ゾンビホラーは好きだけど、ミュージカルは苦手。
ミュージカルは好きだけど、ゾンビホラーは苦手。
そんな両者の間を取った、異色の映画が爆誕いたしました。
青春真っ只中の高校生が、歌って踊ってゾンビと戦うミュージカル映画【アナと世界の終わり】の世界へとご案内いたします。
この記事で分かること
- 【アナと世界の終わり】あらすじ概要・出演キャスト
- 予告動画・DVDブルーレイ情報
【アナと世界の終わり】ミュージカルとゾンビが合体
歌って踊って、血飛沫ブッシャーー!
…これはまた斬新な。
映画【アナと世界の終わり】は、ティーンエイジャーの葛藤を描く青春ミュージカルに、ゾンビを登場させちゃった作品。
原題は「Anna and the APOCALYPSE」
アポカリプスとはキリスト教の黙示録を指す英語で、転じて「大災害または世界の終末」という意味があります。
- スコットランドの映画監督ライアン・マクヘンリー氏の短編映画を長編映画化
- ライアン氏曰く「青春ミュージカルをもっと面白く出来る!」と
- そこで考えたのがミュージカル×ゾンビ←なんでやねんw
- 出演者は舞台などで活躍する実力派を起用。ミュージカルは本格仕様
ノロノロ歩く定番ゾンビを、派手に退治する豪快さが見どころのひとつです。
将来への焦り・夢・友情・愛情など、ヒューマン要素が盛り込まれたストーリーも見応え抜群。
つまらない!…という意見もありますが、おおむね評価は上々です。
- Filmarks : 3.3/5
- Amazon prime video : 3.5/5
- Yahoo : 3.5/5
映画ファンのみならず、映画批評家をも唸らせた奇跡のエンターテイメント。
コメディタッチのゾンビホラー映画《ショーン・オブ・ザ・デッド》と、ミュージカル映画《ラ・ラ・ランド》が出会ったような傑作!とも称されています。
笑いあり・流血あり・感動あり。
映画ジャンルの枠を超えた、シュールなミュージカルゾンビホラー映画 が【アナと世界の終わり】です。
元になったライアン・マクヘンリー氏のショートフィルム『Zombie Musical』もご用意いたしました。
18分弱の短い動画も是非。
Zombie Musical (short film)
映画【アナと世界の終わり】基本情報
アナと世界の終わり | 2017年 イギリス・アメリカ映画 |
ジャンル | コメディ・ホラー・ミュージカル |
監督 | ジョン・マクフェール |
脚本 | アレン・マクドナルド、ライアン・マクヘンリー |
上映時間 | 98分 |
出演 | エラ・ハント、マルコム・カミングス、サラ・スワイヤー他 |
動画配信サービス | Amazonプライムビデオ(レンタル作品) |
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【アナと世界の終わり】退屈な日常…からのゾンビ
物語の舞台は、イギリスの田舎町リトル・ヘブン。
数年前に母を亡くし、父親と2人暮らしの女子高生アナが今作の主人公です。
- 高校では翌日にひかえたクリスマスイベント準備の真っ最中
- アナは幼馴染み男子ジョンと共に父トニーの車で学校へ
- 道中、アナと父トニーがちょっと進学のことで言い争い
- 口論の結論が出ないまま、車は学校に到着
パパさんは大学行って欲しいんだ。
…アナは大学に行く前に、1年くらいは世界を見て歩きたいんだそうだ。
周りの子たちのように、大学に行ける環境を素直に受け入れて欲しいパパ。
何の面白みもなく生きて、ただ過ぎゆく日常から脱却したいアナ。
親子は気まずい雰囲気のまま学校前で別れるも、パパさんはアナの高校の用務員です。
校内でも顔を合わせた父親をシカトして、アナはクラスメイトたちと合流します。
- 美人でカッコよく、颯爽としているアナは友人も多い
- 色んな生徒から声をかけられつつ、明日のイベント準備を見て回った
- 廊下では口煩いサヴェージ先生が生徒を注意してばかり
- そうこうしているうちにランチタイム。アナは仲の良いメンバーと学食へ
あんまり大きな高校じゃないんだね。
…代わりに気心の知れた仲間はいる、って感じかな。
親友のリサ・その彼氏で映画オタクのクリス・幼馴染みのジョン。
いつもの仲間と学食のテーブルを囲むアナの元へ、クラス女子が話しかけてきます。
- 男子のようなショートヘアのステラは、クリスに動画を撮って欲しいらしい
- 新聞部員の彼女は、ホームレスの生活を取材中
- 過激な記事を書き、サヴェージ先生からは問題児扱い
- 男子からは「男女」とヤジられる、彼女持ちのトランスジェンダー
- …がアナたちに差別や偏見の意識はなく、クリスはステラの依頼を快諾
なんか向こうの席から、アナを見てる男子がいるんだけど。
…あぁ。アナの元カレのニックだな。
ニックは学校イチのモテ男ですが、女性関係にだらしなく、クラスメイトをからかうのが趣味のオラオラ系男子。
熱い視線を送る彼を見て、ジョンたちは「気にするな」とアナの心中を察します。
- 未練はないが、視界に入るニックに目がいってしまうアナ
- そんなアナに密かな想いを寄せるジョンが歌い出してミュージカル開始
- 「恋愛は映画のようにはいかない」と、学食にいた生徒全員が踊り出した
- ニックに対する皮肉も込めて、アナも歌って踊ってキメポーズ
おぉ。これぞ青春ミュージカル♪
…歌上手すぎるだろ、皆すごいな。
歌って踊ってチャイムが鳴ると、何事もなかったかのように真顔で学食を後にする生徒たち。
…いや君たち、切り替えメッチャ早いな、おい(笑)
- 今日は授業もなく、あっという間に放課後
- 一部の生徒は居残ってイベント準備。アナはバイトのため下校
- パパとは口論・ニックにはちょっかい出されて今日はツイてない
- …と考え事していたら、学校前でオジサンとぶつかった
オジサン顔色悪いね。具合でも悪いの?
…具合悪いというか、あれゾンビだな。
あまりよく顔を見ないまま、慌てて謝りその場をあとにしたアナ。
ジョンと一緒にボーリング場のバイトを終えると、翌朝も待ち合わせして歩いて登校することに。
ところが玄関開けたらゾンビがウヨウヨ。
ご近所さんが襲われまくっているのに、アナは全く気が付きません。
なぜならイヤホンで音楽を聴きながら、歌って踊って陽気に通学路を歩いていたから。
そうして公園近くでジョンと合流、背後で倒れたスノーマンを見て、初めてゾンビの存在を認知します。
…認知しただけでなく、ゾンビを初見でぶん殴り、躊躇うことなく首チョンパ←容赦ないw
返り血を浴びてなお状況を楽観視していたアナとジョンは、このあと街の惨状を目の当たりにし、絶望を味わうことになるのです。
絶望と犠牲を乗り越えて
実はいま、世界規模でウィルス性の感染症が大流行。致死性があると分かったのは、つい今日のことです。
第1報はすでに報道されていますが、なんせ世間はクリスマスに夢中。
まさかウィルスによってゾンビ化するなど、誰も考えも予想もしておりませんでした。
- 充分に情報が行き渡っているとは言い難い
- リトル・ヘブンも例外ではなく、街の中心地はゾンビで大混乱
- とりあえずアナとジョンはバイト先のボーリング場へ
- すると撮影に出掛けていたクリス&ステラが
- 4人でボーリング場内に避難するも、オーナーがゾンビ化してた
- さらに数名のゾンビが侵入。モップやボーリング玉で戦うことに
ゾンビといえば、頭部破壊!
…これまた退治法が豪快だな。
クリスの映画オタク知識が役に立ち、テンパらずに戦うことが出来たアナたち。
彼らがボーリング場で激闘している同じ頃、学校では呑気にクリスマスショーを楽しんでおりました。
- ドレスアップしたリサが舞台で艶やかな歌声を披露
- サヴェージ先生いわく「ふしだらなっ!」
- ステージ裏に回って文句言おうとしたら、校舎の外にゾンビが
- サヴェージ先生が指揮を取り、校内にいた全員で立て篭り
- 軍隊の救助も要請し、学校前には臨時基地も設営
軍が来たからには安心だ♪
…マッハで壊滅しちまったがな。
なんと救助要請に応じた軍隊も、ゾンビに襲われ兵士がゾンビ化。
「きっと大人が軍隊呼んで解決してくれる」
そう思ってボーリング場で一夜を明かしたアナたちも、兵士ゾンビを見て絶望してしまいます。
- 学校にはアナのパパ・クリスの祖母と彼女のリサもいる
- 無事を確認するためにも学校へ向かわなければ
- …ということで、大きなビニールプールを逆さに被り移動を開始
- ただ、途中でゾンビに囲まれ身動き取れず
これはピーーンチ!!
…老女のゾンビなんか、ビニールプールに座っちゃったしな。
4人の体がすっぽり入り、外の様子も伺える半透明のビニールプール。
作戦はまぁまぁ良かったものの、このままでは襲われてゾンビ化するのも時間の問題です。
- そんな時、ビニールプールに大量の血が
- ニックとその取り巻きが現れて、ゲーム感覚でゾンビを退治してた
- なんて悪趣味な…と思ったアナだが、彼らと共に学校へ
- 途中、近道だというクリスマスショップでキャンディ型のスティックをゲット
- ゾンビをなぶり殺しながら進むも、ジョンがゾンビに噛まれてしまった
あ……。ゾンビに噛まれたら。
…お約束通り、もう助からんだろうな。
ジョンだけでなく、いつしか犠牲になっていたニックの取り巻き男子たち。
しかし、嘆き悲しんでいる暇はこれっぽっちもありません。
立ち止まれば彼ら同様、ゾンビに襲われ内臓を引き摺り出されてしまいます。
- 助からないと悟ったジョンは、アナを逃すため自らゾンビ集団の中へ
- そんなジョンの想いを汲み、ニックがアナを連れて先へ進むことに
- 覚悟を決めたアナは、ニック・クリス・ステラと学校に到着
- 玄関にいたサヴェージ先生が中に入れてくれるも、なんか様子がおかしい
私に従わないヤツは襲われてしまえ!
…サヴェージ先生、壊れたか。
混乱に乗じて権力をかざし、偉そうに仕切っていたサヴェージ先生。
校内に立て籠った連中が言うことを聞かないため、わざと校舎内にゾンビを招き入れ、生徒や父兄を襲わせていたのです。
それだけでなく、やっと学校に辿り着いたアナたちをもゾンビ教室に入れてガッツリ施錠。
ここまでゾンビと戦ってきた彼らは何とか教室から逃げし、父トニーやリサ、クリスの祖母を探し始めます。
しかしサヴェージ先生の暴走は止まらず、ゾンビの数も増すばかり。
アナは更なる犠牲を払いながら、絶望的な世界の終末を乗り越えることに… というのが大まかなあらすじになります。
【アナと世界の終わり】登場人物キャスト
案外うまく合体しちゃった、ゾンビ&ミュージカル。
異色の組み合わせが高く評価されたのは、素晴らしい歌を披露してくれた俳優陣のおかげです。
ちゃんと笑えてちゃんと怖い、本格歌唱で場を盛り上げる登場人物キャストをご紹介いたしましょう。
アナは、今作主人公の女子高生。
田舎町にウンザリし、大学進学という大人が敷いたレールに疑問を抱いています。
人生に焦りを感じ、まずはバイトで資金稼ぎ。現状を変えようと頑張る堅実な人物です。
親近感もあり、感情移入してしまうアナを演じたエラ・ハントさんは、今作が長編映画初出演。
舞台で培った高い演技力と見事な歌声は、魅入ってしまう素晴らしさです。
ジョンは、アナの幼馴染み男子。
クリスマスに合わせてツリー柄のセーターを愛用、なんと飾り部分が点灯します←ナニコレ欲しい(笑)
ファッションは可愛らしいですが、特に特技もなく真面目で良い人というのが取り柄です。
現状を変えたいと思う勇気はなく、アナへの想いを打ち明けるより側にいられることに満足気味?
ちょっと切ない男子ジョンを演じたマルコム・カミング氏は、俳優の他に音楽監督としても活躍中です。
ステラは、アナのクラスメイト女子。
遠く離れて暮らす親からも、学校からも友人からも疎外されているようなトランスジェンダーです。
周囲の扱いに孤独を感じ、少しやさぐれた性格。
差別や偏見なく接してくれるアナたちと過ごすうち、トゲトゲしさが無くなっていきます。
あるがままを受け入れてくれるだけで、孤独を感じることなく自分らしく生きられる。
これはトランスジェンダーに限ったことではありませんが、個人や個性を尊重することで人間関係うまく行く…ということを象徴する存在かなと。
独特の雰囲気を放つステラを演じたサラ・スワイヤーさんは、俳優・作曲家・振付師とマルチな才能を持つお方。
今作のミュージカルシーンのダンス振り付けも担当しています。
クリスは、アナのクラスメイトでホラー映画好きの男子。
彼女のリサといつもイチャイチャ、最後まで切ないくらいラブラブしています。
大好きなのは祖母も同じ。籠城した校内で亡くなってしまいますが、ゾンビに襲われて死んだわけではなく、心臓発作で亡くなったことに安堵。
そんな心優しい青年クリスを演じたクリストファー・ルヴォー氏は、舞台や戯曲・TVドラマにも出演する実力派です。
リサは、アナのクラスメイトで親友、クリスの彼女でもある女子。
高校のクリスマスイベントの目玉、ショーの歌声はビックリするほど艶やかです。
校内で籠城している間、ずっとクリスの祖母を支えた愛情深さが印象的。
演じたマリル・シウさんは、エディンバラ・ネピア大学で演劇と文学の学位を首席で卒業した才女だそうで。
今作が長編映画初出演ですが、数多くの舞台で活躍しています。
ニックは、アナのクラスメイトで元カレ。
髪型がほぼパンチパーマ、ゾンビを倒しながらロカビリーを歌って踊る様子が笑っちゃうほど面白いです。
ハナにつくほど自信家で行動派、大袈裟すぎるDQNといったところ。
その一方で、辛く苦しいことがあっても乗り越える心の強さがあります。
演じたベン・ウィギンズ氏は、映画・ドラマ・舞台など、出演実績が豊富な俳優さんです。
トニーは、アナの父親で高校の用務員。
数年前に妻を亡くして以来、男手ひとつで娘を育ててきました。
親離れしたい年頃のアナと、言い合いになるのは日常茶飯事。心配性な一面もあり、ごく普通の父親といったところ。
演じたマーク・ベントン氏は、ロンドンにある王立演劇学校(RADA)で演技を学んだ実力派俳優。
映画や舞台、TVドラマシリーズで主演を務めるなど、芸歴の長いベテランさんです。
ちなみに王立演劇学校は、アラン・リックマン氏、トム・ヒドルストン氏、ロジャー・ムーア氏など、数多くの名俳優を輩出した歴史ある演劇の名門校にございます。
サヴェージ先生は、アナの高校の口煩い中年教師。
次期校長は自分しかいない!という、自信家・野心家です。
校内籠城の際には自ら校長を名乗り、マニュアルまで作ってその場を仕切っています。
ミュージカルシーンでもモラハラ全開、歌詞がとっても面白いので是非ご注目を。
演じたポール・ケイ氏は、いくつもの受賞歴があるイギリスのコメディアン兼トップ俳優。
全世界が熱狂した、超ド級ドラマ《ゲーム・オブ・スローンズ》にも出演しています。
…と、この他にアナのクラスメイト・ニックの取り巻き連中・ゾンビな皆さんが登場。
心に響くミュージカル歌唱が素晴らしく、ゾンビと見事に融合している傑作となっております。
【アナと世界の終わり】まとめと感想と考察
青春・音楽・ダンスに屍人。
歌って踊ってゾンビをボコるミュージカルは、確かに奇跡の異色コラボです。
- 田舎町に嫌気がさしている女子高生が主人公
- クリスマスイベント前夜、なんと街にゾンビが出没
- 翌朝には大量発生。軍隊をも壊滅させる脅威の屍人力
- パンデミックの中、女子高生と友人たちが頭部破壊でゾンビ退治
- …するも、恋に友情に親子愛までもが絶望に見舞われる物語
ひとつの短編から始まった、ミュージカル&ゾンビホラー。
実はショートムービーを制作し、今作の脚本も務めたライアン・マクヘンリー氏は、映画の完成を見届けることなく病で他界されています。
アイデアも素晴らしければ脚本も素晴らしく、マクヘンリー氏の思いを大切に詰め込んだスタッフ・キャストも本当に素晴らしい!
エンディングでは彼への追悼メッセージが捧げられ、スタッフロールをアニメ仕立てにするなど、最後まで楽しんで欲しい工夫も凝らされています。
ゾンビによる世界の終末というありふれたホラー感、悩み多き青春を送る若者の焦燥感。
キャラクターは生き生き…はしていませんが←気持ちが腐りかけてるので(笑)
彼らからは、生き方のアドバイス的なメッセージが感じ取れるかと思います。
- アナは、環境に囚われず夢と希望を諦めない人
- ジョンは、平々凡々だけど真面目な良い人
- ステラは、差別に屈せず個性と信念を貫く人
- クリスは、好きな人と趣味に没頭するオタクな人
- リサは、恋愛第一・愛情に満ちた人
- ニックは、我が道を行くアグレッシブな人
- 取り巻き連中は、周りに感化されやすい人
- サヴェージ先生は、権力と抑圧に価値を見出す人
それぞれのキャラクターは文字通り、様々なキャラクター(特徴)の持ち主です。
どこにでも居そうなタイプでありながら、絶望を生き抜く人と犠牲になる人に分かれます。
その違いは何か。
どうしようもない状況でも、生き抜いていける術は誰のキャラクター(特徴)なのか。
映画を最後まで観ると、こんなメッセージに辿り着くんじゃないでしょうか。
『夢と希望を諦めず、信念を貫いて行動してほしい』
まぁ言うても青春ドラマでコメディでホラー、挙げ句ミュージカルな娯楽作品なんですけどね(笑)
映画【アナと世界の終わり】は、想像以上に奥が深いジャンルスイッチムービー でした。
劇中で流れる挿入曲・ミュージカル歌唱曲もピックアップしてお届け中。
どれも素敵な歌声ばかりなので、ぜひ↓
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