦が勃発。
その引き金となったのは、独ヒトラーVSソ連スターリンによるポーランド侵攻でした。
多大なる犠牲を生み、ポーランドは分断。
言論や思想の自由も奪われ、言われなき罪状で処刑されたり収監される人々も。
生きることを願い、自由を求めてシベリアからインドまで過酷な道のりを歩き続けた男たちの姿を描いた戦争映画【ウェイバック-6500km-】の世界へとご案内いたします。
この記事で分かること
- 時代背景の歴史的経緯をザックリと
- ネタバレなしのあらすじ概要
- 登場人物キャスト
- 予告動画・DVD情報
【ウェイバック-脱出6500km-】弄ぶかのように懐柔させられたポーランド
最近ウォーキング始めたんだー♪
お。健康志向?どれくらい歩いてるの?
往復2kmだよー。
…散歩かよ(笑)
まぁたとえ数km程度でも歩かないよりはマシかもしれません。
私は運動不足過ぎて足腰弱くなってると実感しつつあるので、少しは見習わないと。
そんな私の老後の不安も、平和が続く日本に生まれたからこそ感じるちっぽけなもの。
老後どころか明日の命さえも危うい戦時下を生き延びるため、自由を求めて6500kmもの距離をひたすら歩き続けた方々がいらっしゃいました。
充分な装備も食料もないままシベリアの雪原を越え、モンゴルを突っ切りゴビ砂漠を渡り、ヒマラヤすらも越えて遠くインドに辿り着いた人物。
過酷な旅路を歩んだポーランド人男性の実話に基づく長い旅路を描いた映画が【ウェイバック-6500km-】 です。
映画【ウェイバック-脱出6500km-】基本情報
ウェイバック-脱出6500km- | 2010年 アメリカ・アラブ首長国連邦・ポーランド合作映画 |
ジャンル | 歴史・ヒューマン |
監督・脚本 | ピーター・ウィアー |
原作 | スラヴォミール・ラウイッツ『脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たち』 |
上映時間 | 133分 |
出演 | ジム・スタージェス、エド・ハリス、コリン・ファレル他 |
動画配信サービス | Amazonプライムビデオ(レンタル作品) |
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【ウェイバック-脱出6500km-】発端は乗っ取られたポーランド情勢
事の発端は、国の領土に関する勢力範囲の分割案。
東ヨーロッパの真ん中にあるポーランドは、ドイツ・ソ連の二大国家によって真っ二つに分断 されました。
- 1939年8月23日に、ドイツのヒトラー、ソ連のスターリンが独ソ不可侵条約を締結
- お互いの権益を尊重し、東ヨーロッパ&フィンランドの勢力範囲を分け合おうという秘密協定も締結
- ドイツとソ連の間にあるポーランドを、独ソどちらの国が先に進出を始めても侵攻を黙認という裏取引も
- まず1939年9月1日、ドイツのヒトラーがポーランドを西から侵攻
- 続いて1939年9月17日、ソビエト連邦のスターリンがポーランドを東から侵攻
- ポーランドは約半分ずつ、独ソの占領下に置かれることに
あれ?でもヒトラーは独裁主義だし、スターリンは共産主義だよね?
あぁ。おかげでポーランドはヒトラーによる独裁政治とスターリンによる恐怖政治の生け贄になった。
徹底した人種差別で独裁政策を推し進めたドイツ。
ヒトラーはユダヤ人大量虐殺で有名ですが、とにかくドイツ人以外を迫害。
おかげでドイツ占領域の西側ポーランドに住む国民は、強制収容所で死ぬまで働かされる羽目になりました。
一方で「オレのものはみんなのもの」と、財産は共同所有する事が平等の第一歩という共産主義を押し付けたソ連。
「平等」というと聞こえは良いですが、私用地や私物を運用して財を築いていた階級にとってはいい迷惑の思想です。
- 金持ちの金銀財宝、資産はもちろん没シュート
- 自分の土地を耕し作物で生計をたてていた生産者さえも、土地や農機具は国が没シュート
- 生産や産業は集団で強制的にやらされてた
- 資産階級も生産階級も不満が募り、革命を企てる者も
- さらにソ連は、ポーランドの文化・芸術・学問なども全てソ連化しようと画策
- 共産主義政策に反発しそうな人民やポーランドを守ろうとする文化人などは、適当にでっち上げた罪状で取っ捕まえて強制収容所送り
ドイツの占領の仕方は残虐だけど、ソ連のやり方も極端だよね。
当然不満を漏らす人民も出てくるだろうな。
ソ連の最高指導者スターリンは、ポーランドに侵攻する少し前、1926年にソ連国内で政権を確立させるために刑法58条、通称「反革命罪」という法律を制定しました。
以降、ソ連では多くの民間人・外国人はあらぬスパイ容疑をかけられるケースが多発。
シベリアに点在する酷寒の収容所で、過酷な労働を余儀なくされます。
ソ連は占領した東ポーランドでも、これと同様の法律を施行。
国民はたとえ反逆の意がなくても「私は共産主義に異論がある者です」という書類にサインさせられ、強制労働収容所に移送されました。
映画【ウェイバック-6500km-】の物語は、こんな時代に言いがかりをつけられ、無実の罪で拘束されたポーランド人ヤヌシュがソ連将校に尋問されるシーンから始まります。
酷寒の第105収容所
主人公ヤヌシュはごく一般的な民間人。
熱心な共産党員というわけでも、反共革命家達と隠密に行動してたわけでもありません。
なんの因果か反逆罪の嫌疑をかけられ、拷問と脅迫を受けたであろう妻の証言によって囚人としてシベリアの第105収容所に送還。
- 第105収容所は、シベリアの自然環境そのものが監獄と言える過酷な氷の大地
- 囚人には多額の懸賞金をかけているので周辺地元民も看守のようなもの
- 第105収容所には政治犯とみなされた者だけでなく、プロの殺し屋集団の一味なども収監されている
- 収容所内で殺害される者もいれば、過酷で劣悪な労働で命を落とす者も
無実なのにこんなところで一生を終えるなんてイヤだーー!
…と思ってヤヌシュは脱走を企てるんだ。
不当逮捕で収監された者も多く収容されているため、たいがい新人収監者は「こんなところから逃げ出してやる!」という夢と希望を抱きます。
ヤヌシュもそんな夢と希望を抱いた一人でした。
しかしこの第105収容所がシベリアのどの辺りなのか、東西南北どの方角に逃げれば良いのかもわかりません。
脱走するには看守の目を欺く必要もあるし、そもそもシベリアは行く道を誤ったら凍死必至の極寒の地。
誰もが致し方なくこの収容所で強制労働に従事する日々を過ごす中、自称古株の囚人カバロフが「脱走する方法はある」とヤヌシュに吹聴します。
- 第105収容所はおそらくバイカル湖の北にある
- 南下し、バイカル湖を越えればシベリア鉄道が。さらにその少し先にはモンゴル国がある
- ソ連領を脱すれば自由の身に
- 吹雪の中なら足跡もかき消されるので、追っ手からも逃れられる
- まずは配膳食糧を備蓄し、装備の準備を
これを聞いたヤヌシュは同じように不当逮捕で収監された有志を集い、コツコツこっそり脱走を計画。
しかしカバロフは「脱走を夢見る新人収監者」を煽るだけで、実行は無理だと思っている食わせ者でした。
ホラ吹きカバロフ?
いや、情報は正しいが、生き延びられる保証もない脱走を実行する勇気のない小心者だな。
半ば口論になりながらもカバロフから脱走ルートを聞き出したヤヌシュ。
行く手を阻むけれど追っ手も阻む絶好の脱走日和、猛吹雪の夜に大脱走劇の一歩を踏み出すことにしたのです。
【ウェイバック-脱出6500km-】過酷な大地と揺るぎない信念
ヤヌシュと共に自由を求め、猛吹雪のシベリアの大地に飛び出したのは全部で7人。
ポーランド人3名にユーゴ人、ラトビア人にアメリカ人と「脱走国際連合」さながらの面々です。
小心者のカバロフもついてきたの?
いや、代わりにめんどくさいヤツが付いてきた。
- ちょっとホラ吹きカバロフは脱走には参加せず、むしろ密告しようとさえしていた
- ヤヌシュの脱走計画を小耳に挟んだヴァルカというロシア人が加わった
- ヴァルカは収容所内でのイザコザから逃れるために、ヤヌシュを脅して脱走に参加
- 密告の疑いがあったカバロフはおそらくヴァルカの手で葬られた
自前のナイフを常にチラつかせる荒くれ者の極悪犯罪者ヴァルカ。こんなヤツを連れ歩くなんて、危険極まりない行為です。
しかしヤヌシュは大自然の中を逃げ延びるのにナイフは貴重な装備になるとして、ヴァルカを脱走メンバーに追加します。
オレ様の気に入らないヤツは容赦なくやったるでー!
…うん、まぁそれくらい気性が激しいが、忠義を尽くす漢気もある。
そもそも脱走国際連合の面々にはシベリアなんぞの土地勘はありません。
ソ連出身のヴァルカだって、広大なシベリアに放り出されればただの人。
収容所を脱出したのはいいけれど、南下して逃げのびようにも方角なんて知る由もありません。
…と思いきや、皆に脱走を持ちかけたヤヌシュにはちゃんと秘策がありました。
- ヤヌシュは森や大地に関する知識が豊富
- 苔の生え具合、草の伸びる方向などから方角を特定
- 真上に登った太陽がもたらす影からも方角を把握
こんな才能で迷いなく南を目指すヤヌシュに対し、ヴァルカは深い尊敬と忠義を誓うように。
荒くれ者の短気で残虐な性格は少しはナリを潜め、ヤヌシュの思惑通りにヴァルカのナイフは脱走劇で大いに役立つことになっていきます。
襲いかかる逃亡の危機
ヤヌシュのおかげで劣悪な収容所から抜け出し南下を続ける一行ですが、この脱走劇には重大な欠陥がありました。
- ソ連は縦にも横にもだだっ広い領土の大国
- 目指すお隣の国モンゴルまで相当遠い
- 装備も食糧も所詮は収容所から支給される微々たるものの寄せ集め
- 充分な準備が整う前に絶好の脱出日和が訪れたため、ほぼ勢いに任せて飛び出した
…もしかして飢えに苦しんだ?
あぁ。持ち寄った食糧も底を尽き始め、現地調達もままならなくてな。
道中、川で魚を釣ってなんとか食いつないでいきますが、実はヤヌシュが方角を見失います。
あと数日でバイカル湖にたどり着くはずが、行けども行けども湖にたどり着けません。
- 空腹で次第に皆が衰弱
- 手分けして虫やら鳥の卵やらを探すも腹を満たせる量にあらず
- 野生の狼が鹿を仕留めて食い漁ってるのを偶然発見。横取りし、生で貪り食うほど状況は逼迫
人一倍責任感と他人を思いやる心を持ったヤヌシュ。
ソ連の国境をみんなで越えるため、まずは単身でバイカル湖探しの旅に出ます。
み、み、みんな晴れて自由の身になる目前で力尽きたんじゃ…。
大丈夫。ヤヌシュも瀕死になりながらも、あと3日でバイカル湖にたどり着くルートを見つけて帰ってきたよ。
志半ばで生き倒れを阻止したのは、ヤヌシュの揺るぎない信念と仲間同士の強い信頼 でした。
みなボロボロになりながらもなんとかバイカル湖に到達し、さらにここで一人の少女とも出逢います。
- バイカル湖付近の集団農場から単身で脱走したポーランド人イリーナ
- ここまでお涙頂戴作戦で大人をたぶらかし、逃げのびて来た
- イリーナも空腹にあえいでおり、ヤヌシュ達に付いて行けば食べ物にありつけると後をつけていた
ヤヌシュ一行は食糧に余裕があるわけでもなく、じきに国境にたどり着くといってもどんな困難が待ち受けているかも分かりません。
一度はイリーナを連れて歩くことを諦めた面々ですが、やはりヤヌシュを筆頭に皆優しいのか、一緒に国境を目指すことに。
男ばっかでムサいから、イリーナはみんなのアイドル的存在だねー。
あぁ。したたかに一人で脱走してきたツワモノだけど、屈託のない性格はみんなの癒しになっていったよ。
バイカル湖を抜ければまもなくシベリア鉄道の線路が見えてきます。
そしてその先には自由を求めて歩き続けた目的地モンゴルが。
ヤヌシュ一行の長い徒歩による脱走劇も、ようやく終わりが近付きます。
しかし独ソのポーランド侵攻を皮切りに、世界を巻き込んだ大きな時代の変貌は、そう簡単に彼らを自由にはしてくれませんでした。
寒さと飢えの先にあるもの
バイカル湖を後にしたヤヌシュ一行の脱走劇は、実に順調に進みます。
大きな問題があるとしたら…季節が変わり、バイカル湖の水辺周辺で大量発生する蚊に悩まされたくらい。
蚊に刺されすぎて顔が腫れてるけど、ここに来るまでの苦難を思えばなんだか平和だねー。
だな。ようやく酷い目に遭わされたソ連ともオサラバだ。
人も列車も通過しない深夜を見計らってシベリア鉄道の線路を越え、無事にソ連とモンゴルとの国境に到着。
それぞれが自由になったら何をしようか思いを馳せる中、荒くれ者のヴァルカとヤヌシュはここで別れを告げます。
- ヴァルカは元々スターリンの肖像のタトゥーを入れるほど「鉄の男、カッチョエー」と啓蒙していた
- ただあの第105収容所から脱走出来ればそれで良かった
- 自由になっても何していいのか分からない
- ヴァルカにとってはソ連が祖国。国境は越えずにソ連領内に残ることに
仲間のためにナイフを有意義に使い、食糧捕獲などに貢献してきたヴァルカ。
なんだかんだと悪人ヅラしながらも、最後まで漢気溢れるワルでした。
そんなヴァルカとは別行動になったヤヌシュ一行は、モンゴル領土内で驚きの事実に直面 します。
え、何。やっとの思いでソ連領を越えたのに、何があったの!?
…実はモンゴルにもスターリンの勢力が及んでいて、共産主義国だったんだ。
共産主義の権力から解き放たれるために脱走し、ようやくたどり着いたはずの自由の地モンゴルも、ソ連と同じ穴のムジナとは。
- 結局振り出しに戻された気分
- モンゴルでは自由が得られないとして、さらにその先インドを目指すことに
- インドはこの時代大英帝国の支配下にあり、大英帝国はポーランドの国権擁護派だった
こうしてヤヌシュとその一行は、さらにゴビ砂漠・ヒマラヤを越え、新たな自由の目的地をインドに決定。
彼らの脱走劇はさらなる過酷な旅路となり…というのが大まかなあらすじになります。
【ウェイバック-脱出6500km-】ひたすら歩き続けた登場人物たち
今作映画【ウェイバック-脱出6500km-】は、実話に基づくストーリー。
ポーランドの陸軍騎兵隊中尉だったスラヴォミール・ラウイッツの口述による体験談を、ロンドン・デイリー・メールの記者だったロナルド・ダウニングが著した出版本「The Long Walk」が原作です。
「完全なるノンフィクションか否か」という原作本に対する議論もあるようですが、不当な扱いを受けシベリアからインドに逃げ延びた人物が実在したことは確か。
容赦ない世界の変動と大自然の猛威から大脱出劇を繰り広げた登場人物たちをご紹介いたしましょう。
ヤヌシュは今作主人公のポーランド人。山暮らしの経験があったのか、やたらと自然に詳しく博識な人物です。
シベリア第105収容所には無実のスパイ容疑で送還され、悪環境の収容所であっても他人を見捨てず思いやる優しさに満ちた性格をしています。
ヤヌシュの知識がなければまず最初のシベリア雪原を抜けることも、バイカル湖まで到達することも決して叶わなかった重要な存在でもあります。
ミスター・スミスはアメリカ人の設計技師。大恐慌のアメリカから仕事を求めて息子と共にソ連に渡来し、世界情勢に巻き込まれて収監されました。
脱走仲間の中では最年長、ヤヌシュとはまた違った博識な人物です。
モンゴルも共産主義国家だったと判明した際、行く先をモンゴルの隣国中国ではなく、さらに南下してチベット・インドを目指すことになったのは、ミスター・スミスの世界情勢知識が役立っています。
ヴァルカはソ連の犯罪組織ウルクの一員。盗み・ゆすり・殺人と、ソ連国内で散々あくどいことをやってきた犯罪者として収監されました。
第105収容所内でカード博打の多額の借金を背負い、身の危険を感じたためにヤヌシュをナイフで恐喝して脱走の仲間入り。
路上育ちの粗暴な輩ですが、ヤヌシュの引率力に惚れ込み、「パカン」と呼んで敬愛するように。
「パカン」とは、かつてヴァルカが属していたウルクでのボスの呼び名です。ヤヌシュが待て、といえばナイフを納める忠犬っぽいところがあります。
ヴォスはラトビア人の牧師。ソ連による宗教弾圧で収監されました。物静かで慈悲深く、わりと印象の薄い存在です。
しかしバイカル湖で出逢ったイリーナが、最終的にヤヌシュらと行動を共にすることが出来たのはヴォスのおかげ。
いつも憂いの表情を見せる彼には、自分を追い詰め続ける過去があったりします。
トマシュはポーランド人のケーキ職人。仲間が集めてきた食材を絶妙な味付けで調理してくれます。
絵を描く才能もあり、収容所ではヴァルカに頼まれて春画のような女体像を描いたことも。
脱走後の道中でも皆の肖像画を作成しており、自由になったら画家になりたいという夢がありました。
ゾランはユーゴ人の会計士。クレムリンの写真を撮影したから、という完全にイチャモンでしかない理由で収監されました。
とにかくおしゃべりで話し上手。収容所では口は災いの元ですらあったのに、巧みな話術と人を楽しませて笑わせたいというエンタメ精神で生き残ってきました。
ヤヌシュらとの脱走後も、煩わしいほどのおしゃべりで場を和ませるムードメーカーでもあります。
カジクは劣悪な労働環境に加えて不充分な食事がたたり、栄養失調で夜盲症になってしまった青年。
収容所脱出は長い逃亡が予想され、夜盲症は皆の足手まといになる恐れを感じつつも、ここで死にたくないという理由からヤヌシュ御一行に加わることに。
脱走したメンバーの中で最初にシベリアの酷寒の犠牲となりますが、収容所ではなく自由の中で命の灯火が消えたことは、カジクにとって幸せな最期だったのではないかという描写になっています。
イリーナは幼少期をモスクワで過ごしたポーランド人の少女。革命運動家だった両親がスパイ容疑で逮捕され、当時10歳の時に弟と二人で養護施設に預けられることに。
ほどなくして弟が亡くなるとイリーナは集団農場に送られ、そこでの扱いの酷さから単身で逃亡。
ワルシャワ出身だとか両親は殺されたなど、偽りの苦労話で人々の同情を買う強かさ、数カ国語を操る聡明さがあります。
…と、徒歩による大脱走を展開したこんな面々の他に、脱走ルート案を提示してくれたカバロフ、ヤヌシュの妻などが登場します。
さらに収容所内の収監者や、モンゴル・チベットでヤヌシュらを素朴にもてなしてくれた方々も。
荘厳な大自然の風景描写も相まってリアリティに溢れ、見応えありすぎる仕上がり になっています。
まとめ
今作映画のタイトルであるウェイバック(The Way Back)とは、「帰り道・帰り道で・帰路」という意味があります。
- 1939年、ドイツとソ連に挟まれたポーランドは東西からの侵攻により分断
- 西側ポーランドはヒトラーによる粛清を受け、東側ポーランドはスターリンの圧政に苦しむことに
- ソ連占領下でシベリア収容所送りになった人物の大陸縦断大脱走の軌跡を描いた作品
国も文化も思想もなにもかもの尊厳を奪われたポーランド。
他国の脅威に頻繁に晒されることのない日本に生まれ、戦争を知らずに育った私にとって、とても衝撃的なお話でした。
酷寒のシベリア・灼熱のゴビ砂漠・険しい山越えのヒマラヤ。
道中幾度となく寒さに震え暑さに打ちのめされ、飢えや渇きで極限状態に陥る彼らの旅路は、想像を絶する過酷さです。
映画【ウェイバック-脱出6500km-】は、決して人間性を失わずに歩き続け、自由への長く過酷な道のりを踏破した彼らの人生に強く胸を打たれた作品 でした。
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