【グラディエーター】コロッセオの英雄・剣闘士を描いた群像劇

歴史

イタリア半島中部に位置した都市国家ローマは、徐々に領土を拡大して1〜2世紀の頃には地中海全域を支配する巨大帝国になりました。

いくつもの戦を経験し、繁栄と衰退を繰り返しながら帝国へとのし上がった古代ローマには、様々な文化も発展します。人と人とが命がけで闘う姿をコロッセオなる闘技場で観戦するのが、当時のローマ市民の最大の娯楽。

見世物として闘う身分に身をやつし、剣闘士として生き抜いたひとりの男の生涯を描いた映画グラディエーター】の世界へとご案内いたします。

 

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【グラディエーター】舞台は強大かつ栄華を極めた古代ローマ

引用wikipedia

たける
たける

古代ローマで市民の憩いって言ったら風呂だよねー。あー。温泉行きたい。

REON
REON

温泉良いね。でも古代ローマの娯楽は他にもあったんだよ。

ローマは様々な文化や芸術発祥の地でもありますね。今でも観光で街並みを覗けばいくつもの遺跡に遭遇します。特にローマ市内のど真ん中にでーーん!とひときわ存在感を放って立っているのがコロッセオ

ローマは「テルマエ」なる風呂も有名ですが、「コロッセオ」なる闘技場跡も有名です。

たける
たける

コロッセオってなんの競技してた闘技場なの?

REON
REON

ザックリ言うと命を賭けたバトルだな。

  • ローマ帝国には円形闘技場がいくつも点在
  • 真剣を使った闘いを見物する娯楽が盛んだった
  • 現在ローマ市内にあるコロッセオはその名残りを表す遺跡

真剣を使って真剣に…とくだらんオヤジギャグを飛ばしてる場合じゃないくらい血生臭い娯楽。命を賭けた見世物の闘いの世界 を描いたのが2000年に公開されたハリウッド映画【グラディエーター】です。

時代は西暦180年

【グラディエーター】の舞台は西暦180年頃のローマ帝国です。

すでに地中海一帯をガッツリ治めていましたが、そのさらに北に国を構えるゲルマン人からの侵略に苦戦を強いられていました。

たける
たける

ゲルマン人?

REON
REON

今で言うドイツとかデンマークとか、その辺りかな。ほかにもローマ帝国周辺の蛮族に戦を仕掛けられて防衛戦が繰り広げられてた。

  • ゲルマン人はなかなか手強く、その襲撃に見事な指揮をとる将軍が
  • 奇策を練り、軍を率いて帝国のために勝利をもたらした
  • この名将軍が今回の映画【グラディエーター】の主人公

多くの戦果を挙げながら驕り高ぶらず、さらに多くの軍人が彼に従いたいと願うほどのカリスマ性を持った将軍は、時の皇帝から絶大な信頼を寄せられていました。

そして皇帝は、帝国の頂点に立つのに必要な徳を備えた将軍に帝位を譲る決断をしたんです。

たける
たける

え、帝位継承って息子とか王子にあたるような人がなるんじゃないの?

REON
REON

あぁ。一応この皇帝には嫡男がいたけど、皇帝の器は将軍のほうが大きいって判断したんだ。

皇帝の息子を差し置いて帝位継承者に。これがこの将軍の人生を狂わす原因になっていくんです。

帝位継承者から一転、反逆者。そして奴隷へ

たける
たける

これって帝位継承権争いに巻き込まれちゃったってことだよね。

REON
REON

うん。でも将軍としては別に皇帝になりたかったわけじゃないんだよね。

多くの軍人を率いて人心掌握に長けてはいましたが、将軍の望みはただひとつ。戦を終わらせ田舎に帰り、愛する妻と子供と平和に暮らしたかっただけ なんです。

ところが次期皇帝から外された嫡男が、野心をむき出し皇帝を暗殺。病死したことにして帝位を継いでしまいます。

たける
たける

皇帝になる気がそんなにないんだったら、別に嫡男が後継いでも問題ないじゃない。

REON
REON

でもね、将軍は皇帝のことを父のように慕ってた部分もあったのよ。

  • 忠誠を誓い慕っていた皇帝を嫡男が暗殺して新皇帝に
  • 嫡男の暴挙に怒った将軍は新皇帝への忠義を断り反旗を翻すことに
  • 新皇帝を新たな君主に迎えた中で、この行動はもはや逆賊

将軍は反逆者として抹殺されそうになり、さらには田舎で将軍の帰りを待っていた家族は反逆者一族として無残にも処刑されてしまいます。

剣闘士界の英雄に

守るべき愛する家族を失って生きる気力も無くした元将軍。

行き倒れていたところを奴隷商人に拾われて、元将軍は奴隷として売っぱらわれました

たける
たける

奴隷?

REON
REON

この時代、ローマはたくさんの戦をしてたでしょ。敵国の軍人を捕虜にしたり、属州でも身分の低いものはいろんな使い道の奴隷にしてたんだ。

  • 帝国が大きくなったことで身分格差が
  • 貴族はたかが靴を履くにも靴履かせ奴隷を買っていた
  • 宴で食べ過ぎて吐いたら片付ける奴隷も
  • とにかく人使いが荒く、なんでも奴隷任せ

中でも腕っ節のいい奴隷は用心棒に…ではなく、闘わせてそのバトルを観戦するという娯楽要員に駆り出されます。

これが「剣闘士」グラディエーターと呼ばれる奴隷たちです。

たける
たける

ローマ帝国軍の最前線でバッサバッサ蛮族倒した名将軍でしょ?そりゃ腕っ節も強いよね。

REON
REON

生きる意味を見失って半ばヤケになってたしね。剣闘士として闘い続けて、いつしか剣闘士界のニューヒーローになっちゃったんだよね。

剣闘士というカッコいいネーミングがついてますが、要は死んでも構わない奴らを闘わせて興行にしてた、というなんとも言えない娯楽が流行ってたのがローマ帝国。しかも主催者は皇帝です。

そんな世界でかつての将軍はグラディエーターとして次第に頭角をあらわすようになり、新皇帝への復讐心と奴隷身分解放のために闘い続け…というのが大まかなあらすじになります。

 

かつての戦地の英雄は、やがて剣闘士の英雄へ【グラディエーター】

ローマ軍を指揮していた名将は奴隷へと身分を落とし、剣闘士として生きていくことに。

生死を賭けてコロッセオで闘う生涯を描いた予告動画はこちら↓

映画「グラディエーター」劇場予告

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【グラディエーター】闘いの時代を駆け抜けた登場人物たち

映画【グラディエーター】は、つい応援したくなる漢気ある主人公と少々腹黒い敵役との攻防が見どころです。

一見すると英雄VS悪役の対決モノですが、壮大なローマ帝国が舞台となっているから面白いんだと思います。

そんな壮大なローマ帝国で生き抜く登場人物をご紹介いたしましょう。

 

マキシマス・デシマス・メレディウス(ラッセル・クロウ)

マキシマスは、数々の武功をあげたローマ軍の将軍。元々は属州ヒスパニア(今のスペイン)出身の農民です。

正義感に溢れ、知恵を絞って戦略を練り、不屈の精神で戦に挑み、さらには多くを望まぬ謙虚さも持ち合わせた主人公。

数奇な運命に翻弄され、生きる気力を失ったマキシマスは奴隷へと成り下がり、「スパニャード(スペイン人)」のニックネームで剣闘士として生きていくことになります。

 

マルクス・アウレリウス(リチャード・ハリス)

マルクス・アウレリウスこの時代のローマ帝国の頂点に立つ、第16代ローマ皇帝。ちょっと病も患ってる、かなりご高齢のおじいちゃんです。

戦よりも哲学を極めたかったアウレリウス帝は帝政統治に限界を感じ、かつての共和制の統治体制の復刻を願って後継者にマキシマスを指名します。

跡を継ぐ気満々だったコモドゥスによって、遠征先の戦地で暗殺されてしまう設定です。

 

ルキウス・アウレリウス・コモドゥス(ホアキン・フェニックス)

コモドゥスアウレリウス帝の嫡男で、後を継いで第17代ローマ皇帝になる人物。父を愛しローマも愛する有能な息子ですが、皇帝になるほどの力量はないとみなされ、次期皇帝候補から外されてしまいます。

マキシマスの優秀さは認めていましたが皇帝を譲る気はなく、父を手に掛けて勝手に皇帝の地位を継承。自分に従う意思のないマキシマスを暗殺しようと刺客を送り、マキシマスの家族も処刑。

自らが開催する剣闘士大会でマキシマスの生存を知り、なんとか抹殺してやりたいと願いながらもローマ市民の手前、なかなか排除出来ずに悶々と対策を練るマキシマスの宿敵です。

 

ルシッラ(コニー・ニールセン)

ルシッラは、アウレリウス帝の実娘でありコモドゥスの実姉。もし男子として生を受けていたら次期皇帝にしたかった、とアウレリウス帝が惜しむほど頭のキレる有能な女性です。

若かりし頃はマキシマスの恋人でもありましたが、皇族と属州出身の軍人とでは身分格差がある、ということでそれぞれ別のパートナーと人生を歩むことに。

夫となったルキウスは戦場で命を散らし、同じ名を付けたルキウスという8歳の一人息子がいます。

 

クィントゥス(トーマス・アラナ)

クィントゥスは、マキシマスとともに戦場を駆け巡った同志の将軍。皇帝に忠誠を誓いローマのために生きていく人物であり、アウレリウス帝を亡き者にしたであろうと知りながら、今度はコモドゥス帝に忠誠を誓います。

そのためコモドゥス帝の命令により、マキシマスの家族を処刑。かつての盟友は敵対する関係へと変化しますが、実は自分の決断を後悔し、マキシマスに対して罪悪感を抱いています。

 

シセロ(トミー・フラナガン)

シセロ将軍時代のマキシマスに仕えた従者。マキシマスが新皇帝コモドゥスに対する反逆者とみなされ、奴隷に成り下がったあともマキシマスを慕い続ける人物です。

剣闘士として名を馳せ、英雄になっていくマキシマスを影ながら支え、生涯をマキシマスに捧げた良い人でもあります。

 

アントニウス・プロキシモ(オリヴァー・リード)

プロキシモは、マキシマスが所属する剣闘士軍団のボス。奴隷市場でマキシマスを買い取り、各地で盛んに行われていた剣闘士大会を興行していたプロデューサーっぽい人物ですね。

次第に剣闘士として頭角をあらわすマキシマスを筆頭に、ローマ帝国で最も大きな剣闘士大会会場であるコロッセオで大儲けを企んでローマ市内に乗り込みます。

若き日はプロキシモも剣闘士として活躍した時代もあり、奴隷身分から解放してくれたのは、他でもないアウレリウス帝でした。

マキシマスの背負った宿命や、プロキシモ自身の想いも複雑に絡んでコロッセオでは熱き剣闘士バトルが繰り広げられます。

 

ジュバ(ジャイモン・フンスー)

ジュバマキシマスと同時期にプロキシモに剣闘士用の奴隷として買われた人物です。

生死に関する独特の理念を持ち、生きる気力を失っていたマキシマスを何かと励まし、いつしか深い友情を育んで生きます。

 

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【グラディエーター】史実から垣間見る映画の世界観

さて、映画【グラディエーター】の世界観は長い歳月をかけ、たくさんの紆余曲折を経て巨大な帝国になったローマの歴史が随所に散りばめられています。

「全ての道はローマに通ず」ならぬ「全ての歴史はちょこっとずつ【グラディエーター】に通ず」になっているので、ここでざっくりとローマ帝国史をおさらい。

ということで「REONさんの古代ローマの歴史をつまみ食い」をお届けします。

古代ローマ帝国の兆し

古代ローマは元々ひとつの大きな国ではありませんでした。

自給自足の生活で成り立つ小さな集落が少しずつ大きくなって村になり、村が町になり、町がやがて都市に発展。

  • いくつもの小都市が集まって出来たのがローマ帝国
  • このころ農業や放牧で生活が豊かになっていた時代
  • 農民がわりと偉い立場だった
  • さらに農民が都市の安全を守る兵士としても活躍
たける
たける

あ。だから【グラディエーター】の主人公のマキシマスも農民出身って設定なんだ。

REON
REON

そう。もちろん貴族で兵士っていう場合もあったとは思うけどね。

土地が豊かならより多くの民が生活していけます。交易も盛んになる。潤う都市には人が集まり、軍事面でも強化された強い都市も生まれます。

やがて痩せた土地しかない都市や人口が少ない都市は豊かな都市と同盟を組んだり、さらに領土を拡大しようと近隣都市と争いを始めるようになりました。

そんな中でも政治・経済・軍事力においてちょっと優れたローマは、度重なる戦にも勝利をおさめ、次第に「お、ローマって小都市、なんか強くね?」と注目を集めることに

たける
たける

地中海一帯に点在してた小都市国家がだんだんローマに属するようになっっていったってこと?

REON
REON

そんな感じだな。

ローマが大きく繁栄したのは、他都市の市民の受け入れ方が独特だったからです。ローマは、服従した小都市の政治を担う貴族たちにローマ市民と同等の立場を与えました。

  • ローマ市民は食事はタダで支給され、娯楽もタダ
  • 属州になれば平民や農民はローマに対する納税の義務はあるが、ローマ市民権は与えられる
  • 貴族にとっては徴税だけちゃんとしてれば、これ以上にない裕福な生活が保証
  • 特に反抗する理由もないから反乱も起きにくい

こうしてローマは領土も拡大、属州からの徴税で財政も潤い、人口も増えるので軍備も充実。上手い具合に周辺都市を抱き込んで、歴史上で唯一地中海一帯を統一した大帝国へと相成りました。

王政の崩壊、そして共和政ローマの誕生

都市国家ローマのときには、国のトップに王がいました。が、次第に大きくなっていくローマでだんだんと権威をかざして独裁政治を行なっていくように。

これに多くの人が反旗を翻して王を追放して共和制という体制に変わりました。

たける
たける

王政と共和制って何が違うの。っていうか共和制って言われても分かんないんだけど。

REON
REON

ごくごく簡単に説明すると、こんな感じかな。

  • 王がいるのが王政。現代でいえばエリザベス女王がいるイギリスは王政
  • 王がいないのが共和制。現代でいえば大統領が選出されるアメリカ合衆国が共和制
  • 古代ローマ帝国の場合は、王の独裁が元で共和制になったので、国のトップは2人にした
  • トップ2人を中心に意見を出し合う元老院なる議会を作った

ローマ帝国は穀物を耕す農民や都市を栄させる市民あっての都市国家。何より市民が最高の財産だったので、市民を大事にする政治体制を整えます。

こうして市民の声も届く議会制による共和制ローマが誕生しました。

統治体制は共和制から帝政へ

たける
たける

あれ?でも【グラディエーター】の中では皇帝がいる帝政ローマだよね。

REON
REON

共和制で貴族と市民の間に身分格差が出始めちゃって内乱が起こったりしたんだよ。

市民を大事に、がモットーだった共和制でしたが、次第に陰りも出始めたんです。これまでの戦や徴税で土地を奪われ財産を持たない市民が続出。

議会も貴族主体の元老院と市民代表の市民院に分かれ、身分や貧富の格差が広がって、元老院が懐を肥やす腐敗政治へと変貌してしまいます。

たける
たける

結局共和制になっても何だかんだ独裁っぽい政治になっちゃったんだ。

REON
REON

国が大きくなると政治って難しいよね。

王政では王が独裁、共和制では元老院が私腹を肥やす。ならば今度は元老院の暴走を止めることの出来る上司・皇帝を立てて、互いに牽制しながら市民の声を守ろうっていう政策に路線変更。

共和制のみの腐敗政治は幕を下ろして帝政ローマ体制が始まったのです。

これが案外上手くいって、ローマは帝国始まって以来の平和と繁栄をもたらし、栄華を極めて史上最大規模の領土拡大も成し遂げました。

栄華と衰亡の兆しが見え隠れした五賢帝時代

帝政の中でも特にローマ帝国が栄華を極めたのは「五賢帝」と呼ばれる5人の皇帝が治めた時代。

【グラディエーター】の世界観は、ちょうどこの五賢帝の最後、帝政ローマ崩壊に繋がった激動の治世に関わったマルクス・アウレリウス帝とコンモドゥス帝の頃のお話です。

栄華と衰退をもたらした五賢帝についてもちょこっと解説いたしましょう。

ネルウァ(96年〜98年)

引用wikipedia

元老院によって選出された帝政ローマ王朝最初の皇帝ネルウァは、共和政ローマ期の君主に仕えていた重臣出身。

歴代皇帝とは血縁関係はなく、未だ多くの権力を握っていた元老院が適当に言うこと聞いてくれそうな人物をチョイスしたらネルウァだった、というオチです。

ゆえにあんまり頼りにならない貧弱なイメージがあります。

トラヤヌス(98年〜117年)

引用wikipedia

ネルウァ帝の後を継いで次に皇帝に立ったトラヤヌスは、ネルウァとは全く血縁関係がありません

まるで【グラディエーター】の主人公・マキシマス並みに、武功で己の地位を築き上げた属州出身の人物です。軍の近衛兵のリクエストでネルウァの養子に迎え入れられて皇帝になりました。

文武両道、ローマ帝国を1番大きな領土にまで広げた至高の皇帝 として歴史に名を残した賢帝です。

ハドリアヌス(117年〜138年)

引用wikipedia

ハドリアヌス帝はさらなる領土拡大よりも国境の安定に路線変更した現実主義者。古代ローマの領域は拡大するよりむしろ縮小、ギリ現状維持と言った暗雲が漂い始めたためですね。

先帝トラヤヌスの従兄弟の息子で、一応血縁関係があり、最終的にはトラヤヌスの養子になって皇帝の地位に就きました。

水戸の御老公ばりに諸国漫遊し、先帝によって最大領土となった帝国内をくまなく視察。無駄な争いは無用とばかりに防衛を重視して一部属州地域から撤退、帝国の平和のために法を定めたりと頑張りました。

アントニヌス・ピアス(138年〜161年)

引用wikipedia

特に目立った功績はありませんが、先帝のやり残した事業を継承して帝国の安定を強固にしたのがアントニヌス帝です。

トラヤヌス帝・ハドリアヌス帝の親戚にあたる子女と熱烈な恋愛結婚ののち、真面目な性格が買われてハドリアヌス帝の養子となり帝位を継承。姻戚関係にある、といったところですね。

軍事遠征はほぼ行わず、学問や芸術・文化の保護に熱心に取り組んだ穏健派。属州のことは属州の貴族に任せて皇帝はローマでどん!と構える、という行政体制を確立しました。

マルクス・アウレリウス(161年〜180年)

引用wikipedia

アントニヌス帝の奥さんの甥っ子だったアウレリウス帝は任期のほとんどを戦地で過ごします。

先帝が属州のことは属州に任せる政策を取ったせいなのか、はたまた巨大化し過ぎたローマ帝国を侵略すれば国の繁栄間違いなしと思われたのか。北方のゲルマン人や蛮族からの侵略戦争が絶えませんでした。

病をおして晩年まで戦場を駆け巡ったアウレリウス帝は、結局戦地で病死することになります。軍事よりも学問が好きだったのに、戦いに明け暮れざるを得ない生涯を送りました。

コンモドゥス(180年〜192年)

引用wikipedia

15歳の頃から政務官を勤めるほど優秀&父アウレリウス溺愛の優秀な嫡男。次期帝位継承者として大事に育てられます。

五賢帝の時代には、歴代の皇帝に跡継ぎの嫡男が生まれなかったり早逝したせいで直系継承者がいなかったので、アウレリウス帝からコンモドゥス帝への直系帝位継承は珍しい事例です。

ただ、もっと古く王政ローマの時には直系で王位継承して失敗してきてたので、コンモドゥスが帝位に就くことに若干の憂いもあったようです。

ローマ帝国史を参考に創造された世界観

コンモドゥスが父である先帝アウレリウスを亡き者にして帝位を継ぐ、というのはあくまで【グラディエーター】劇中内での設定です。

でも、盛んに剣闘士大会を開催したり、自身も剣闘士としてコロッセオで闘いに興じたのはガチなお話ですけどね。

たける
たける

忠実に皇帝像が描かれてるのかと思ったら、ちょこっと違うんだね。

REON
REON

あぁ、でもコンモドゥスがイケてない暴君だったのは確かだよ。

コンモドゥスは帝国経済や対外政策そっちのけで、剣闘士大会にのめり込んでいました。

それはこの時代、なにより市民が求めた最大の娯楽がコロッセオでのバトル大会だったから。

  • 剣闘士大会なる娯楽を開催する皇帝はいい皇帝と支持された
  • ローマ帝国の繁栄や国の維持よりも、自身の名声と威厳誇示のほうが大事だからコンモドゥスは剣闘士大会を頻繁に開催
  • コンモドゥスも剣闘士大会にのめり込み、市民サービスとして帝国トップが参加するという見せ場を作った
  • 負けたら支持率ガタ落ちなので、剣闘士大会でコンモドゥスは八百長ばっかしてた

さらにこんな史実の背景も、コンモドゥスを悪役に仕立て上げやすかったんじゃないですかね。

  • 皇帝の跡継ぎは嫡男・姻戚・親戚に限らない
  • 先帝が決めた人物も、元老院が審議して認めれば誰でもOKだった
たける
たける

そっか。ここまで皇帝は、コイツ跡継ぎに向いてる!って人材を養子に迎えて後継者にしてきてたもんね。

REON
REON

そう。だから劇中では優秀なマキシマスに帝位継承の白羽の矢が立ってもおかしくなかったんだ。

こうして上手い具合に史実からちょいちょいインスパイアしたネタを使って、ヒーローと悪役の設定も完了。ちょっと感動するヒューマン要素も備えたエンタメ作品【グラディエーター】の世界観が完成した、ということですね。

 

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【グラディエーター】物語の中心となる円形闘技場コロッセオ

最後にもう一つ。映画【グラディエーター】のお話の最も重要な舞台となる円形闘技場についても歴史をちょこっとつまみ食い。

今なおイタリア・ローマ市内のど真ん中にその建造物も残り、超有名な観光名所になっている「コロッセオ」ですが、完成したのは【グラディエーター】の時代よりずっともっと前なんです。

ということで「REONさんの古代ローマの歴史をつまみ食い・パートⅡ」をお届けします。

コロッセオは市民のご機嫌取りの場所

イタリア・ローマに現在も建つコロッセオは、帝政ローマの中頃フラウィウス朝と呼ばれる時代、西暦70年代に工事が始まって西暦80年に完成しました。

コロッセオという呼び方は実は中世以降の円形闘技場のニックネームで、正式名称は「フラウィウス円形闘技場」です。

まぁコロッセオの方がもう馴染み深いので、今や「フラウィウス円形闘技場」と呼ぶ人も少ないですけどね。

たける
たける

ローマには円形闘技場なかったの?なんでこの時期に建設?

REON
REON

フラウィウス朝以前に統治していたネロ帝の散財で市民の反感買いまくって、後継の皇帝がローマ市民のご機嫌取りのために作ったってとこだな。

ローマにも剣闘士大会を催すような円形闘技場はありました。が、1万人収容程度の大きさのタウルス円形闘技場や、大規模な催しをするには仮設観客席を設けないといけない程度のもの。

色々と国内情勢に不満をぶちまけるようになったローマ市民が「パンよこせ!なんか面白い娯楽もよこせ!」と帝国内は大混乱。

そこで本格的に剣闘士大会という一大盛り上がりイベントが開催出来る大きな会場を建設して、市民に娯楽を提供してなだめる必要がありました。

REON
REON

で、国内情勢が貧困に陥ったり混乱する元凶になったネロ帝の宮殿跡地の庭をぶっ潰して、5万人収容可能な円形闘技場作ったってわけ。

たける
たける

5万人!?東京ドームと同じ規模じゃん。

REON
REON

さらに、東京ドームみたいに天井開閉装置もあったんだよ。あと地下に控え室があって、剣闘士は人力エレベーターでご登場だ。

引用wikipedia

【グラディエーター】劇中では天幕が張られてるシーンはないんですが、闘技場の地面から猛獣が出てくるシーンがあります。

あれは実際にコロッセオにそういった地下から出現する装置があったので、そのあたりが再現されてるんですね。人力エレベーターって…おそるべしローマの技術力。

ローマの技術はハンパない

たける
たける

ちょっと気になったんだけど、さっきの天幕の画像に船浮いてない?なにあれ。

REON
REON

あれは模擬海戦だ。

引用wikipedia commons

そんなに頻繁には行われなかったようですが、コロッセオの闘技場部分に大量の水を張って海戦を再現。これまた大掛かりな見世物イベントも開催してたんです。

どっからこんな大量の水を…というと、ローマは上手く街中に傾斜を付けて水が行き渡る水道設備がありました。とにかく技術力が「ハンパねぇ」でございます。

もちろん船上で闘うのは奴隷出身の剣闘士や敗戦で捕虜になった身分の人々。こうしたド派手な演出にローマ市民は熱狂し、それを開催する皇帝を褒め称え、帝国トップと民衆の最高の交流の場にもなっていました。

たける
たける

…なかなかゲスい娯楽だよね。

REON
REON

とことん栄華を極めた国の闇の部分って感じがするな。

生死を問わず奴隷を闘わせ、その様子を歓喜しながら観戦する、というのは確かにあまりいい趣味とは言えません。が、これもまたローマが市民とともに歩んで繁栄していくには不可欠な見世物だったのかもしれません。

それにこうした剣闘士大会で良い闘いっぷりをすれば、奴隷や捕虜から解放される恩恵もありました。

のちに色々と人道的な判断で剣闘士大会は禁止になりますが、グラディエーターという存在はローマの繁栄、帝国の歴史を語る上で外せない文化の象徴であることは確かです。

こんなローマ帝国史もちょっとつまみ食いしてから【グラディエーター】を観ると、さらに感慨深いものがあるんじゃないかなと思います。

 

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【まとめ】

「ローマは1日にして成らず」という有名な言葉があるように、ローマ帝国が築かれるまでには紀元前から長い長い歳月をかけて少しずつ繁栄してきた苦難の歴史があります。

  • ローマ帝国軍の名声ある将軍は一夜にして奴隷へと転落
  • 闘う技量のある奴隷は、生死を問わない見世物のために剣をふわさせられた時代
  • 帝国ための軍人から娯楽のための剣闘士になった男の物語

コロッセオで行われる剣闘士大会はローマ市民の最高の娯楽行事でした。

命をかけてローマを光ある繁栄の道へと導いた将軍が、今度は命を軽々しく見世物にするローマの闇へと堕ちていく。

巨大な帝国にまで繁栄したローマの光と影のどちらも生き抜いたマキシマスの運命に、なんとも言えない想いがこみ上げます。

映画【グラディエーター】は、ローマ帝国史に残る剣闘士の世界を垣間見れる作品だったように思いました。

 

 

 

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